就業支援ハンドブック実践編
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なお、暫定期間中の面談では、新たなアセスメントシートに状況を記載し、通所前に作成したアセスメントシートや「実習評価票」と比較しながら、変化を支援者とともに確認したPoint12  。その際に留意したこととしては、同じ様式を用いて比較すること、言葉での解説に加え数値や図表を交える等、Aさんにとって変化が分かりやすいように工夫した。体験利用中に把握できなかった新たな特徴等については、支援者全員が共有し、対応を統一できるように気をつけます。支援者の対応で本人が混乱しないよう、最大限支援者間で統一的な対応を行うよう留意することが大切です。12その他、新たに把握した課題としては、他の利用者の進行状況等とAさん自身の状況を比較し、目標が揺らぐこともあった。このため就労支援員は、あくまでAさん自身に必要な目標達成のためのプログラムを行っていること、各自の進行状況に応じて目標を設定していることを説明し、現在の目標について常に振り返り面談を行いながら支援した。振り返り面談では、必ず「今のAさんの気持ち」を確認するようにし、Aさんがこれまで取り組み達成したことをフィードバックしつつ、課題に取り組む前向きな姿勢を維持できるよう支援した。(4) 暫定利用期間終了時点での再プランニング暫定期間用に作成した計画を基にその達成度を確認するとともに、暫定期間中のアセスメントにより把握できた新たな課題を洗い出し、就労移行支援の利用継続について検討した。達成度については、Aさんの支援に関わった就労支援員各自が評価した結果を持ち寄り、総合的に判断した。その他、障害者職業総合センターの「就労移行支援のためのチェックリスト」を活用し、アセスメント結果を更に具体的にチェックし、今後の支援目標について検討した。なお、この際に可能な限り家族と連絡を取り、家庭におけるAさんの状況も確認しながらアセスメント結果に加えた(図4)。以上を踏まえ、今後の就労移行支援における『個別支援計画』を作成したPoint13  。この際、当面3か月で改善できそうなポイントや課題について、Aさんにも分かりやすく、かつ支援者側にも取組み状況が把握しやすいものを作成する必要があった。再プランニングに当たっては、これまでの支援計画や支援内容を検証することはもちろん、就業した際に想定できる課題点を常に一緒に考え、本人が取り組むべき課題の優先順位について検証することも必要です。13事例4 就労移行支援事業所 高次脳機能障害103第2章 事例4

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