就業支援ハンドブック実践編
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(1) 体験状況等について3週間の職業準備支援の体験利用等、大変お疲れ樣でした。今回のアセスメントの目的であった、①ストレスに感じる場面の特徴とその対処、②作業をより円滑に行うため、注意を作業に向ける際の対処方法の2点について、アセスメントの状況は下記の通りです。① 心理検査及び体験利用から、Aさんには下記の特徴がありますが、解決に向けたご自身の理解が進みつつある状況です。今後はさらに自分に合う対処方法の検討が必要であり、職業準備支援(発達障害者就労支援カリキュラム)の利用をお勧めします。・ コミュニケーションでは、相手の気持ちを窺い過ぎて自分の気持ちを抑えて溜め込む特徴があり、これがストレスの主な要因となっています。・ 対人技能、問題解決技能、リラクゼーション技能の体験利用の結果、異なる指示を受けた場合や相手の気持ちが気になる場合などは、「ひとまず」で括弧にくくり、自分ができる作業のみに集中するなど、「一つのことに集中するための気持ちの切り替え」を重視しようという考え方に移行しつつあります。・ さらにその気持ちの切り替えに加え、対人技能において具体的なコミュニケーションスキルを、問題解決技能において問題解決に向けた方法や気持ちの切り替え方の具体的な方法を、リラクゼーション技能において、職場のみならず自宅でできるストレス対処方法を身につけることが適当と考えられます。② 作業上の注意に関する特徴については、文字や記号の照合等、事務作業では一部戸惑う状況があったものの、ピッキング等実務的な作業では大きな課題はありませんでした。しかしながら、課題の詳細についてまだ把握できていない可能性もあり、さらに職場のエピソードを聴取させていただくとともに、職業準備支援における作業支援により確認・検討することが必要と思われます。以上について、Aさんや発達支援センター担当者等から意見を求めたところ、「より詳細な状況を把握できたことが何より安心に繋がった。」等のコメントを得た。さらに下記の支援計画について詳細を提示した。(2) 支援計画の詳細について○Aさんの具体的目標① 不注意による抜けやミスを予防する方法を習得する② 自分の気持ちを相手に適切に伝える方法を習得する③  ストレスを感じやすい場面と感じた際の心身の反応を整理し、その上でストレスを予防・軽減するための方法を習得する○支援内容<職業センター>職業準備支援における講座の実施や定期的な個別面談を通じて、上記目標達成を支援するとともに、必要に応じ転職に係る相談についても適宜応じます。<発達支援センター>必要に応じてAさんの特性整理等における協力をお願いします。また、生活面での相談をお願いします。<ハローワーク>Aさんに対する職業相談、職業紹介をお願いします。一般求人、障害者求人を問わず、希望条件に合う求人が出た際は、Aさんへの情報提供をお願いします。(参考事例) 地域障害者職業センター 発達障害57第2章 事例1

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