就業支援ハンドブック実践編
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聞き取りによるアセスメントを一通り終えた段階で、支援者が把握できたこと、さらにアセスメントが必要な事項を整理することが重要です。さらにアセスメントが必要な事項について明確にすることで、引き続き自機関のみでアセスメントが可能か、他機関との連携が必要かを判断しやすくなります。8Aさん及び母親は、就労移行支援事業所の利用について、良い訓練の機会になる反面、就職が遠ざかってしまうことを心配されたため、あくまで上記①~④を一緒に確認することが目的であり、一定期間の通所の結果を踏まえて、就職活動を行うか、さらに訓練を継続するか等を相談したい旨を説明し、Aさん、母親も了承した。Aさん、母親の希望も踏まえ、一定期間を3~4か月程度とすることとしたPoint9  。他機関を活用してアセスメントを進める際、本人や家族が「就職から遠ざかっている」「これ以上自機関の支援が受けられない」という不安や誤解を抱かないよう、他機関を利用する意味や他機関を利用する期間、他機関の利用中から利用後の自機関の支援の見通し等を丁寧に伝える必要があります。9就労移行支援事業所選びについて、ワーカーはAさんの希望を確認したところ、Aさんからは「色々な作業を試したい」「体力をつけるために自転車で通所できるところが良い」との意見があった。さらに、ワーカーは①~④を把握するためには、作業種が多く、集団作業の場面の中でもある程度スタッフの個別対応が可能であること、職場でのコミュニケーションに係る講座を行っていること等の条件が望ましいと考え、条件を満たす施設としてB就労移行支援事業所(以下「B事業所」という。)の利用を検討することを、Aさん及び母親と共有したPoint10  。障害者就業・生活支援センターは、地域の就労移行支援事業所と就業支援ネットワークの重要性を共有した上で、効果的なケースマネジメントを行う必要があります。センターにおいては、「地域資源のアセスメント」と「顔の見えるネットワーク作り」を目的に、圏域内に就労移行支援事業所が開所した際には施設訪問を実施し、センターの支援内容と就労移行支援事業所の支援内容(作業や訓練プログラムの内容、利用者の傾向、施設の懸案事項等)について意見交換を行っています。10第2章 事例5 就業支援ネットワークを活用した情報収集によるアセスメントとプランニング114第2章 事例5

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