就業支援ハンドブック実践編
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(1) 事前面接で確認したこと【利用動機】仕事をしたことはあるが、経験が少ないので様々な仕事を体験してみたい。【目標】目標は、①対人関係の練習をする、②仕事をする体力があるのか試してみる、③休まないで3日間通うの3点。【配慮事項】強く指示されることが苦手なので、そのような指示の仕方は避けて欲しい。【PSWの意向】現在は病状も安定して問題なく過ごせているが、そこに仕事が加わった時、どの様な生活になるのかを考えるきっかけにして欲しい。(2) 3日間の体験利用で把握したこと体験期間中は、全体的に緊張は高いものの目標通り休むことなく通所し、無事体験利用は終了となった。対人関係面については、作業が媒介となるトレーニング中より、何も媒介がなくなる昼休みに緊張が高くなった。一人で新聞を読んだり、書き物をしたりとどうにか時間を過ごした。(3) 振り返り面接で共有したこと後日、体験利用の振り返りを行い、Aさんから「無事に3日間通えたことはうれしかった。」「B事業所を正式利用したい。」という希望が出された。職員からAさんに体験利用中に感じたこと等を聞き取ると、「思ったより体力がないことに気づいた。」や「久しぶりの厨房作業に戸惑った。」「知らない人ばかりだったので緊張した。」など、作業面や対人関係面で新たな気づきがあった事も話された。また、PSWから「仕事が加わった時の生活は、今までの生活と何か変化があったか?」という問いかけに対しては、「ご飯を食べてお風呂に入るのが精一杯で、すぐに寝てしまった。」との返答もあった。今回出てきた様々な気づきに関しては、事業所の正式利用時の目標検討に活かしていくことを、Aさん・PSW・職員の3者で共有したPoint5  。正式利用後のトレーニングにおいて、本人のモチベーションや意欲の維持は非常に重要になるため、B事業所における体験利用では、「自分はB事業所でやっていけるのか?」を本人自身が実感し、見極める期間として位置付けています。したがって、困った際のフォローは行いつつも、支援者からの介入や行動観察等は少なくし、本人の気づきを重要視しています。5第2章 事例3 体験利用プログラム、医療機関からの情報収集等によるアセスメントとプランニング78第2章 事例3

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