障害者雇用支援マニュアル@ 聴覚障害者の雇用支援マニュアル 〜 きこえない・きこえにくい人が働きやすい職場に〜 独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構(JEED) はじめに(発刊にあたり)  当機構では、障害者の雇用及び職場定着を推進することを目的に、様々な資料などを作成・提供しています。  これまで「障害者職域拡大マニュアル」や「障害者雇用マニュアルコミック版」を、障害別の雇用管理に資するマニュアルシリーズとして刊行していましたが、今般、1冊で事業主の理解が進むよう、これらのマニュアルを統合した新たなシリーズとして「障害者雇用支援マニュアル」を刊行することとしました。  近年、障害者の雇用を取り巻く状況は変化しており、「障害者の雇用の促進等に関する法律」を中心とした障害者にかかわる雇用・福祉関係の法令の数次にわたる改正により、事業主に対し、雇用する労働者への合理的配慮の提供や職業能力の開発・向上に向けた措置を行うことの義務化などが進められてきました。こうした動きとも相まって、事業主の障害者雇用に対する意識の高まりや、障害者の就労意欲の向上により、障害者の雇用が進展するとともに、その質の向上に向けた取組も進んできたところです。また、昨今、働き方改革やコロナ禍にも対応したテレワークの普及など、働き方そのものにも変化が生じており、雇用管理についても様変わりを続けています。加えて、就労支援機器などの活用も浸透してきており、最新のテクノロジーを活用した研究・開発が一層盛んに進められています。  こうした現下の情勢を踏まえ、「聴覚障害者の雇用支援マニュアル〜きこえない・きこえにくい人が働きやすい職場に〜」(以下「本マニュアル」といいます。)を発刊することとしました。発刊にあたっては、動画版の手話をコンテンツとして盛り込むなど、事業主の利用ニーズに、より即したものとなるよう作成しました。  本マニュアルが、多くの企業などで活用され、聴覚障害についての理解が深まり、きこえない・きこえにくい人の働きやすい職場づくりに役立つものとなれば幸いです。  本マニュアルの作成にあたり、ご協力いただいた皆様に改めて厚く感謝申し上げます。 令和7年3月 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 障害者雇用支援マニュアル? 聴覚障害者の雇用支援マニュアル 〜きこえない・きこえにくい人が働きやすい職場に〜 目 次 【イントロダクション】 ― 6 主な登場人物 ― 8 第1章 「きこえない・きこえにくい」とは 9 1「きこえない・きこえにくい」とは ― 12 (1)聴覚の仕組み (2)聴覚障害とは (3)聴覚障害の種類と特徴、補聴器・人工内耳 2 聴覚障害の範囲、等級、程度 ― 18 (1)法律上の定義など (2)聴力の程度 3 一人ひとりに応じて理解する ― 20 (1)個々人に応じて理解 (2)各人のライフヒストリーや価値観などを理解し、配慮する (3)ろう者の文化と手話言語 4 「きこえない・きこえにくいこと」と「バリア」 ― 22 (1)きこえない・きこえにくいことで生ずる「バリア」 (2)就労場面での「バリア」の解消 第2章 きこえない・きこえにくい人とのコミュニケーション 25 1 コミュニケーションを図るための基本事項 ― 26 (1)本人の望む方法を確認 (2)コミュニケーションにおける留意事項 2 コミュニケーションの方法(口話・筆談・手話) ― 28 (1)口話 ?正しく伝わったかを確認することが必要。明瞭、簡潔な表現で身ぶり手ぶりを交えて理解しやすく? (2)筆談 ?書くのはひと手間でも、正確に伝わりやすい方法? (3)手話 〜職場での活用は信頼関係や親密感を深めます 第3章 情報保障と就労 39 1 情報保障の基本的な考え方 ― 40 2 情報保障の方法・手段 ― 41 (1)要約筆記 (2)手話通訳 (3)情報機器・ソフト (4)その他 第4章 採用・配置、受入れ態勢 49 1 採用面接時の配慮 ― 50 2 職場配置の配慮・受入れ態勢 ― 53 3 職場のルールとマナー ― 55 4 一人ひとりに応じた作業指導・訓練 ― 61 第5章 定着支援、スキルアップとキャリアアップ 65 1 職場でのコミュニケーション ― 66 (1)相互の確認不足の事例 (2)情報提供が不足している職場環境の事例 (3)相互の理解不足の事例 2 職場定着を図るために ― 78 (1)個人面談 (2)職場定着のための組織的な対応 3 スキルアップとキャリアアップ ― 95 (1)研修における情報保障 (2)会議における情報保障 (3)モチベーション向上のための工夫 第6章 安全・安心な職場づくりを目指して 107 労働安全衛生対策の推進 (1)安全衛生教育と体制整備 (2)環境整備 (3)災害発生時などの所内体制 (4)事前の準備と訓練の実施など (5)BCP(事業継続計画)の策定について 第7章 職場の手話 111 1 目で見る言葉 ―それが手話です ― 112 2 職場の手話(動画編) ― 113 【資料編】 125 1 助成制度概要 2 関係機関・団体 (1)相談支援施設(手話通訳・要約筆記者の派遣など) (2)就労支援機関 (3)当事者団体など (4)手話通訳・要約筆記関係 (5)その他 3 障害者雇用に役立つ資料など マニュアル、好事例集など、障害者雇用事例リファレンスサービス、 DVDの貸出、就労支援機器の貸出 4 引用文献・参考資料 ご利用にあたり ? 構成について  「はじめに」で説明したように、本マニュアルは「職域拡大マニュアル」と「コミック版マニュアル」を統合し、改編したものです。そのため、基本的な構成として、項目ごとにコミックでエピソードなどを紹介し、次に解説を行っています。ただし「第5章 定着支援、スキルアップとキャリアアップ」では冒頭に解説を配置しています。また、「第3章 情報保障と就労」と「第6章 安全・安心な職場づくりを目指して」は解説のみとしています。  なお、文中で「事例」とあるのは、内容に関連した企業の取組事例です。事例の内容は、本マニュアルの作成にあたり企業や障害のある社員に取材したものと、JEEDのほかの出版物を出典としたものです。 ? 障害などの表記について  本マニュアルでは、次のような用語の用い方を原則とします。法令用語や学術用語、資料からの引用などとして用いる場合、聴覚障害のある方を「聴覚障害者」と表記します。それ以外の場合は、全く聞こえない方は「きこえない人」、難聴のある方は「きこえにくい人」と表記し、聴覚障害のない人は「きこえる人」と表記します。聴覚障害のある方を総称して「きこえない・きこえにくい人」と表記する場合もあります。 ? ホームページ上での掲載について  本マニュアルはJEEDのホームページに掲載しています。ホームページ版では本文中に関連するサイトへのリンクを設定しています。また、125ページの【資料編】などでも関連サイトへのリンクを設定していますのでご利用ください。  また、「第7章 職場の手話」は動画でご覧いただけます。 イントロダクション 拡大する雇用とコミュニケーションの重要性 拡大する雇用と職域  障害者の就労意欲の高まり、企業の障害者雇用への積極的な取組、障害者雇用促進施策の拡充、就労支援機器やICT(情報通信技術)の進展などにより、雇用される障害者数は増え、その職域も拡がっています。また、近年では、在宅勤務や短時間勤務など、多様な働き方も拡がりつつあります。きこえない・きこえにくい人についても、就業している業種や職域が拡大するとともに、働き方も多様化しています。  障害者が職場に定着し、スキルアップ・キャリアアップを実現していくためには、雇用する企業が障害特性を理解し、本人の意欲や能力が発揮できるよう、必要な配慮を提供することが不可欠です。特に、「情報障害」ともいわれる聴覚障害の場合には、職場でのコミュニケーションの確保や情報保障が重要です。 職業能力を左右する 職場のコミュニケーション  きこえない・きこえにくい人を雇用している企業の方から、就労支援機関に「きこえない・きこえにくい人の職業能力は、ほかの社員と変わらないが、コミュニケーションにすれ違いが起こるなど、人間関係でうまくいかないことがあり、悩んでいる」といった相談があります。   日々の現場や教育訓練の場面などで、周囲の障害への理解や対応に不足があったことによるものかもしれません。すれ違い自体はささいなことかもしれませんが、積み重なると深刻な事態へと発展する可能性があります。   一方で、きこえない・きこえにくい社員と、きこえる社員が手話などを通して自然にコミュニケーションがとれている企業では、きこえない・きこえにくい社員が能力を発揮するとともに、良好な人間関係を築き、長期的に勤務している場合が少なくありません。こうした企業では、分かりやすい作業手順書の作成など、業務遂行に必要な情報の的確な伝達や円滑なコミュニケーションに関する工夫、手話習得などの上司や同僚の努力、配属前からの環境整備など、きめ細かい配慮と支援が行われています。 コミュニケーションや人間関係における課題の解決のためには、雇用主や障害者雇用の担当者、職場の作業指示者(上司を含む)や同僚が聴覚障害について正しく理解することが前提となります。受入れ時のチェックポイントの確認、職場環境の整備など、雇用管理面での対応が適切であれば、きこえない・きこえにくい人の職場定着につながるだけでなく、職場全体のモチベーションが上がることが示されています。きこえない・きこえにくい人をはじめ、障害のある社員が働きやすい職場は、全ての社員にとっても働きやすい職場でもあります。  「きこえない・きこえにくい人だから、コミュニケーションが難しいのではないか」、「抽象的な概念が理解しにくいのではないか」などと画一的に考えることは適切ではありません。障害者雇用では、一人ひとりの障害特性や適性・能力などが異なることを理解して対応することが基本です。 合理的配慮の 提供義務について  雇用の分野における合理的配慮については、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下「障害者雇用促進法」という。)の平成25年の改正により規定(導入)されたものです。これにより、事業主には過重な負担とならない範囲で、障害者からの申し出により、合理的配慮を提供する義務があります。実際の提供に当たっては、事業主と障害者が「対話」を行い、配慮の内容を決めていきます。  厚生労働省の「障害者差別禁止・合理的配慮指針」では、聴覚・言語障害に係る採用後の配慮事例として、業務指示・連絡に際し、筆談やメールなどを利用することや、危険個所や危険の発生を視覚で確認できるようにすることなどが挙げられています。  合理的配慮の詳細については、厚生労働省のホームページに掲載されている同指針や事例集をご覧ください。 厚生労働省 雇用の分野における障害者への差別禁止・合理的配慮の提供義務 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html Check きこえない・きこえにくい人の「職業」を考える  長い間、きこえない・きこえにくい人は木工、機械、印刷、理容、縫製などの職種で多く働いていました。こうした職種がきこえない・きこえにくい人の適性に合っていたということではなく、他者とのコミュニケーションをそれほど必要とせず、技術習得や職務を遂行しやすい職種と捉えられた結果と考えられます。逆に、コミュニケーションなどの配慮があれば、聴覚障害により遂行が不可能な職種はほとんどないといえます。現に、近年は事務系職種での就労を希望する人が増えており、実際にそうした分野で活躍している人も増えています。きこえない・きこえにくい人の職種や就業分野を幅広く考えることがますます重要になってきています。その際には、以下のことを考慮してください。 ? 身体面での特徴  身体運動機能や体力についての課題はほとんどないと考えられます。健康面も同様で、就労上の問題になることは基本的にないといえます。  作業現場における危険を知らせるパトランプの設置や非常時の退避手段の確保などを除けば、特別な設備改善などは、必ずしも必要としません。 ? 作業面での特徴  作業面でも、聴覚障害に起因して遂行できないものは、ほとんどありません。しかし、幼い頃から手話を日常的なコミュニケーション手段(言語)としている人の中には、音声言語としての日本語の読み書きなどを苦手とする場合があります。このため、本人の実際の職業能力よりも過小評価されてしまうことがあります。作業手順の理解や状況判断などの能力は高いにもかかわらず、採用時の筆記試験や口頭での面接試験では十分に評価されなかったり、採用後もコミュニケーション場面や文章作成場面などの印象から過小評価されてしまったり、本来の力が見落とされることにつながります。そうしたことが生じないためには、実際の作業を通じて評価する、コミュニケーションの方法(手話など)を確保するなどの工夫が必要です。  基本的には作業手順の理解力や作業遂行面での課題はほとんどないと考えられますが、本来の力を発揮するためには、共同で作業を進める場合の進捗状況の確認・報告の方法を、お互いの了解のもとで決めておくなどの工夫も必要です。 ? 行動面での特徴  きこえる人が、社会生活などにおいて自然に耳から得ている情報は少なくありません。しかし、先天的、あるいは幼い頃からきこえない・きこえにくい人の場合には、受けてきた教育や経験した場面が限定的であることなどから、社会生活の知識やマナーに関する情報が不足していることがあります。そのため、きこえる人の文化への適合が難しく、周囲から常識がないとみられてしまうことがあります。  そうした場合には、上司が本人に、なぜそのような行為を行ったのかを確認し、それが周囲からどのように理解されるのか、解決法は何かなど、時間をかけて相談することが必要な場合があります。また、周囲に対する働きかけ(障害特性の理解促進のための情報提供など)も重要です。 (参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構編『令和6年版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト』) 主な登場人物 森 和歌子さん(45歳) ハローワークの担当職員。障害者1人ひとり、また個々の事業所の実情に則し、日々、障害者雇用支援のための相談や支援に当たっている。ときに厳しいアドバイスもするが、温かくきめ細かな支援で、働く障害者と障害者雇用に取り組む事業所を見守り続けている。 海野大介さん(33歳) 中堅商社・ジード商事の企画調査部に勤務。勤続11年。現在は、商品企画に関する調査や企画書の作成を担当しているが、いつかは自分自身で企画を手がけたいという夢をもつ。同期入社の山本直樹さんとはよきライバル。 生後まもなく失聴(障害等級2級) 望月翔太さん(19歳) 特別支援学校(ろう学校)高等部卒業後、障害者職業能力開発校で1年間の電子機器の訓練を受け、電気・電子機器部品の製造を行っているジード電気に入社した社会人1年生。聴覚障害者の雇用は初めてのジード電気で、夏目部長以下の指導のもと次第に成長していく。 生後まもなく失聴(障害等級2級) 木村美雪さん(40歳) 食品会社・ジード食品の総務部人事課に転職してまもない。成人してから徐々に聴力を失った中途失聴で、発音が明瞭なため、実際よりもよく聞こえていると勘違いされやすい。そんな自分の状況をうまく伝えられずに前職を離職しており、やや自信を失いかけている。 中途失聴(障害等級3級) 山本直樹さん(35歳) 海野大介さんと同じジード商事の管理部に勤務。勤続11年。こつこつとスキルアップのために努力している。 中途失聴(障害等級3級) 花田千穂さん(25歳) 既製服メーカー・ジード社の工場に勤務。勤続3年。熱心な担当者のもとで技術を身につけ、社内手話サークルなども行っていたが、担当者の退職により元気とやる気を失ってしまう。一時は職場定着も危ぶまれるのだったが……。 生後まもなく失聴(障害等級2級) 夏目 豊さん(50歳) ジード電気の人事部長。人事のベテランとしてたくさんの社員の採用や配属を手がけてきたが、障害者の採用は初めて。ハローワークなどの支援機関の支援を受けながら、次第に見識を深めていく。 第1章「きこえない・きこえにくい」とは 早春のある朝 ジード電気 人事部長 夏目 豊さん 目下、ジード電気では初めての障害者の採用を検討しておりその受入れについてハローワークにアドバイスを受けに行くところだった 夏目部長わが社でも障害者雇用を進めたい! あぁコブシの花が…もう春だなぁ! わーっびっくりした! なんて乱暴な運転なんだ! きこえないってどんなこと…!? きこえない人と一緒に働くためには職場でどんな配慮が必要なんだろうか…? 1 「きこえない・きこえにくい」とは 等級だけではわからない聞こえにくさの違い 都内某ハローワーク そうでしたか ではまず 聴覚障害についてご説明しましょう ひと口に聴覚障害といっても その障害の内容は実に多様なんです 音や声がきこえないということだけではないのですか!? まず聴覚障害を等級などで表すことがありますが音の聞こえにくさにも、種類があるんです 音を振動として伝える伝音系に障害がある場合を「伝音性難聴」振動を電気的な信号に変換して聴神経に伝える感音系に障害がある場合を「感音性難聴」両方に障害がある場合を「混合性難聴」と呼びます 伝音性難聴では補聴器の使用は大きな効果がありますが感音性・混合性難聴では補聴器を使ってもどんな音なのかその内容はわからないことも多いのです 例えば雑音でラジオが聞きにくいとき音量を上げてみたことありませんか? 雑音も大きくなって内容がよく聞こえるようにはならない これと同じなんです さらに聴力を失った年齢や受けてきた教育の違いなどによって話す言葉の明瞭さや言葉の理解力にも大きな違いが生まれます チューリップ チュー・リッ・プ! 蝶々 チョウ・チョ? 幼い頃からきこえないと話す能力などにも影響が出るわけですね! 一方中途失聴の場合話す能力や言葉の理解力に問題がなくても「読話」や「手話」などを身につけるのに時間がかかるということもあります なるほど!私たちは「聴覚障害者」といわれると「耳のきこえない人」として同じように見てしまいがちですが 障害の程度も持っている能力も実に多様なんですね もう一つ大切な要素があります例えば障害や読み書きの能力が全く同じでもその人が積極的に職場に溶け込んでいこうとしているか また職場の上司・同僚が障害を理解し受け入れようとしているかどうかによってコミュニケーションがスムーズにとれるかは変わってきます えっ!? 誰だって自分を認めてくれる場では生き生きと活動できるけれどそうでなければ自然と全ての面で消極的になってしまうでしょう また、積極的に人の輪に加わる人もいればそれができない人もいるでしょう それと同じでコミュニケーション能力は障害だけの問題じゃないということです! うーんコミュニケーション能力は人それぞれというわけですね!  聴覚障害は外見からでは分かりづらいため、障害特性などが理解されづらい面があります。ここでは聴覚障害の特性や職場における配慮事項などについて考えていきます。 1聴覚の仕組み  聴覚器官の構造は、13ページの図のように、外耳、中耳、内耳、聴神経・大脳に分けられます。耳介で集められた音は、外耳道を通り、鼓膜を振動させます(@)。振動は耳小骨により機械的振動に変換され、蝸牛に伝えられます(A)。蝸牛では電気的な信号に変換され、聴神経を通って大脳に伝えられ、認知されます(B)。音を振動として伝える@Aを「伝音系」、電気信号として伝えるBを「感音系」といいます。 2聴覚障害とは  聴覚障害とは、聴覚の仕組み・機能に何らかの障害があるため、全く聞こえないか、聞こえにくいことをいいます。そして、聴覚障害のある方を総称して「聴覚障害者」といいます(「聴覚障害者」の表記については5ページの【ご利用にあたり】をご覧ください)。なお、全く聞こえない人を「ろう者」ということもあります。また、音声言語(※)獲得後に聴力が落ちたり、失ったりした方を「中途失聴者」という場合もあります。 ※音声言語とは、口から発せられ、それを耳で聞いて了解する言語のことです。 なお、本マニュアルで「日本語」と表記した場合には、原則として音声言語としての日本語を指します。 3聴覚障害の種類と特徴、補聴器・人工内耳  聴覚障害は、聴覚のどこに障害があるかによって、 次の3種類に分けられます。 ? 伝音系(外耳、中耳)に障害がある場合.........................伝音性難聴 (原因としては、中耳炎の後遺症、耳小骨の欠損などがあります) ? 感音系(内耳、聴神経・大脳)に障害がある場合..............感音性難聴 (原因としては、内耳の障害、聴神経の切断などがあります) ? 伝音系・感音系ともに障害がある場合............................混合性難聴  種類別の聞こえ方には違いがあり、そのイメージを、13ページの「聴覚障害別の聞こえ方」に示しています。 きこえにくい人の多くは、補聴器や人工内耳といった聞こえを補う機器を装用しています(補聴器などを利用する場合には「装用」を用いることが多いので、本マニュアルでも装用と表記します)。補聴器・人工内耳については次ページで紹介していますが、聴覚障害の種類によってその効果が異なります。  伝音性難聴では障害により音が小さくなるだけなので、補聴器の効果は大きいとされています。一方、感音性難聴や混合性難聴の場合は音を大きくしても歪んだりするので、補聴器などの効果は小さいとされています。  手話を日常のコミュニケーション手段にしている人の大半は感音性・混合性難聴で、単に音量を大きくしただけでは言葉を聞き取れないことも多く、音量を上げると、かえって苦痛となることがあるので注意が必要とされています。 One Point 障害者手帳のない人も  身体障害者手帳を持っていない人でも、聞こえにくさ(難聴)がある場合もあります。特に、中途で聴力が低下した方、片耳だけ聞こえにくい方などでは自覚しにくい場合があります。障害者手帳制度を知らない人もいるかもしれません。  加齢のほか、何らかの事由により聴力の低下が懸念される社員がいれば、本人との面談などを通じ、聞こえについての確認を行うことで、聞こえにくさの自覚や必要な対応(医療機関の受診や補聴器などの利用、周囲の配慮)につながる場合もあります。 Column 聞こえを補う〜補聴器と人工内耳〜 ? 補聴器について  補聴器は通常の音声での会話が聞き取りにくい人が、音声をはっきりと聞き取るための医療機器で、きこえにくい人の多くが装用しています。 ? 補聴器は完全なものではない  補聴器を装用している人の多くは、自分の聴力レベルに合わせた補聴器を使用していますが、きこえる人が思っているほど補聴器は完全なものではありません。特に感音性・混合性難聴では、ある程度までの音質調整の助けにしかならず、聴覚障害の等級によっては音の有無を感じられるだけの場合もあります。 ? 補聴器は「音をひろうだけ」のもの  基本的に、補聴器は「音をひろうだけ」のものと考えてください。補聴器はマイクでひろった音を増幅し、大きな音として聞き取れるようにしますが、人間の聴覚は雑音の中から聞きたい音を抽出したり、複数の話し声の中からある特定の人の話し声を聞き取ったりと、補聴器では実現できないような高度な情報処理を行っています。しかし、聴覚に障害があると、このような聴覚の機能も損なわれてしまいます。補聴器でただ音を大きくしただけでは「言葉」として知覚できないことがあります。音の大きさについても、聞き取ることができる範囲が狭くなり、かなり大きな音でないと聞き取ることができないことがあります。また逆に、聞き取り可能な音より大きくなると、騒々しく聞こえたり、音が歪んでいるように感じる場合があります。快適に聞くことができる音の大きさの範囲が狭いので、単に大きな声で話せばよいわけではなく、音の大きさへの配慮も必要です。 ? 補聴器のいろいろな種類  補聴器の形態で分けると、耳あな型、耳かけ型、 ポケット型(箱型)、メガネ型などがあります。  増幅と調整の処理方法で分けると、アナログ、プログラマブル、デジタル補聴器があります。デジタル補聴器が最も高性能といえますが、再生される音質の好みは人それぞれです。  音の伝わり方で分けると、気導式補聴器(耳あな型、耳かけ型、ポケット型(箱型)など)と骨伝導補聴器(メガネ型など)があります。気導式補聴器は、外耳道から空気の振動で音を伝えるものです。骨伝導補聴器は、側頭骨から骨の振動で内耳に音を伝えるもので、特に伝音性難聴に対して効果が大きいとされています。  そのほか、講義形式の集まりなどで話し手がワイヤレスマイクをつけて装用者がFM補聴器で聞き取る方法や、テレコイル対応の補聴器などに音声を磁気誘導で伝達し増幅して聞くことができる磁気誘導ループといった集団補聴システムの設置・活用が進められてきました。また、デジタル補聴援助システムを使うことで、補聴器や人工内耳だけでは言葉の聞き取りが難しい環境においても、よりクリアな音を届けることができます。  さらに、近年は様々な技術や機器が開発されており、スマートフォンや携帯電話、パソコンなどの電子機器と使用している補聴器がBluetoothに対応している場合は、デジタル信号の直接送受信が可能となるため、周囲の雑音の影響が抑えられた状態で音声を聞くことができるようになっています。 ? 補聴器は声や会話を聞くためだけではない  補聴器を使うことは、声や会話を聞くためだけでなく、クラクションなどの環境音の存在を知ることにつながります。このため、交通事故や労働災害から身を守るために装用している人もいます。また、自分が発する声や、物を扱うときの音にも自然に気をつけるようになるという人もいます。これらは人工内耳も同様です。 ? 人工内耳について  補聴器と同様、音をはっきり聞き取るための医療機器です。仕組みとしては、手術により耳の奥(蝸牛)に埋め込んだ装置(体内部)と、音をマイクでひろって電気信号に変換し、埋め込んだ部分に送信する装置(体外部)からなります。体外部は耳かけ型の補聴器に似たものが主です。  一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のホームページによると、人工内耳の有効性には個人差があるとしつつも、人工内耳を用いた聴覚活用の有効性が認知され、新生児聴覚スクリーニングの導入などにより難聴の早期発見・診断も可能となったこともあり、7歳未満の小児の手術件数が増加していることが紹介されています。 ? 補聴器・人工内耳について理解いただきたいこと  聞こえにくさには個人差があり、補聴器も人工内耳も個人に応じた調整が必要です。また、一度調整した後も、医療機関や専門家による継続的なモニタリングや調整が必要です。  また、補聴器や人工内耳の機能には限界もあり、きこえる人と同じようには聞こえないこともあります。しかし、周りの人からは、「補聴器をつけているのだから、きこえる人と同じように聞こえるのだろう」と思われることもあります。  本マニュアルの作成にあたりインタビューした人からは、そうしたギャップに悩んでいるとの声が複数聞かれました。特に明瞭な発声ができる人の場合には、周りの人から聞こえるように思われてしまい、必要な配慮が得られないときがあるとの声がありました。  補聴器や人工内耳は、聞こえを補う有効な機器であるものの限界があり、個人に応じた対応(補助的手段の活用など)や周囲の人の理解・配慮が必要です。 2 聴覚障害の範囲、等級、程度 1法律上の定義など  障害者の雇用の促進及び職業の安定に関しては、「障害者雇用促進法」において、対象となる障害者の範囲や、主な制度の枠組などが定められています。