就業支援ハンドブック実践編
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(2) 職業評価を通じた情報収集職業評価当日はワーカーが同行し、センターが取り組んできた支援経過やAさんの状況等について「申し送りシート(表2)」及び「職業準備性ピラミッド(図3)」を提供しながら伝達したPoint20  。本事例では、申し送りシートをB事業所に提供した後、新たにアセスメントできた内容があるため、それらをしっかりと反映して職業センターに提供しています。また、ハローワークやB事業所にも提供することで、改めて職業評価を依頼した趣旨等の共通認識を持つ事ができます。さらには、Aさんに作成してもらった職業準備性のピラミッドについても情報提供することで、アセスメントしてきた内容を一層分かりやすく依頼先に伝えることができます。20 表2 申し送りシートの「3.相談、支援経過」部分これまで取り組んだ支援内容・ センターにて計3回の面談を実施した後、B事業所を紹介し、現在も通所(約4か月が経過)。・ B事業所の紹介理由は以下の4点をアセスメントするため。1 実際の作業における遂行力2 集団場面でのコミュニケーション力3 ブランクによる基礎体力や労働習慣への影響4 辛い時等の本人の意思表示と家族に期待できるサポート体制※  B事業所では週5日間1日6時間通所しており、箱詰め、ピッキング、喫茶(洗米、清掃、盛付、接客)等の作業に従事、その他挨拶や返事等の体験型講座を受けている。・ 3か月終了時点で、Aさん、母親、B事業所とケース会議を実施し、職業センターの職業評価を依頼することとなった(ハローワークとも相談済)。※  上記2~4については就業を制限する事項はないと判断したが、1について専門的なアセスメントが必要と考えている。過去の就労経験・ すべての企業で作業遂行に係る叱責を頻繁に受けている(理解力、スピード、正確性等全般的な事項)。叱責を受けても理由が分からず、周囲への相談もできず、叱責に耐えられずに無断欠勤をして離職するという傾向がある。・ Aさんは家族に欠勤を隠しており(父親に知られたくない)、家族も気づいていなかった。なお、自宅で食欲が無い、夜中に大声を出す等、家族にも分かるストレスサインは出ていた。・ 最も長く勤務した物流倉庫は現場担当者が親身にしてくれた(現場担当者が変わり不適応となった)。・ 通勤について、1時間程度、電車、バス等の複数の交通機関の利用等があったが問題は無かった。生活面・ 引越し業を辞めてから、1年間のブランクがあったが、B事業所には遅刻・欠勤はなく(体調不良を除き)、生活面の大きな課題はみられなかった。・ 過去に給料の大半を給料日に使ってしまったことがあるが、B事業所から得た工賃の使用は母親と相談して行っている。※ 将来一人暮らしをするという希望を持っているが、母親は心配している。第2章 事例5 就業支援ネットワークを活用した情報収集によるアセスメントとプランニング122第2章 事例5

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