就業支援ハンドブック実践編
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<力ウンセラーがポイントとしてAさんと共有したこと>「人間関係上の大きなトラブルはなかったが、周囲に溶け込めないことに悩むことが多かったこと。」「気分転換の方法は、旅行などで環境を変えることだったこと。」「好奇心が強く活発なタイプであるが、エネルギー配分がやや苦手であるため、活動量の差が大きくなる場合があること。」「今はつらい思い出となっているが、普通にできていたことも多かったこと。」等○大学卒業後の状況就職活動はほとんど行わず、平成X+4年3月に大学を卒業。卒業後半年程度は、大学4年生から行っていた喫茶店(個人経営)でのアルバイトを続けた。なお、勤務条件は5時間勤務(16:00~21:00)で調理補助や接客を行っていた。アットホームな雰囲気で馴染みの客も多かったため、接客も楽しく行えていたが、同年9月に正社員の仕事が決まったため円満に辞職した。ちなみに大学1年~2年生の時に大手飲食店でアルバイトをした際は、レジ打ちのミスやオーダーの取り間違いがあるなど、自分の接客対応に不安になることが多々あって辞職した経緯がある。平成X+4年10月から平成X+5年8月まで、ビジネスホテルに正社員として勤務(9:00~17:00)。職務は主に庶務やフロント補助を行ったが、作業がなかなか覚えられない、同じミスを繰り返す、特定のスタッフとのコミュニケーションが苦手等があり、仕事が怖くなり辞職した。平成X+6年6月から平成X+8年3月まで営業所のパート事務職として勤務(9:00~17:30)。電話の取り次ぎやデータ入力等を行った。当初はゆとりを持って仕事が行えていたが、社員が相次いで辞職したことから仕事が増加。その結果、ミスや覚えられない仕事が多くなり辞職した。その頃、たまたまインターネットで発達障害のことを知り、自分に該当すると感じたことから現クリニックを受診。広汎性発達障害の診断に至った。これまでの職歴について、前向きに働けた職場について尋ねると事務と喫茶店を挙げた。理由は、両職場ともにアットホームであり自分を理解してもらえていたこと、仕事も少しずつ覚えることができたことを理由に挙げていた。<カウンセラーがポイントとしてAさんと共有したこと>「職種について、仕事としては事務が最も安定していたが接客の方が好きであること。」「職場適応について、周囲に自分のことを理解してもらうことで、安心して周囲とコミュニケーションが取れ、仕事にも取り組めること。また、時間に追われず一つひとつ作業を行える環境が大切であること。」「ストレス対処について、一人で溜め込んでしまったり回避的な方法になってしまう等、対処法のバリエーションが少なくかつ偏りがあること。」「体力面について、1日6時間以上の勤務もさほど負荷にならないと思われること。」事前に支援ツールの記載を依頼したこともあり、相談は比較的円滑に進んだがPoint12   、以上の相談に第2章 事例1 ワークサンプル幕張版(MWS)等を活用したアセスメントとプランニング24第2章 事例1

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