就業支援ハンドブック実践編
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2 本書で解説するプランニング(支援計画の策定)の概要  3 アセスメントとプランニングの現況等7第1章 3支援計画の内容は、アセスメントの結果、支援機関の役割、提供するサービスの内容等により様々であるが、主に以下の項目が必要である。① 現状と支援の方向性利用者が安定した職業生活を営むために、最も効果的な支援や進むべき方向性等を明示する。※ 安定した職業生活を営むことが目標であるが、その中で個々の障害者が持つ現状の希望やニーズを踏まえ、当面の方向性を具体的に示すことが肝要である。② 具体的目標①を進める上で、利用者と支援者の共通目標とその到達レベルを明確にする。③ 支援内容利用者が②を達成するために、支援者が行う支援内容及び支援方法を明確にする。④ 支援体制関係機関に求める協力内容と役割分担を明確にする。3 アセスメントとプランニングの現況等アセスメント等の定義や就業支援機関における実施状況は次のとおりである。就業支援に係るアセスメントについての厳密な定義はない。vocational assessmentを職業アセスメントと訳し、evaluationを職業評価とあてる場合もある。西川は職業評価に基づいて、職業リハビリテーション計画作成とそのための実行と効果について評価することを「職業リハビリテーション評価」とよんでいるが、より包括的な作業として、職業アセスメントの意味する範囲と重なると考えられる(日本職業リハビリテーション学会.職リハ用語研究検討委員会編集:職業リハビリテーション用語集第2版.2002より)。地域障害者職業センターでは、アセスメントを職業評価として実施しており、障害者が職業生活における自立を最も効果的に果たすことが出来るよう、各種の方法を通じて障害者の職業能力・適性に関する現状と将来性についての知見と見通しを得て、適切な職業リハビリテーション計画(プランニング)を策定することを目的として、実施している。地域の就業支援機関におけるアセスメントの状況については、例えば就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターにおいて、当機構が開発したトータルパッケージを利用したアセスメントを実施している施設も見られるが、多くの就労移行支援事業所では既存の作業を通じて、上記のアセスメントを入所に際して行い、プランニングに基づき入所契約を結んでいる。その後の2年間の利用期間の中で、アセスメントとプランニングを繰り返し行い、より詳細に利用者像を把握している。また、アセスメントを行うためのツールとして、当機構が開発した「就労移行支援のためのチェックリスト」を活用している施設もあれば、独自に様式等を作成している施設もある。障害者就業・生活支援センターについては、法人内に就労移行支援事業所がある等、作業場面を確保できる施設もあれば、相談室のみの施設も多いなどアセスメントの実施状況は様々であり、関連してプランニングのタイミングや提示方法も一様ではない。このように、アセスメントやプランニングを行うための環境条件は施設ごとに様々である。それゆえに支援者は、アセスメントとプランニングの概要を理解した上で、支援者自身や自機関の取組状況をモニタリングすることが望まれる。プランニングの内容

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