就業支援ハンドブック実践編
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図3 入所から就労までの支援プロセスの流れ(2) 利用開始に係るプランニング(個別支援計画とフェースシートの作成) ~「施設で得られる工賃への興味」→「給料への興味」へ繋げるプランニング~入所後1か月以内に、フェースシートと個別支援計画(初期版)の作成を行う。フェースシートは、担当支援員がAさんと面談し、基礎情報の聞き取りを行う。同時に現状の様子や施設・就業への希望などを聞き取り、個別支援計画を作成している。Aさんとの面談では、就業イメージの具体性には欠けるものの、お金(施設で得られる工賃)への興味があることがわかった。後にこの工賃への意識が「就職=給料」へと変化し、就業意欲の向上につながっていくこととなる。(3) 入所後3か月間の観察状況入所後1か月間は、作業中に体調不良や疲れの訴えが頻繁に見られた。午後は仕事をしたくない、職員によって態度が変わるなど、気分のムラも見られた。学校生活から作業中心の施設生活に変わり、身体・精神的にも作業に適応できない状況が続いた。2か月目から、徐々に緊張もほぐれたためか、少しずつ気持ちも作業に向くようになり、「○○の作業がやりたい」などの意欲的な発言が見られるようになった。ただ、気分によっては作業を拒否し、注意すると“発言や行動が固まる”等の態度の特徴が見られるようになった。(4) 第1回個別目標・支援プログラム会議の実施 ~共通の評価基準に基づく支援検討~Aさんの参加のもと、第1回会議では、入所月から3か月間のアセスメントを行い、それにより次回会議の4か月間のプランニングを行った。初回会議はAさんとのラポール等を形成するためにも重要であるが、緊張感が強く、Aさんは言葉をほとんど発しなかった。第2章 事例2 施設内作業、職場実習等におけるアセスメントとプランニング64第2章事例2

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