就業支援ハンドブック
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78 第1章 就業支援のプロセスと手法 ここで、「就業支援における生活支援」とするのは、支援対象者が就業に向けて取組み中であるからであり、一般の生活支援と特別な相違はない。福祉施設の利用や生活保護の利用など、就業者には直接的に関わらない事柄は、就業支援における生活支援の対象外であると考えられがちであるが、「世帯」として支援を展開する際には必要な情報になる。唯一の相違は支援の主目的が「働き続けること」を支えるという点である。 つまり、生活支援とは、職場での直接支援を除いた、障害者の就業を安定的なものにするためのあらゆる支援を指すことになる。 2生活支援の内容と方法 障害者の生活支援を考える際に「ここまで」という基準はない。状況に応じて発生した課題(困難)に対して、その都度対処していくことが必要になる。臨機応変さと地域資源に関する豊富な情報と知識が必要になる。 生活支援の内容については、職場において明確に事象として現れることへの支援と、生活全般における支援とに大別することができる。本来すべての問題にはつながりがあり、分類することは意味のないことかもしれないが、ここではより着眼点を見つけやすくする目的で分類して考察したい。また、継続して働き続けるために必要な要素である余暇支援についても考えたい。 1)就業に直接関わる内容について ここでいう就業に直接関わる生活支援の内容とは、職場での仕事に直接的に影響し、職場において課題が顕著に現れる事象のことを指す。職場における清潔感の欠如や、欠勤・遅刻の常習などがこれに当たる。表1に支援が必要な事象と実際の支援方法について例を挙げる。 表中の「原因として考えられること」の欄を見ると、一つの事象について実に様々な要因が考えられることが分かる。例えば「遅刻」という事象について考えてみる。

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