就業支援ハンドブック実践編
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たため時間がかかった。」旨の感想もあったため、間違いなく正確に作業を進めることが大切であることを伝えながら評価し、作業スピードの向上はその後の目標になることを伝えた。指示書については、「物品請求書の作成よりも手順が明確で分かりやすい。」「一つひとつチェックしながら行えたので、迷わなかった。」等と話していた。しかしながら、「最初は指示書を見ても、何をどこからやるのかイメージができずに不安があった。」等の感想もあった。ニ 文書入力(OA作業)(選定理由)パソコンの基本操作スキルや文章の入力スピード、入力の正確性等を把握するために選定した。(作業内容)数値入力と同様、パソコン画面に表示された文章について、その画面下の空欄に一言一句同様の文章を入力する課題。5段階のレベルで計10種類の文章を入力する。文書入力画面(実施状況)数値入力と同様に指示書を活用するよう口頭指示を行った。正答率は、10課題を実施し10課題とも正答であった。なおタイピングスピードは比較的早く、読めない漢字は手書き入力で調べて入力するなど、基本的なパソコン操作は習得していた。また、作業遂行については戸惑う様子もなかった。(Aさんの感想)全問正解であったことと、基本的なパソコン操作は習得できていることをAさんに伝達した。さらに、これまでのワークサンプル幕張版やGATBの実施状況を踏まえ、カウンセラーは、注意を向ける対象がはっきりしていればミスなく遂行することが可能であり、書類のチェックや文書の入力などは向いていると思われることを、この段階でAさんにフィードバックした。Aさんは、「思ったよりもいい結果が出て良かった。自分にもできる作業だと思った。」と話された。また次の課題である検索修正については、注意を向けるべき対象をAさん自身で探す必要があるため、見落としのミスが生じやすいことを事前に伝達した。なお事前に伝えた意図は、漠然とした作業のポイントをAさんが予め意識した際、どのような対処をするのかを把握することが目的である。事例1 地域障害者職業センター 発達障害35第2章事例1

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