就業支援ハンドブック実践編
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5社の振り返りについて、一つひとつ記入と聞き取りを行ったところで面談を終了し、次回に振り返りのまとめを行うこととした。(3) Aさんとの個別面談(2回目)職歴の振り返りをした内容を踏まえ、ポイントと思われる点について、以下のとおりAさんに確認した。○ほとんどの職場で注意・叱責を受けていることについて注意・叱責の理由が分からず、注意を受けた際は「頭が真っ白になる」「黙りこむ」等の状態になり、どうしたらいいか分からないまま働いていた。毎日職場で叱責されるようになると、仕事に行けず無断欠勤を続けた。○勤務状況について母親の認識と異なっていることについて職場を休んでいると家族に心配をかけるので家を出て通勤途中の公園で過ごしていた。→  本人は悩みを誰にも相談できなかったことが課題、家族は本人の状況を掴みきれていなかったことが課題であることを共有。○離職の理由について「作業遂行上の問題が発生→上司からの頻繁な叱責→欠勤」という傾向が推察された。→  継続勤務について、作業遂行と対人技能が就業継続の課題となっていることをAさんと共有した。○今後の就職活動についてこれまでは離職後とにかく次の仕事を探していたが(仕事の内容を変えることはAさんなりに工夫していた)、職歴を一緒に振り返った感想として、「焦りすぎていた」「何も考えずにとにかく就職先を決めていた」等の発言があり、「同じ失敗を繰り返したくない」「次の就職先では長く働き続けたい」など、今後の就職活動に対する慎重な姿勢と不安な気持ちを示されたPoint6  。・ よく仕事でミスをして怒られるのがしんどかった。・ すべての職場で「何回も同じことを言わすな」「スピードが遅い」「仕事の覚えが悪い」「やる気がない」「やり方が間違っている」等の注意・叱責を受けた。・ 契約満了で退職したのは物流業のみ。他の職場では仕事に行くのが嫌で欠勤状態となり退職した。・ 一番長く続いたのは物流業の仕事(約10か月)。理由は現場担当者が丁寧に教えてくれたり、悩みがないか等を気遣ってくれたため働きやすかった(担当者の異動により不適応となる)。第2章 事例5 就業支援ネットワークを活用した情報収集によるアセスメントとプランニング112第2章 事例5

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