対象となる障害者の範囲は「身体障害、知的障害または精神障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な者」と定義されており、身体障害のうち、聴覚障害の範囲は表1に示すとおりです。  また、身体障害者手帳などに係る聴覚障害の程度と等級は、身体障害者福祉法施行規則別表第5号の身体障害者障害程度等級表(以下「等級表」という)によって定められています。  なお、等級表では、聴覚障害は「聴覚障害または平衡機能障害」に区分されています。また、聴覚障害は音声機能、言語機能と関連する場合があることから、表2は「音声機能、言語機能または咀嚼機能の障害」も含めて作成しています。  等級表では1級から6級までありますが、1級と5級は聴覚障害単独では該当がありません。ただし、ほかの障害と重複する場合は上の等級とすることができるとされています(詳細は表下の〈参考〉を参照)。なお、身体障害者手帳1級と2級の所持者は雇用対策上の重度障害者と定められています。 2聴力の程度  音を聞きとる能力は「聴力」といいますが、その程度(聴力レベル)は、オージオメーターという測定器を用いて測定し、聞こえる音の最低の大きさをデシベル(dB)という単位で表します。  聴力レベルの目安と障害等級の関係は表3のとおりです。おおむね25デシベル以内が正常聴力で、それより大きい場合が難聴とされています。聴力レベルの程度によって、軽度難聴、中等度難聴、高度難聴といわれることもあります。 3 一人ひとりに応じて理解する 1個々人に応じて理解  同じ障害等級であっても、聞こえ方や補聴器などの効果は一人ひとり異なり、必要とされる配慮も異なります。 「全く聴力を失っている人」から「小さい音が聞こえない人」、「音が歪んで聞こえる人」まで、障害の性質・程度には大きな違いがあります。 したがって、聴覚障害の等級と程度だけで、職業能力や困難さを画一的に評価せずに、個人の適性、言語使用能力なども含めた個々人の職務遂行能力を的確に把握して正しく評価することが、能力の発揮や職場定着を実現するために不可欠です。 2各人のライフヒストリーや価値観などを理解し、配慮する  一人ひとりを尊重し、幅広く理解するために、各人のライフヒストリー(生育歴)を理解することも大切です。聴力損失の程度や失聴の時期、教育経験や社会経験の違いによって、日本語の習得の程度や手話、口話、筆談などのコミュニケーション手段、話す言葉の明瞭さや読み書きの能力は様々です。  また、特別支援学校で学んできた人と、中途失聴者や通常の学校で教育を受けている人では、きこえないこと・きこえにくいことの受け入れ方や、障害者のコミュニティーへの帰属意識の有無などが異なる場合があります。  加えて、個人の適性・能力や性格、価値観なども多様であり、きこえない・きこえにくい人の職業生活を含めた社会生活のありようや、精神・心理面を一律に理解することはできません。 3ろう者の文化と手話言語  音声言語の日本語の背景に、きこえる人が大切にしてきた文化があるように、日本の手話言語にもきこえない人が長い歴史の中で受け継いできた誇れる文化があります。  日本語を第一言語とするきこえる人が、第二言語として例えば英語を習得しても、英語を第一言語とする人の思考パターンや生活・行動様式まで直ちに理解が及ぶわけではありません。これと同じように、きこえる人が手話を身につけたとしても、きこえない人の考えていることを真に理解できていないことがあります。その逆も同様です。  職場においてはきこえない人が少数派になりがちであるため、こうしたコミュニケーションの行き違いは、きこえない人における日本語の知識不足や職場マナーの理解不足であると評価されてしまいやすいといえますが、日本語・日本の手話言語のそれぞれに歴史と文化があります。コミュニケーションの行き違いがあっても、お互いに、相手の思考や行動の理由を決めつけることなく、その解決法やお互いに妥協できる範囲を一緒に話し合い、職場全体で共有していくことが重要です。 One Point 言語障害について  言語障害とは、声を出せないか、出せても発語が不明瞭で音声言語によるコミュニケーションがとれない、あるいは、しにくい障害をいいます。原因としては、聴覚障害に起因するもの、失語症などの言語中枢機能の障害によるもの、喉頭の損失によるものなど、様々です。 Column 受障時期による困難さの違い ? 音声言語を獲得する前の場合 ? 発語が明瞭でなく、分かりにくいことがある ? 筆談や文章作成の際に、日本語の文法上の間違いがある場合がある ? 音声言語を獲得した後の場合 ? 発音が分かりやすいことが多く、筆談などに関しても日本語の文法上の間違いは少ないものの、そのことから「聞こえにくさ」が周囲に理解されにくい ? 障害への自己認識が乏しいため、コミュニケーションのズレや対人関係での不都合が生じ、または障害を受容する過程で、不安や孤独などを感じることがある ? 手話を習得していない人もいる 事例 当事者の背景を理解する  当社では特例子会社ということで、聴覚障害者の社員が多数働いていました。そのため、手話講習会を開催するなど、聴覚障害者を理解しようと取り組んでいましたが、聴覚障害者とほかの社員との関係にぎくしゃくしたところがありました。そのような中で、ある講演会に参加した社員が「ろう文化」について知ったことをきっかけに、会社として「ろう文化」への理解を深め、新たな取組を行いました。  それまでは、手話を「たくさん」「早く」習得することに力点をおいていましたが、まず「ろう文化」についての社員教育を実施した上で、障害特性などに関する理解を進める機会や、手話講習会を設定しました。こうした取組により、聴覚障害についての社内の理解が進み、聴覚障害者とほかの社員の関係がよくなり、社員全体の意欲の向上につながりました。 (A社) 4 「きこえない・きこえにくいこと」と「バリア」 「きこえない」「きこえにくい」だけではない障害による社会生活・社会活動のバリア もう一つ理解しておいていただきたいのは社会生活、社会活動に参加するときに聞こえないことから様々な場面でバリアに直面することがあるということですバリアをどう解決していくかバリアフリーの見方が大切になります バリアフリー……!? 聴覚に障害があるとどうしても吸収できる情報が不足したり偏ったりしがちですそのため、情報障害といわれるような状況にあるんです 情報障害!? 例えばこんな例があります上司から新しい仕事を頼まれて…… 骨が折れる仕事だがよろしく! ! そんな危ない仕事はイヤです! 「骨が折れる」のはどうしてですか? え?ん!? えっ!? 「骨が折れる」が「労力がいる」意味とは伝わらなかったのですね! ええ、比ゆの知識が十分でなく言葉の意味をそのまま受け取ってしまったのです この人のように疑問に思ったことを質問できれば、誤解が解け笑い話ですみますが意味の取り違えが深いキズを残してしまうこともあるんですよ ふーむ こうした、ちょっとした情報の欠落が大きなトラブルや誤解の原因になることが実際にあるんですよ そうなんですね 率直なコミュニケーションがとれていればよいのですが場合によっては聴覚に障害があるということが大きなバリアになる可能性があることを理解してほしいのです Check 「ICF」(国際生活機能分類)と聴覚障害  ICFでは、個人の「活動」(会話、コミュニケーション)と「参加」(地域や職場とのかかわり)は、個人の「心身機能・身体構造」(聴覚・発音など)や「個人因子」(スキル、知識、経験など)と「環境因子」(合理的配慮、アクセシビリティなど)の相互作用により成立するもので、「障害」はそれらの要因が複合的に関連して生ずるものと考えます。したがって、「きこえない、きこえにくい」というだけで就労可能性を狭めず、環境因子の調整、例えば合理的配慮を提供することにより職場で活躍できる可能性を広げる考え方が大切です。 本図はWHO(世界保健機関)のICF(国際生活機能分類)をもとにJEED障害者雇用開発推進部において作成 1きこえない・きこえにくいことで生ずる「バリア」  きこえる人の場合には、生活や仕事に関する情報の多くを、視覚により認識する文字・画像情報と、聴覚により認識する音声情報として取得しています。しかし、聴覚障害がある場合、きこえない、あるいはきこえにくいということだけでなく、情報を受け入れるチャンネルがない、あるいは狭いため、取得した情報に不足や偏りが生じやすくなります。このため、聴覚障害は「情報障害」ともいうことができます。  きこえない・きこえにくい人は、情報障害により、様々な「バリア(障壁)」に直面することがあります。22ページの「骨が折れる」はその一例です。  きこえる人は幼い頃から様々な場面(日常生活や学校教育など)で、耳で聞くことにより日本語(語いや文法の習得など)が自然に発達しますが、音声言語を獲得する前から聴覚障害があると、教育を中心に日本語の習得を図ることになります。そのため、語いが少なかったり、漢字の読み方を間違えて覚えてしまったりすることがあります。  情報の不足や偏りは、コミュニケーションが円滑でなくなることにとどまらず、ときに対人関係や社会参加に消極的になるなど心理的な課題につながる場合もあります。 2就労場面での「バリア」の解消  情報が不足した職場で働くことの難しさは、きこえる人も経験することですが、情報不足はきこえない・きこえにくい人にとっては日常的な現象であり、能力発揮の阻害要因となっています。きこえない・きこえにくい人は、自分の職場において今どういう方向で業務が進められているかという状況を把握しきれないまま、とまどいながら業務に当たっていることが少なくありません。  情報障害から生ずる様々なバリア、課題は、きこえない・きこえにくい人自身の注意や努力だけでは解決できないものでもあります。解消に向けては、バリアフリーの視点が重要です。バリアフリーは、バリアを除去する(環境を整備する)ことにより、個人の活動を実現しようとするものです。情報不足に陥らないよう、雇用管理などの担当者や、職場の上司・同僚からの情報提供などの配慮と積極的支援が、きこえない・きこえにくい人の能力発揮の鍵を握っているといっても過言ではありません。 One Point 「聴覚障害」を取り扱った映画作品など  「聴覚障害」について、職場の皆さんの関心を高めるのに、例えば「聴覚障害」をテーマにした映画を鑑賞することも考えられます。  以下は動画配信サービスなどで、比較的利用しやすい作品です。 ? 愛は静けさの中に(1986年) ? 聲の形(2016年) ? ケイコ 目を澄ませて(2022年) ? 息子(1991年) ? コーダ あいのうた(2021年) ? LOVE LIFE(2022年)  そのほかにも、きこえない・きこえにくい人たちによる劇団公演や手話による狂言・能・落語・漫才などを観劇することで、身近に感じることができるかもしれません。 Column きこえる社員との間のギャップの例 (当事者の声から) ? きこえない・きこえにくい社員 ? 指示や会話を聞き取れないことがあると、聞き直しているが、だんだん声が大きくなる。 ? 聞き直すことで、気まずい雰囲気になることがある。 ? 聞き直すことが重なると、相手の負担になり心苦しい。聞き直すと、「もういい」といわれることもある。 ? 相手の負担を考え、分からないことがあっても質問を遠慮するときがある。 ? 所属部署全体の業務内容や進行状況などが分からないまま、同僚の雰囲気に合わせて仕事をしている。 ? 補聴器を付けていると、発声でき、聞こえるように思われてしまう。 ? きこえる社員 ? 忙しいときや時間がないときに聞き返されると、イライラすることがある。 ? 指示を出し確認を取ったにもかかわらず、失敗されたことがある。 ? 説明していても、本当に分かっているかどうかが分からない。不安などを感じることがある。 ? 中途失聴の方など、手話を習得していない人もいることを知らなかった。 第2章 きこえない・きこえにくい人とのコミュニケーション 1本人の望む方法を確認  きこえない・きこえにくい人とのコミュニケーションの方法には様々な方法がありますが、視覚による情報伝達・コミュニケーションの方法が有効です。具体的には、口話、筆談、手話、メール、SNSなどがあります。一方、同じ障害等級でも、各人の失聴年齢、聞こえ方、残存聴力、教育歴、家庭環境、日本語の習得状況、手話の習得状況は様々ですから、まずは本人にはどのような方法がよいかを確認することから始めてください。  日常的にはどのようなコミュニケーション方法がよいのか、補助的方法は何がよいのか、職場で配慮してほしいことは何かなどを確認し、企業としてどのような対応が可能かを調整・配慮していきます。その際には、「この人にはこの方法で」と固定的に考えるのではなく、できるだけ状況に応じて工夫することが大切です。職場にはいろいろな場面があり、コミュニケーションの方法にもそれぞれのメリットとデメリットがあります。機械音が大きい現場で有効なもの、社員間の距離が離れている状況で有効なものは異なるでしょうし、今この場でやり取りしなくてはならない場合と、少々後でも伝わればよい場合とでも異なります。場面に応じた方法を選び、うまくいかなければ別の方法を試すなど、本人と相談しながら工夫し、コミュニケーションをとることが大切です。 2コミュニケーションにおける留意事項 @分かりやすい表現を  どのような方法をとるのであれ、分かりやすい表現をとることが大切です。きこえない・きこえにくい人の中には、「もの」や「行動」に基づいた具体的な言葉・表現は理解しやすいが、抽象的な言葉・表現の理解には時間を要する人もいます。できるだけ具体的な言葉・表現を用いてください。 また、一文が長い文章や複雑な構文だと理解されにくい場合もあります。口頭でも文章でも端的で平明な表現としてください。  そのほかにも、二重否定、例え話や比ゆ、暗示的な表現も誤解されやすいので、直接的な表現で伝えるように心がけましょう。 Aコミュニケーションの機会を確保  きこえない・きこえにくい人の場合には、音による情報取得や周囲とのコミュニケーションの機会が不足しがちです。それを補うためにも、定期的に本人との面談の機会を設け、情報取得の状況を確認し、必要な情報を補うとともに、正確な理解のもとに業務が遂行されているかを確認し、理解を支援することが重要です。 Check スムーズなコミュニケーションのための工夫 ?伝えるための工夫と確認の重要性  きこえない・きこえにくい人に限りませんが、説明などを聞いた人がうなずいたり、「分かりました」といったとしても内容が十分に伝わっていないことがあります。きこえない・きこえにくい人の場合にも、日本語の理解力などから、十分に意思疎通が図れていないケースも考えられます。指示や説明の際には、重要事項はメモにするなど、確実に伝わるための配慮が必要です。キーワードや単語だけでも手話も交じえながら伝達したり、理解の状況を筆談で確認したりしながら進めることも有効です。 ?特殊な読み方の漢字などには「ふりがな」を  きこえる人は耳から聞いて漢字の読み方を覚えることができますが、きこえない・きこえにくい人は目で見て覚えることが主になります。そのため、「施せ 工こう」「治じ 具ぐ」など、特殊な読み方をする漢字の場合、書くことはできるし、意味も分かっているにもかかわらず、正しい読み方を知らないことがあります。  特殊な読み方をする漢字などには、できるだけ「ふりがな」をふる、業務で使用する特殊な言葉や略語などは、読み方や意味を明記したリストを作成、提示しておくと、スムーズなコミュニケーションに役立ちます。 ?休憩を取りながらのコミュニケーションを  口話(読話)や手話の読み取りには集中力が必要です。そのため、きこえない・きこえにくい人がこれを長時間続けることはストレスや疲労が蓄積し、理解力の低下などにつながる場合もあります。特に、会議や研修のように大量の情報が一方的に提供される場合には負担が大きくなります。会議などでは適宜、休憩を取るなどの配慮が望まれます。 ?聞き取れないときは補助的手段の活用を  きこえない・きこえにくい人の発音が聞き取れないときは、紙に書いてもらう方法(筆談)があります。紙以外にも、コミュニケーションボードなどの補助的手段を活用することも有効です。確実で円滑なコミュニケーションのためにも同様です。 Column 表現に関する理解にギャップがないかを確認し、理解を支援  慣用的な表現や新しい表現については、それがどのような意味を持ち、どのような行為などが求められているかについて、関係者の理解にギャップがある場合があります。聴覚障害が情報障害であることから、こうしたギャップが生じやすい状況があります。  例えば、「報連相(報告・連絡・相談)」はどの職場でも日常的に行われているものですが、ある聴覚障害者は、「上司への報告」と限定的に理解していたため、業務で困ったことがあっても上司に相談することができていませんでした。これは、「相談」という言葉の意味を「自分では決めかねることについて、人(上司など)と話し合うこと」と理解していなかったためと思われます。  「報連相」に限ったことではありませんが、ある表現がどのような意味を持つのか、何をすべきかを関係者が共通に理解していることは重要です。きこえない・きこえにくい人に対し、重要な表現は折に触れて意味を伝える、新しい表現は具体的に説明するといった配慮と、必要に応じ、理解の支援を行うことが重要です。 2 コミュニケーションの方法 (口話・筆談・手話) 1口話?正しく伝わったかを確認することが必要。明瞭、簡潔な表現で身ぶり手ぶりを交えて理解しやすく? 具体的なコミュニケーションのとり方についてもう少し教えていただきたいのですが… では、きこえない人とのコミュニケーション方法について口話、筆談、手話の順でお話しします 「口話」は、「読話」と「発語」があり、「読話」は、きこえない人が相手の唇の動きを読み取って 理解します 口話だと周りの社員も対応しやすいですね でも、口話は唇の動きなどを読み取るわけですから、正確に読み取れないことも多いので注意が必要です 例えばこんな話が上司に作成した資料をチェックしてもらい う?んいいねこれコピーして! えっゴミ!? んっ? ゴミかぁ… 違うよコピーだよコピー! えっ! あっコピーですね! コピー ゴミ 「コピー」と「ゴミ」なるほど口の動きが似ていますね 「橋」と「端」と「箸」のように日本語は同音異義語も多くて間違えやすいのです 口話は口の形や表情会話の流れなどから推量して判断します さらに、身ぶりや手ぶりなどを交えて話すと理解が深まります先程のエピソードだとコピー機が置いてある方向を指さすといいですね ☆1音ずつではなく 意味のまとまりごとに こ・ぴ・い・を・お・ね・が・い コピーを・お願い ☆相手とアイコンタクトを とりながら はっきり口をあけて ゆっくりめに ☆二重否定などの複雑な表現は避けて 明瞭・簡潔な表現で その方法がいけないわけではない!  職場における具体的な方法として、口話、筆談、手話の順で紹介します。  なお、外部の手話通訳者や要約筆記者の利用については、「第3章 情報保障と就労」で紹介します。 口話は、話し手の唇や口の動きから話の内容を読み取り(読話)、自分の話したいことを声に出して話す(発語)コミュニケーション方法です。難しい言い回しなどは使わずに、できるだけ明瞭、簡潔な表現を用いることが大切です。  きこえない・きこえにくい人は、話し手の口の形がつかめても、同じような口の形の言葉は読み取りにくいものです。鏡の前で試してみるとよく分かりますが、「たばこ」と「たまご」では全く口の形が同じです。これは母音が「○a○a○o」と同じだからです。同音異義語の場合はなおさらです。そうした場合には身ぶりなどを加えると理解してもらいやすくなります。  以下に、口話によるコミュニケーションのポイントを示します。口話でコミュニケーションをとる場合でも、会議の要約や業務の指示はメモなどを使って確認し、誤解のないようにすることで、より確実な伝達が可能となります。 Check 口話によるコミュニケーションのポイント ? 口話に限らず、会話の際にはアイコンタクトが重要です。そして、相手の顔を見ながら、はっきりと口をあけ、ゆっくり話します。早口や、ぼそぼそとした話し方は避けます。 ? 話す人の口元や表情が見えやすい位置取りも大切です。窓や照明を背にして話すと、相手は唇の動きや表情が見えにくくなります。部屋全体の明るさも含め、見やすい環境が必要です。 ? 同じような口の形の言葉は読み取りにくいので、身ぶりや手ぶりで表す、指で具体物を指す、数を示すなどを加えると、より理解しやすくなります。 〈例〉 たばこ・たまご、おにいさん・おじいさん、二に・四し ? 言葉を1音ずつ区切って話すと、かえって分かりづらくなります。相手の反応を見ながら、意味のまとまりごとに区切って、言葉の自然なリズムを崩さずに話します。 〈例〉 ア・ナ・タ・ノ・オ・ナ・マ・エ・ハ? アナタノ・オナマエハ? ? 口の形を極端に大きくすると、かえって分かりづらくなります。ふだんの話し方を基本にしてください。 ? 二重否定などの複雑な表現は避けます。 ? 相手の発語が分からないときは、遠慮せずに確認することが大切です。確認は、聞き返すことや、発語の内容を本人に書き起こしてもらうことなどが考えられます。理解したつもりや思い込みは、後で大きな誤解につながります。 2筆談?書くのはひと手間でも、正確に伝わりやすい方法? 口話で伝わらない場合もありますその場合は筆談を併用します 筆談…ですか!? 口話に比べて少し面倒に思えるかもしれませんがきこえない人たちときこえる人双方にとって、確実性の高いコミュニケーション方法です特に仕事の指示や伝達事項など重要なことは筆談がいいですね わかりました! 筆談の場合も、相手に伝わったかどうか確認しながら進めることが大切です例えば、こんな話が…… ヨコクに行ったことある? ヨコク? 私はヨコクに行ってみたいの なぁんだそれはシコクよ! 誰でも漢字の読み方を勘違いすることってありますよね こえない人たちはどうしても情報が限られてしまうので読み間違いもありがちです ですから筆談と口話を組み合わせたほうが正確に伝わりますよ 組み合わせるとよりわかりやすいんだ! わかりやすい筆談の方法をお互いに了解しておくとよいのですが一般的には… このポイントを踏まえてわかったかどうか確認しながら行います なるほど! ◯漢字も交え 読みやすい 文字で ◯長い文章は避け尊敬語は省略 ◯比ゆや二重否定は避ける ◯5W1Hを明確にして要点を簡潔に ◯質問は「YES」「NO」で答えられる明解な文章で @ 口話や手話に交え、メモなどを活用  筆談は、正確度が高いコミュニケーション方法の一つです。きこえない・きこえにくい人が、手話が使えない人と少人数(一対一など)でコミュニケーションをとる場合に有効です。きこえない・きこえにくい人と初めて面談をする場合には、大きめのメモ用紙と鉛筆などを用意しておきましょう。可能であれば、後で紹介する「筆談支援機器」を活用するとスムーズです。  筆談の際にも、分かりやすい表現にすることが基本です。また、紙に書くだけでなく、簡単な表現は口話や手話を交え、相手の表情などから理解したかどうかを確認しながら進めるとスムーズです。そして、重要な点は本人にも書いてもらうことで、より確実なコミュニケーションが図れます。 必ずしも文章でなくても構いません。口話でうまく伝わらないと感じたときに、その言葉を書き表すこともコミュニケーションの進展につながります。 ただし、書き手が一般的に使っている言葉で書いても通じないことがあります。字を読むことができても、その言葉の意味・内容を理解することが困難な場合があるからです。理解できない言葉があるときには遠慮せずに確認(質問)するように、予め本人に伝えておくことも大切です。 A伝達事項は書いて確実に伝える  筆談はほかのコミュニケーション手段と比較すると、多少時間がかかりますが、伝えたい点を具体的にはっきりさせて伝えれば、意思の疎通が図りやすくなります。筆談には、何度も書いたり消したりできる、感圧式の液晶パネルや磁気ボードを利用した「筆談支援機器」なども便利です。  特に、業務内容や伝達事項などは、できるだけ筆談を利用して、正確に伝わっているかどうかを確認することが大切です。確認は、本人にも内容を書いてもらう、手帳にメモしてもらうなどにより行います。また、重要な事項は、指示書やメモなどの「文書」によって行うことが、伝達すべき情報の漏れや行き違いを防ぐことにつながります。 One Point 筆談と要約筆記  筆談と同様に文字により情報提供する方法として、要約筆記があります。要約筆記者の養成・派遣も、手話通訳者の養成・派遣などと同様、障害者総合支援法に基づく意思疎通支援事業の1つです。要約筆記者と手話通訳者については、「第3章 情報保障と就労」で詳しく紹介しますが、要約筆記のスキルや留意事項は筆談においても参考となる点が多くあります。 Check 重要なことは資料などを活用して伝える  コミュニケーションの方法について述べてきましたが、情報の伝え方と、伝えたことを本人が理解しているかの確認は重要です。  ある聴覚障害者(63歳)は、就業規則上の定年が数年前に変更されたこと(60歳から65歳に変更)を認識しないまま勤務していました(本人は定年退職後の再雇用との認識でしたが、実際にはまだ定年に達していませんでした)。  会社では就業規則の変更時に全社員に伝えていましたが、ご本人は理解されていなかったようです。会社は改めて本人に伝え、理解にいたりましたが、このようなことを避けるには、例えば、変更時点で変更内容を文章にして渡し、説明と確認を行うといった対応が考えられます。変更時に限らず、入社時にも就業規則に関する説明をすることだけでなく、資料として渡し、分かりやすい説明を行うことも大切です。 3手話?職場での活用は信頼関係や親密感を深めます? もう一つきこえない人たちにとって意思の伝達がしやすいコミュニケーションに手話があります でも手話を覚えるには相当の時間がかかるでしょう? いえ、職場におすすめしたいのはまず「手話をうまく使える」ことよりも「手話を使うことを理解する」ことなんです 例えばこんなケース あの… きこえる人からの手話によるコミュニケーションはきこえない人たちを積極的に理解する姿勢を表しお互いの距離が縮まります なるほど! おはようございまーす 十分にマスターしていなくても積極的に取り入れていくことが大切なんです 彼らに教えてもらうとよいコミュニケーションになるかもしれませんね コミュニケーション 手話に早くなじむポイントは@まず仕事で日常的に 使っている言葉の中から 簡単な手話を一つ 選んで毎日使い だんだん増やしていく ありがとう おつかれさま Aものの形や動きを 表現する手話が多いので 何を表しているか 考えながら行う 会う B手の動きと一緒に 言葉も発音しながら行うと より正確に伝わる うれしい! C大切なことは筆談と 併用して確実に伝える D伝えた後は 正確に伝わったかどうか 確認する わかりましたか? わかりました! でも思春期以降にきこえなくなった人など手話を習得していない人もいます どんなコミュニケーション方法がよいかは本人の意向を確認し相談してください @手話とは  手話は「目で見る言葉」ともいえます。「障害者基本法」において、手話は日本語と同様、一つの言語とされています。きこえない・きこえにくい人が日常的に手話を使う場合は、手話が第一言語(生まれてから最初に身につける言語、自分を最も表現しやすい言語といった意味で用いられ、「母語」という場合もあります)です。 手話が第一言語である人にとっては、手話が自分の気持ちを伝えやすいコミュニケーションの方法です。以下のA以降では、上司や同僚がきこえない・きこえにくい人と手話でコミュニケーションをとる際のポイントを紹介します。  なお、社外から手話通訳の専門家である手話通訳者の派遣を利用することがあると思います。手話通訳者の派遣依頼や資格制度などについては「第3章 情報保障と就労」で紹介します。  ※手話通訳を担う人材、資格制度として「手話通訳者」「手話通訳士」がありますが、本マニュアルでは両方を総称して「手話通訳者」と表記します。ただし、特定の資格を指す場合は「手話通訳士」のように表記します。 なお、本マニュアルでは「(社内で)手話が使える人材(社員)」という表記を用いることがありますが、これは、資格などの有無にかかわらず、社内で手話通訳を担当する人を指します。 A 筆談や口話と組み合わせ、できるところから始める  手話をマスターするまでには、かなりの期間を必要とします。しかし、マスターしてから使おうというのではなく、まずはできるところから始めてみましょう。その際には筆談や口話、身ぶり、表情などを組み合わせることも有効です。ただし、情報が正しく伝わっていることが重要な場面や複雑な内容を伝える場面では、認識共有がなされたことの確認が必要です。  なお、手話にも方言があるなど、人によって手話の表現が異なることがあります。分かりにくい場合には文書などで確認するとよいでしょう。また、会社や業種によっては特有の用語・表現があります。それらについては本人と相談しながら、手話表現を決めておくと日常の円滑なコミュニケーションに役立ちます。 B職場の人間関係づくりのために  手話を第一言語とする人は、手話によって仲間と自由に話し合い、互いに共感することで、信頼関係・人間関係を作っていきます。  きこえる社員が手話を使い、手話を第一言語とする人と積極的にコミュニケーションを図ろうとすることは、手話を第一言語とする人にとってもうれしいものです。「そんなにできないから……」と消極的にならずに、伝えたい気持ちを第一に、簡単な表現からでよいので、手話でのコミュニケーションを図ってみてください。 C 社内で手話を使える人材の育成  職場に手話が使える社員を増やすこと、社内に手話の輪を広げる取組も大切です。  社内で手話を習得する方法としては、日頃から手話を使う機会(挨拶や休憩時の雑談など)を奨励することや、朝礼などでの簡単な手話の学習、手話を学ぶ講習会やサークル活動を行うことなどがあります。既に取り組まれている企業では、定期または不定期に手話講習会を開き、きこえない・きこえにくい社員を含め、手話のできる社員から手話を教わる方法がよくとられています。また、昼休みや時間外などに自主的に集まって、サークル活動として手話を習得するところも増えています。  これらをきっかけに、きこえない・きこえにくい人が職場定着への自信を持つとともに、社員とのかかわりが広がることにより、きこえる社員にとっても、きこえない・きこえにくいことへの理解が進み、職場内の人間関係が、より深まることにもつながります。 One Point 情報アクセシビリティについて  情報アクセシビリティとは、年齢や障害の有無などに関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にアクセスでき、利用できることをいいます。令和4年5月に施行された「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」では、以下を社会に求めています。 ? 障害の種類・程度に応じた手段を選択できるようにすること ? 日常生活・社会生活の地域にかかわらず等しく情報取得などができるようにすること ? 障害者でない人と同じ内容の情報を、同一時点で取得できるようにすること ? 高度情報通信ネットワークの利用・情報通信技術の活用を行うこと  手話を第一言語とする人の情報アクセシビリティは、場面によるものの、手話による情報保障である可能性が高いものと想定されます。地方自治体の中には、「手話言語条例」(自治体によって名称が異なる場合があります)を制定しているところもあります。 One Point 情報アクセシビリティと合理的配慮の提供  アクセシビリティと合理的配慮は混同されやすい概念ですので、簡単に説明します。  アクセシビリティは全ての障害者を念頭におき確保すべきものですが、合理的配慮は特定の人の障害特性に合わせて行うものです。例えば、アクセシビリティは、社員の募集要項を点字版も提供する、募集案内サイトの説明をシンプルな分かりやすい表現にするといったことで、誰もがアクセスしやすい環境を予め整備することです。  一方、合理的配慮は、例えば、社員研修の実施に際し、通常の環境・方法では参加が困難な障害者がいる場合に、本人と相談しながら、障害特性に応じた配慮を、企業にとって過重な負担でない範囲で提供することです。手話を第一言語とする社員の場合であれば、本人の申し出により手話通訳者を配置することなどがこれにあたります。 事例から学ぶ 計画的な講習会が効果を生む  当社では社員研修として、外部講師による手話講習会を年2回行っています。1回の講習期間は2〜3か月間で、週1回2時間程度で行っています。初心者コースの回と、中級者コースの回を設定しており、初心者コースでは基礎学習を中心に行い、中級者コースでは聴覚障害者とのフリートーキングを中心に行っています。結果、以下のような変化や受講者からの感想が寄せられ、効果があったと考えています。 ? 職場の人たちが気軽に聴覚障害者に語りかけるようになりました。 ? 聴覚障害者とのふれ合いの中から、お互いの一体感が深まりました。 ? 手話講習会修了者のいる職場に配属された聴覚障害者が、手話がわずかでもできる人がいることに安心し、職場への適応がスムーズでした。 ? 社内の雰囲気が明るくなりました。  なお、手話講習会の参加を促すために、会社として次の取組を行い、成果につながりました。 ? 手話講習会のワッペンを作り、参加者につけてもらうことで周囲からの評価や、参加意欲の向上につながりました。 ? 手話講習会修了者を会社として表彰することで、本人の達成感につながりました。また、ほかの社員の参加意欲にもつながりました。 (B社) 会社独自の育成システムを構築  当社には数十名の聴覚障害者が働いており、手話を日常的に使っています。そのため、手話を第二言語とする社員の育成に取り組んでいます。具体的には、@社内に手話サークルを作り、参加を促す、A社内資格として「手話コミュニケーター」制度を設け、日常的なレベルの手話通訳を担ってもらう、Bより専門的な手話通訳による意思疎通を支援する社員の育成のため、手話通訳者の資格取得を社員に推奨し、取得者の受験料を会社が負担するなどの取組を進めています。  一方で、個人情報の取扱いには留意しており、研修時の通訳などは社員が行いますが、人事評価のための面談などでは、外部の手話通訳者の派遣を会社で準備しています。 (C社) 朝礼で練習  当社では、毎日行う朝礼の際に手話練習を行っています。「今朝の手話」として毎日1つの単語を取り上げ、全員で練習しています。「おはようございます」「こんにちは」「お疲れさま」などの挨拶に始まり、日常よく使う単語や業界用語へと広げていきました。  手話を完璧にこなすのは容易ではありませんが、100語でも覚えれば随分と違い、ある程度の日常のコミュニケーションはとれるようになります。この2年の間にそうした社員がかなり増え、聴覚障害者との垣根が取り払われて、昼休みなどもきこえる社員と聴覚障害者の談笑風景がよく見られ、社内に活気が出てきたように思われます。 (D社) 第3章 情報保障と就労 1情報保障の基本的な考え方  企業は、「障害者雇用促進法」により、職場において、社員の障害の特性などに応じた合理的配慮の提供義務があり、情報保障もその一つです。情報保障とは、きこえない・きこえにくい人の「情報障害」の側面に着目し、音声に代わるほかの手段により情報を提供することをいいます。 情報保障の重要性について、就労との関係でより詳しく紹介します。  それぞれの会社や部門などには目的・方針などがあり、社員はそれらの実現に寄与すべく働いているともいえます。その実現のためには、それらが社員に認知・理解されていることが必要です。同様に、きこえない・きこえにくい社員も職業生活を継続し、キャリアアップなどを実現していくためは、会社の方針だけでなく、その周辺情報も含め取得し、周りの社員と共有することが不可欠です。しかし、きこえる人が音声情報に頼っているために、きこえない・きこえにくい人に必要な情報の伝達漏れがあったり、きこえない・きこえにくい人の日本語の習得状況などの点から、伝達した情報が正確に理解されなかったりすることがあります。そうしたことを防ぐため、必要な情報が伝わるようにすること、あわせて、伝える際には理解しやすい方法や表現に配慮することが、職場で必要な「情報保障」の考え方といえます。  情報保障を図る際には、各人の障害の状況や情報保障を必要とする場面に応じた手段を選択できるようにすることや、障害の有無にかかわらず、同じ内容の情報を、同一時点で取得できるようにする観点も必要です。これらは、聴覚障害以外の障害のある方、高齢者や外国籍の人などについても同様です。  次ページ以降で、きこえない・きこえにくい人への情報保障の方法・手段などについて、要約筆記、手話通訳、情報機器・ソフト、そのほかの順に紹介します。コミュニケーションの方法と重なる部分もありますが、職場で必要とされる情報伝達(作業上の指示や連絡事項など)及びこれを受けた意見の表示手段の確保という観点から説明します。  基本的な考え方は、第二章と同じです。まず、一人ひとりにとって伝わりやすい、使いやすい方法を基本に、状況に応じた選択・工夫をしていくことです。 デジタル補聴システム 受信機 送信機 2情報保障の方法・手段 1要約筆記 @要約筆記(要約筆記通訳)とは  音声で聞きとった話を要約し、手書きあるいはパソコンなどで文字に書き表して伝える方法で、きこえない・きこえにくい人が講義や研修、会議などに参加する際には、内容を理解するのに必要とされるものです。  特に中途失聴者や難聴者、老人性難聴の場合など、手話を習得するための十分な機会がなかった人たちにとって有効な方法です。  要約筆記は、主に一対複数の場面で、話し手の意図をすばやく要約し、分かりやすく、正確に伝える専門的なコミュニケーション技術であり、要約筆記を行う人の知識及び技能を客観的に判定する「全国統一要約筆記者認定試験」に合格するなどした上で、各都道府県など、各市町村に登録して活動する人を要約筆記者といいます。  要約筆記者を利用する場合、地方自治体などの派遣事業実施団体に依頼します。要約筆記者の派遣も、手話通訳者の派遣と同じ制度の枠組みで実施されていることが多いため、次項「手話通訳」でまとめて説明します。  他方、日常的な就労場面で、外部からの要約筆記者を利用することが効率的でないなどのケースもあります。そうした場合は、同僚などによる要約筆記を用いた情報伝達が現実的な情報保障と考えられます。次に、要約筆記の方法やポイントを紹介しますので、参考にしてください。 A要約筆記の方法  要約筆記の方法には、主に以下のものがあります。いずれの方法においても、きこえない・きこえにくい人の耳の代わりに聞き取り、書き起こすのが要約筆記であり、単なるメモとは異なることを理解する必要があります。本人の日本語の語い力に応じた表現を用いることや、その職場で使われる用語や固有名詞は事前に表現(用語を短縮して表記するなど)を決めておくなどの工夫も重要です。 ●ノート(紙)を使う「ノートテイク」 筆記者がきこえない・きこえにくい人の隣に座ってノートや大きめのメモ用紙にペンなどを使い、書いていく方法です。職場では周囲の人の協力による「ノートテイク」が日常の情報保障の有効な手段となります。 ●パソコン要約筆記 聞き取った内容をすぐにパソコンに入力し、プロジェクターやディスプレイなどに映し出す方法です。きこえない・きこえにくい人が参加する会議や会合などの場合によく使われます。きこえない・きこえにくい人の人数が少なければ(ノートパソコンであれば2〜3人が上限)、パソコンで会議記録をとる人の横から、きこえない・きこえにくい人がパソコン画面を直接見る方法もあります。その職場でよく使われる用語や固有名詞は事前に登録しておくと便利です。 ●OHC(オーバーヘッドカメラ) 机上の用紙などにペンで書いたものを、カメラで撮影しスクリーンなどに拡大して映し出す方法です。手書きのイラストや写真などをそのまま映すこともできます。機種によっては、倍率を変えたり、字と地を白黒反転したりすることも可能です。 2手話通訳 @手話通訳と手話通訳者  手話通訳とは、きこえる人が話す日本語を手話で、きこえない・きこえにくい人に伝え、また逆に、きこえない・きこえにくい人の手話を読み取って、きこえる人に日本語で伝えることです。このようなコミュニケーションの仲立ちをする人が手話通訳者です。手話通訳者は、公的機関(ハローワーク、市役所、警察など)での相談、医療機関での受診・入院時など様々な場面で手話通訳を行っています。企業関係では、採用面接、会議、研修、面談などにおいて、手話通訳が行われています。  手話通訳者には一定以上の手話のスキルと、聴覚障害の特性・福祉制度などに関する知識が必要です。それらを備えた専門家の資格認定制度として手話通訳士があります。手話通訳士以外にも、自治体が実施する手話通訳者養成事業において養成される手話通訳者があります。 A職場における手話通訳  これまで述べてきたように、きこえない・きこえにくい人には手話や要約筆記などによる情報保障が不可欠です。職場においては、情報保障だけでなく、コミュニケーションの促進や人間関係づくりの方法としても手話通訳は重要です。  職場での手話通訳が必要な場面としては、まず、日常的な業務上の指示や相談・報告、会議・研修・ミーティングなどが考えられます。それ以外にも、会社説明会・採用面接など様々な場面が考えられます。  そうした場面での手話通訳を、社内の人材(社員)が行う場合と、外部の手話通訳者を利用して行う場合があります。外部からの利用については、要約筆記者の利用も含め、後ほど紹介しますが、社員が手話通訳を担う場合にも、手話通訳者・要約筆記者の基本的な心構えや活用時の留意点などは参考になります。  情報保護の観点から外部の手話通訳者・要約筆記者の利用に慎重になる企業もあるようですが、手話通訳者・要 2約筆記者には、派遣機関などにおける守秘義務があります。  また手話通訳士の職能団体である日本手話通訳士協会では、「手話通訳士倫理綱領」を定めていますので、次にその一部を紹介します。 ? 私たち手話通訳士は、(略)社会的に正当に評価されるべき専門職として、互いに共同し、広く社会の人々と協同する立場から、ここに倫理綱領を定める。 ? 手話通訳士は、全ての人々の基本的人権を尊重し、これを擁護する。 ? 手話通訳士は、職務上知りえた聴覚障害者及び関係者についての情報を、その意に反して第三者に提供しない。 要約筆記者についても、全国要約筆記問題研究会が同様の「要約筆記者の倫理綱領」を定めています。 B 手話通訳者・要約筆記者の利用について  市町村などの障害福祉担当課や、事業の委託を受けた団体などが手話通訳者・要約筆記者の派遣を行っていますので、派遣の依頼や相談は市町村や各都道府県にある聴覚障害者情報提供施設などに問い合わせてください(巻末の資料編参照)。  JEEDでは、企業が障害者を雇用する際に手話通訳者・要約筆記者を配置または委嘱した場合などに、その費用を一部助成しています(障害者介助など助成金(126ページ参照))。助成には一定の要件と審査があります。相談窓口はJEEDの各都道府県支部です(131?132ページ参照)。 C手話に関する資格・検定制度 手話通訳士は厚生労働大臣が認定した「社会福祉法人聴力障害者情報文化センター」が実施している手話通訳技能認定試験に合格し、同センターに登録した人です。 手話通訳者は、一般的には、自治体が実施する手話講習会を修了し、手話通訳者全国統一試験(社会福祉法人全国手話研修センターが実施)に合格し、自治体に登録した人です。そのほかには、自治体が養成する「手話奉仕員」(きこえない・きこえにくい人と活動をともにするボランティア)がいるほか、全国手話研修センターが実施する全国手話検定試験(受験者が自身の知識やスキルの確認、向上などを目指す)に向けた学習を通じ、手話を学んでいる人もいます。 Check 要約筆記のポイント  要約筆記の3原則は「速く」「正しく」「読みやすく」といわれています。 ? 速く書くための工夫 ? 漢字を略字とする。2文字のうち一方は仮名書きにする 働→仂、機→木、業務→業ム 口座→口ザ ? 前もって略語・略号を決めておく コミュニケーション→コミ ? 団体名などは略称を使う 高齢・障害・求職者雇用支援機構→JEED ? 正しく書く ? 主観を入れずに話を聞き取り、要点をつかむ ? 話の主旨をつかみ、主語・述語を捉える(必要な場合は補足する) ? 分からないことは基本的に書かない。どうしても書き残す必要がある場合は、その部分に目印(例えば「?」)をつけておいて、後で確認して伝える ? 数字、人名、地名などは正確に聞き取る。漢字が分からないときはカタカナで書く ? 分かりやすく(読みやすく)書く ? 読みやすい文字で、少し大きな字を心がける ? 縦書き、横書きは書きやすい方を選ぶ ? 行間をあけ、改行、分かち書きなどを使い、文章を見やすくする ?文章を中途半端に終わらせず、完結させる ? 句読点、常用漢字、送り仮名など日本語の表記の約束を守る そのほかにも、以下のような点に配慮します。 ? 重要でない語や句の一部を省略する ?短い表現に置き換える ? 2つ以上の文を1つにまとめる ? 似ている表現部分を削除する  削除できるもの: 前置き、繰り返し、つなぎの言葉、言い換え、修飾語 など  削除できないもの: 意見、主張、結論、まとめ など Check 利用に当たって(派遣料・派遣人数・時間の目安、依頼時の留意事項) ? 手話通訳・要約筆記の派遣料(交通費など)  派遣時間は、時間単位または半日、1日などの単位で定められ、派遣料はその時間数に応じていることが多いようです。地域によって異なりますので、市町村や聴覚障害者情報提供施設などにお問い合わせください。 ? 派遣人数  手話通訳も要約筆記も集中力を必要としますので、同じ人が続けて対応できるのは15分から20分程度とされています。したがって、方式(会話を断続的に通訳するのか、講師の話を連続して通訳するのかなど)や、時間により必要とされる人数が異なります。  手話通訳の場合、採用面接のような個別面談方式で、比較的短時間での手話通訳であれば1名でよいケースもありますが、講演形式や、通訳時間が1時間を超える面接などでは2名、4時間を超える場合には3名が必要な場合もあります。  要約筆記の場合、全体投影とノートテイクがあります。全体投影は、大会場などで音声に合わせて内容を要約した文字をスクリーンに投影する方法で、ノートテイクは、きこえない・きこえにくい人の隣に座り、音声を文字にして伝えるものです。  全体投影には、手書き入力とパソコン入力があります。筆記者の人数は、一般的には、4時間以内であれば手書き・パソコンのいずれも3〜4名、4時間を超えると、手書き5名、パソコン6名が必要です。ノートテイクの場合、一般的には、4時間以内であれば2名、4時間を超えると3名が必要な場合もあります。いずれも派遣機関と相談いただくことが必要です。 ? 依頼時の留意事項 ? 手話通訳者も要約筆記者も、十分な時間的余裕をもって依頼します。 ? 依頼内容(日時、場所、目的、当日の流れなど)は明確に伝え、事前の打合せをします。 必要な物品など(机・イス、機器など)を確認し、余裕をもって準備します。 ? 資料がある場合は、可能な範囲で事前に提供します。 ? 当日は機材の確認や関係者との打合せが必要です。そのための時間を確保します。 なお、手話通訳者も要約筆記者も守秘義務が課せられ、通常、業務終了後に資料・メモなどは返却されますが、利用企業側でも回収・保存・破棄などを確実に行ってください。 Check 会議・研修でのポイント (手話通訳者の派遣を受けた場合と社内人材による手話通訳の共通ポイント) ? 手話通訳者が視野に入る位置にきこえない・きこえにくい人の席を設ける  手話通訳者の位置は、会議のように発言者が特定できない場合は、きこえない・きこえにくい人の席を、出席者全員と手話通訳者が無理なく視野に入る位置に設けると、自然な形で通訳を利用することができます。研修や講演会のように話し手の位置が固定している場合は、手話通訳者と講師などが視界に入り、手話の読み取りやすい距離に設定します。 ?無理なく手話通訳ができるペースで進行する  会議の場では「手話通訳者がいるから大丈夫」とは一概にはいえません。会議の進行がきこえる人のペースになってしまい、内容が理解できないこともあります。また、きこえない・きこえにくい人が発言をしたいときにもタイミングを逃してしまい、思うように意見がいえない場合もあることに配慮する必要があります。 ? 発言する際にはまず挙手をし、名前をいってから発言することを呼びかける  会議の場では同時発言を避け、挙手をしてから発言するよう出席者に協力を呼びかけます。また、議論が白熱してくると手話通訳がついていけない場合も多いので、司会者または会議の運営にあたる人は出席者に注意を促す必要もあります。 ? 事前に議事内容や資料を配付する  きこえない・きこえにくい人は、会議中ずっと視線を手話通訳者のほうへ向けていて、手元の資料に目を通しながら発言を聞いたり、メモをとったりすることが困難なため、事前に議事内容や資料を配付しておきます。これは手話通訳者にとっても同様で、事前に内容を把握することによって、より確実な通訳が可能になります。 (社内人材による手話通訳の場合のポイント) ? 手話通訳に専念する人を手配する  会議などにおいて、出席者が手話通訳も兼ねると、その人の参加が困難となります。基本的には、手話通訳の担当者を別途に手配することが必要です。また、長時間にわたる場合は、2名以上で交替しながら通訳できる態勢が必要です。 ? できるだけ議事録などを作成  会議の後は、議事録を作成して配付すれば、きこえない・きこえにくい人だけでなく、出席者全員が内容の確認をすることが可能になります。 ? きこえない・きこえにくい人の発言の機会を保障  一方的な情報の伝達にとどまらず、きこえない・きこえにくい人からの発言を保障することにより、不明点が解消され、情報伝達の正確性が高まることも期待され、確実な情報保障につながります。コロナ禍で一層活用の進んだWeb会議システムなどにおいても、発言をチャット機能で文字化することにより双方向性が確保されます。 3情報機器・ソフト @情報機器とアプリ  ICT(情報通信技術)をはじめとする、各種機器やアプリケーション・ソフト(アプリ)などの進歩には目覚ましいものがあり、障害者の就労場面でも活用されています。  ここでは、きこえない・きこえにくい人の就労場面で活用されている機器などについて、情報機器などを中心に紹介します。主なものを一覧にまとめたものが46ページの表です。Aでは表に沿って紹介します。  なお、コミュニケーションの方法と同様、どの機器やアプリがよいかは個人や職場環境などによって異なります。使いやすさや有効性、コストなどを考慮して活用しましょう。 A種類と機能  コミュニケーションのための支援機器として、情報通信機器などに関連するものがあります。まずは、スマートフォン(以下「スマホ」という)・タブレットなどの情報端末です。これらは、様々なアプリを組み込むことで、通話(音声・ビデオ)をはじめ、電子メールやSNS、音声認識・文字変換などの様々な機能を持つことが可能になります。きこえない・きこえにくい人も、カメラ機能を活用した手話での会話やメール、SNSなどを活用してコミュニケーションをとっています。通信関連のものとしては、FAX、電話着信確認器や難聴者用電話機などもあります。  通信関連以外にも様々なものがあります。補聴システムは、補聴器や人工内耳の機能を補助するもので、会議や研修などにおいて、ヒアリングループ、会議用拡聴器などを設置することで、より聞き取りやすい「音」で伝えるものです。  音声認識アプリは、日本語の音声を文字に変換し、スマホやパソコンの画面に表示するものです。近年はAI(人工知能)などの活用により、変換の正確さが向上しており、スマホで使用する人が多くなっています。また、変換結果の記録やほかの機器・アプリとの連動などの機能拡張が進んでいます。 また、筆談のところで触れましたが、筆談支援機器もよく使われています。コミュニケーションボードなどとも呼ばれ、銀行や市役所などの窓口に備えられていることもあります。紙と違い何回も書いたり消したりできるもので、磁気式、ホワイトボード式、電子式(電子パッド)などがあります。比較的安価で、ポータブルで使いやすいので、導入が容易なツールです。  そのほか、社内連絡や緊急時通報のための文字表示器、光や振動による信号装置、振動付腕時計などもあります。 きこえない・きこえにくい人一人ひとりのニーズに応じて必要な機器などを整備し、コミュニケーションを図る方策を講ずることは、合理的配慮の提供、情報保障の観点だけでなく、仕事の幅を広げていくためにも有効です。 B機器などの情報を得る方法  既に様々な機器やソフトがあり、順次改良されてきています。また、新たに開発されたものも増えています。それら全てを把握し、活用することは簡単ではありませんので、JEEDの運営する就労支援機器などに関するサイトを確認する、就労支援機器貸出・相談窓口(東京)(※)に相談するといった方法があります。就労支援機器貸出・相談窓口では、専門家が機器などの活用に関する相談・助言や、機器の導入をお考えの事業所などに機器の無料貸出を行っています(135ページ参照)。また、ユーザーの情報が有用な場合もあるため、障害のある当事者から情報収集するのも有効です。本マニュアルの作成にあたり取材した人からは、機器などに詳しい障害のある友人や、当事者団体(地域のろうあ協会)に相談すると、新製品や使い勝手の情報が得られるとの話がありました。 ※ 令和7年3月まで「中央障害者雇用情報センター」の名称でサービスを提供しています。 Check 携帯電話などの活用 ? 携帯電話・スマホ・タブレットなどの情報機器  携帯電話やスマホは、携行に便利な文字通信機器として、きこえない・きこえにくい人の重要なツールとなっています。特に着信を振動で知らせるバイブレーター機能は、着信が分かり、必要なときにすぐ連絡が取れるので、急ぎの場合で確実に連絡を取りたいときに使われています。  また、スマホやタブレットは、機器の高性能化と様々なソフト(アプリ)の開発により、多様な機能をこなすことが可能になっており、通信だけでなく、情報処理・業務処理のツールとなっています。例えば、音声認識・文字変換アプリにより音声での発言を即座に文字化することで、きこえない・きこえにくい人に伝えることが可能になっています。 ? 電子メール・SNS  電子メールやSNSは、業務の指示・伝達などに積極的に活用することによって、きこえない・きこえにくい人の担当業務の範囲を広げ、コミュニケーションを促進する上で大きな効果を発揮しています。また、機能の拡充により、画像や動画のやり取り、複数のユーザーでの情報共有や意見交換がスムーズに行えるようになるなど、きこえない・きこえにくい人の就労に役立っています。 Check 情報セキュリティと情報リテラシーについて  スマホやパソコンなどが高性能になり、また、インターネットでの情報取得・発信が頻繁に行われる状況になっています。個人情報や業務上知りえた情報の保護、不適切な情報発信によるトラブル防止など、情報セキュリティに関する社員の理解や取扱いルールの遵守が必要とされています。また、入手した情報の信ぴょう性などを慎重に確認するなどの情報リテラシーへの理解も求められています。  きこえない・きこえにくい人の場合にも情報セキュリティや情報リテラシーについての理解を深め、トラブルを防止するための配慮が必要です。