就業支援ハンドブック実践編
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支援経過1 相談受付精神科病院デイケア(以下「DC」という。)のソーシャルワーカー(以下「PSW」という。)より電話があり、現在、DCを利用されているAさんの就労移行支援事業所(以下「B事業所」という。)利用についての相談があった。そこで、B事業所の職員(以下「職員」という。)がPSWに主に4点の聞き取りをしたところPoint1  、① DC通所を開始して1年が経過、現在では週4日休みなく通所ができている。② 一般就労の経験はあるが、対人関係がうまくいかず退職している。③ 就労意欲は高いが、5年間のブランクに不安を感じている。④ PSWもDCから直接就職することに不安を感じている。とのこと。まずは施設見学をしてもらうこととし、見学日にはPSWの同行を依頼したPoint2  。関係支援機関を通じて相談があった場合、受付の際、以下に留意して聞き取りを行う必要があります。① 現在の状況(病状または生活リズムは安定しているか?)② 今までの職歴(働いた経験はあるのか?あればなぜ辞めたのか?)③ 施設利用の動機(利用動機が本人にあるのか?)④ 支援者から見た本人の様子はどうなのか?1見学では多面的に情報を得ることと、紹介者にもサービス内容を直に知ってもらうことを目的に、紹介者に同行をお願いしています。22 施設見学相談受付をしてから数日後、Aさんが施設見学に来所された。職員は最初に面談を行い、「見学用面接シート(図1)」の記入を依頼し、それに基づきAさんの現在の状況を聞き取ったPoint3  。Aさんからは、「6年前から病院に通院しており、医師からは統合失調症と診断を受けている」「5年前に1回だけ入院した経験がある」「DCは主治医の勧めで2年前より通い始めた」「現在は休みなく通えている」「就職したい気持ちは強いが、以前の職場(給食センター)を対人関係のトラブルで辞めたため、また同じ事を繰り返してしまうのではないか不安がある」等の話があった。本人は初めて施設見学をするため、利用するか否かはまだ決定していません。したがって、事細かな聞き取りは行いませんが、最低限の情報として、現在の生活状況、病気の安定度、就職する上での課題や意向等を収集します。そして、事前に関係者から聞き取った情報と併せ、本人の現状がイメージできるようにしていきます。3事例3 就労移行支援事業所 精神障害75第2章 事例3

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