就業支援ハンドブック
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〇余暇支援 就業を継続するうえで、余暇は重要な要素になる。自分たちのことを考えてみよう。もちろん生活のために仕事をするのだが、果たしてそれだけであろうか。毎日仕事と家の往復で、土日も出掛けないというような生活はかえって不自然ではないだろうか。 働いた対価として得た給料を自分の余暇のために使うことも重要な社会経験であり、働き続けるためにはとても大きな要素になる。しかしながら、彼らが就業する先である企業において、常に余暇活動が準備されている訳ではない。特例子会社など障害者雇用を主たる目的としている企業においては別かもしれないが、多くの企業においては就業時間以外は個人の自由というスタンスである。 支援対象者がこれまで所属してきた機関(学校、福祉施設、デイケア等)においては常に余暇活動が準備されており、自分で余暇を探すという必要性はなかった。もちろん自分で休日を楽しむ方もたくさんいるが、社会経験の少ない障害者の中には余暇に関しても経験不足の方が多い現状がある。そのため、就業後も職場に多くのことを求めてしまい「つまらない」 「友人ができない」等の理由が課題になるケースも少なくない。「よく働きよく遊ぶ」が理想であり、余暇の充実は安定した就業継続に直結するといえる。職場を「働く場」として位置づけるためにも「余暇の場」が必要になるのである。 余暇支援において問題になるのが、実際の余暇の確保や金銭の使い方、友人との人間関係等になる。就業者の多くは平日勤務であり、土日祝日が休日になる。このような場合は、土日における余暇支援および就業時間後の支援が想定される。現状において就業時間後の支援は資源の少なさなどから困難であり、就業先企業に委ねることになる場合が多い。また、土日の余暇に関しても、施設等の余暇活動は平日に多く、土日の継続的な機会を確保することは難しい。そのため、就業者の余暇支援は定期的に開催される就業者を対象とした余暇活動の情報提供と、就業者本人主導による土日の活動に対する助言等が主になる。 定期的な余暇活動を確保するためには、地域資源に関する情報が必要になるため、こうした機関との日常的な連携が有効になる。 第4節 就職から雇用継続に向けた支援 83

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