具体的には、必要性やどのようなリスクがあるかを、分かりやすい資料にまとめて伝える、ルールもできるだけシンプルなものとし、配付するとよいでしょう。 事例 情報共有システムの活用  当社は、現場での工事が主のため、日によって就業場所・工事内容などが異なります。そのため、情報共有システムを導入し、就業場所などの情報を逐次掲載し、社員は各自の端末で確認し、対応しています。工事完了の記録や報告もシステムで行うこととしており、きこえない・きこえにくい社員もシステムを活用することで支障はありません。 (E社) Web会議システムの活用  コロナ禍への対応もあり、当社では在宅勤務を進めました。在宅勤務者も交えて会議やミーティングが必要なため、Web会議システムを導入し、きこえない・きこえにくい社員への配慮(情報保障)として、音声の文字起こし(字幕作成)機能を活用しています。字幕は保存ができるため、議事録作成もスムーズになり、業務効率化にもつながりました。 (F社) 機器・アプリの活用によりコミュニケーションを図り、テレワークも実現  機械メーカーで、聴覚障害のある社員が複数名就労しています。聴覚障害のある社員全員にコミュニケーションボードを支給し、意思疎通を図っています。そのほかにも、聴覚障害者が所属する部署ではスマホで音声認識アプリを利用することで意思疎通を図っています。また、事務部門では約半数の社員が在宅でのテレワークになっています。そのため、Web上での打合せや会議が日常的に行われています。その際の情報保障として、音声文字化機能や議事録作成機能などを活用することで聴覚障害のある社員も支障なく参加しています。 (G社) 4その他 きこえない・きこえにくい人とのコミュニケーションを図る上で利用可能なほかのサービスを紹介します。 ? 遠隔手話通訳サービスと 電話リレーサービス 両サービスとも意思疎通の円滑化、情報保障に関連するサービスです。 ●遠隔手話通訳サービス 遠隔手話通訳サービスとは、スマートフォンやタブレット端末を利用して、離れた場所の手話通訳者による手話通訳を受けることができるサービスです。 「障害者総合支援法」に基づく「地域生活支援事業」における「意思疎通支援(コミュニケーション支援)事業」として全国の市町村が主体となり実施するものと、民間企業が主体となりサービスを提供しているものがあります。 前者は、行政機関や学校、病院などの利用に際し、手話通訳者の同行が困難な場合などにおいて、当事者や当該機関などからの申請に基づき実施されるものです。後者は、遠隔手話サービスの利用ニーズのある企業など(以下「利用企業」という)が予め遠隔手話通訳サービスの提供企業と契約を行い、利用企業にきこえない・きこえにくい人が訪れた際に当該サービスが利用できるようにしておくものです。令和6年度から、事業者による障害のある方への合理的配慮が義務化されたことにより、利用企業が増えてきています。 企業の活用例としては、採用面接の際に、遠隔手話通訳サービスを活用したオンライン面接を行う、手話での対応が必要な顧客の来店時に、同サービスを利用し接客を行うといったことが考えられます。 ●電話リレーサービス 電話リレーサービスは、聴覚や発話に困難のある方(きこえない・きこえにくい人)と、きこえる人(聴覚障害者等以外の人)との会話を通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」を通訳することにより、電話で即時双方向につながることができる、法律に基づいた公共インフラとしてのサービスです。総務大臣が指定する電話リレーサービス提供機関「一般財団法人日本財団電話リレーサービス」が同サービスを提供しています。 就労場面での活用例としては、きこえない・きこえにくい社員が社外の相手に急ぎの用件で連絡する際に、きこえる同僚に頼らずに自分で電話をして仕事をすることができます。これにより、きこえない・きこえにくい社員が同僚に気兼ねすることなく仕事を進めることができます。また、きこえない・きこえにくい社員の職域の拡大にもつながります。 第4章 採用・配置、受入れ態勢 1採用面接時の配慮 必要な配慮は丁寧に確認を このストーリーの主人公 望月翔太さん(19歳) ジード電気「生産課第1チーム」所属 新入社員生後まもなく失聴(障害等級二級) 採用前の面接 望月ですよろしくお願いします 手話通訳者 望月さんは自分の障害のことをまとめた就労パスポートを作ってきたのでこちらも使って面接をお願いします 職業能力開発指導員 わかりました障害者職業能力開発校ではどのようなことを学んでいますか? 電子技術について学んでおり特に、電子機器の組立に興味があります 弊社では生産課で電子機器の組立を行っています ぜひやってみたいです 生産課ではほかにどんな仕事がありますか 電子基盤の図面の作成やプログラミングの仕事もあります 働く上で準備してほしいものなどありますか 就労パスポートにも書いているように私は口の動きを読み取れますが 大事なことは文字で教えてくれるとありがたいです 手話通訳は必要ありませんか? 今日のような面接や研修のときには派遣してほしいです 望月さんは就労パスポートに書いてある内容について 一緒に働く皆さんにも知っておいてもらいたいと考えています よろしくお願いします 面接の結果は後日連絡します 面接後の採用決定会議 望月さんを採用するに当たって就労パスポートにも書いてある音声認識ソフトや筆談ボードの導入を考える必要がありますが 工場で使えそうですか? 生産課第1チーム松本主任 工場内は音が大きいので筆談ボードの方がよいと思います 音声認識ソフトはもう少し勉強してみないとわかりませんが会議や研修で使えるようにした方がいいでしょうね なるほど場面によって使い分けるのですね One Point 採用面接時の配慮  採用選考においては、個々の障害特性に応じた合理的配慮の提供が必要です。採用後の担当業務を決めたり、企業による支援や環境整備を行うためには、本人の同意を得た上で必要な情報を収集・確認しておく必要があります。 ? きこえない・きこえにくい人の採用面接時や会社説明会での配慮事例 ? 口話、手話、筆談など、どのような方法での面接を希望するか、予め確認しておく。 ? 説明事項を板書する(書面で渡す)。その際は複雑な表現を避け、簡潔な文章にする。 ? 説明動画を使用する場合は、内容が分かるように映像に字幕をつける。 ? 説明会会場では本人に席の配置の希望があるかを確認する。 ? 手話通訳者を配置する。手話通訳の席は面接者と並ぶ位置に置き、手の動きが本人によく見えるようにする。 ? 口話を希望する人には、口の動きが本人によく見えるように顔を正面に向けて、ゆっくりと、口を大きくあける。 ? 筆談を希望する人には、筆談対応のスタッフを配置する。筆談用の用紙や筆記具、筆談支援機器などを準備しておく。 ? 会話を文字で表示できる就労支援機器を活用する。 One Point 就労パスポートとは 障害者本人が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、事業主に配慮を希望することなどを支援機関と一緒に整理し、職場や支援機関と円滑に情報を共有することにより、自分に合った支援を活用して職場定着を図ることができるように、厚生労働省が作成したフォーマットです。就労パスポートを作成していない方や、作成していても職場への提出や情報共有を希望しない方もいるため、採用選考時の必須提出書類ではないことに留意してください。また、就労パスポートの提出や記載されている情報量などが採用の可否に影響することのないよう注意が必要です。障害についての情報は、「個人情報の保護に関する法律」において「要配慮個人情報」と位置づけられており、その取扱いに特に配慮が必要となります。 ? 就労パスポート以外に任意の様式で作成している方もあり、その名称も自己紹介書、ナビゲーションブックなど様々です。 (厚生労働省 就労パスポート 事業主向け活用ガイドラインP.1参照) 2職場配置の配慮・受入れ態勢  企業内のきこえない・きこえにくい人の人数にもよりますが、きこえない・きこえにくい人を一つの部署にまとめて配置しているケースもあれば、各部署に分散させて配置しているケースもあります。  一つの部署にまとめて配置しているケースについては、情報提供の仕方を一元化しやすく、効率よく情報保障できるメリットがあります。しかし、きこえない・きこえにくい人同士だから人間関係がうまくいくとは限らず、中にはきこえない・きこえにくい人同士のコミュニティにストレスを感じて仕事に支障を来してしまうケースもあります。 各部署に分散させて配置しているケースについては、各部署の担当者の目が届きやすいというメリットがあります。しかし、担当者が単純に配慮を失念していたような状況でも、遠慮がちな人の場合、過去に伝えた同じ要望を再度伝えることができず、必要な情報保障を気にかけてもらえない孤立感から、職場不適応の状態になってしまうことがあります。  どちらの場合であっても、本人の能力や適性に応じた職務への配置が基本であり、企業担当者ときこえない・きこえにくい人が職場環境を定期的に振り返る機会を持ち、情報保障などの配慮が維持されることが重要です。 職場適応を左右する大きな要因の一つとして「人間関係」があります。良好な人間関係を形成するには、障害特性に応じた丁寧な相談・指導を行うことが重要です。 障害者を5人以上雇用する事業所においては、「障害者雇用促進法」の規定に基づき、厚生労働省が定める資格を有する社員の中から、障害者の職業生活全般にわたる相談・指導を行う障害者職業生活相談員を選任することが義務づけられています。「障害者職業生活相談員資格認定講習」を受講し修了することにより、その資格を取得することもできます。  また、企業在籍型職場適応援助者(企業在籍型ジョブコーチ)を障害者の働く職場に配置しているケースもあります。 きこえない・きこえにくい人の雇用管理や職場定着に当たっては、手話通訳・要約筆記など担当者の企業内の育成や派遣が有効な場合があり、その配置・委嘱には助成金が支給される場合があります。  きこえない・きこえにくい人の職場適応をめぐる問題は様々であるため、企業だけで対応することに悩まれる場合には、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関を活用し、連携して対応していくことが重要です。 One Point ジョブコーチ  障害者が円滑に職場に適応することができるように、支援計画に基づいて定期的に事業所を訪問し、障害者及び事業主に対して、障害特性を踏まえた専門的な支援を行います。国のジョブコーチ支援制度においては、@配置型ジョブコーチ(地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ)、A訪問型ジョブコーチ(就労支援を行っている社会福祉法人などに所属するジョブコーチ)、B企業在籍型ジョブコーチ(障害者を雇用する企業に所属するジョブコーチ)の3種類があります。 Check 受入れ時のチェックポイント(例) ? 本人の「聞こえ」の状況を正しく把握する  「聞こえ」の状況は一人ひとり異なります。何よりも大切なのはコミュニケーションです。まず、本人に確認して情報を得てください。本人が就労パスポートなどを作成している場合は、職場で共有を希望する内容を確認してください。確認のポイントは次のとおりです。 ? 障害の程度・等級(目安として捉える) ? 聞こえの状況(具体的に) 〈例〉?1対1の会話は大丈夫ですか? ?複数人での会話は難しいですか? ?左右の聞こえ方はどうですか? ?電話業務は避けたほうがよいですか? ? 補聴器を使用したときの聞こえ方はどうですか? ? 聴力の変化 ? 口話、手話、筆談など、コミュニケーションの方法 〈例〉? どの位の速さで話すとよいですか? ?複雑な話は筆談の方がよいですか? ? グループでの会話はどのような方法がよいですか? ? 平衡感覚への影響 ?本人の「聞こえ」の特徴を理解する ? 体調、天気や環境で「聞こえ」が変化することがあるので確認すること。 〈例〉? 疲労がたまってくると聞こえにくくなる ? 雨が降ると音が沈んで聞き取りにくくなる ? 台風のとき、気圧の変化で耳鳴りがする ? 静かな場所では言葉が聞き取れても、雑音が入る場所や複数の会話では聞き取りにくくなる ? 口話の場合、唇を読み取るためには、相当な集中力を必要とするので非常に神経が疲れる。また、マスクをしている話者の唇の動きは読み取れないことにも留意すること。 ? 情報収集、応接、会議、対人関係などに苦手意識を持っている場合もあるため、本人の状況に気を配ること。 ? 職場の規則、ルール、マナーを分かりやすく説明する ? 勤務時間、休憩・休暇の取り方 ? 緊急の場合の連絡方法 ? ロッカーなどの利用方法 ? 職場の特別なルールなどがあれば、忘れずに説明すること(当番などがある場合は、情報としてはっきり伝える)。 ? 非常時の連絡方法や避難ルートについて説明し、一緒に場所を確認しておくこと(BCP(事業継続計画)なども改めて確認しておくこと)。 ? 企業における職場の役割や他部署との関係などについて十分に説明する  自分の働く職場が、企業の中でどのような役割を持ち、仕事の流れはどうなっているのか、その中で自分の担当業務はどの部分であるか、周囲の人々の役割分担も含め、丁寧に説明しましょう。 ? 1人ひとりの特性、能力に配慮して、業務分担を検討する ? 作業指導担当者及び職業生活に関する相談を行う担当者を決めておく 3職場のルールとマナー  きこえない・きこえにくい人の中には、基本的な社会のルールを十分身につけることができなかったり、相手の感情や気持ちをくみ取ることが不得手な人もあり、周囲から自己中心的と受け取られる言動を取ってしまうこともあります。  まずは、きこえない・きこえにくい人の以下のような背景を理解することが必要です。 ? きこえる人との対人関係や社会参加の経験が乏しい人もいる ? 「きこえない・きこえにくい」ことにより、「相手の言葉の微妙なニュアンスなどで、言葉に込められた意図を推し量る」「周囲から聞こえてくる会話などから、場の空気を読む」などが難しい ? 周囲から「分かりましたか」と念を押される機会が多く、自分のために時間を割いてもらうことを心苦しく思い、完全に理解していないときでも「分かりました」と答えてしまう場合もある  その上で、社内の規則に関することや職場のマナーとして身につけてほしい事柄について、はっきり伝えていくことが大事です。 Check 基本的なルール・マナーの例 ? 挨拶は自分から行う。 ? 遅刻、欠勤の際は、始業時間の前に会社に連絡を入れる。 ? 自分から進んで周囲に意思表示や連絡をする(分からないことや困ったことがあるとき、長時間席を離れるときなど)。 ? 上司や部下、正社員とパート、嘱託職員など、組織上の関係や役割があることを理解する(場合によっては、自分より若い人や、後から入社した人に指示を受ける場合もあるなど)。その上で、自分や相手の立場を踏まえた言動をとる。 ? 業務以外の明文化されていない役割分担(給湯、机を拭く当番など)や場面に相応しい服装などがあることを理解する。 職場のルールとマナー 配属初日 ジード電気に採用され導入研修を終えた望月翔太さんは「生産課第1チーム」に配属されました 生産課第1チーム 今日の準備をしっかりしておこう そろそろ作業開始だ! おはようございます 四日目 望月さんいつも準備してくれないよな ドアを開ける音や足音も気になる んっなんかまずいムードだなぁ さぁ、ゴールデンウィークも近いしラインはフル稼働だ! 忙しいが皆頑張ってくれ! 松本主任望月さんの様子はどうですか? 頑張って仕事を覚えようとしていますよただ…いつもギリギリに来て準備もしないと皆、言っています ほかの人は何も言わなくても準備してくれています本人も気付いてくれるとよいのですが… いやハローワークの森さんから聞いたのだが… 聴覚障害があると情報や経験が不足しているために社会のルールを十分に知らなかったり相手の考え方や気持ちを理解できなくて自己中心的に見える行動をとってしまう人もいるそうだよ でもそれは、その人だけの責任ではないんだ…周りの雰囲気を察することが苦手な傾向があるからマナーの問題は本人にどう伝えるか難しい面もあるけど会社の規則や職場のマナーなど明文化されていないルールについてははっきり伝えるべきだと思うな お先に失礼します この繁忙期に そして五日目の朝 もう十時ですが望月さんは? 九時過ぎに遅れるって家族から連絡があったらしい おはようございます… どうしましたか?望月さん元気がないようですが… すみませんもう大丈夫ですから 初めての仕事で少し張り切り過ぎたようです 慣れないことばかりで大変だろうが身体は十分気をつけないとね 朝、遅刻しそうなので連絡したかったんですがどうしたらいいかわからなくて… そうだね連絡方法を決めていなかったねメッセージアプリは使っているかい? はい 遅刻や欠勤のときは私か松本主任のメッセージアプリに連絡してください会社が始まる五?十分前までにはしっかり連絡すること そのほかの規則やルールも、このメモにまとめておいたので確認してほしいわからないことや変更がある場合はそのつど松本主任と話し合うように 例えばラインが動き始めるのは九時十五分頃だけど皆、その前に準備をしているこれもこの職場のマナーの一つですね そうだったんですか!面接時に準備や片付けの説明がなかったので準備や片付けは自分の仕事ではないと思っていました 皆が力を合わせて仕事をして初めてジード電気の製品は完成するそのためには、望月さんもしっかり職場の規則やマナーを身につけていってほしい! はいわかりました! 翌月曜日の朝 ほうやってるやってる 望月さんが安心して働けるようにするにはまだまだテーマがあるだろうが一つひとつ取り組んでいこう! One Point 職場のマナーを伝えるポイント ? 「暗黙の了解で、そのうち察してくれるだろう」ではなく、本人にはっきりと伝える。 ? 一方的にルールやマナーを伝えるだけではなく、その意味を確実に理解してもらえるように説明する。 ? 本人に直接関係することに限らず、職場の中の役割分担や指示命令の流れなど、職場全体のことを幅広く伝える。 ? 本人の事情も十分に把握した上で、ときには個別にルールを決める。 〈例〉? 遅刻や欠勤の際の連絡について、携帯メールやFAX 、家族による連絡など、生活環境や家庭環境を確認した上で決める。 ? 「ドアの開け閉めの際、大きな音を立てない」「廊下は静かに歩く」などのような音に対するエチケットも1つひとつ丁寧に伝える。 4一人ひとりに応じた作業指導・訓練  指導・教育するときは、「本人に理解できるように教える」「本人の理解の進捗に合わせて一歩ずつ進める」といったきめ細かい取組が基本です。  入社時の初期教育訓練の段階では、きこえる社員と一緒に行ったほうがよいようです。この段階では、仕事の具体的な内容よりは、職業人としての心構えや企業人として習得すべき必要な内容を一般的に教育することが多く、入社までの間に獲得してきた知識をもとにした理解が可能であるからです。  その場合、講義形式が多いと思われますので、手話通訳や要約筆記などが必要です。  このような方法で、きこえない・きこえにくい社員ときこえる社員が一緒に教育訓練を受けることは、きこえる社員にとっても、きこえない・きこえにくいということを理解する上で効果があります。  グループディスカッションなどを実施する場合は、同じグループの中で情報保障をする必要があり、障害特性への理解がさらに深まる場合もあります(研修内容によっては、手話通訳者などの配置も必要です)。  一定期間の集団指導を行った後の具体的な作業指導や専門指導は、理解の進捗や指導方法の違いから、きこえる社員とは別に行ったほうが効果は高いようです。 教育方法は、実際の作業を通したマンツーマン方式による教育訓練(OJT)が有効です。その際には、手話や筆談による個別指導が有効であることから、必然的にきこえる社員とは別に行うことになります。障害者を各職場に配置し、その作業グループの指導者がマンツーマンで専門に指導します。  先輩社員がパートナーとなる「アドバイザー制度」や「チューター制度」を設けている企業もあります。この基本もマンツーマンです。自社に合った方式を工夫してみてください。   このように、一人ひとりに教えるのはマンツーマンが適していますが、企業全体で、きこえない・きこえにくい社員の教育を推進するためには、複数の部署が連携して取り組む組織的な対応も必要となります。  入社時の教育訓練に当たっては、きこえる社員に対して、きこえない・きこえにくいということの特性の理解、コミュニケーションのとり方などについての教育も重要です。  理解が十分でないと、誤解が生じたり、人間関係がうまくいかないことにもつながりかねないため、きこえる社員に対し、十分な教育を行うことが望まれます。 1人ひとりに応じた作業指導・訓練 ある日の午後 望月さんこれでは製品にならないよ!! この箱の中のものは全部ちゃんと部品が付いていなかったよ!! どうしたんですか? あっ松本主任困りますよこれ! ミーティング これは望月さんだけの責任じゃないチーム全体の問題として話し合う必要があると思う ……あのーこれ実は私の責任なんです 望月さんに聞かれたとき忙しかったのであやふやに「いいんじゃない」って答えてしまったんですあのとき、ちゃんと確認していれば… ここはこれでいいですか? ん?いいんじゃない… 今まで望月さんには専任の作業指導者を付けてこなかったけどこれからは瀬戸さんが望月さんと組んでマンツーマンで作業指導をしてくれないか? 第1チームの仕事は第1チームの皆の責任だ! 瀬戸さんの分の仕事は、全員でカバーすればいいんだから! よーし望月さんこれからは一緒に基礎から学んでいこう! はい! 翌日から @ハンディーボードに書いて説明 青い部品は右赤い部品は下に付けるんだよわかった? はい! Aやり方を示し一人でやってもらい確認 ここはこうやるんだやってみて! はい! B不具合品のサンプルを実際に並べて説明 この部品は左に付けるとすぐに取れてしまうんだ! なるほど! One Point 教育訓練のポイント ? きこえない・きこえにくいということの特性をよく理解し、相手の立場に立って、相手の理解の進捗に合わせる。 ? なぜ、このことが必要なのか納得できるように伝える。 ? 易しいことから、順次難しいことに進む。 ? 同時にたくさんのことを教えずに、1回に1つのことを教える。 ? 根気よく、何回も繰り返す。 ? 図で示したり、動画やスライドを使用する。 第5章 定着支援、スキルアップとキャリアアップ 1職場でのコミュニケーション  表1は、障害のある方が感じている合理的配慮の必要性について、障害別、配慮項目別に調査・比較したものです。きこえない・きこえにくい人(表1では「聴覚言語機能」と表記)は、「コミュニケーション」、「定期的な相談」、「能力発揮できる仕事」、「業務遂行の支援や助言者の配置」に関連する項目(赤枠)の配慮を必要としていることが分かります。また、この研究では配慮の十分さも調査しており、きこえない・きこえにくい人は、多くの配慮を必要としているものの、その配慮が十分に受けられていないと考えられる項目が、ほかの障害と比べて多いという結果も示されています。きこえない・きこえにくい人はコミュニケーションの配慮を必要としているにもかかわらず、職場で十分な配慮が得られていないと感じている実態があるといえます。  表2、表3は一般財団法人全日本ろうあ連盟が実施した「第2回聴覚障害者の差別事例と合理的配慮事例アンケート」の結果を分析した表の一部です。表2の「就労場面における差別的内容」のグラフでは、「会議や研修で手話通訳などの情報保障なし(全回答者の30・2%)」、「職場でのコミュニケーション上の配慮なし(全回答者の27・8%)」が上位に挙がっています。表3の「就労場面における配慮内容」のグラフでは、同じく「情報保障」、「コミュニケーション上の配慮」が上位ですが、配慮を受けたと回答した人の割合は一番上位の項目でも全回答者の4・4%にとどまっています。改正された障害者雇用促進法が、2016年4月に施行されてまもない時期のアンケートですが、こちらの結果からも、情報保障やコミュニケーション上の配慮が十分に得られていないと感じている人が少なくない状況であったことが窺えます。  次ページから、きこえない・きこえにくい人ときこえる人との間で生じやすい、職場でのコミュニケーションの行き違いの事例を三つ紹介します。 1相互の確認不足の事例 コミュニケーションの基本は確認から このストーリーの主人公 木村美雪さん(40歳) ジード食品総務部人事課勤務 転職してまもない中途失聴(障害等級三級) はい人事課の小泉です!あっ八島係長! あぁ、小泉さんか明後日の会議が急に明日になったので頼んでおいた資料を今日中に作っておくように木村さんに伝えてくれる? それから私の机の上のファイルも木村さんに渡しておいてくれる? はいわかりました 木村さん出張先の八島係長から電話で、このファイルを木村さんに渡すようにって… それから明後日の会議が明日になったので 例の資料を今日中に作成しておくようにって あぁ、これがあのファイルで……!?ここに書いてもらえますか? じゃあ木村さんよろしくお願いします すぐ行きます課長! えっ!はっはい… 資料をどうすればいいの!? 明日係長に聞こう… 翌日の朝 えー?資料できてないの!?昨日ちゃんと伝言しておいたんだけど… 私聞いてませんけど… 小泉さん昨日、木村さんに伝言してくれなかったの? すぐに伝えましたけど… でも木村さんは聞いてないっていってるよ! えーっそんなぁ…! …なるほど小泉さんも木村さんも内容が伝わったかどうかきちんと確認すべきだったね 特に大事な業務連絡はメモを利用するようにした方がいいですね ごめんなさいわかったと思い込んでしまって… 私もわかるまでちゃんと聞き返せばよかったんです 私も携帯からメールを送ってしっかり確認すべきでした そう、皆お互いにしっかり確認し合うことが大切だね 2情報提供が不足している職場環境の事例 コミュニケーションの壁をなくすには この書類は今年から新しい書式になったと言いましたよね! ちゃんと話を聞いてないからこういうミスをするんだよ! 私も気をつけなくちゃ… 数時間後のこと 課長書類ができました ムッ!なんだこれは! また同じミスをしているよ! 書き直してくるように! 同じミスってどういうことかしら? どうして? 木村さん… ごめんなさいさっき… この会社もやっぱり… 前の会社では私は中途失聴なので発音が明瞭ということで実際より、よくきこえると思われていた えーっうっそー! ねぇ木村さんもそう思わない? きこえないことわからないことがきちんと理解してもらえず情報センターに配置転換になってしまった わーっわからない!どうしよう! はーいどうぞ! 失礼しま…あっ森さん!? あら、木村さんあなたの様子が気になって今日は定期訪問に来たのよ 木村さんごめん… あら桜井さん?! 二人ともどうしたんですか?入ってください はい失礼します さっきはごめんなさいあの書類は書式が変わったのよ 少し前に山田さんが同じミスで課長に怒られたときに教えてあげるべきだったの くらペアで仕事を教える役目でも同僚が怒られていることまでは伝えにくいわよね はい何だか告げ口しているみたいで… そういえばこんなこともありました 何をやっているのかしら? 二千円でいいかしら? 私も二千円… さっき、何のお金を集めていたの? あっ知らなかったんだ!経理部の藤井さんのお母さんが病気で亡くなったのよ! えーっ知らなかった…! だから、皆でお香典を集めていたのよ知っていると思っていたの ………… 確かに結婚や出産のようなおめでたいことは皆で話題にするけどご不幸はあまり口にしないしなぁ… だから私だけ全然知らずにいることがあるんです そういうところできこえない人たちは社内のコミュニケーションの輪にうまく入れないことが、けっこう多いようです そうなんですたとえ小さな情報でもそれが職場の雰囲気を変えることもありそのコミュニケーションの輪に入れないと何となく自分の居場所じゃないような気がしてしまうんです そういうことも話し合える仲間を作るには待っているだけじゃダメだと思うの! 