視覚障害者の職場定着推進マニュアル
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HECK!HECK!HECK!P56「障害者雇用納付金制度に基づく主な助成金一覧」学校と企業(非営利団体)との連携によって、学生が在学中に自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うことです。教育活動の一環として学校の主体的取り組みを軸に行われるのが基本ですが、実習の態様から労働基準法上の労働者とみなされる場合もあります。(厚生労働省「インターンシップ等学生の就業体験のあり方に関する研究会報告」より)盲学校では学校の教育課程としてインターンシップを行っており、この事例では、その制度を活用して企業で実習を行いました。現在の稼働率は80%と好評で、従業員の福利厚生としても有効に機能しており、思い切って導入して良かったと感じております。人事担当者長期間勤務していた障害者が家庭の事情で短期間に退職することになり、急遽ハローワークの担当官に今後の対応について相談し、従来の採用方法に加え新しい視点からの障害者雇用を検討しました。その一つとして、以前から気にかけていた従業員の健康管理面からも評判のヘルスキーパー導入の検討を始めました。初めは全く勝手がわからず不安でしたが、ハローワークと市立盲特別支援学校の協力を得て順調に準備を進めることができました。実習によるマッサージの実体験は社内の理解を深めるために、先行企業の見学は本人を交えてのマッサージルーム開設準備打ち合わせの際の設備や備品を決定するのにとても参考になりました。市立盲特別支援学校の適切なアドバイスもあり、購入備品の助成金申請手続きを含め、比較的すんなりと導入できたと思います。CCCが行われています。こうして、Mさんは市立盲特別支援学校を卒業した2009年4月から、ヘルスキーパーとしてL社に勤務することになりました。予約者は人事で代金(1回千円)を払い、カードを受け取りマッサージルームに行くという流れになっており、人事でも施術を受ける者を把握するようにしています。リピーターも増えており、施術を受ける者は徐々に増えています。また、毎朝、厚生担当者がその日の予約状況をイントラネット上に告知するため、当日の体調や業務を考慮して当日に予約を入れる希望者も多く、稼働率は概ね80%とのことです。Mさんは、マッサージを受けた従業員から、「マッサージを受けて楽になった」という言葉を聞くのがとても嬉しいと言います。初めて施術をする場合には、問診表を活用してその人の全体の状況を把握するようにしたり、時には自分もマッサージヘルスキーパー導入までの取り組み①関係機関との相談、先行企業の見学 ②実習の実施③マッサージルームの準備(室内レイアウト、必要物品等の購入計画)④支援機器の検討 ⑤助成金等の申請手続き⑥運営方法の検討 ⑦保健所への届出 ⑧社内への周知を受けてみて、施術される人の気持ちを考えたりするなど、よりよいマッサージをするための工夫や努力を怠りません。事業の厚生担当者は、「ヘルスキーパーはスペシャリストで、私たちは技術に関するサポートはできませんが、コミュニケーションを密にして仕事がしやすくなるように一緒に考えていきたいと思っています」と話しています。Mさんは、技術に関しては盲学校の先生や同業の友人に相談しながら、自分のスキルを高めており、施術を受ける人の満足度がさらに高まるようにしたいと、今後に向けても意欲的です。人事担当者も「社内でヘルスキーパーが定着しつつあります。今後は、社外の研修の受講等でキャリアアップを図っていただき、将来的には本人の希望するアロマや鍼灸など、メニューを広げていくことも検討したいと思っています」と話しています。Mさんの施術を受けた従業員がリフレッシュして仕事に取り組み、さらに仕事の質が上がる、その効果が広がることが期待されます。15快適なマッサージをするためにマッサージルームの運用当初は、施術を希望する従業員は事前に人事に電話で予約をする方法をとっていましたが、認知度が上がるにつれ希望者が多くなったので、システム担当者と相談し、イントラネット上に予約システムを作成しました。その結果、希望者が直接予約し、予約状況をMさんがいつでも確認できるようになりました。現在は1回40分の施術で1日6人分の予約ができるしくみになっています。インターンシップ従業員の福利厚生に目を向け新たな職域へ障害者を雇用

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