就業支援ハンドブック
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1就業支援における生活支援とは(基本的な考え方) 障害者の就業支援は、「就職」と「職場定着」が主たる目的であるといえる。この「職場定着」を考える際、必要不可欠なのが生活支援である。社会福祉において既に生活支援という言葉に接している方が多いと思うが、ここでは就業支援に伴う生活支援という視点で考える。 障害者は職場において支援者の支援のもと、様々な課題に取り組む。支援を受けることによりステップアップし、課題を克服し、職場での定着を図る。これと同様のことが支援対象者の生活面においても必要になる。生活面における就職以前の状況(在宅、福祉施設への入所・通所、特別支援学校への通学等)とのギャップが、時として就業継続に大きな問題を生む要因となるからだ。 自分自身のことを考えてもらうと分かりやすい。私たちを取り巻いている社会は職場だけであろうか。家族、友人、趣味を共有する社会、買い物など自分の欲求を満たすための社会、様々な要素が我々の社会を構成している。そして職場以外の様々な事柄が、時として職場での能率に影響を及ぼす。 障害者にとっても全く同様である。職場は占める割合こそ大きいが、複数ある要素のうちの一つにすぎない。そのため、たとえ一要素である職場において状況が安定していても、他の要素が不安定な状況であれば職場での状況にも大きく影響し、結果として職場定着が困難になる。例えば家庭における問題、相談しにくい悩み事、友人との金銭トラブル、未経験な事象への対応などがこれに当たる。そこで、職場での定着を目的とした生活支援が必要になる。 第4節 就職から雇用継続に向けた支援 77職場定着を安定したものにする要素第4項 就業支援と生活支援

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