就業支援ハンドブック実践編
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関係者間でアセスメントを行った場合は、それぞれが持つ情報を確実に共有した上で、各機関の意見を確認しながら、今後の方針を検討する必要があります。本事例では、基本的な労働習慣、対人技能、生活リズム等に大きな問題は見られず、職場の指導体制等の環境面や支援機関によるサポート体制によって職場適応に大きく影響を受けると判断されたため、Aさんに適した作業環境や事業主に依頼する具体的な配慮の内容、ジョブコーチ等による職場内支援の効果等をより具体的にアセスメントすることが効果的と考え、職業センターの職業評価の利用を提案しました。自機関の持つアセスメント機能のみならず、地域の他機関のアセスメント機能を把握しておくことにより、就業支援ネットワークを活用したアセスメントを効果的に進めることができます。18 4 職業センターを活用したアセスメント(1) 職業センター利用に係るコーディネートワーカーは、職業センターに依頼をする前にハローワークに連絡を入れ、B事業所の通所によってアセスメントできた内容と職業センターの職業評価を利用する方針について伝達した。併せて、Aさんの職業準備性は一定整っており、今後は求人選択等のマッチングや就職後の支援体制がポイントになると思われること、したがって職業評価結果を踏まえてAさん、母親、ハローワーク、B事業所、職業センター、センターにてケース会議を設定したいことを伝え、ハローワークの了承を得たPoint19  。新たな連携先にアセスメントを依頼する際は、依頼の趣旨やアセスメントされた情報の使用方法、アセスメント結果を踏まえた次の展開等を、事前に既存の連携機関で共有し、齟齬が起きないようにすることが肝要です。事前に共有することによって、アセスメント後の情報共有や具体的な連携活動もスムーズになります。本事例では、具体的なマッチングや就職後の支援体制等を整理するために職業センターの職業評価を依頼しています。また、関係支援機関がスムーズにAさんの就職活動支援に移行できるよう、職業評価後のケース会議についても事前に依頼をしています。19 その後、ワーカーから職業センターに電話にて連絡をし、これまでの支援の経過や職業評価で確認したい内容を具体的に伝えた。電話の段階では主に以下の4点を伝えた。1  Aさんの職業準備性は一定整っており今後は求人選択等のマッチングや就職後の支援体制がポイントになると思われること2  職業評価結果を踏まえてAさん、母親、ハローワーク、B事業所、職業センター、センターにてケース会議を設定したいこと3 職業評価時はワーカーが同行したいこと4  作業評価を中心に作業の正確性、スピード、理解力等を確認し、事業主に配慮を依頼する点や支援によってカバーできる点を検討したいこと事例5 障害者就業・生活支援センター 軽度知的障害121第2章 事例5

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