就業支援ハンドブック実践編
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日常生活のあらゆる場面が訓練として活用できるため、例えば、本人から質問や相談があった場合も、そのやり方についてその都度フィードバックしていきます。繰り返しやり取りする中で、習慣化されて定着することにもつながるため、その都度指摘すること(リアルフィードバック)が重要です。14また、就労移行支援の利用が始まった後に、職業紹介のチャンスを逃さないためにもハローワークへの登録をし、さらにジョブコーチ支援が必要となる場合も多くあるため、地域障害者職業センターとの連携も検討したPoint15  。自分の施設だけで何とかしようとすると、支援上思わぬところに抜け落ちがあったりします。そのため、周囲の社会資源を活用できるよう、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター等との連携体制の構築を常に意識しながら、必要に応じて連携を図ることが重要です。また円滑な連携のためには、できるだけ早い段階で関係機関と接触し、支援方針を共有することが望まれます。154 帰すうAさんは再プランニングした個別支援計画に基づき訓練を実施し、3か月ほど経過したところで改めてモニタリングを行った。併せて、より職業面での専門的なアセスメントを受けるため、地域障害者職業センターの職業評価を依頼した。その結果においても、ピッキング作業等の現業系の職務を得意としているとのフィードバックがあったため、職種の選定については、現業系の仕事も意識した相談を本人と継続して行った。その後も面談と訓練を繰り返し、指示を受けた際にはきちんとメモを取り、そのメモを就労支援員に確認してもらうことを確実に身に付けながら、実務的な仕事を目指す訓練を継続して行った。その結果、Aさんの意識に変化がみられるようになり、一つの作業を座って継続して行うよりも、ある程度身体を動かす仕事の方が続けられるということを、訓練を通じて自覚するようになった。現在はハローワークへ定期訪問しながら、実家が農業を生業としていたこともあり、農場等での仕事を探しているところである。事例4 就労移行支援事業所 高次脳機能障害105第2章 事例4

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