自分からも話しかけるようにしなくちゃね でも聴覚や言語に障害があることでコミュニケーションをとることに臆病になったり緊張したりする人が多いのも事実だからまず、周囲から積極的に情報提供する努力が必要だね ところで、木村さん私に何か用事があって来たのでは? いいえ、もういいんです私頑張ります! フフフ 3相互の理解不足の事例 誤解は相互理解のチャンス ある日のこと キャッ!! コピーこ・しょう・ちゅうメ・ン・テ・ナ・ン・スた・の・ん・だ・わ! あーっびっくりした… まぁなんて乱暴な人なんでしょう! そして あら?開かないわ! そのロッカー開けるのにコツがあるのよ! 困ったわ ちょっと貸してごらんなさい! わぁ!何するんです! ほら開いた! いきなりひどいわ どうして意地悪ばかりするんだろう? 翌日の退社時のこと はっ! 昨日はごめんなさい!あなたにどう声をかければいいのかわからなくて… 話し合える仲間を作るには待っているだけじゃダメだって思うの自分からも話しかけるようにしなくちゃね 仕事で何度も聞き直したらそれからあまり話をしてくれなくなった人もいるし… もう一度お願いします 仕事で必要な話はちゃんとしてくれるけどそれ以外はあまり話をしてくれない人もいる… でもこの人は私に謝るために「ごめんなさい」という手話まで覚えてくれてお互い理解をし合うことが大切なんだ! 私は大人になってからきこえなくなったので手話はできませんでも大きな声ではっきりゆっくり話してくれれば会話もできます わかった・私・網島・というの・よろしく・ね! それから昼休みや就業時間後に楽しそうに会話する二人の姿が見られるようになった あなたのおかげでやっと自分のことが伝えられるようになったわ One Point 心のバリアフリー ?きこえない・きこえにくい人の気持ち  コミュニケーションの困難さや情報不足の不安などから、きこえる人との交流に強い緊張感を抱いたり、失敗を恐れてなかなかうまく心を開けない人がいます。 ?きこえる人の気持ち  きこえない・きこえにくい人と、どのようにコミュニケーションをとってよいか分からないため、積極的に接することを避ける人がいます。 ?心の壁を取り除くために  周囲のきこえる人からの積極的な働きかけが特に大切です。お互いに同じ職場の仲間であることを意識するとともに、障害についての理解を深め、相手をありのまま受け止める気持ちが必要です。また社内の行事をはじめ、勤務時間以外の余暇活動などにも、きこえない・きこえにくい人が気軽に参加でき、打ち解けた雰囲気の中で心を開くことができるように配慮することが望まれます。 2職場定着を図るために  「1.職場でのコミュニケーション」の(1)では、小泉さん(きこえる人)が急ぎの要件であるにもかかわらず、木村さん(きこえにくい人)に口頭のみの指示を行い、伝わったかどうかの確認ができていませんでした。また、木村さんも小泉さんの指示が十分理解できないままであったものの、確認を後回しにしてしまい、期日までの資料作成ができませんでした。  (2)では、書類の書式変更や業務外の連絡について、きこえる人たちと木村さんとの間で、十分に情報共有がなされていませんでした。きこえる人の間では、明示的に話題として取り上げなくても了知されていることが、きこえない・きこえにくい人には伝わりにくいことがあります。  (3)では、網島さん(きこえる人)が木村さんとどのようにコミュニケーションを取ったらよいか分からず、配慮をしているつもりが逆に驚かせたり、印象を悪くしてしまっています。木村さんのほうは自身の発語がスムーズなため、実際よりもよく聞こえると思われがちであると分かっていても、実際の聞こえの状態や希望するコミュニケーション方法を周囲に十分伝えられず、配慮してもらえないことに悩んでいました。 このように、きこえない・きこえにくい人ときこえる人との間でコミュニケーションの行き違いが生じると、きこえない・きこえにくい人が疎外感を抱き離職に至るケースもあります。  これらの事例に対する職場の対策としては、@受入れ時に「聞こえ」の状態や希望するコミュニケーション方法を確認し、本人の了解のもと職場の社員の理解を図る、また、時間の経過とともに、本人に対する配慮について、社員の意識が薄れることのないよう、定期的に振り返りを行う、A指示を出すときは、なるべく口頭のみでなくメモやメールなどに残し、内容が理解できたかどうか確認する、B業務上の変更点は、「今までの(書式は)…、新しい(書式は)…。」のように、新旧を比較するなど分かりやすく伝えるなどが挙げられます。  「1.職場でのコミュニケーション」の表1では、「定期的な相談」や「業務遂行の支援や助言者の配置」も、きこえない・きこえにくい人が必要とする傾向が強い配慮項目となっています。次ページからの二つの事例は、それらが職場定着のカギとなることや職場定着のための社内の体制づくりの様子を描いています。職場定着のポイントは、コミック部分のページの中で各エピソードの最後にまとめていますので参考にしてください。 1個人面談 手話通訳者の派遣などにより丁寧な相談を このストーリーの主人公 花田千穂さん(25歳) 既製服メーカー ジード社 工場勤務勤続3年 生後まもなく失聴(障害等級二級) 昼休み どうしたんだろう…花田さんこの頃元気がないなぁ やぁ、花田さんどう、仕事頑張ってる?手話サークルも続けているかい? あ、部長…いえ、あまり… 私工場辞めたいんです… えっ!! ちょっと花田さん?! 応接室 山田さん忙しいのに現場を空けさせてすまないね 実は花田さんのことなんだけど… 花田さんはよくやっていますよ周りの人たちともうまくやっているようです 山田さんは新任でよく知らないだろうが以前の彼女はもっと陽気で活発だったように思うんだがね… そうなんですか?現場ではまじめに働いていますが… ふーむ…? そういえば地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラーから上司が異動になったときに離職してしまった人の事例を聞いたことがあるなぁ 前の上司 新任の上司 確かに前任の添川さんはきめ細かくかかわってくれていたなぁ 技術指導も熱心だったし 現場の皆で手話を覚える「1日1手話運動」 余暇も楽しくやっていた 添川さんの定年退職が原因だとしたら改めて、人が替わっても彼女への配慮が変わらないような体制を作らないといけないなぁ 仕事の方はどうですか? なんとか頑張っています 定期的に面談して花田さんの悩みも理解していかないと… One Point 障害者職業カウンセラー  厚生労働大臣が指定する試験に合格し、かつ、厚生労働大臣が指定する講習を修了した者で、地域障害者職業センターや広域障害者職業センターなどに配置されています。職業評価(職業リハビリテーション計画の策定)、職業準備支援、ジョブコーチ支援、リワーク支援のほか、障害者の新規雇い入れ、在職者の職場適応やキャリアアップなどに係る事業主支援、関係機関に対する専門的な職業リハビリテーション技法の提供などに携わっています。 どうだい、もう一度手話サークルを頑張ってみないか花田さん! でも… これでよし! しっかりチェックしましたか? はい大丈夫です! あなたたち遊んでないで仕事、仕事! どうして手話で話すと「遊び」になっちゃうの? 皆だって仕事中に話をすることがあるのに… 手話サークルもこの頃参加者が少ないし… どう伝えたらいいかわからないんですけどやっぱり工場を辞めさせてください 一度気持ちの整理が必要かもしれないね 入社のときにかかわってもらった地域障害者職業センターに相談するのはどうかな? いいですけど… そういうことでしたら手話通訳者と一緒に本人の話を聞いてみましょう 障害者職業カウンセラー お久しぶりです部長から花田さんが離職を考えていると聞きました 今日は手話通訳者にも来てもらっているのでまずは手話で気持ちを話してみませんか? 手話なら気持ちが伝えられそうです 元上司の添川さんが退職してから手話サークルに参加する人も少なくなって 今の上司の山田さんは仕事中に手話で話すことをよく思っていないようで… 部長も山田さんも花田さんはよくやってくれていると言っていましたよ そんなふうには思えなくて 手話が私の言語だってことを皆にわかってもらいたいです 私も同席するので今の気持ちを部長や山田さんに伝えてみませんか わかりました 花田さん辞めたいと思った理由を手話で話してみてください 以前、仕事のことで同僚と手話で話しているとき山田さんから遊んでないで仕事をしなさいと注意されたことがありました 気づいたら同僚ともコミュニケーションをとりにくくなってもう辞めるしかないと思うようになりました そうだったの全然、気付かなくてごめんなさいね 私は手話がわからないし今の担当の仕事で頭がいっぱいになって 花田さんの気持ちを想像する余裕がなかったわ 花田さんにはこの会社にずっといてもらいたいし悩んでいるときは早めに相談してほしいのだが 花田さんもそうですがきこえない人の中には筆談ができても詳細な部分は手話でないと伝えられない人もいます そうだったのか山田さんも今の担当に慣れてきたし手話サークルに参加してみてはどうかね はい私もそろそろ参加したいと思っていました ありがとうございます 私も仕事中に手話で話すと業務外の話をしていると誤解されてしまうと思い込んでいました 手話は私の自己表現の手段だとわかってもらえたらうれしいです きこえる人からの手話によるコミュニケーションは きこえない人たちを積極的に理解する姿勢を表現する方法の一つです 今日のように込み入った相談をするときは 本人の希望を確認した上で手話通訳者の派遣を依頼してください こんにちは One Point 相互関係から課題解決へ導く ? きこえない・きこえにくい人の職場定着を図る上で重要なことは、きこえない・きこえにくい人の職場に対するニーズや悩みをどのように知り、対応していくか、また上司・同僚との間に生じている小さな溝やすれ違いをどうやって埋めていくかです。企業が、きこえない・きこえにくい人についてどのようなことを考え、どう対応していこうとしているのかをしっかり理解してもらうことが大切です。こうした課題に効果を発揮する取組として、多くの企業で個人面談が実施されています。 ? 個人面談は上司が直接行う場合もありますが、このエピソードの花田さんのように、口話や筆談では自分の気持ちがうまく伝えられないと考えている人は少なくありません。職場の人間関係の悩み、意欲や自信の低下など不適応の問題を抱えているときや、人事考課に係る面談のときなどは、本人の希望を確認した上で、手話通訳者の派遣を依頼し、相互の考えを理解し合えるよう丁寧に相談を進めていくことが大切です。 ? 社内の「障害者職場定着推進チーム」(92ページ参照)による面談やカウンセリングも効果をあげています。推進チームによる面談では、第三者的な立場から、上司・同僚・障害者間のパイプ役として意思の疎通を促し、課題解決への的確なアドバイスが可能です。さらに、縦割り的な対応だけでなく、職制を超えた課題解決にも効果的に機能します。 2職場定着のための組織的な対応 きこえない・きこえにくい人の意見を活かす ある日の応接室 花田さん忙しいのにすまないが… 何ですか? 今度、うちにきこえない人たちが二人入社することになったんだ 実はその二人の教育担当を花田さんにお願いしたいと考えているんだが… えっ! あなたの仕事ぶりは現場の皆も評価しているのよ その経験を新しく入ってくる人たちに伝えてほしいと私も思うわ でも私には…! うちも障害者雇用は花田さんが初めてで体制が整っているわけではない これからは花田さんに中心となってもらって改善していこうと思っているんだ でも私一人では… 手話サークルで手話を勉強している現場の仲間からもう一人スタッフを決めてチームを組んでみてくれないかな? できるかしらでも、よい職場を作るチャンスかも わかりました私やってみます! そうか!これからは自分の意見をはっきり言って後に続く人を育ててほしい! はい頑張ります! それから一か月後 こういうところは特に注意して… 頑張ってね! ありがとうございます失礼します 二人ともあんまり自分の考えを言わなかったね きこえない・きこえにくいということは言いたいことが言えないということもあるの 言いたいことが言えるような職場を作るのが私たちの仕事なのね ええ! One Point きこえない・きこえにくい人とともに職場環境の向上を図る ? 障害者の悩みや不満を一番に理解しているのは障害者自身です。「障害者職場定着推進チーム」(92ページ参照)に、障害者の代表にも参加してもらうと、その体験や思いを職場環境づくりに反映しやすくなります。また、(財)全日本ろうあ連盟加盟団体(132?134ページ参照)に相談するなど、社外との積極的な交流や情報収集も効果的です。 ? 手話に習熟しているきこえない・きこえにくい人に、社内の手話サークルの運営を手伝ってもらったり、職場の先輩として、同じ障害のある新人の指導に当たってもらうなど、職場において主体的に参加できる場面を作ることは、コミュニケーションを促進するだけでなく、きこえない・きこえにくい人自身がやりがいや自信を高めていく機会にもなります。 職場環境や設備の改善のために これでいいのかしら? ここはこうして… やっぱり工場の全工程がわかったほうがいいわね! うーん わかりやすいマニュアルを作るって難しいなぁ これでわかるかしら? 大丈夫大丈夫! よし、できた!動画を入れたからよりわかりやすくなったかも…! あっ部長! あなたたちが熱心に支援していることは聞いているが随分頑張っているんだねぇ どれどれ ほほぅこれはよくできているね! 「目で見るマニュアル」だねぇ! 私が新人だった頃添川さんが絵で工程を説明してくれたのがとてもわかりやすかったんです こっちは職場の皆がもっと新人さんたちに話しかけてくれるようコミュニケーションのポイントをまとめました ほぅ! それから部長きこえない人たちには業務時間を知らせるチャイムや緊急放送が聞こえないので 電光掲示板の設置とメッセージアプリでの共有をしてほしいんです 故障や部品切れなどが発生したときにすぐに連絡がとれるように呼び出しランプ(パトランプ)もあるといいと思います ハハハあなたたちはもうしっかり我が社の小さな「障害者職場定着推進チーム」だね 障害者職場定着推進チームって? 障害者職業生活相談員資格認定講習で知ったんだが他社では職場でチームを設置して障害のある方たちが働きやすくなるように定例会などを開いて活動しているんだ 障害者個人の相談に乗るほか社内の障害者理解促進などに組織的に取り組むものだよ @障害者職場定着推進チームでの 課題の共有 A仕事やコミュニケーションなどの 悩みをヒアリング B社員へのアンケート調査 One Point 障害者職場定着推進チーム  障害者職場定着推進チームは、企業により名称は異なりますが、障害のある方たちが働きやすくなるように、組織的な取組を行います。  事業所の代表者をはじめ、人事担当部課長や障害者の配属職場の長、障害者職業生活相談員などが加わり、組織的に障害者の職場適応に関する事項を協議し、改善していくものです。新たな組織を作る方法のほか、障害者も含めた社員の職場定着の向上を図るための既存の組織(幹部会議、○○委員会など)を活用する方法もあります。 [主な活動] ? 社内の障害者雇用についての理解と促進 ? 障害者の作業意欲及び自信の醸成 ? 個別相談の実施による課題点の把握と解決 ? 職場配置や業務内容の見直し ? 教育訓練の方法の見直し ? 労働環境の見直し ? 人間関係などの職場生活についての援助 ? 障害者職業生活相談員の活動の支援 誰もが働きやすい業務体制づくり おはようございます今日の… おはようございます きこえない・きこえにくい人には社内放送による作業の注意や変更がわからないという問題提起からタブレットで一日の仕事を確認し合う朝礼が始まり職場全体でのミスが大幅に減った 花田さんたちが作った「目で見るマニュアル」をもとにビジュアル化された動画がジード社の標準マニュアルとなりわかりやすいと喜ばれている なるほどわかりやすいねぇ… きこえない・きこえにくい人に対するコミュニケーションの配慮によって職場全体の情報が同時に共有できコミュニケーションがスムーズになった あれから一年たったある日 障害のある方たちにとって働きやすい環境って社員全員にとっても働きやすい環境なんだね! そういえば花田さんに教育係をお願いしたのは去年の秋頃だったかな いろいろ大変だったけれど花田さんたちの活躍のおかげで我が社の障害者職場定着推進チームの活動もしっかり根付いてきたね One Point ユニバーサルデザインという視点  障害の有無や年齢を問わず、誰にとっても暮らしやすい社会を目指す「ユニバーサルデザイン」という考え方が、日本でも広がっています。「共用品」の商品開発や文字情報の提供などの企業サービスの分野でも「ユニバーサルデザイン」が認知されています。職場においても、障害者にとって快適で働きやすい環境は、全ての社員にとって働きやすい環境であることを認識して、職場環境の見直しを進めることが必要です。実際に、きこえない・きこえにくい人に対する円滑なコミュニケーションへの配慮によって、職場全体のコミュニケーションレベルが向上したという話もあります。  障害者だけでなく、誰もが働きやすい職場環境を整備していくという発想は、障害者の職場定着を促進するだけでなく、全ての社員の働く喜びと意欲を向上させることにもつながります。 3スキルアップとキャリアアップ  障害者雇用が進む中で、雇用の質の確保も重要になっています。令和4年の法改正では、事業主が障害者の職業能力の開発・向上のための措置を講ずる責務が明記されました。障害者が意欲とやりがいをもって働き続けるためには、障害者自身のスキルアップ・キャリアアップへの取組とともに、それについての事業所の環境整備が必要です。 スキルアップ・キャリアアップを図るため、社員への研修を行う場合には、きこえない・きこえにくい社員にもきこえる社員と同様の研修の機会を提供することが必要です。  また、機会はあっても、その研修に情報保障がなければ、きこえない・きこえにくい社員はその希望と能力にもかかわらず、きこえる社員と同様に学ぶことができず、その結果、きこえる社員に比べてスキルアップが難しくなってしまいます。社外の講習なども同様であり、講習主催者に対し手話通訳などの情報保障の有無を確認することが重要です。  きこえる社員と同等の機会及び情報量で研修を受けられることによって初めて、全ての社員が同じスタートラインに立てるといえます。  キャリアアップをして管理職になった場合、部下への指示や会議での交渉など、周囲とコミュニケーションを図る機会が多くなります。  コミュニケーション上の配慮を行うことによって、きこえない・きこえにくい社員も管理職の業務を行うことが可能です。  キャリアを活かし、かつモチベーションを維持・向上するために、本人と話し合いの上、チームの中でリーダー的な役割を担ってもらう、専門技術を評価した、管理職相当のポジションに登用するといった取組を行う企業もあります。  きこえない・きこえにくい社員が研修や会議に出席する場合の情報保障のポイントは、101ページに掲載しています。ただし、コミュニケーション方法の希望は一人ひとり異なるため、事前に本人に確認しておく必要があります。  次ページからのコミック部分では、研修や会議で情報保障に取り組む様子を紹介するほか、モチベーション向上のための工夫についてまとめています。 事例 社内研修体制の整備 事例  当社では障害の有無に関係なく、キャリアアップのために資格取得や研修受講ができるよう、社内体制を整備しています。研修プログラムはビジネススキル、プレゼンテーション、課題解決、表計算ソフトの使い方など、多岐にわたっています。聴覚障害者への合理的配慮としては、スライドに字幕をつける、手話通訳者・要約筆記者を配置する、音声認識ソフトの入ったタブレットを貸与するなどを行っています。社内イントラネットのホームページに就労支援機器の借り方・使い方なども掲載しています。また、障害者雇用に関しては、管理職向けの研修やe-ラーニングを実施するほか、全国の各事業所の人事担当者を参集し、オンラインでグループワークを行うなどして、障害の理解・配慮の促進を図っています。 (H社) 1研修における情報保障 きこえる社員と同等の機会と情報量を このストーリーの主人公 海野大介さん(33歳) ジード商事企画調査部勤務 勤続11年生後まもなく失聴(障害等級二級) 山本直樹さん(35歳) ジード商事管理部勤務 勤続11年中途失聴(障害等級三級) ここジード商事では例年各セクションのリーダーとなる人材を育成するため入社十年以上の社員を対象とする「キャリア研修」が行われています 今年は海野さんと山本さんの二人の参加も予定している!そこで「障害者職場定着推進チーム」の皆さんに来てもらったわけだが活発な意見を聞かせてもらいたい! 企画調査部の海野さんは最近は自分の企画を提案したりしてとても熱心ですよ 管理部の山本さんも在職障害者の職業訓練制度を利用して障害者職業能力開発校でOA研修を受けるなどよく頑張っていますよ 二人ともぜひキャリア研修に参加してキャリアップしたいと積極的です それは素晴らしい!次世代のリーダーを育成するこの研修の役割は大きいと思うよそれで、具体的な研修の内容は? 研修プログラムはセミナーとレポートの作成ですね セミナーでは情報保障が必要ですせっかく同じ機会が与えられても情報保障がなければきこえる人と同じように学ぶことはできません 資料の配付やスクリーン映写だけでなく手話のできる海野さんには手話通訳者についてもらうといいと思いますよ 手話通訳者 参加者には質問や意見を活発に出してもらいたいとセミナーには特に力を入れているんだ!彼らの情報保障はどうしたらよいのかね? 「話し言葉↓手話」「手話↓話し言葉」で手話通訳なら質問や意見も発表でき相互のコミュニケーションが可能です 手話を使わない山本さんには要約筆記者が必要です パソコンを使った筆記なら速度も速いです質問や意見はプロジェクターで映し出す方法もあります 要約筆記者 音声認識ソフトを使って話している人の言葉をリアルタイムに画面に映し出す方法もあります その方法なら全員の質問や意見が活発になりそうだね One Point 在職障害者のための職業訓練  国立職業リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)及び国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(岡山県加賀郡吉備中央町)では、障害のある方に向けた職業訓練を実施しています。在職中の障害のある方は、以下のような訓練を受けています。 1 スキルアップを目指す訓練  新たな技法・知識の習得により、職務内容の変化に対応できるようにするための訓練です。両センターそれぞれの特長を活かした訓練を実施しています。 〇 国立職業リハビリテーションセンター (https://www.nvrcd.jeed.go.jp/)  職業技能のレベルアップを図るための、3日程度の短期間の職業訓練(能力開発セミナー)を実施しています。各訓練コースの内容と年間の予定は、ホームページをご覧ください。 〇 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター (https://www.kibireha.jeed.go.jp/)  企業のニーズに応じたオーダーメイドの訓練を、6か月以内の期間を設定して実施しています。 2 職場復帰に向けた訓練  疾病、事故などにより受障した休職中の方が職場復帰するにあたり、必要な技術を身につけるための職業訓練です。  オーダーメイドによる実施となるため、個別の事情、希望に合わせて訓練内容の調整が可能です(期間は6か月以内)。  これらいずれの訓練も、きこえない・きこえにくい人については、受講申込みの際に必要な配慮事項(手話、筆談、音声文字変換ソフトの使用など)を伝えていただくことにより、情報保障のための環境を整備しています。  利用に関する詳細については、各センターにお問い合わせください。 2会議における情報保障 会議に参加できる仕組みづくり 「障害者を対象としたオンラインショッピング」という海野さんの企画が動き出したのだが… やはり海野さんを中心にこの企画を進めるのは無理です部長! ほうあんなに張り切っていたのに…!? ここにきて問題が起きたのです! 営業部や関連会社との打合せや会議が増えたんですが彼には会議がつらいようなんです 集中力が必要なため長時間の会議は難しい! 3メートル以上離れていると「読話」しづらい! 正面からでないと唇の動きが見えない! 毎回、手話通訳を手配することが難しく重要な会議では常に誰かにメモをとってもらわなければいけませんからそれも申し訳ないという気持ちがあるようです うーむそうか… そうだこうしよう!ここは一つ海野さんが最も理解・参加しやすい形の「バリアフリー会議」をやってみてはどうだろう? バリアフリー会議? 企画調査部では部長の提案で「バリアフリー会議」を進めることになった ☆補聴システムや音声認識ソフトを用いて発言を可視化 今日の会議は音声認識ソフトを使ってみよう PCやタブレットで文字が見られるのでわかりやすいです ☆発言は挙手をして一人ずつ話す はい! ☆30分ごとに区切って休息を入れる ☆決定事項はすぐに文書にして全員に配付 今日の決定事項をまとめておいたよ ありがとうございます いやぁ、部長!バリアフリー会議思っていた以上の効果です! 会議の進行はスムーズですし短時間で内容の濃い会議ができるようになりました! ほう! まさに海野さん効果だね! 海野さんのためだけじゃなくほかの社員にとってもよい効果が出ていますよ! One Point 研修・会議における情報保障のポイント ? 社外の手話通訳者を手配する ? 手話通訳のできる社員を通訳としてつける(通訳を任された場合は、可能な限り通訳のみに専念することが大事) ? 手話通訳者の手の動きが見やすい席を確保する ? 要約筆記者を手配する ? 音声認識ソフトを使う ? 本人に事前に資料を渡す(手話通訳者、要約筆記者にも) ? 動画に字幕をつける ? 発言は挙手制にし、発言が重ならないようにする ? 演習ではコミュニケーションボードなどを利用し、細かい情報を得られるように配慮する ? 質問などについてはパソコン筆記をしてもらい、プロジェクターで画面に映し出すなど、参加者全員が共有できる方法を用意する ? 会議の決定事項は文書にして全員に共有する 3モチベーション向上のための工夫 やりがいを持てるように おめでとう! いよいよ海野さんの企画が実現するんだね! ありがとうございますこれから具体化に向けて動き出します! やったね! 外部の企業を招いての説明会も皆さんの意見で僕が発表しました 皆がプロジェクター用の説明資料を作ったりリハーサルもしてくれて 手話通訳者も手配してもらって無事に終了することができました! 実は僕からもいい報告があるんです これを見てください!係長に昇格したんです おめでとう!やったね山本さんの努力とキャリアが評価されたんだね おめでとう! ともに働く職場のために! もう一度かんぱーい! One Point モチベーションの維持・向上のために  雇用を継続し、社員の意欲を維持・向上させるために、またキャリア形成に資するよう、以下のような企業の取組や配慮もみられます。 ? 作業内容の理解の支援  文章だけでなく、写真や動画を活用した分かりやすいマニュアルを作成する ? スキルアップ支援  障害者技能競技大会(アビリンピック)への参加を促し、従事している業務に係る技能を研鑽する。