就業支援ハンドブック実践編
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支援経過1 利用の経緯(相談支援事業所からの連絡)相談支援事業所支援員から就労移行支援事業所(以下「当施設」という。)へ連絡があり、高次脳機能障害者として現在リハビリテーション施設にて生活訓練を受けているAさんが近々退所となるため、今後の支援について相談したいとのことであった。<電話での聴取事項>これまで3社、27年間にわたり営業職で勤務してきたが、倒産を機に牧場作業員として新たな仕事を開始。その1か月後、牧場での勤務中に脳出血を発症。外科的手術は行わず保存的治療を受けた。1か月後に回復期リハビリテーション病院へ転院。さらに3か月後に転院し、現在は高次脳機能障害支援拠点機関であるリハビリテーション施設に7か月間入所し、生活支援と就労支援訓練を受けているとのことであった。近々退所予定であるが、就業を目指しているため就労移行支援事業の利用を希望しており、見学を兼ねて当施設に来所し、初回面談を受けたいとのことであった。2 初回面談と体験利用によるアセスメント(1) 初回面談及び施設見学の状況Aさんは、家族と当施設へ来所した。施設概要の説明と見学をパンフレットに基づき行いPoint1  、アセスメントシートによる聞き取りを2時間程度、当施設就労支援員(高次脳機能障害支援拠点施設コーディネーター)が行ったPoint2  。口頭だけでなく、文字や写真が入ったリーフレットも提示するなど、具体的にサービス内容を説明することで本人の理解をサポートするのもポイントです。1高次脳機能障害者に対しては、聞き取りの際、単に話された内容を収集するだけでなく、本人がどのような言葉かけに対して理解しやすいかも観察することが重要です。なお、ケース会議や就職面接会、職場実習の打ち合わせ等、支援者や企業等の立場が異なる複数の者がいる場面では、自分の氏名や立場を本人に分かりやすく伝える必要があります。相貌失認や記憶の障害が有る場合には特に留意が必要であり、場合によっては写真と文字を用いたカードを渡す等の配慮を行う必要もあります。2その時点のAさんと家族の状況は下記の通りであるPoint3  。<Aさん・家族の状況等>○Aさんの状況・ 早口で滑舌が悪く聞き取りづらい。ゆっくり話すよう促すと、そうしようとはするものの、失語症事例4 就労移行支援事業所 高次脳機能障害89第2章 事例4

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