就業支援ハンドブック実践編
29/148

へ 生活歴及び職歴に係る聞き取り次に、職業相談票を基に生活歴及び職歴等についての聞き取りを行った。なお、生活歴や職歴等を聴取することは、働く力をある程度客観的に把握する目的があることを事前に説明した。またカウンセラーは、聞き取りに際して失敗体験だけでなく成功体験や楽しかったこと、興味を持っていたこと等を確認しPoint11  、Aさんの課題とセールスポイントの両面を把握した。職歴を聞き取る際は、失敗体験だけでなく成功体験を明確に把握することが、職種選びや就職への動機づけに役立ちます。特に複数の職歴がある方の場合は、やりがいを感じた職場や働きやすかった職場などを確認することが重要です。また、これらの把握はややもすると一方的な聴取になりがちですが、本人に合った働き方や職場環境をイメージするための振り返りとして実施することが自己理解を深める上でのポイントにもなります。11<学生時代の様子>○小中高校時学童期から運動が好きで、現在も気持ちに余裕がある時はジョギングを行っている。小中学校時は、比較的優等生でクラス長を務める等活発な面があった。しかしながら高校時は、勉強についていけなかったことや周囲に溶け込めなかったことから人間関係作りも消極的になり、悩むことがあった。○大学時一人暮らしを始めたが、家事などでは特段困ることはなかった。大学入学後は、高校時の状況を変えようと単位取得やサークル活動等に積極的に取り組んだが、やはり人間関係においては周囲に溶け込めない感覚があった。また、異性との交際もしていたが何かしっくりこなかった。大学2年生頃から徐々に塞ぎ込むようになり、最寄りの心療内科を受診。精神安定剤を服薬するようになった。なお、具体的な診断名についての記憶はない。この頃から大学には必要最低限しか登校しなくなり、友人関係はかなり限定的になった。卒業については、一人で旅行するなどしてリフレッシュを行い、何とか卒業した。心療内科への通院については、定期的には通院しないで時々精神安定剤を処方してもらっていた。しかし徐々に精神的なしんどさも減ってきたため、大学4年生頃から通院も服薬もしなくなった。・環境の変化に適応しにくい。・一度に複数の指示や多くの情報が入ると混乱する。・計算が苦手である。事例1 地域障害者職業センター 発達障害23第2章 事例1

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る