就業支援ハンドブック実践編
33/148

<器具検査>大まかな手腕動作を把握する器具検査では、戸惑うこともなく作業に取り組めており、回数を重ねるごとに作業量も向上した。指先の巧緻性を把握する器具検査では、手順が乱れや細かい部品を落とすことがあるなど、戸惑う様子がみられた。② GATBの実施結果の聞き取りGATBの実施結果について、Aさんから感想を聴取したPoint14  。紙筆検査について、Aさんがやりにくかったと話されたのは、「検査6:置き方をかえた図形を探し出す検査」「検査9:展開図で表された立方体を探し出す検査」等、図形を見比べてその形や陰影、線の太さや長さなどの細かい差異を弁別する能力等が求められる検査(形態知覚)や、平面図から立体形を想像したり考えたりする能力が求められる検査(空間判断力)であった。やり易かったと話されたのは、「検査8:同意語・反意語を見つけ出す検査」「検査10:文章を完成する検査」等、言語の意味およびそれに関連した概念を理解しそれを有効に使いこなす能力や、言語相互の関係および文章や句の意味を理解する能力が求められる検査(言語能力)であった。器具検査について、指先の巧緻性が求められる検査において手順の乱れや細かい部品を落とすなどのミスがあったことについて感想を聞くと、「手順の乱れには途中まで気付かず、後で気付いてさらに焦ってしまった。」とのことであった。また部品を落としたことについては、「早くやらないといけないと意識した結果焦ってしまった。」と話されていた。検査後に感想を聞き取ることは、本人の特性を把握しその後の検査バッテリーを組む際にも大変有用です。また、検査中の行動観察の際に感じた疑問や仮説を本人に確認できる機会であるとともに、感想によって交わされる会話を通じて、支援者は本人の課題や長所、自己評価等についてイメージを膨らませていきます。14③ 検査の終了と次回の予定次回はGATBの結果をフィードバックすることと、事務作業やOA作業等のワークサンプル幕張版を行うことを確認し、検査を終了したPoint15  。事例1 地域障害者職業センター 発達障害27第2章 事例1

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る