また、技能検定などの資格取得を促し、取得した場合には「技能手当」の支給を行うなどする。こうした個人の挑戦が個人のスキルアップにとどまらず、チームや会社全体のモチベーション向上につながる例もある ? 職域開発・拡大  本人の適性や状況の変化を踏まえ、新たな職域の開発・拡大に向け、必要な技能の習得のための研修の機会を提供する ?目標設定と定期的な面談  本人とよく話し合って目標を設定し、可視化(文書化など)の上、定期的な面談による振り返りと今後の課題の整理を行い、次のステップにつなげていく。また目標の達成度を評価し、賞与や昇給に反映する ?体力の維持、ストレスの解消による意欲喚起  障害者スポーツ大会※などへの参加を支援・勧奨し、大会などへの出場のための休暇取得の配慮を行う ※ 聴覚障害者を対象としたデフリンピックは2025年に東京で開催されます。 その後 職場の仲間の笑顔にかこまれながらジード電気の望月翔太さんは職場のルールとマナーや職業人としてのたくましさを少しずつ身につけています ジード食品の木村美雪さんは自分の状況をはっきりと周囲に伝えることで誤解が解け、徐々に自信を取り戻しつつあります 一時は離職も心配されたジード社の花田千穂さんは今や後輩の相談に乗れるほどしっかりと職場に定着しています ジード商事の海野大介さんと山本直樹さんはときどき研修仲間と一緒にお酒を飲んで、将来の夢について語り合っています それから…ジード電気の夏目部長が望月さんの後輩を採用すべくハローワークの森さんを訪れ近況を報告しました 皆それぞれの仕事でしっかり花を咲かせてほしいですね! 第6章 安全・安心な職場づくりを目指して 労働安全衛生対策の推進  障害の有無にかかわらず、全ての社員にとって安全・安心な職場を実現することは重要です。最近では、自然災害リスクへの対策に関する意識も高まってきています。JEEDでは企業の取組などをまとめた「障害者の労働安全衛生対策ケースブック」を作成しています。本章では、同ケースブックなども参考に、きこえない・きこえにくい人の安全・安心な職場づくりについて紹介します。 1安全衛生教育と体制整備  労働災害の防止については関係法令で定められているとともに、各企業でもルールや対処方法が定められています。こうしたルールなどは分かりやすい資料にして社員に渡す、研修の際には手話通訳者を手配する、内容を字幕で表示するといった配慮が望まれます。当事者本人の理解を図ることだけでなく、災害を防止するために周囲がどのような配慮を行うことが必要かを予め検討・確認しておくことも大切です。  また、障害のある方でないと気がつかないこともあるので、仕組みとして当事者の声を聞く機会を設ける取組なども重要です。例えば、障害のある社員を安全衛生委員会のメンバーにする、障害のある社員にアンケートを行うといった取組が挙げられます。  ある企業では、きこえない・きこえにくい社員にアンケートをとったところ、「見通しが悪い階段や廊下では、足音に気づかず、ぶつかりそうになることがある」との声があり、ミラーを設置することでヒヤリ・ハットを解消しました。 2環境整備  安全・安心な職場づくりのために守るべきこと・大切なことは繰り返し社員に伝え、常に意識してもらう必要がありますが、安全上のルールやスローガンを見やすい場所に掲示することにより、視覚的な周知と注意喚起を図ることも考えられます。加えて、聴覚障害への対応として、以下のような取組も考えられます。  例えば、工場内では、緊急時にブザーと併せて点灯する回転警告灯(パトランプ)や、指示が表示される電光掲示板の設置を行っている企業もあります。搬送装置やフォークリフトが行き交う職場では、搬送装置にライトをつけ、バック時のフォークリフトを改修することで進行方向に矢印が投影されるようにして、きこえない・きこえにくい人もこれらの動きを認知しやすくした事例もあります。また、緊急事態を伝達するために、大音量に加え、強い振動・フラッシュを発する機器を支給した事例もあります。AEDの設置にあたり、本体の液晶画面に操作法などが表示されるタイプを導入する、停電により暗くなった工場内でも物品や動線が分かるように蓄光テープを貼るなどを行った事例もあります。  そのほかにも、工場内で全員が同じ作業着を着ていても、緊急時に障害者の避難誘導を担当する者が誰か、すぐに分かるよう、担当者が腕章を着けるようにした事例もあります。 3災害発生時などの所内体制  緊急時には全ての情報を視覚的な情報として提供することが難しい場合もあります。そうした場合には、きこえない・きこえにくい人の周囲の人が状況を伝えたり、一緒に行動したりすることで、安全を確保することも大切です。そのためには、声をかける人を予め決めておくことなどが望まれます。 4事前の準備と訓練の実施など  緊急時に適切な行動をとるためには、緊急時のルールや行動計画が事前に定められ、理解されていることや、事前の訓練が不可欠です。実際に機器を使ってみる、ルールに沿って避難してみる、訓練終了後には振り返りを通じて、機器は想定どおり動くのか、社員は冷静に行動できるのか、ルールなどに改善すべきことはないのかを確認しておくことが大切です。  特に、障害のある社員が訓練に参加することは重要です。実際に参加することを通じて、計画やルールの妥当性の検証、障害のある社員を含め社員の意識面での向上などにつながり、全ての社員にとって安全・安心な職場の実現にもつながります。  緊急時以外にも、社員の加齢による心身機能の変化や、施設・設備・機器の経年劣化などのリスクも考えられます。障害の有無にかかわらず、社員が安全・安心に働き続けるためには、職場のリスクアセスメントを継続的に行うことが大切です。 5BCP(事業継続計画)の策定について  全ての企業に策定が義務づけられているわけではありませんが、企業の安全配慮義務との関係から、緊急事態でも従業員とその家族の生命や健康を守った上で事業を継続するための「BCP(事業継続計画)」を策定しておくことが望ましいものとされています。  中小企業庁のホームページによると、「BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと」とされています。BCPの内容としては、@避難計画の作成、A非常時における社員との連絡網の作成と安否確認の方法、B食料品などの備蓄、防災用品(電源・電灯など)などの準備、C事業継続に向けた人員態勢の確保など、多岐にわたる例示があります。  策定に当たっては、障害のある社員がいることを念頭に置いて作成することが求められます。  きこえない・きこえにくい社員については、非常時の連絡や安否確認について、文字などの視覚的情報でも迅速・確実に行われることや、BCPについて分かりやすく周知することなどが基本です。また、避難訓練同様、実際に試行し、実効性の検証などを行うことも重要です。 Check 安全・安心な職場づくりに役立つ資料 ? 「障害者の労働安全衛生対策」に関するサイト(JEED) ? https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/q2k4vk000003h4nf.html ? 「障害者の労働安全衛生対策ケースブック」(デジタルブック)(JEED) ? https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/casebook ? 「聴覚障害者災害時初動・安否確認マニュアル」(一般財団法人全日本ろうあ連盟) ? https://www.jfd.or.jp/info/2010/teq/p018/1-shodou-anpi-manual.pdf 社内に設置したミラー 作業場用デジタル時計一体型警報装置 矢印を投影しながら進むフォークリフト 社員食堂に設置された光警報装置 矢印を投影しながら進む搬送装置 壁にかけたヘルメットが光る様子(左:消灯前、右:消灯後) (このほかにも、机や棚の外周、扉のノブや開く方向をテープで示しています) 第7章 職場の手話 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/hrkdpo00000048v1.html 1目で見る言葉 ―それが手話です  手話は、きこえない・きこえにくい人の多くが日常的に使用しているコミュニケーション方法で、手の表現や体の動作、表情を総合して構成されています。  手話の語順や文脈構成は、必ずしもよく使われる日本語の文法と一致しないため、「手話は語いが少ない」「文法的に不明瞭」などと見られることもあります。しかし、手話は、異なる文法を持った表現豊かな言語だということを理解する必要があります。 きこえない・きこえにくい人にとって、職場内に、たとえ上手ではなくても手話のできる上司や同僚がいる心理的な安心感は、非常に大きなものがあるでしょう。  手話は、互いに親近感を生じさせ、また関係を築くきっかけを与えてくれる優れたコミュニケーション手段です。職場では、少しずつでもよいので、できるだけ多くの人が手話を覚え、使えるようになることが望ましいでしょう。  この章では職場でよく使う手話を紹介します。 なお、本章に掲載した手話は全て動画でご覧いただけます。前頁の二次元コードからアクセスできます。 ※「手話は言語である」と定義した「障害者権利条約」が平成18年12月13日の国連総会において全会一致で採択され、わが国でも平成26年1月20日に批准されました。同条約第二条では、言語が「音声言語及び手話その他の形態の非音声言語という」と定義され、手話が言語として国際的に認知されています。日本国内法制においても、「障害者基本法」に「言語(手話を含む)」と明記されており、手話が言語として法的に認知されています。 手話が分かると、気持ちが早く通じます [手話](が) 両手の人差指を向かい合わせ 糸を巻くように回転させる [分かる](と) 右掌を胸にあて 下におろす [気持ち](が) 右人差指で左胸あたりに 小さな円を描く [早く] 親指と人差指を閉じた右手をすばやく 左に動かしながら人差指を伸ばす [通じ](ます) 両手の人差指の先を 近づけて合わせる 2職場の手話(動画編) コミュニケーションは、まず「あいさつ」 から  「あいさつ」は、コミュニケーションのきっかけです。手話を第1言語とする方は、相手の表情を見て、感情や体調などを推し量ります。相手にまっすぐ目を向け、顔の表情豊かに心の動きを表しながら、手指を動かしましょう。 はじめまして 下に向けた右掌の人差指以外の4指を握りながら上げ 両手の人差指を立て胸の前に寄せ合わせる おはようございます 右手のこぶしをこめかみにあて、さっと下し、軽く一礼する よろしくお願いします 右手のこぶしを鼻にあて少し前に出し その手を開き顔の中央から前に下ろしながら、一礼する ありがとうございます 左手の甲に右手を立て、 少し上げて一礼する お疲れさま 右手のこぶしで左腕を2回叩いて、軽く一礼する すみません 右手2指で眉間をつまむ仕草をして 開いた手を顔の中央から前に下ろし、一礼する どういたしまして 右手を胸の前で左右に振る お先に失礼します 右手の人差指を左胸にあて、軽く一礼する 気遣いの表現は、心を癒し、支えます 「あなたのことを気にかけているよ」というメッセージを繰り返し伝えましょう。 そのことがつらいときにも相手の心を癒し、支えとなります。 仕事終わった? 手の甲を下にして開いた両 手の指先を2回近づけ 両手を下におろしながら 5 指をつまみ問いかけの表 情をする 気を付けてね 軽く指を開いた両手を上下 に置き体の前に出し 強く握りながら体に引きつ ける お身体をお大事に 右手で体を円くなで 胸にあてた左手の甲を右手 でなでる どうしました(何)? 右人差指を立てて左右に振り、 問いかけの表情をする 分かりますか? 胸にあてた右掌を下ろし、 問いかけの表情をする 元気ですか? 両手のこぶしを下に向けて2 回上下し、問 いかけの表情をする 手伝う 左手の親指を立て前に向け、右掌で2回ト ントンと押し出す 手伝ってもらう 親指を立てた左手を、右掌で2回トントン と自分側に向け軽く叩く 大丈夫? 右手の指先を左・右の順に胸にあて、問い かけの表情をする 忙しいA 折り曲げた両手の5指の指先を下に向け、 かき回す 忙しいB 両掌を上に向け、小指側を胸に沿って交互 に上下する 職場で使われる用語 職場では、少しでもかまいませんから、できるだけ多くの人が手話を覚え、 使えるようになることが望ましいでしょう。 会社 両手の2 指を立てて頭の横で交 互に前後に動かす タイムカード 左掌に右親指の先を付け右人差 指を下に半回転し、右手をカードに見立てて差し込む仕草をする 朝礼 右手のこぶしをこめかみにあて、 さっと下ろし、両手の4 指を折り曲げる 遅刻 左掌に右親指の先を付け右人差し指を下に半回転し、 垂直に立てた右手で、寝かせた左手の上を乗り越える 残業 手の甲を下にして開いた両手の指先を2 回近づけ、 垂直に立てた右手で、寝かせた左手の上を乗り越える 休暇 掌を下に向け、中央方向に水平に動かす 手当 左手の甲を右掌で叩き、右手2指で輪を作り 「お金」を示す 会議 親指を立てた両手をつけ合わせたまま、水平に クルンと円を描く 報・連・相 報告 両手の指でL 字を作って、口の前に置き、前に出す 連絡 両手の親指と人差指2指で作った輪をつなぎ合わせて、弧を描きながら前に出す 相談 親指を立てた両手を左右からコンコンと軽く2回打ち付ける 机 両掌で胸の前に机の角を描く 椅子 左手2 指に右手2指を掛ける コピー 左掌を下に向け、軽く曲げた右手をつかんで下ろしながら閉じる 電話 親指と小指を立てた右手を耳と口にあてる パソコン 左手で指文字「パ」を作り、右手でキーボードを打つ仕草をする インターネット 右手で指文字「イ」を作り、筒状にした左手の周囲を前方に1回転させる メール 右手で指文字「メ」を作り、前に出す チャット 両手2 指の「C」型をかみ合わせるように、胸の前で交互に前後に動かす 安全 両掌を上に向け胸元から下ろす 確認 折り曲げた2 指で目のあたりを左右させ、両腕を立ててこぶしを作り2 回下ろす ヘルメット 両手でヘルメットをかぶる仕草をする 「問いかけ」 の表現  問いかけをするときは、そのものごと(場所、人、時間など)を示し、@〜C(@手話を小刻みに繰り 返す、A眉をしかめた表情を伴う、B顎をやや前に突き出すとともに小刻みに振る、C続けての手話 をする)などを併せて表現して、質問の意思を明確に伝えましょう(動画編ではBの表現を採用してい ます)。また、状況や相手との関係性、動作の強弱により、軽い疑問になったり詰問調になったりする ので、会話の内容に応じて、これをうまく使い分ける必要があります。 どうですか? 右掌を上に向け左右に振り、問いかけの表情をする 誰ですか? 右手の甲を頬に添えて、問いかけの表情をする いつですか? 上下にした両手を親指から順に折って握り、問いかけの表情をする いくつですか? 右手を親指から順に折って握り、問いかけの表情をする どこですか? 指を少し曲げた右手を前に置き、右人差指を立てて左右に振り、問いかけの表情をする どちらですか? 人差指を立てた両手を交互に上下させ、問いかけの表情をする なぜですか? 左掌の下側で右手人差指を2 回前後させ、問いかけの表情をする 緊急時の手話  作業中の火災などで、緊急に避難しなければならないときに備え、きこえない・きこえにくい人が一目見て理解できるように、緊急避難時の手話や身ぶり表現をそれぞれの職場で決めておくことが大事です。  きこえる人も含め、職場内の全従業員に徹底しておいてください。 危険 軽く折り曲げた両手両指の指先で胸を叩く 逃げて 両手の人差指で交互に頬を切る仕草をする ケガ 両腕を振って逃げる仕草をする AED 両手の親指と曲げた4指をつけてハート型を作り、残した左手の横で右手の2指をギザギザと稲妻の形に振り下ろす 警報A 左手こぶしを胸に置き、親指と人差指でL字を作った右手を前に出す 警報B 右手こぶしで2回胸を叩き、口を「ホ」形にし両手の親指と人差指でそれぞれL 字を作って斜め前に出す 火事 両手で屋根を作り、残した左手の横で指先を上に向けた右手を炎のように回し上げる 消火器 指先を上に向けた右手を炎のように回し上げ、左手で消火器を抱え右手でホースを揺らす仕草をする 台風 両手を広げて右斜め上から、左斜め下へ手をブンブンと回しながら下ろす 地震 両掌を上に向け前後に動かす 津波 水平に置いた左手を右手で乗り越え、前方に出す 職場内での会話  職場では、業務の内容だけにとどまらない豊富なコミュニケーションが、人間関係構築の基礎となり、安心して働ける職場づくりにつながります。以下のような場面で用いられる手話も参考にしてみてください。 会議の案内 説明内容についての質問 オンライン会議の設定 人事面談の連絡 送別会の贈り物 手話研修 ランチ 指を使った表現  親指から小指まで、5 本の指はそれぞれ固有の意味を持っています。例えば、親指を立てれば「男性」を表し、小指を立てると「女性」を意味する手話になります。こうした指の持つ意味をうまく組み合わせて使うと、簡単に右のような単語を覚えることができます。  手話表現は、日常的な動作やものの形、その意味から生まれたものが中心となっています。その手話表現のもとになったものを理解すると、手話の習得も早くなるでしょう。 親 指=男、父、息子 小 指=女、母、娘、姉、妹 中 指=兄、弟 薬 指=(姉、妹)、薬の手話にも使う 人差指= これ、あれ、私、あなたなどをさし示すときに使う 手話で会話をするときの留意点 手話では、日本語の助詞にあたる単語が手話表出の際の頷き、手の位置、速さなどで表されることが多くみられます。手話の単語の語順については、いくつかの表し方がありますが、内容の具体化を工夫しながら、見てよく分かる表現を心がけることが基本です。 技術的には、 @手の位置と方向(動き)を正確に A 相手の顔の表情を見ながら、目を合わせ、通じているかを確認する B身ぶりや表現に気持ちを込める という 3 点に留意することが大切です。 事例 手話に対してそれぞれの立場から 事例 ? 仕事上の指示もほとんど手話で  ―上司の立場から  当課には約100名の従業員がおり、4班に分かれて作業をしています。聴覚障害者はそのうち3つの班に2名ずつ、計6名働いています。そのいずれの班にも手話のできる社員が配置され、朝礼での手話通訳から仕事上の指示・伝達まで、聴覚障害者と聴覚障害のない社員の間に立って、円滑にコミュニケーションを進めています。  ただし、正確な作業を要求される複雑な業務指示や、安全衛生上の伝達事項などは、筆談を交えて行っています。 (K社) ? 簡単な手話なら自然に身につく  ―同僚の立場から  最初は話がうまく通じるかどうか不安でした。でも一緒に仕事をするうちに、自然に「おはよう」「さようなら」といった挨拶から、「ここ」「そこ」「早く」「ゆっくり」といった簡単な手話を覚えてしまいました。仕事上で複雑な話をするときには手話の上手な同僚を呼んで伝えてもらいますが、日常会話程度なら、私も含めて班全員が手話で障害者と話をすることができます。  ただ、どうしても片言の手話では打ちとけた会話ができません。会社では、外部の手話講習会に毎年数名ずつを受講させて手話通訳者を養成しているので、私も来年は希望して本格的な手話を身につけたいと考えています。 (L社) ? 手話のできる社員がいることが安心につながる  ―聴覚障害者の立場から@  採用面接時に手話ができる社員がいたので、この会社なら安心して働けると思って入社しました。  手話教室を開催していることも、障害に対する理解があって働きやすい職場だと感じています。 (M社) ? もっと多くの同僚と手話で話をしてみたい  ―聴覚障害者の立場からA  聴覚障害者同士で話をするときは手話と口話を使っています。また、手話のできる同僚の人とは手話で話をしますが、内容が複雑な場合は筆談をお願いしています。この工場では手話のできる人が大勢いるので気分的に非常に楽ですが、もっと多くの同僚と手話で話をすることができれば、とてもうれしいと思います。 (N社) 指文字 あ アルファベットの「A」 い アルファベットの「I」 う アルファベットの「U」 え アルファベットの「E」 お アルファベットの「O」 か アルファベットの「K」 き 影絵のきつね く 手話の数字「9」 け アルファベットの「B」 こ カタカナの「コ」の一部 さ アルファベットの「S」 し 手話の数字「7」 す カタカナの「ス」 せ 手話の「兄弟」 そ 手話の「それ」 た アルファベットの「T」 ち カタカナの「チ」 つ カタカナの「ツ」 て 手そのものを示す と 手話の「…と」 な アルファベットの「N」 に カタカナの「ニ」 ぬ 手話の「盗む」 ね 手話の「根」 の カタカナの「ノ」 は アルファベットの「H」 ひ 手話の数字「1」 ふ カタカナの「フ」 へ カタカナの「ヘ」 ほ 「帆」をかたどる ま アルファベットの「M」 み 手話の数字「3」 む 手話の数字「6」 め 「目」をかたどる も 手話の「同じ」 や アルファベットの「Y」 ゆ 指を3本立てて 甲を示す よ 手話の数字「4」 ら アルファベットの「R」 り カタカナの「リ」 る カタカナの「ル」 れ カタカナの「レ」 ろ カタカナの「ロ」 わ アルファベットの「W」 を アルファベットの「O」 ん カタカナの「ン」 長音 人差指で「I」と空書する 促音例 っ 指文字を後方に引く 半濁音例 ぽ 指文字を上下に移動させる 濁音例 ぎ 指文字を横に移動させる 数字 0 2指で輪を作る 1 人差指を立てる 2 2指を立てる 3 3指を立てる 4 4指を立てる 5 親指を横に向ける 6 親指と人差指を示す 7 親指と2指を示す 8 親指と3指を示す 9 親指と4指を示す 10 人差指を折り曲げる 11 「10」を示し 「1」を示す 12 「10」を示し 「2」を示す 100 親指と2指をつけ合わせる 右手人差指をはね上げる 1000 A 親指と3指をつけ合わせる B 1指で「千」と空書する 万 A 全指をつけ合わせる B 「万」と空書する そのほか、「手話言語研究所」の 「新しい手話の動画サイト」なども 参考にしてみてください。 資料編 助成制度概要 障害者雇用納付金関係助成金 令和6年10月現在 助成金の種類 内 容 障害者作業施設設置等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設等の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成します。 障害者福祉施設設置等助成金 障害者を労働者として継続して雇用している事業主またはこれらの事業主を構成員とする事業主の団体が、その障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるように配慮された休憩室等の福祉施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成します。 障害者介助等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に、その費用の一部を助成します。 職場復帰支援助成金 中途障害者等技能習得支援助成金 中高年齢等障害者技能習得支援助成金 手話通訳・要約筆記等担当者の配置又は委嘱助成金、手話通訳・要約筆記等担当者の配置又は委嘱の継続措置に係る助成金、手話通訳・要約筆記等担当者の配置又は委嘱の中高年齢等措置に係る助成金 職場支援員の配置又は委嘱助成金、職場支援員の配置又は委嘱の中高年齢等措置に係る助成金 健康相談医の委嘱助成金 職業生活相談支援専門員の配置又は委嘱助成金 職業能力開発向上支援専門員の配置又は委嘱助成金 職場適応援助者助成金 職場適応に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を行う場合に、その費用の一部を助成します。 重度障害者等通勤対策助成金 (通勤用自動車の購入を除く) 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れる、または継続して雇用する事業主またはこれらの事業主を構成員とする事業主の団体が、その障害者である労働者の通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成します。 重度障害者多数雇用事業所施設 設置等助成金 重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害者のために事業施設等の設置または整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成します。 障害者能力開発助成金 障害者能力開発訓練事業を行う事業主等へ、その費用の一部を助成します。 障害者雇用相談援助助成金 障害者雇用相談援助事業を実施する事業者が、当該事業を利用する事業主に障害者雇用相談援助事業を行った場合に、その費用の一部を助成します。 障害者雇用納付金関係助成金は、事業主などが障害者の雇用に当たって、施設・設備の整備などや適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇い入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主などに対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的としています。 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html#gaiyou ※最新の情報は各都道府県のJEED支部にお尋ねください。 都道府県労働局で支給する助成金 ?トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html ?キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html ?