就業支援ハンドブック実践編
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② ワークサンプル幕張版(MWS)の実施<ワークサンプル幕張版の概要>ワークサンプル幕張版は、①事務作業(物品請求書の作成、作業日報の集計等の事務的作業)、②実務作業(プラグ・タップ組立・ピッキング等、必要に応じ移動等の動作も伴う組立・分解作業)、③パソコンを用いたOA作業(数値入力、文書入力等、パソコンを使用した事務作業)の3種類から構成されており、全体で13種類の課題があります。簡易版と訓練版に分かれており、作業の疑似体験や職業上の課題を把握するためのアセスメントツールとしてだけでなく、作業遂行力の向上や障害を補う補完手段の獲得のための支援ツールとしても活用が可能です。作業種の選定に当たっては、Aさんの仕事に対する希望やこれまでに職業評価で把握した状況を踏まえ、事務作業や店舗内での仕分け作業等を想定して選定した。実施に当たっては、カウンセラーはマニュアルに基づいた指示を出しつつも、Aさんの作業遂行状況を踏まえながら、指示の出し方、介入の仕方、作業結果のフィードバックの仕方を柔軟に検討し、行動観察の目的が果たせるよう心掛けたPoint17  。本事例では、Aさんとの相談で把握した希望やセールスポイント等を考慮した上で、ジョブマッチングを意識した検査バッテリーを選択しています。また、検査時の指示の出し方等も数種類のパターンを試行しながらアセスメントを行い、本人がより力を発揮できる指示の出し方等について検討しています。17ワークサンプル幕張版から選定した全ての作業を終え、これまでに実施した面接・調査、GATB、ワークサンプル幕張版の状況を踏まえて翌週に今後のプランニングについて相談することを伝え、アセスメントを終了したPoint18  。検査の多くは標準化されているため、本人の特徴を客観的に把握できるメリットがありますが、得られたデータのみによって、本人の特性を判断することはできません。検査の特徴や把握できる範囲や限界を事前に理解することはもちろん、検査中の行動観察、検査後の感想などの聞き取り、他の検査で得られた情報を踏まえ、総合的に本人の特性を推察することが必要です。18アセスメント終了後、作業時間や正答率等のデータ、行動観察から得た情報、さらにAさんの感想も踏まえて、ワークサンプル幕張版フィードバック用資料(図10)をとりまとめた。第2章 事例1 ワークサンプル幕張版(MWS)等を活用したアセスメントとプランニング30第2章 事例1

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