視覚障害者の職場定着推進マニュアル
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HECK!HECK!HECK!5本人の強い意欲と会社の柔軟な対応により、P13「Kさんの主な職務内容」CASEKさん 年齢/20代これまでの経緯/2006年、視神経炎のため突然目が見えなくなる。治療により視力は徐々に回復し、現在は0.04程度。ただし、視野に欠損があり特に中心部分は見えない。        発症前は店舗でアシスタントマネジャーをしていたが、事務職として復職。復職後、大腿骨骨頭壊死による下肢障害となる。CCCKさんは、J社に入社し、店舗でお客様と接する忙しい日々を過ごしていました。2006年、突然高熱を発し、1週間後に目が見えなくなりました。「視神経炎」という診断でした。入院して治療を続け、視力は少し回復したものの、視野の真ん中が見えない状態になりました。4か月ほどで退院し、人事を担当する組織開発室長(以下「開発室長」という。)に復職について相談しました。白杖をついて、家族に付き添われて会社に来たKさんの姿を見たとき、「復職は難しいのではないか」と開発室長は思ったそうです。しかし、話をしていくうちに、KさんがJ社がとても好きで、なんとしても仕事に戻りたいと思っている姿勢を強く感じました。企業として何ができるか考えたとき、店舗での勤務は困難でも事務職として職域を検討することはできると思い、Kさんに、「一人で通勤できること」「パソコンのスキルを身につけること」を提示しました。このとき、休職期間を延長することも視野に入れたそうです。Kさんは、さっそく区役所に行き、いろいろな情報を集めました。そして、盲人福祉協会の協力を得て歩行訓練を行い、白杖を利用して一人で歩行する技術を習得しました。その後、日本盲人職能開発センターに通所し、パソコンの講習を受講することになりました。 3か月後、Kさんからの連絡を受けた開発室長は、パソコンの受講状況を見学し、Kさんが一人で通所していることやそれまで経験したことのないパソコンの基礎的なスキルを身につけたことに対し、その意欲と努力に感動したそうです。開発室長は、このとき初めて視覚障害者向けの就労支援機器を目にし、「パソコンが話している」と驚きを感じると共に、復職後のイメージを描くことができたそうです。会社に戻った開発室長は、Kさんの復職に向けて調整を始めました。まずはKさんの配属先と職務内容です。復職の時期と受け入れ態勢を考慮して人材開発部の採用担当としての職務を考えました。これまでの仕事内容を一部組み替えて、定型的な職務を確保するようにしました。職務内容を考える際には、日本盲人職能開発センターの職員の協力を得て、Kさんのパソコンスキルの習得状況を把握し、検討を進めました。※平成21年当時の事例を基に編集しています。12本人復職のための準備PROFILE事業所J社事業概要/各種食材、酒類の輸入・開発・販売および飲食店を国内外にチェーン展開するフードサービス業※文中記載の組織名称は、当時の名称を記載しています。突然の障害を受け入れ、復職をめざす歩行技術とパソコンのスキルを習得~復職までの道のり~配置転換をして復職が実現

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