特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html 関係機関・団体 (1)相談支援施設(手話通訳・要約筆記者の派遣など) 聴覚障害者情報提供施設 令和6年4月現在 都道 府県名 指定都市・ 中核市名 施設名称 設置者 住所 HPアドレス 北海道 - 北海道聴覚障がい者 情報センター 公益社団法人 北海道ろうあ連盟 北海道札幌市中央区北2条西 7丁目 道民活動センタービル4階 北海道 札幌市 札幌市視聴覚障がい者 情報センター 札幌市 札幌市中央区大通西19丁目 https://www.city.sapporo.jp/shinsho-center/shichokaku/ 青森県 - 青森県聴覚障がい者 情報センター 青森県 青森県青森市 大字筒井字八ツ橋76-9 http://www.aomori-chokaku.jp/ 岩手県 - 岩手県立視聴覚障がい者 情報センター 岩手県 岩手県盛岡市盛岡駅西通 1-7-1 https://www.aiina.jp/site/sityoukaku/ 秋田県 - 秋田県聴覚障害者 支援センター 秋田県 秋田市旭北栄町1番5号 秋田県社会福祉会館5階 http://www.fukinoto.or.jp/chokaku/ 宮城県 - 宮城県聴覚障害者 情報センター 宮城県 宮城県仙台市青葉区上杉 3丁目3-1 http://www.mimisuppo-miyagi.org/index.html 山形県 - 山形県聴覚障がい者 情報支援センター 山形県 山形県山形市小白川町 2-3-30 http://y-mimi.sakura.ne.jp/ 福島県 - 福島県聴覚障害者 情報支援センター 一般社団法人 福島県聴覚障害者協会 福島県福島市渡利七社宮111 福島県総合社会福祉センター内 茨城県 - 茨城県立聴覚障害者 福祉センターやすらぎ 茨城県 茨城県水戸市住吉町349-1 https://www.center-yasuragi.or.jp/ 栃木県 - とちぎ視聴覚障害者 情報センター 栃木県 栃木県宇都宮市若草1-10-6 https://www.tochigikenshakyo.jp/service/center/tyoukaku.html 群馬県 - 群馬県聴覚障害者 コミュニケーションプラザ 群馬県 群馬県前橋市新前橋町13-12 https://gunma-comipura.jp/ 埼玉県 - 埼玉聴覚障害者情報センター 社会福祉法人 埼玉聴覚障害者福祉会 埼玉県さいたま市浦和区北浦和5-6-5 埼玉県浦和合同庁舎別館2階 http://saitama-info-center.sai-donguri.org/ 千葉県 - 千葉聴覚障害者センター 社会福祉法人千葉県 聴覚障害者協会 千葉県千葉市中央区神明町 204-12 http://www.chibadeaf.or.jp/ 東京都 - 聴力障害者情報文化センター 社会福祉法人聴力障害者情報文化センター 東京都目黒区五本木1-8-3 http://www.jyoubun-center.or.jp/ 神奈川県 - 神奈川県聴覚障害者 福祉センター 神奈川県 神奈川県藤沢市藤沢933-2 http://www.kanagawa-wad.jp/ 神奈川県 横浜市 障害者スポーツ文化センター横浜ラポール聴覚障害者情報提供施設 横浜市 横浜市港北区鳥山町1752 http://www.yokohama-rf.jp/rapport/jyoutei/ 神奈川県 川崎市 川崎市聴覚障害者 情報文化センター 川崎市 川崎市中原区井田三舞町 14-16 https://www.joubun.net/ 新潟県 - 新潟県聴覚障害者 情報センター 新潟県 新潟県新潟市江南区亀田向陽1-9-1 新潟ふれ愛プラザ内 https://jyoho.n-fureaiplaza.com/ 富山県 - 富山県聴覚障害者センター 社会福祉法人 富山県聴覚障害者協会 富山県富山市木場町2-21 http://www.tomichokyo.or.jp/ 石川県 - 石川県聴覚障害者センター 社会福祉法人 石川県聴覚障害者協会 石川県金沢市本多町3丁目 1番10号 http://www.deaf-ishikawa.or.jp/ 福井県 - 福井県聴覚障がい者センター 社会福祉法人福井県 聴覚障がい者協会 福井県福井市光陽2丁目 3-22 https://www.fukui-deaf.jp/ 山梨県 - 山梨県立聴覚障害者 情報センター 山梨県 山梨県甲府市北新1-2-12 http://canayell.co.jp/ 長野県 - 長野県聴覚障がい者 情報センター 長野県 長野県長野市下駒沢586 https://www.nagano-choujou.com/ 岐阜県 - 岐阜県聴覚障害者 情報センター 岐阜県 岐阜市薮田南5-14-53 https://gifudeafcenter.jp/ 静岡県 - 静岡県聴覚障害者 情報センター 静岡県 静岡県静岡市葵区駿府町 1-70 http://shizu-jousen.sakura.ne.jp 愛知県 - あいち聴覚障害者センター 一般社団法人 愛知県聴覚障害者協会 愛知県名古屋市中区三の丸一丁目7番2号 桜華会館内 愛知県 名古屋市 名身連聴覚言語障害者 情報文化センター 社会福祉法人名古屋市身体障害者福祉連合会 名古屋市中村区中村町7-84-1 http://meishinren.or.jp/ 三重県 - 三重県聴覚障害者 支援センター 三重県 三重県津市桜橋2丁目131 https://www.deaf-mie-center.com/ 滋賀県 - 滋賀県立聴覚障害者センター 滋賀県 滋賀県草津市大路二丁目 11-33 https://shigajou.or.jp/ 京都府 - 京都府聴覚言語障害センター 社会福祉法人京都聴覚言語障害者福祉協会 京都府城陽市寺田林ノ口 11-64 http://www.kyoto-chogen.or.jp/communityplaza/ 京都府 京都市 京都市聴覚言語障害センター 京都市 京都市中京区西ノ京東中合町2 http://www.kyoto-chogen.or.jp/center/ 大阪府 - 大阪府立福祉情報コミュニケーションセンター 聴覚障がい者情報提供施設 大阪府 大阪市東成区中道1-3-59 http://osakacommunication.com/ 大阪府 堺市 堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センター(聴覚障害者情報提供施設) 堺市 堺市堺区旭ヶ丘中町4丁3-1 http://www.sakai-kfp.info/ear/index.cgi 兵庫県 - 兵庫県立聴覚障害者 情報センター 兵庫県・神戸市 兵庫県神戸市灘区岸地通 1-1-1 https://hyogocenter.jp/ 奈良県 - 奈良県聴覚障害者 支援センター 奈良県 奈良県橿原市大久保町320-11 奈良県社会福祉総合センター4階 http://www.nds-center.nara.jp/ 和歌山県 - 和歌山県聴覚障害者 情報センター 和歌山県 和歌山県和歌山市手平二丁目1番2号 県民交流プラザ和歌山ビック愛6階 https://wakayama-djc.jp/ 鳥取県 - 鳥取県東部聴覚障がい者 センター 鳥取県 鳥取県鳥取市富安二丁目 104-2 さざんか会館内 https://torideaf.jp/publics/index/38/ 鳥取県 - 鳥取県中部聴覚障がい者 センター 鳥取県 鳥取県倉吉市葵町724-15 https://torideaf.jp/publics/index/39/ 鳥取県 - 鳥取県西部聴覚障がい者 センター 鳥取県 鳥取県米子市旗ヶ崎六丁目 19-48 堀田ビル1階 https://torideaf.jp/publics/index/40/ 島根県 - 島根県聴覚障害者 情報センター 島根県 島根県松江市東津田町1741-3 https://www.shimane-choukaku.jp/ 島根県 - 島根県西部視聴覚障害者 情報センター 島根県 島根県浜田市野原町1826-1 https://www.bd-iwami.org/ 岡山県 - 岡山県聴覚障害者センター 岡山県 岡山県岡山市北区南方二丁目 13番1号 広島県 - 広島県聴覚障害者センター 広島県 広島県広島市南区皆実町 1-6-29 http://hiro-chokaku.jp/ 山口県 - 山口県聴覚障害者情報 センター 山口県 山口県山口市鋳銭司南原 2364-1 徳島県 - 徳島県立障がい者交流プラザ 視聴覚障がい者支援センター 徳島県 徳島県徳島市南矢三町2丁目 1-59 http://www.kouryu-plaza.jp/sc-center/topics/ 香川県 - 香川県聴覚障害者 福祉センター 香川県 香川県高松市太田上町405-1 https://www.chosyocenter.com/ 愛媛県 - 愛媛県視聴覚福祉センター 愛媛県 愛媛県松山市本町6丁目 11番5号 https://sityoukaku.pref.ehime.jp/index.php 高知県 - 高知県聴覚障害者 情報センター 社会福祉法人 小高坂更生センター 高知県高知市越前町2丁目 4番5号 http://www.kodakasa-h.com/chokaku.html 福岡県 - 福岡県聴覚障害者センター 社会福祉法人 福岡県聴覚障害者協会 福岡県春日市原町3丁目1-7 クローバープラザ3F http://www.fad.or.jp/ 福岡県 北九州市 北九州市立聴覚障害者 情報センター 北九州市 福岡県北九州市八幡西区黒崎三丁目15-3 コムシティ5階 https://www.city.kitakyushu.lg.jp/ho-huku/k17600117.html 佐賀県 - 佐賀県聴覚障害者 サポートセンター 佐賀県 佐賀県佐賀市白山2丁目1番12号 佐賀商工ビル4階 http://saga-mimisapo.jp 長崎県 - 長崎県聴覚障害者 情報センター 長崎県 長崎県長崎市橋口町10-22 https://nagasaki-choukaku.jp/wordpress/ 熊本県 - 熊本県聴覚障害者 情報提供センター 熊本県 熊本県熊本市東区長嶺南 2丁目3-2 http://kumajou.jp/ 大分県 - 大分県聴覚障害者センター 大分県 大分県大分市大津町1-9-5 http://www.toyonokuni.jp/ 宮崎県 - 県立聴覚障害者センター 宮崎県 宮崎県宮崎市江平西2-1-20 https://msen2022.sakura.ne.jp 鹿児島県 - 鹿児島県視聴覚障害者 情報センター 鹿児島県 鹿児島県鹿児島市小野1丁目 1-1 http://www.shichocenter.kagoshima.kagoshima.jp/newpage7.html 沖縄県 - 沖縄聴覚障害者情報センター 一般社団法人 沖縄県聴覚障害者協会 沖縄県那覇市首里石嶺町4丁目373番地1西棟3階322室 https://www.otjc.org/ (2)就労支援機関 地域障害者職業センター 令和6年10月現在 障害者職業カウンセラーが配置され、公共職業安定所などの関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として、地域に密着した職業リハビリテーションを実施しています。 名 称 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 北海道障害者職業センター 001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1  札幌サンプラザ5階 011-747-8231 011-747-8134 北海道障害者職業センター 旭川支所 070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166-26-8231 0166-26-8232 青森障害者職業センター 030-0845 青森市緑2-17-2 017-774-7123 017-776-2610 岩手障害者職業センター 020-0133 盛岡市青山4-12-30 019-646-4117 019-646-6860 宮城障害者職業センター 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 022-257-5601 022-257-5675 秋田障害者職業センター 010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 018-864-3608 018-864-3609 山形障害者職業センター 990-0021 山形市小白川町2-3-68 023-624-2102 023-624-2179 福島障害者職業センター 960-8054 福島市三河北町7-14  福島職業能力開発促進センター内 024-526-1005 024-535-1000 茨城障害者職業センター 309-1703 笠間市鯉淵6528-66 0296-77-7373 0296-77-4752 栃木障害者職業センター 320-0865 宇都宮市睦町3-8 028-637-3216 028-637-3190 群馬障害者職業センター 379-2154 前橋市天川大島町130-1  ハローワーク前橋3階 027-290-2540 027-290-2541 埼玉障害者職業センター 338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 048-854-3222 048-854-3260 千葉障害者職業センター 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3  ハローワーク千葉4階 043-204-2080 043-204-2083 東京障害者職業センター 110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 03-6673-3938 03-6673-3948 東京障害者職業センター 多摩支所 190-0012 立川市曙町2-38-5  立川ビジネスセンタービル5階 042-529-3341 042-529-3356 神奈川障害者職業センター 252-0315 相模原市南区桜台13-1 042-745-3131 042-742-5789 新潟障害者職業センター 950-0067 新潟市東区大山2-13-1 025-271-0333 025-271-9522 富山障害者職業センター 930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 076-413-5515 076-413-5516 石川障害者職業センター 920-0901 金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三2階 076-225-5011 076-225-5017 福井障害者職業センター 910-0026 福井市光陽2-3-32 0776-25-3685 0776-25-3694 山梨障害者職業センター 400-0864 甲府市湯田2-17-14 055-232-7069 055-232-7077 長野障害者職業センター 380-0935 長野市中御所3-2-4 026-227-9774 026-224-7089 岐阜障害者職業センター 502-0933 岐阜市日光町6-30 058-231-1222 058-231-1049 静岡障害者職業センター 420-0851 静岡市葵区黒金町59-6  大同生命静岡ビル7階 054-652-3322 054-652-3325 愛知障害者職業センター 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1  MIテラス名古屋伏見5階 052-218-2380 052-218-2379 愛知障害者職業センター 豊橋支所 440-0888 豊橋市駅前大通1-27 MUS豊橋ビル6階 0532-56-3861 0532-56-3860 三重障害者職業センター 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津3階 059-224-4726 059-224-4707 滋賀障害者職業センター 525-0027 草津市野村2-20-5 077-564-1641 077-564-1663 京都障害者職業センター 600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町 803 ハローワーク京都七条5階 075-341-2666 075-341-2678 大阪障害者職業センター 541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11  クラボウアネックスビル4階 06-6261-7005 06-6261-7066 大阪障害者職業センター 南大阪支所 591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 072-258-7137 072-258-7139 兵庫障害者職業センター 657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 ハローワーク灘3階 078-881-6776 078-881-6596 奈良障害者職業センター 630-8014 奈良市四条大路4-2-4 0742-34-5335 0742-34-1899 和歌山障害者職業センター 640-8323 和歌山市太田130-3 073-472-3233 073-474-3069 鳥取障害者職業センター 680-0842 鳥取市吉方189 0857-22-0260 0857-26-1987 島根障害者職業センター 690-0877 松江市春日町532 0852-21-0900 0852-21-1909 岡山障害者職業センター 700-0821 岡山市北区中山下1-8-45  NTTクレド岡山ビル17階 086-235-0830 086-235-0831 広島障害者職業センター 730-0004 広島市中区東白島町14-15  NTTクレド白島ビル12階 082-502-4795 082-211-4070 山口障害者職業センター 747-0803 防府市岡村町3-1 0835-21-0520 0835-21-0569 徳島障害者職業センター 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島4階 088-611-8111 088-611-8220 香川障害者職業センター 760-0055 高松市観光通2-5-20 087-861-6868 087-861-6880 愛媛障害者職業センター 790-0808 松山市若草町7-2 089-921-1213 089-921-1214 高知障害者職業センター 781-5102 高知市大津甲770-3 088-866-2111 088-866-0676 福岡障害者職業センター 810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19  ワークプラザ赤坂5階 092-752-5801 092-752-5751 福岡障害者職業センター 北九州支所 802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 093-941-8521 093-941-8513 佐賀障害者職業センター 840-0851 佐賀市天祐1-8-5 0952-24-8030 0952-24-8035 長崎障害者職業センター 852-8104 長崎市茂里町3-26 095-844-3431 095-848-1886 熊本障害者職業センター 862-0971 熊本市中央区大江6-1-38  ハローワーク熊本4階 096-371-8333 096-371-8806 大分障害者職業センター 870-0131 大分県大分市皆春1483-1 097-503-6600 097-503-6601 宮崎障害者職業センター 880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 0985-26-5226 0985-25-6425 鹿児島障害者職業センター 890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 099-257-9240 099-257-9281 沖縄障害者職業センター 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25  沖縄職業総合庁舎5階 098-861-1254 098-861-1116 就労支援機器貸出・相談窓口(令和7年3月まで「中央障害者雇用情報センター」の名称でサービスを提供しています) 就労支援機器に関する豊富な経験や知識を有する就労支援機器アドバイザーが、企業の規模や業種の特性に応じた雇用管理に関する相談・援助、就労支援機器の貸出と活用に関する相談などを実施しています。 名 称 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 中央障害者雇用情報センター 130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12  墨田公共職業安定所5階 03-5638-2792 03-5638-2282 障害者職業能力開発校(国立、県立) 就職または雇用継続に必要な技能・知識を習得し、障害者の就職の促進または継続を図ることを目的として、障害特性に配慮した職業訓練を行っています。 校 名 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 実施訓練科目 国 立(13校) 北海道障害者職業 能力開発校 073-0115 北海道砂川市焼山60 0125-52-2774 0125-52-9177 木工、製版、建築設計、【機械製図】、OA事務、【プログラム設計】、ショップマネジメント、被服縫製(作業実務) 宮城障害者職業能力開発校 981-0911 宮城県仙台市青葉区台原 5-15-1 022-233-3124 022-233-3125 電子機器、洋裁、印刷、商業デザイン、【義肢・装具】、経理事務、【プログラム設計】、縫製実務、製本紙工 中央障害者職業能力開発校 359-0042 埼玉県所沢市並木4-2 042-995-1711 042-998-3353 機械加工、機械製図、貴金属・宝石、工業デザイン、金属塗装、縫製、OAシステム、電気機器、電子機器、コンピュータ制御、経理事務、一般事務、OA事務、電話交換、製版 東京障害者職業能力開発校 187-0035 東京都小平市小川西町 2-34-1 042-341-1411 042-341-1451 電子機器、経理事務、OA事務、医療事務、ソフトウェア管理、ショップマネジメント、製版、編集デザイン、機械製図、精密加工、トレース、洋裁、アパレルソーイング、木工、金属塗装、【義肢・装具】、実務作業 神奈川障害者職業 能力開発校 228-0815 神奈川県相模原市桜台 13-1 042-744-1243 042-740-1497 【機械加工】、機械製図、【コンピュータ制御】、製版、【OAシステム】、経理事務、一般事務、電話交換、クラフト実務、生産実務、サービス実務 石川障害者職業能力開発校 921-8836 石川県石川郡野々市町末松 2-245 076-248-2235 076-248-2236 機械製図、電子機器、洋裁、陶磁器製造、製版、一般事務、生産実務 愛知障害者職業能力開発校 441-1231 愛知県宝飯郡一宮町大字一宮字上新切33-14 0533-93-2102 0533-93-6554 【システム設計】、OAシステム、【コンピュータ制御】、OA事務、CAD設計、グラフィックデザイン、園芸、アパレル、彫型工芸 大阪障害者職業能力開発校 590-0137 大阪府堺市城山台5-1-3 0722-96-8311 0722-96-8313 【メカトロニクス】、機械加工、【システム設計】、OA事務、製版、洋裁、広告美術、作業実務 兵庫障害者職業能力開発校 664-0845 兵庫県伊丹市東有岡4-8-1 0727-82-3210 0727-82-7081 【臨床検査】【メカトロニクス】、OAシステム、データベース、製版、実務作業 吉備高原障害者職業能力開発校 716-1241 岡山県上房郡賀陽町吉川 7520 0866-56-9000 0866-56-7636 機械加工、機械製図、電気機器、電子機器、印刷、一般事務、経理事務、OAシステム 広島障害者職業能力開発校 734-0003 広島県広島市南区宇品東 4-1-23 082-254-1766 082-254-1716 機械加工、機械製図、製版、表具、OA事務、ソフトウェア管理、総合実務 福岡障害者職業能力開発校 808-0122 福岡県北九州市若松区蜑住 1728-1 093-741-5431 093-741-1340 【プログラム設計】、機械製図、義肢・装具、建築設計、商業デザイン、OA事務、製版、総合実務、洋裁 鹿児島障害者職業 能力開発校 895-1401 鹿児島県薩摩郡入来町副田6285 0996-44-2206 0996-44-2207 製版、義肢・装具、経理事務、OA事務、電子機器、総合実務、園芸、洋裁 府県立(6校) 青森県立障害者職業訓練校 036-8253 青森県弘前市緑ケ丘1-9-1 0172-36-6882 0172-36-6882 電子機器、製版、OA事務 千葉県立障害者高等技術専門校 266-0014 千葉県千葉市緑区大金沢町 470 043-291-7744 043-291-7745 OA事務、製版、電子機器、洋裁、【建築設計】、縫製実務、木工実務 静岡県立あしたか 職業訓練校 410-0301 静岡県沼津市宮本5-2 0559-24-4380 0559-24-7758 機械加工、OA事務、機械操作、機器組立、縫製加工 岐阜県立障がい者 職業能力開発校 502-8503 岐阜市学園町2丁目 33番地 058-201-4511 058-231-3760 基礎実務科、OAビジネス科、 Webデザイン科 京都府立城陽障害者高等技術専門校 610-0100 京都府城陽市中芦原59 0774-54-3600 0774-56-0528 縫製、紙器製造、OA事務 兵庫県立障害者 高等技術専門学院 651-2134 兵庫県神戸市西区曙町 1070 078-927-3230 078-928-5512 【システム設計】、精密加工、貴金属・宝石、機械製図、加工組立 機構支部 高齢・障害者業務課 令和6年10月現在 障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発などの業務を実施するほか、高年齢者などの雇用に関する相談・援助、各種給付金の申請の受付などを実施しています。 