就業支援ハンドブック実践編
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※対人技能講座社会生活技能訓練(SST)の手法を援用した技法。発達障害者の障害特性を踏まえた演習等を通じて、上司や同僚に職場でうまく意思を伝えるためのコミュニケーション技法や対人場面での基本的な態度を体得する。※リラクゼーション技能講座ストレッチ等の体操、漸進的筋弛緩法、呼吸法等の演習を通じて、不安や混乱が生じた時に、心身の過緊張状態を軽減するための技法を体得する。※問題解決技能講座カウンセリングや演習等を通じて、日常生活及び職業生活において問題となる行動等について、自らがその状況や原因を理解し、適切に対処するための技能を体得する。○体験利用前の面談Aさんと面談を行い、職業準備支援体験プログラムの説明を行った。その際、体験プログラムの設定理由と目的について改めて説明をしたところ、Aさんも「ぜひ確認したいポイントです。」と了承し、体験プログラムの利用を開始した。<アセスメントのポイント>[模擬的就労場面での作業]これまでの職歴では「勘違い」や「早合点」が多く、注意障害の影響が懸念された。そのため、ミスの傾向を把握することを主眼とし、ピッキングや物品請求書作成等、場所の移動が伴う作業や複数の物品・書類に対して注意の集中・移動・配分が求められる作業種を設定した。また、集団場面における集中力や持続力、疲労度、他者とのコミュニケーション状況を確認するために、特にピッキング作業等は集団でのグループ作業とした。[講座]コミュニケーションスキルに係る把握とAさん自身の気づきを深めるため、「対人技能」の講座は実施頻度を多くし、3回とした。また、ストレス対処の特徴を把握するために「リラクゼーション技能」及び「問題解決技能」の講座を1回ずつ設定し、可能な範囲で職場で困っている場面等を想像しながら参加するよう助言した。(2) 職業準備支援体験プログラムの実施状況【第1週目】○ピッキング作業当該職業センター独自のピッキング作業であり、他の利用者5~7名と同じ場所で作業を行う。Aさんについては、問題なく作業遂行できることが予想されたため、例えば、ある指定の品物はピッキング後にゴムで束ねる等、新たに詳細なルールを追加した上で実施してもらうこととした。なお、この作業で発生するコミュニケーションは検品担当者への報告等があり、作業時間は概ね1時間半程度である。ここでのアセスメントのポイントは、作業手順の理解力、複数の作業対象物に対する注意配分力、移動を伴いながらの照合作業の遂行力、定型的な報告スキルの能力とした。また、様々な種類のピッ第2章 (参考事例) グループワーク、模擬的就労場面の活用等によるアセスメントとプランニング52第2章 事例1

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