就業支援ハンドブック実践編
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支援者の提案が一方的にならないよう適宜本人の感想を聞くなど、どのように受け止めているかを確認することが大切です。表情等をさりげなく観察することもポイントです。4支援開始に当たっては、職員間で情報共有し、他の職員の意見を得た上で決定することが望まれます。例えば、本人の特徴やニーズに応じて担当者を決定したり、場合によっては他の関係機関の利用を検討する等、より良い方策が検討できることもあります。5発達障害のある方の場合は、その特性から自分の思いが相手に正確に伝わらなかったり、逆に相手の思いを正確に受け止められなかったりするなど、コミュニケーション上の“負”の経験を持つ方が多くいます。そのため、受付の段階から支援者の態度に過敏に反応をしてしまう方が多くいます。例えば、サービス内容のポイントのみを説明したことから支援者に拒否されたと感じる方や、支援者に素直に相談したいと思っていても批判的な言葉を投げかける方等、表現の仕方は様々です。そのため表面的な態度や言葉だけでなく、本人の気持ちを汲み取ることが大切です。6職業センターを継続利用することになったため、相談の終わりに「職業相談票(図1)」に必要事項を記入してもらった。併せて、Aさんに「職歴や日常生活での困り感を記載する振り返りシート(図2)」の記載内容について、精神面を含めて負担がないかを確認したところ、一人でも負担なく記入できそうとのことであったため、次回の相談日までに記入の上で持参するよう依頼し、本日の相談を終了したPoint7  。同シート等の調査票を活用し、相談前に必要な情報を収集することでアセスメントを幅広く効率的に行うことができます。しかしながら、障害特性に触れる内容の場合は、本人の精神的負担(例えばフラッシュバック等)に繋がる可能性もあります。このため、本人の特徴や気持ちを踏まえた上での実施が望まれます。7事例1 地域障害者職業センター 発達障害13第2章 事例1

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