都道府県 郵便番号 所 在 地 電話番号 FAX番号 北海道 063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 011-622-3354 青森 030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 017-721-2127 岩手 020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 019-654-2082 宮城 985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 022-361-6291 秋田 010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 018-873-8090 山形 990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 023-687-5733 福島 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 024-526-1513 茨城 310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 029-300-1217 栃木 320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 028-623-0015 群馬 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 027-287-1512 埼玉 336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 048-813-1114 千葉 263-0004 千葉市稲毛区六方町274 千葉職業能力開発促進センター内 043-304-7730 043-304-7733 東京 130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 03-5638-2282 神奈川 241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 045-360-6011 新潟 951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 025-226-6011 025-226-6013 富山 933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 0766-26-8022 石川 920-0352 金沢市観音堂町へ-1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 076-267-6084 福井 915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 0778-23-1055 山梨 400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 055-242-3721 長野 381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 026-243-2077 岐阜 500-8842 岐阜市金町5-25 G-front U7階 058-265-5823 058-266-5329 静岡 422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 054-280-3623 愛知 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 052-218-3389 三重 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 059-213-9270 滋賀 520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 077-537-1215 京都 617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 075-951-7483 大阪 566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0722 06-7664-0364 兵庫 661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 06-6431-8220 奈良 634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 0744-22-5234 和歌山 640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 073-462-6810 鳥取 689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 0857-52-8785 島根 690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 0852-60-1678 岡山 700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 086-241-0178 広島 730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 082-545-7152 山口 753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 083-995-2051 徳島 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 088-611-2390 香川 761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 087-814-3792 愛媛 791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 089-905-6781 高知 781-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 088-837-1163 福岡 810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 092-718-1314 佐賀 849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 0952-37-9118 長崎 854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 0957-35-4723 熊本 861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 096-249-1889 大分 870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 097-522-7256 宮崎 880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 0985-51-1557 鹿児島 890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 099-250-5152 沖縄 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 098-941-3301 098-941-3302 ハローワーク 障害者専門の職業相談・職業紹介窓口(専門援助部門)があり、就職を希望している障害者の多くがハローワークに求職登録をしています。障害者の募集活動や採用の相談が可能です(令和6年10月現在436所)。 障害者就業・生活支援センター 障害者の身近な地域において就業面と生活面の一体的な相談・支援を行っています(令和6年4月現在 337センター)。 https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001242595.pdf (3)当事者団体など 全日本ろうあ連盟及び加盟団体 令和6年7月現在 都道 府県名 団体名 代表者 e-mail・fax・ 問い合わせフォーム 郵便番号 住所 電話番号 FAX番号 ウェブサイト 一般財団法人全日本ろうあ連盟 本部 問い合わせフォーム 162-0053 東京都新宿区原町3-61  桂ビル2階 03-6302-1430 03-6302-1449 https://www.jfd.or.jp/ 一般財団法人全日本ろうあ連盟 京都事務所 602-0901 京都府京都市上京区北小路室町通今出川下ル 繊維会館1階 075-441-6079 075-441-6147 北海道 公益社団法人北海道ろうあ連盟 理事長 大内祥一 hokkaidoho☆hokuroren.jp 060-0002 札幌市中央区北2条西7丁目  道民活動センタービル4F 011-221-2695 011-281-1289 http://hokurouren.jp/ 青森県 一般社団法人青森県ろうあ協会 会長 小沢千枝子 017-728-2273 030-0944 青森市筒井字八ツ橋 76-9  県聴覚障害者情報センター内 017-728-2279 017-728-2273 http://www.aomori-chokaku.jp/society/index.htm 岩手県 一般社団法人岩手県聴覚障害者協会 会長 千葉 孝 iwaterouakyoukai2007@brown.plala.or.jp 020-0831 盛岡市三本柳13地割42番1号 019-601-2020 019-601-2021 - 宮城県 一般社団法人宮城県聴覚障害者協会 会長 小泉正壽 問い合わせフォーム 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-2  宮城県障害者福祉センター内 022-293-5531 022-293-5532 http://www.miyarou.or.jp/ 秋田県 一般社団法人秋田県聴力障害者協会 会長 工藤憲一 010-0922 秋田市旭北栄町1-5  県社会福祉会館1F 018-864-2782 018-864-2782 - 山形県 一般社団法人山形県聴覚障害者協会 会長 丹野俊裕 ymgt-d-a@lapis.plala.or.jp 990-0021 山形市小白川町2-3-30  山形県聴覚障がい者情報支援センター内 023-615-3582 023-615-3583 http://yamagata-center.jp/ 福島県 一般社団法人福島県聴覚障害者協会 会長 吉田正勝 fukushima-deaf@f-da.or.jp 960-8141 福島市渡利字七社宮111  県総合社会福祉センター内 024-522-0681 024-563-6228 http://www.normanet.ne.jp/~deaffuku/ 茨城県 一般社団法人茨城県聴覚障害者協会 会長 吉沢 馨 問い合わせフォーム 310-0844 水戸市住吉町349-1  県立聴覚障害者福祉センター 「やすらぎ」内 029-248-0882 029-246-0998 http://www.normanet.ne.jp/~ida/ 栃木県 一般社団法人栃木県聴覚障害者協会 理事長 稲川和彦 tochirou☆h9.dion.ne.jp 320-8508 宇都宮市若草1-10-6  とちぎ福祉プラザ内 028-621-8010 028-621-7896 http://tochideaf.lar.jp/ 群馬県 一般社団法人群馬県聴覚障害者連盟 理事長 早川健一 問い合わせフォーム 371-0843 前橋市新前橋町13-12  県社会福祉総合センター内 027-255-6404 027-255-6870 https://www.deaf-gunma.com/ 埼玉県 一般社団法人埼玉県聴覚障害者協会 理事長 小出真一郎 問い合わせフォーム 330-8522 さいたま市浦和区大原3-10-1  県障害者交流センター内 048-824-5277 048-825-0774 http://www.sai-deaf.org/ 千葉県 社会福祉法人千葉県聴覚障害者協会 理事長 植野圭哉 043-308-5562 260-0022 千葉市中央区神明町204-12 043-308-6372 043-308-5562 http://www.chibadeaf.or.jp/kikaku/ 東京都 公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構東京都聴覚障害者連盟 会長 粟野達人 問い合わせフォーム 150-0011 渋谷区東1-23-3  東京聴覚障害者自立支援センター1F 03-5464-6055〜6 03-5464-6057 http://www.tfd.deaf.tokyo/ 神奈川県 一般社団法人神奈川県聴覚障害者連盟 理事長 河原雅浩 kanagawa.f.deaf@gmail.com 251-0052 藤沢市藤沢933-2  神奈川県聴覚障害者福祉センター内 - 0466-26-5454 http://deaf-jinchoren.sakura.ne.jp/wp/ 山梨県 一般社団法人山梨県聴覚障害者協会 理事長 小佐野松雄 yrk33@dream.ocn.ne.jp 400-0053 甲府市大里町4225-1  コアタウン6号 055-269-6694 055-269-6695 https://www.2020yrk333.com/ 新潟県 一般社団法人新潟県聴覚障害者協会 会長 米津道幸 Facebook 950-0121 新潟市江南区亀田向陽1-9-1  新潟ふれ愛プラザ内 025-381-1956 025-381-4699 https://ja-jp.facebook.com/一般社団法人-新潟県聴覚障害者協会-414108755287233/ 長野県 社会福祉法人長野県聴覚障害者協会 理事長 松原武 問い合わせフォーム 381-0008 長野市下駒沢586  県障害者福祉センター内 026-295-3612 026-295-3610 https://www.33nagano.com/ 富山県 社会福祉法人富山県聴覚障害者協会 理事長 橘 勇一 info@tomichokyo.or.jp(総合案内) 930-0806 富山市木場町2-21  富山県聴覚障害者センター 076-441-7331 076-441-7305 http://www.tomichokyo.or.jp/ 石川県 社会福祉法人石川県聴覚障害者協会 理事長 達磨 敏 920-0964 金沢市本多町3-1-10  県聴覚障害者センター内 076-264-8615 076-261-3021 - 福井県 福井県ろうあ協会 会長 遊津貞美子 deaf-fukui2022@ab.auone-net.jp 910-0026 福井市光陽2-3-22  県社会福祉センター内 0776-22-2538 0776-22-0321 http://fukuideaf.blog.fc2.com/ 岐阜県 一般社団法人岐阜県聴覚障害者協会 会長 水野義弘 gifudeafoffice@waltz.ocn.ne.jp 500-8384 岐阜市薮田南5-14-53  岐阜県県民ふれあい会館6階 058-278-1301 058-274-1800 http://www.gifudeaf.jp/ 静岡県 公益社団法人静岡県聴覚障害者協会 会長 小泉秀力 office@shizudeaf.com 420-0856 静岡市葵区駿府町1-70  県総合社会福祉会館5F 054-254-6303 054-254-6294 http://www.e-switch.jp/sz-deaf/ 愛知県 一般社団法人愛知県聴覚障害者協会 理事長 中嶋宇月 a818154☆sage.com.ne,jp 460-0001 名古屋市中区三の丸1-7-2  桜華会館内 052-221-8545 052-221-8154 https://www.normanet.ne.jp/~aichirou/ 三重県 一般社団法人三重県聴覚障害者協会 会長 深川誠子 問い合わせフォーム 514-0003 津市桜橋2-131  県社会福祉会館内 059-229-8540 059-223-4330 https://deafmie.com/ 滋賀県 一般社団法人滋賀県ろうあ協会 会長 田邊理恵子 525-0032 草津市大路2-11-33  県立聴覚障害者センター2F 077-564-7722 077-564-4157 http://ameblo.jp/deafshiga/ 京都府 一般社団法人京都府聴覚障害者協会 会長 ??田 航 問い合わせフォーム 604-8437 京都市中京区西ノ京東中合町2番地 京都市聴覚言語障害センター気付 075-432-7705 075-841-8433 http://www.deaf-kyoto.or.jp/ 大阪府 公益社団法人大阪聴力障害者協会 会長 長宗政男 問い合わせフォーム 537-0025 大阪市東成区中道1-3-59  大阪府立福祉情報コミュニケーションセンター 3階 06-6748-0380 06-6748-0383 http://www.daicyokyo.jp/ 兵庫県 公益社団法人兵庫県聴覚障害者協会 理事長 本郷善通 info@hyogodeaf.com 650-0022 神戸市中央区元町通6-1-1 栄ビル8F 078-371-5613 078-371-0277 http://hyogodeaf.com/ 奈良県 一般社団法人奈良県聴覚障害者協会 理事長 北田知子 問い合わせフォーム 634-0061 橿原市大久保町320-11  県社会福祉総合センター内 0744-29-0133 0744-29-0134 http://www.nda.nara.jp 和歌山県 一般社団法人和歌山県聴覚障害者協会 会長 福田美枝子 問い合わせフォーム 640-8319 和歌山市手平2-1-2  和歌山ビッグ愛 6階 073-488-5243 073-488-5233 http://watyosyokyo.or.jp/ 鳥取県 公益社団法人鳥取県聴覚障害者協会 理事長 下垣彰則 問い合わせフォーム 683-0845 鳥取県米子市旗ヶ崎6丁目19-48 0859-30-3720 0859-30-3131 http://torideaf.jp/ 島根県 島根県ろうあ連盟 連盟長 井上 隆 問い合わせフォーム 690-0011 松江市東津田町1741-3  いきいきプラザ島根2F 0852-32-5959 0852-32-5922 https://shimane-rou.org/ 岡山県 公益社団法人岡山県聴覚障害者福祉協会 会長 中西厚美 問い合わせフォーム 700-0807 岡山市北区南方2-13-1  岡山県総合福祉・ボランティア・NPO会館(きらめきプラザ)4F 086-224-2275 086-224-2270 http://okayama-deaf.org/ 広島県 一般社団法人広島県ろうあ連盟 理事長 迫田和昭 問い合わせフォーム 734-0007 広島市南区皆実町1丁目6-29 広島県健康福祉センター2F 082-252-0303 082-252-0309 http://ww6.enjoy.ne.jp/~hrren/ 山口県 一般社団法人山口県ろうあ連盟 理事長 赤井正志 問い合わせフォーム 747-1221 山口市鋳銭司南原2364-1  県聴覚障害者情報センター 083-986-2818 083-963-4380 http://yama-deaf-leag.info/hp/ 徳島県 特定非営利活動法人徳島県聴覚障害者福祉協会 理事長 平 光江 770-0005 徳島市南矢三町2-1-59  徳島県立障害者交流プラザ内 088-631-1666 088-631-1666 - 香川県 公益社団法人香川県聴覚障害者協会 理事長 近藤龍治 問い合わせフォーム 761-8074 高松市太田上町405-1  県聴覚障害者福祉センター内 087-868-9200 087-868-9201 https://www.chosyocenter.com/roua/ 愛媛県 愛媛県聴覚障害者協会 会長 青井 均 790-0811 松山市本町6-11-5  県視聴覚福祉センター内 089-923-7928 089-923-7928 - 高知県 一般社団法人高知県聴覚障害者協会 会長 竹島春美 kochi-deaf@md.pikara.ne.jp 780-0928 高知市越前町2-4-5-3F 088-822-2794 088-875-5307 高知くらしつながるネット(Licoネット ) 福岡県 社会福祉法人福岡県聴覚障害者協会 理事長 大澤五惠 問い合わせフォーム 816-0804 春日市原町3-1-7  クローバープラザ3F 092-582-2414 092-582-2419 http://www.fad.or.jp/ 佐賀県 一般社団法人佐賀県聴覚障害者協会 理事長 中村 稔 sagarou@ksn.biglobe.ne.jp 840-0826 佐賀市白山2丁目1-12  佐賀商工ビル4F 0952-22-7307 0952-22-7307 http://sagarou.starfree.jp/ 長崎県 一般社団法人長崎県ろうあ協会 会長 荒木宏彦 問い合わせフォーム 852-8114 長崎市橋口町10-22 長崎県聴覚障害者情報センター 095-847-2681 095-847-2572 https://roua-nagasaki.ecweb.jp/wordpress/ 熊本県 一般財団法人熊本県ろう者福祉協会 理事長 松本 幸造 kshk@muse.ocn.ne.jp 862-0950 熊本市中央区水前寺6-9-4  熊本聴覚障害者総合福祉センター内 096-383-5587 096-384-5937 http://kshk2018.galaxy.bindcloud.jp/ 大分県 社会福祉法人大分県聴覚障害者協会 理事長 西村 務 問い合わせフォーム 870-0907 大分市大津町1-9-5  大分県聴覚障害者センター内 097-551-2152 097-556-0556 http://www.toyonokuni.jp 宮崎県 社会福祉法人宮崎県聴覚障害者協会 理事長 堀田享志 msen-na@movie.ocn.ne.jp 880-0051 宮崎市江平西2-1-20  県立聴覚障害者センター内 0985-38-8733 0985-29-2279 https://msen2022.sakura.ne.jp 鹿児島県 一般社団法人鹿児島県聴覚障害者協会 会長 大久保正代 main@kagoshima-deaf.jp 890-0021 鹿児島市小野1-1-1  「ハートピアかごしま」3F 099-228-2016 099-228-6357 https://kagoshima-deaf.themedia.jp/ 沖縄県 一般社団法人沖縄県聴覚障害者協会 会長 城間枝利子 問い合わせフォーム 903-0804 那覇市首里石嶺町4-373-1  沖縄県総合福祉センター西棟3F 098-886-8355 098-882-5911 http://www.otjc.org/DEAF-Oki/ 一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 https://www.zennancho.or.jp/ 社会福祉法人 全国盲ろう者協会 https://www.jdba.or.jp/ (4)手話通訳・要約筆記関係 ?一般社団法人全国手話通訳問題研究会 https://www.zentsuken.net/ ?一般社団法人日本手話通訳士協会 https://www.jasli.jp/ ?社会福祉法人全国手話研修センター https://www.com-sagano.com/ ?特定非営利活動法人 全国要約筆記問題研究会 https://zenyouken.jp/ ?一般社団法人 要約筆記者認定協会 https://yh-nintei.jp/ (5)その他 ?筑波技術大学 共生社会創成機構リカレント教育部門「聴覚障害者のためのキャリアサポートセンター」 https://tsukutech-social.net/site/ 障害者雇用に役立つ資料など JEEDでは、障害者雇用に役立つマニュアルなどの各種資料・情報の提供を行っています。ぜひご活用ください。 NIVR マニュアル 事業主 https://www.nivr.jeed.go.jp/manual.html 1. マニュアル、好事例集など 聴覚障害者のための職場改善に関する好事例集 障害者の雇用管理や雇用形態、職場環境の整備などについて事業所が創意工夫して実践している取組を紹介しています。 2. 障害者雇用事例リファレンスサービス 障害者雇用について創意工夫などを行い積極的に取り組んでいる事業所の事例(モデル事例)や、合理的配慮の提供に関する事例について、ホームページで紹介しています。 業種別、障害種類別、事業所規模別などで事例を検索できます。 https://www.ref.jeed.go.jp/ 3. DVDの貸出 職場で頻繁に使われる用語手話、金融・IT関連用語手話及び会話例を紹介した学習用DVDを無料配布しています。 また、障害者雇用への理解を深めていただくためのDVDを無料で貸し出しています。障害者雇用に取り組む際の参考資料、社員研修の教材など、幅広い用途でお使いいただけます。 DVD貸出リスト、貸出手続き方法はホームページに掲載しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/dvd/index.html 4. 就労支援機器の貸出 障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主に対して、障害者の就労を容易にするための支援機器の貸出を行っています。 貸出の概要、貸出対象機器、貸出申請書類はホームページに掲載しています。 https://www.kiki.jeed.go.jp/ 〈貸し出している機器の一例〉 ・デジタル補聴システム ・対話支援システム ・デジタル集音器 ・音声認識ソフト ・携帯型無線受信システム ・電話音量増幅器 デジタル補聴システム お問い合わせ先 1〜 3:障害者雇用開発推進部 雇用開発課 TEL 043-297-9513 FAX 043-297-9547 4:就労支援機器貸出・相談窓口※ TEL 03-5638-2792 FAX 03-5638-2282 ※令和7年3月まで「中央障害者雇用情報センター」の名称でサービスを提供しています 引用文献・参考資料 ・「令和6年度 障害者白書」内閣府 ・「手話でGO! GO! 合理的配慮〜障害者差別解消法でやるべきこと〜」一般財団法人全日本ろうあ連盟 2019 ・「聞こえの障害と補聴器・人工内耳入門 基礎からわかるQ&A」黒田生子編著 2022 学苑社 ・「手にことばを中級用」社団法人東京都聴覚障害者連盟(平成8年時点) ・「令和6年版 障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト」独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 ・ 「調査研究報告書 No.176 障害者の雇用の実態等に関する調査研究」独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 2024 ・ 「障害者の労働安全衛生対策ケースブック」独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 2022 「聴覚障害者のための職場改善に関する好事例集」独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 2009 ・「わたしたちの手話 学習辞典T」一般財団法人全日本ろうあ連盟 2024 ・「わたしたちの手話 学習辞典U」一般財団法人全日本ろうあ連盟 2022 「聴覚障害者の雇用支援マニュアル  〜きこえない・きこえにくい人が働きやすい職場に〜」 企画・検討委員会委員名簿 座長 倉知 延章 九州産業大学 人間科学部 臨床心理学科(精神保健福祉士コース) 名誉教授 坂尻 正次 国立大学法人 筑波技術大学 保健科学部情報システム学科 教授 波岡 江里子 障害者雇用管理サポーター 小林 泉 一般財団法人 全日本ろうあ連盟 理事 吉野 幸代 一般財団法人 全日本ろうあ連盟 理事 安蒜 孝至 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 地域就労支援室 室長 松原 孝恵 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 職業リハビリテーション部 次長 (敬称略)(所属・役職は令和7年2月現在) 聴覚障害者の雇用支援マニュアル  〜きこえない・きこえにくい人が働きやすい職場に〜 令和7年3月 発行 編集・発行― 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 障害者職業総合センター内 TEL.043-297-9513(障害者雇用開発推進部雇用開発課) FAX.043-297-9547 ホームページURL https://www.jeed.go.jp