視覚障害者の職場定着推進マニュアル
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4障害のあるスタッフと患者様との信頼関係がCASEHさん 年齢/40代これまでの経緯/弱視。小さな文字などはルーペを使って判読でき、人の顔を見て誰かは判別できないが、廊下を歩いていて人とぶつかることはない。G病院での障害者雇用は、鍼灸・マッサージ師として雇い入れを始め、その後も継続して採用を進めており、障害者の実雇用率は現在も高い水準にあります。この法人の物理療法室の開設に合わせ、G病院では、まず障害のない鍼灸・マッサージ師のスタッフ(以下「Iさん」という。)を採用し業務を開始しました。Iさんは鍼灸・マッサージ業務を行いながら、視覚障害者の採用にも関わり、盲学校の先生との情報交換などを担当しています。G病院では盲学校の卒業生を順次採用し、物理療法室に配属を行っています。物理療法室のスタッフは6人のうち5人が視覚障害(弱視)のあるスタッフであり、全員が鍼灸・マッサージ師として働いています。G病院で視覚障害者の採用を行う際は、Iさんと盲学校の先生との間で情報交換がなされ、そこから得た情報を参考に募集・採用を進めています。採用基準は、鍼灸・マッサージの資格を有していること、実際に鍼灸・マッサージの仕事ができることです。G病院への応募を希望する方に対しては、施設見学、実際の作業の説明などを行い応募者の仕事環境の理解を深めています。リハビリテーション科ではたらくスタッフは各人が持っている資格に応じた業務を行うこととなります。仕事の分野としては、開設当初は医療分野でのサービス提供を主としていますが、介護保険制度がスタートしてからは、通所リハビリテーションの利用者に向けた介護サービスも提供することとなり、職域は拡大しています。採用後の教育や配慮については、鍼灸・マッサージ業務のための資格、技能はすでに有しているため、職場での理療業務自体に関する教育等の負担はさほど大きくはありません。一方で、仕事の周辺部についての配慮はなされています。たとえば、業務マニュアルの活字を大きくするなど見やすくしたものを用意することをはじめとして、様々な取組が行われています。「自分たちでできることはできるだけ自分たちで解決していく」を職場の基本方針として個人の障害の程度により、不得手な作業がある際には、お互いカバーし合いながら業務を行っています。業務では、医師の処方箋に基づいて交通事故の外傷、首の捻挫、痛みを伴う患者などに対して鍼灸・マッサージなどの施術が行われます。スタッフは、患者別の担当制ではなく、患者全員の施術を行っており、患者一人ひとりの治※平成30年に取材。10本人安全な業務遂行のための配慮と体制づくりをPROFILE事業所G病院事業概要/医療・福祉サービスを行っている医療法人が運営する総合病院障害者雇用の体制づくりで更なる雇用促進を~雇用体制の構築までの道のり~ある職場作り

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