就業支援ハンドブック実践編
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アセスメントの総合的な結果実施検査等評価結果身体的側面面接等から【身体機能及び基礎体力】これまでの職歴や生活歴の聞き取りからは、身体機能や基礎体力に特別な問題はみられない。精神的側面面接及びチェック表から【ストレスの予防・対処】過去のエピソードからは、一時的に頑張り過ぎて逆にストレスになってしまったり、困難場面における対処が、問題解決ではなく逃避に向かう傾向があるなど、ストレスに対する予防や対処が苦手な傾向がある。特に対人関係面のストレスに対する脆弱性は顕著。「予定と違うことが起きる」「自分の思いと違うことが起きる」「注意されるような口調で話される」等の場面においては、本人は強く落ち込むと話している。暖かい言葉かけや肯定的なメッセージを受けるなど、周囲に受入れられていると実感できることが精神的な安定に繋がるようである。【知的能力、情報の捉え方・表出方法等】医療機関でのWAIS-Ⅲ等に係る本人のエピソードや、GATBの検査結果から、全般的な知的能力は標準域にあるものの、それぞれの検査で検出された能力はアンバランスさが窺える。日常生活上の言語理解は問題ないものの、段取りを組み立てる力に課題があるため、指示に対して自分の言葉に置き換え咀嚼する時間が必要である。また、図や表から実際の配置をイメージする空間把握能力、目的や意図を踏まえ全体像をイメージすることが若干苦手なように思料される。本人とのコミュニケーションの際には、全体の目的や意図、手順等の進め方を円滑にイメージできるよう、図や絵を用いて説明することが有用である。支援者と一つひとつ整理しながら相談すれば、ある程度客観的かつ現実的な判断が行える。職場においても、本人の良き理解者がいれば、安定して勤務できると思われる。社会的側面面接等から【コミュニケーション】基本的なマナーは身についており、言葉遣いの良さからも、採用面接や接客における定型的な対応等はセールスポイントとして評価される。一方で発言内容を整理して伝える必要がある場合は、考えをまとめるのに時間を要するため、本人の考えを聞く場合には、焦らせることなく時間をかけて聞き取る等の配慮が必要である。第2章 事例1 ワークサンプル幕張版(MWS)等を活用したアセスメントとプランニング38第2章 事例1

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