就業支援ハンドブック実践編
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長期目標と短期目標との連動を検討することは重要です。当施設では長期目標は「就職」と「生活」の2点に分けて設定しています。支援者から見て、本人の最初の目標設定は現実的でないことが多くありますが、例え現実的でないとしても、本人が描く長期目標を達成するために、どう具体的な短期目標を立案するかが重要であり、支援者によるアセスメント結果を基にした工夫が必要となります。基本的には、本人の希望に添いつつも、Aさんであれば、率直な希望から分かることは、“お金を得て生計を立てていく”就業に対する現実的な意識が希薄であることが見て取れ、支援者としては今後支援すべき重要な課題として、初期のアセスメント段階で捉えておくべきことと考えられます。このためにも、重要な課題、いわば目標達成に時間を要する課題を1つと、短期に達成可能な課題を1~2つ選定するステップは非常に大切となります。3以上の評価や話合いを踏まえ、4か月後の次回会議までのAさんの日々の目標設定に当たっては、Aさんの理解力や現況を考慮しつつ、はじめから全ての課題を目標にするのではなく重要な課題を1つ、そしてAさんが達成できそうな課題を1~2つと、難易度を分け、下記の通り設定したPoint4  。目標設定にあたっては、達成が難しい課題ばかりでは意欲向上に繋がらないため、目標の表現についても、本人から見てプラスの意識が働くような設定を心掛けます。また、重度の知的障害者の場合、本人の自主的な目標設定を促すために、支援者がある程度選択肢を挙げた上で選択してもらうことも支援者が配慮する重要なポイントです。4特に作業では、①終日を通じて作業ができるようにする、②たたみ作業を覚える、③作業以外でも丁寧な言葉遣いで話す、以上の3点を目標とした。第2章 事例2 施設内作業、職場実習等におけるアセスメントとプランニング66第2章 事例2

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