就業支援ハンドブック実践編
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<「個人プロフィール表」を含めたB事業所側の評価>○Aさんの長所に係る評価「挨拶・入退室マナー」「清潔感」「身だしなみ」「時間行動」「作業の正確さ」が高評価であった。「無遅刻・無欠勤」についても評価されていた。○Aさんの課題に係る評価「コミュニケーション」「ホウレンソウ」等、スーパーのお客様への柔軟な対応については今後の改善が必要と評価された。(例)  野菜のカット売りコーナーにおいて、お客様から、「キャベツを丸ごと一個では販売していないのか?」と尋ねられた際、分からないまま「そうなります…。」とAさんは答えてしまっていた。分からない場合は、「少々お待ち下さい。」と伝え、他のスタッフに相談する姿勢を身につける必要があると指摘を受けた。○採否についてB事業所としては、「実習~雇用計画書」のスケジュールを参考にしつつ、3週間の実習状況により「本雇用」するかどうか検討していたが、Aさんの課題が明確になってきたこともあり、採否についてはもう少し様子を見た上で判断したいとの意向であった。<関係機関によるアセスメント>○センターマッチングという点では、自宅から徒歩通勤圏内であり、スーパーのバックヤード業務そのものには十分対応できていたことから、マッチングとしては適切であると判断した。また、遅刻・欠勤もなくシフトに応じた勤務ができたことは、Aさんの良さとして高く評価できると考えた。今後は、B事業所側が指摘した課題について、改善が可能なことについては引き続き取り組み、障害の特性上、改善に限界があることについては、B事業所の理解と配慮を得る必要があると判断した。○特別支援学校高等部進路指導担当教諭B事業所からの評価において、「ホウレンソウ」が課題とされた一方、「作業の正確さ」という点では強みとして評価されたことで、今後のAさんの目標及び励みにもなり、支援の方向性も明確になったと感じていた。○ハローワークB事業所においては、初めての障害者雇用に向けた試みであったが、店長だけでなくスタッフもAさんの障害特性を理解しようとし、かつ指導体制を整えようとした取組みは評価できた。今後の課題は明確になっているため、「トライアル雇用」を活用して本雇用に繋がるよう、ハローワークにおいても支援したいとのことであった。<ケア会議による今後の方向性の確認>Aさん、B事業所、支援機関による意見交換を通して、今後のスケジュール等を確認した。その後、AさんとB事業所店長、人事マネージャーの3名による面接が別室で行われた。この結果、「トライアル雇用」を3か月間実施することとなった。(参考事例) 障害者就業・生活支援センター 軽度知的障害137第2章 事例5

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