就業支援ハンドブック実践編
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② 体験の実施状況体験利用後のAさんの感想は、「やることがあること自体が張り合いになる。」「働くためには毎日通えるようになることが大切だと思う。」であり、今後の課題について意識しつつある様子であった。体験利用に際しては、短い期間の中で的確に情報を収集して整理する必要があるため、就労支援員の働きかけに対するAさんの反応について、細かく観察するよう留意した。例えば、「○○に対する働きかけを行ったところ、Aさんの反応は○○であった」等、観察記録を作成しながらアセスメントを行った。通所手段の確認を行った際には、自力での通勤が可能であったか、またどのルートを使用しどのくらい時間がかかったか確認したところ、口頭でのルート説明は行えたが、ルートを書いてもらおうとすると上手くまとめることができなかった。その他、聞き取りにくさは緊張によるものではないかとも考えられたが、緊張が軽減された後も挨拶が聞き取りにくいなどの状況が続いた。しかしながら、ゆっくり話すように伝え、かつAさんもゆっくり話すことを意識できると、比較的聞き取れるようになった。体験プログラムにおける各作業のアセスメント結果は下記の通り。1 OA作業パソコンの利用は可能との情報を得ていたので、ワークサンプル幕張版(簡易版)のOA作業の中から、パソコン上の画面に表示された指定の文章を入力する「文書入力」作業を実施したPoint7  。入力にかなりの時間を要したものの、基本的なパソコンの操作は可能であることが確認できた。パソコンの利用が可能な方については、画面上に表示された数字と同じ数字を入力する「数値入力」もしくは上述の「文書入力」を実施しています。作業遂行上の能力については、数字や文章を正しく読み取る能力、それを記憶に留めて、正確に入力する能力が求められます。また作業指示書に従い、手順どおりに作業が遂行できるかどうかの能力も求められます。このように、記憶・注意・遂行機能の能力の特性を把握できるため、今後の個別カリキュラムの策定に向けた重要な手がかりとなります。7数値入力事例4 就労移行支援事業所 高次脳機能障害95第2章 事例4

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