就業支援ハンドブック実践編
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2 事務作業四則計算及び漢字の書き取りを実施した。漢字の書き取りにおいては、Aさんはせっかく漢字が読めていても、書字が乱れて読みにくい字を書いてしまっていた。なお、大きな課題としては、行を飛ばして実施してしまい解答が抜けてしまうミスがあった。段を飛ばす、段を間違える、四捨五入で間違える等のミスは、注意力や記憶力に課題があるのではないかと考えられた。3 実務作業ワークサンプル幕張版の中の「ナプキン折り作業」を実施した。作業指示はビデオ映像で行うが、最初は手順を理解しやすいようにコマ送り再生で作業を進め、その後は定速再生のまま作業を進めた。しかしながら、定速再生では作業の遂行ができなかったため、その状況を確認したところでナプキン折り作業を終了した。その他、指先の巧緻性や空間知覚能力、左右のバランス感覚についての能力を把握するための観察を行った。ナプキン折り4 認知回復訓練高次脳機能障害支援拠点施設である名古屋市総合リハビリテーションセンターが開発した『認知機能回復のための訓練指導マニュアル』の課題の中から、かなひろい・同時注意(数字)・単語の穴埋め・語想起・図形の模写・図形の色塗り等を実施した。この認知回復訓練では、指示通りに作業を遂行することが可能かどうかや注意障害、遂行機能障害の状態を観察するとともに、左半側空間無視の影響を把握することを目的とした。なお、実施方法は下記の通りである。・ 「かなひろい」は、平仮名で書いてある文章から特定の文字(例えば「あ」)だけを抜き出し、その数を数える課題である。・ 「同時注意・数字」は、羅列してある2桁の数字の中から2つの条件に合うものを抜き出す課題である。例としては、偶数でかつ40以上の条件に適する数字だけに○を付けるといったものである。・ 「単語の穴埋め」は、カタカナ表記されている単語の一部が白抜きになっており、その部分に文字を当てはめて単語を完成させる課題である。・ 「語想起」は、例えば「あい」で始まる単語を5つ以上考えるなど、指定された条件から想起していく課第2章 事例4 各種検査、体験利用プログラム等によるアセスメントとプランニング96第2章事例4

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