就業支援ハンドブック
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3)行動を習得する(課題分析) そもそも挨拶という行動そのものができなければ、きっかけがあっても行動は生起しない。行動そのものができない場合、行動を一連のステップからなると考え、どのステップでつまずいているのか、その行動を時系列に細かく分けて分析する方法を課題分析と言う。 これは料理で言えば、レシピに相当する。例えば、目玉焼きを作るという行動ができない場合を考えてみる。目玉焼きを作るという一言で表される行動も、次のように細かいステップに分けることができる。【目玉焼きを作る】1.卵はあらかじめ室温に馴染ませておき、割って器に入れる。2.ガスコンロに点火する。3.ガスコンロにフライパンを乗せる。4.フライパンをよく温める。(煙が出るくらい)5.フライパンに油を薄くしき、温める。6.油もよく温まったら火を弱火にする。7.フライパンに1で割った卵をそっと入れる。8.フライパンに蓋をする。9.1分加熱する。10.黄身の表面に白い膜が張ったら火を止める。11.フライ返しで目玉焼きをすくい皿に盛り、お好みで塩、コショウをふる。4)環境の構造化の考え方 行動が起こるには、きっかけが明確になっている必要がある。行動を起 目玉焼きをうまく焼けなくても、1~ 11のステップで対象者の行動を観察し、どこでつまずいているのか特定することができれば、そのステップを集中的に反復練習したり、別の方法を工夫したりすることで全体の動作(料理)を習得できるようになる。白身に油の跳ねが多く付いているのであれば、5で油のしき方を反復練習することになるし、また、黄身が固くなりすぎていれば、9で1分計を用いるという工夫も考えられる。この課題分析は、後述する作業手順書を作成する際の元データともなる。 なお、ステップの分け方は、無数にあると言ってもよい。対象者の理解度に合わせていくつかのステップを統合したり、さらに細かいステップに分けて表現することも可能である。 第4節 就職から雇用継続に向けた支援 69

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