就業支援ハンドブック実践編
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(特別支援学校において「卒業と同時に働く」というモチベーションが学校・同級生の中で醸成されており、Aさんもそのイメージを持っている様子であった)ワーカー:「どこで働いてみたいですか?」→  「親元であるF市で働きながら暮らしたい。」 (父親が病死しており、Aさんには、自分が親や家族を助けたいという感情があるようだと周囲は推測していた)ワーカー:「得意な仕事、苦手な仕事はありますか?またこれからの仕事の希望はありますか?」→  「力仕事は自信がありません。」「じっくりと取り組むタイプなので、一つの仕事を繰り返して行うような仕事が、自分には合っていると思う。」「製造業などスピードを要求される仕事は苦手意識があります。」○家族(母親)ワーカー:「Aさんの卒業後の就職について、家族の希望はいかがですか?」→  「可能であれば、自宅から通える会社に就職して欲しい。」○特別支援学校高等部 進路指導担当教諭ワーカー: 「Aさんの性格、得手・不得手、友人関係、職場実習等の経過、就職への希望等はいかがですか?」→  「授業や作業に取り組むに当たっては、とにかく真面目で一所懸命な生徒である。」→  「これまで実施した職場実習については、高等部2年時に米袋製造業で3週間のラベル貼り・袋切り作業等を行い、さらに2週間県庁でコピー、書類綴り、ラベル貼り作業等、事務補助業務を行った。挨拶や態度、体力面について評価されたが、一方で指示された内容について、Aさんなりの解釈で仕事を進めてしまいミスにつながることがあった。そのため、指示内容を最後まで聞き、確認した上で作業を行うよう助言を受けるなど、作業の進め方について指摘を受けた。」→  「特別支援学校時代は寄宿舎生活であった。また、自宅から寄宿舎へ行く際は、徒歩で駅まで移動し、電車とバスを乗り継いで移動していた。このため、通勤手段については、自宅から徒歩・バス等を利用した通勤を希望している。また、就業先が決まった場合は、卒業に併せて自動車免許の取得を希望している。」上記の情報収集から、センターでのコーディネートを主体に、最終的には就職を目標とした職場実習を通じて、職場実習におけるアセスメントにより就職に向けた支援に取り組むこととした。(3) F市協議会との連携による職場実習先開拓特別支援学校高等部進路指導担当教諭等の企業開拓により、同年10月にE市内のレストラン業で3週間の実習を行うが、雇用には結び付かなかった。しかしながら、自宅からの通勤をやり遂げたことや、企業側の評価も「休まないで通えた」「挨拶が丁寧であった」等比較的良好であり、実習期間を3週間延長することになった。なお、この実習結果は、Aさんの自信に繋がった様子であった。上記実習の結果を踏まえ、雇用を目指すために、これまで職場実習に係るノウハウのあるF市協議会において、Aさんの職場実習先を開拓することとなった。(参考事例) 障害者就業・生活支援センター 軽度知的障害131第2章 事例5

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