就業支援ハンドブック実践編
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(2) 行動観察実習(利用決定に向けたアセスメント実習)~初回のアセスメントとプランニング~① 5点の情報収集を行う家族面談実習初日にAさんの状態像を把握するため、家族面談を実施しているPoint2  。面談内容は下記5つのカテゴリーに分けて、聞き取りを行っている。この5つのカテゴリーにより、本人の現況や生育環境等これまでの経緯を確認するとともに、実習を行う際にもこの5つのカテゴリーを参考に支援等を行っている。【Aさんの家族面談で得られた情報】 ※一部抜粋1 これまでの状況(学校での様子、希望理由等)学校での様子については、休むことは殆どなく、よく話し、歌ったり、踊ったりと陽気な性格で、普段から元気に楽しく過ごしている。一方、面接時等では緊張が強く、言葉が出なくなる場面がある。当施設を希望した理由は、以前見学した際の印象が良く、将来は当施設に通わせたいと考えていた。2 職歴、実習歴(採用経緯、離職経験、実習経験等)卒業後の進路としては、就業は考えていなかったため、企業実習を行ったことがない。3 学歴(学校での状況)(得意科目、友人関係等)簡単な足し算は可。アナログ時計は読める。識字力は小学低学年程度。人間関係は、慣れた人であれば積極的に話をするが、初めての人だと緊張が強い。4 生活面(家族構成、余暇の過ごし方、趣味、得手・不得手、家庭状況)両親、弟との4人家族。休日は父親と外出することが多い。ピアノやプールに通っている。趣味はアニメ。走ることが苦手である等、運動は全般的に嫌いである。5 健康上の留意点(病歴、服薬管理等)服薬はなく、健康上特段必要な配慮はない。野菜が苦手で肉が大好物である等、やや偏食の傾向がある。この時点では、「実習」が安心して行えることが目的であるため、受入れる際の配慮点など細かな情報を一度に聞き取るのではなく、必要最低限の情報に限定して収集するに留め、本人が普段の状態で実習に臨める環境づくりを優先しています。また、家族との関係性を築く最初の過程でもあるため、施設実習の進め方や連携方法等について丁寧に説明し、確認しています。2② 行動観察実習、本人の面談・テスト実習初日は、オリエンテーションにより、実習時のスケジュールやルール等の説明をAさん・家族に対して行った。実習のスケジュールは一人1週間(5日間)であり、作業実習4日(印刷班・クリーニング班で各2日ずつ)と面談・テスト1日になる。この実習でのアセスメント結果が、後述する「(3)利用調整会議」の参考資料となる。両作業班では、作業能力(指示理解、正確性、スピード、判別力、体力)と作業態度(質問・報告、情緒事例2 就労移行支援事業所 重度知的障害61第2章 事例2

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