就業支援ハンドブック実践編
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支援経過1 導入(ハローワークからのAさんの紹介と情報収集)ハローワークの専門援助部門から、電話にて障害者就業・生活支援センター(以下「センター」という。)にAさんの支援依頼があった。就業支援ワーカー(以下「ワーカー」という。)は、ハローワークがAさんにセンターへの情報伝達の同意を得ていることを確認し、Aさんの基本情報の他、ハローワークにおける相談内容、センターに求める支援内容、センターについてAさんに情報提供している内容について確認したPoint1  。本人が就職活動を行う際に就業支援機関とハローワークは効果的に連携を図る必要があります。ハローワークから支援依頼があった際は、ハローワークが求めている支援内容やこれまでの支援経過等からハローワークの主訴を把握し、その上で本人の相談を受け付けることによって、ハローワークと就業支援機関の役割分担を明確にしておくことが重要です。また、ハローワークが本人や保護者に対し、就業支援機関のサービスをどのように説明しているかについても確認し、もし実際と大きく異なる説明がなされている場合は、再度ハローワークから本人や保護者に説明をしてもらい、本人の認識との齟齬を無くすことが必要です。1【Aさんの基本情報】Aさんは現在23歳の男性。地域の中学校を卒業後、私立高校に進学。専門学校に入学するが、実技・学科についていけず人間関係も上手くいかなかったため半年で退学。就職活動を開始し正社員求人に30社程応募するが全て不採用。その後、ハローワークの一般窓口や求人誌を活用し、アルバイト、パートとして5社に勤務するが、いずれも長続きせずに離転職を繰り返していたため、親戚の情報提供により、療育手帳を取得した。【ハローワークでの相談内容】ハローワークにはAさんと母親の二人で来所。来所のきっかけは今後の就職活動に対する相談。ハローワークから希望する条件等の聞き取りを行ったが、Aさん、母親ともにイメージが漠然としている状況。一方で、ハローワークから「一般雇用と障害者雇用の違い」「支援制度」「就労支援機関によるサポート」等について説明を行ったところ、Aさん、母親ともに一般就労での不適応経験があるため、障害者雇用制度を活用したいとの話だった。ハローワークは、「求人とのマッチングに係る情報が不足している」「就職及び就職後のサポートを受けることが望ましい」との見解をAさん、母親に伝え、就職活動から就職後の定着段階まで様々な相談に応じる場所としてセンターを紹介した。ワーカーは上記の聞き取りを踏まえ、ハローワークの当面の主訴は、「Aさんや家族の仕事に対する希望やイメージの深化」「職業適性や職業準備性の把握」であることを確認した上で、ハローワークを通してAさん・母親との初回面談日を設定した。事例5 障害者就業・生活支援センター 軽度知的障害107第2章 事例5

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