就業支援ハンドブック実践編
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具体的に、注意障害の課題については、当施設で訓練を実施しても就業上の課題として残ると思われるが、対処方法を身につけることと、職場において注意障害に関する配慮が得られれば、職場適応が可能と判断した。また滑舌の悪さの課題については、口を大きく開けゆっくり話すと相手に伝わりやすいことを伝えるなどの訓練を行った結果、Aさん自身も意識するようになり改善がみられるようになってきた。以上を踏まえた結果、Aさんの受け入れについては、通所を強く希望していることもあり、当施設での利用が適当と判断した。また、当施設の通所が決定したため、その旨を関係機関に連絡し、担当者との「担当者会議」を開催することとした。② 担当者会議Aさんの担当者会議については、Aさん、家族、病院の担当者、相談支援事業所支援員、当施設就労支援員が参集しPoint8  、体験利用時の結果と当施設の支援計画について、また今後の連携について相談した。ここでは、Aさんの就労を地域全体のチームで支えるため、参加者全員の共通認識を図ることを第一に開催した。なお、会議は下記の流れで進行した。① 体験利用しての感想(Aさん、家族)② 当施設におけるアセスメントの結果(図2)、支援計画の説明③ 今後の連携についての確認本人の支援に直面している支援者だからこそ気づかない点もあり、多角的な視点から議論できる担当者会議は、支援計画を立案する上で非常に有効な場であると言えます。8<体験利用してのAさん及び家族の感想>○Aさん「最近は自由気ままに過ごしていたため、指示を受けて行動することへの抵抗感を感じた。」「緊張したが、通所はできる気がした。」「早く通所を開始し、就職を目指したい。」とのことであった。○家族(妻)「帰りが遅く心配したが、体力的にも続けられそうであることや、本人が通所を希望しているため、ぜひ通所させて欲しい。」とのことであった。<当施設におけるアセスメントの結果の説明と今後の連携について>当施設の体験利用の状況について、実習評価票に基づき説明を行った。その上で、施設利用については受入の方向であることを伝えた。その後、病院担当者及び相談支援事業所支援員から意見をいただきながら情報共有を行い、今後の連携についてお互いに確認を行った。なお、アセスメント結果(図2)を説明した際、家族からは、Aさんは家庭でも早口で話すため、何を話しているのか分からない時があり困っているとのことであった。そのため、「おはようございます」「お疲れ様でした」等、日常の挨拶をはっきりと伝えられることを目標とすることとした。また、TPOにふさわしいコミュニケーションがとれないことがあるため、ビジネスマナー講座を受講し、社会人として事例4 就労移行支援事業所 高次脳機能障害99第2章 事例4

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