障害者雇用率制度において、障害者の雇用機会の確保(法定雇用率の達成等)は個々の事業主ごとに義務付けられています。一方、障害者雇用の促進及び安定をはかるため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして実雇用率を算定できることとしています。また、特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率算定を可能としています。重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者(重度障害者等)を労働者として雇用する事業主または、これらの重度障害者等を雇用している事業主の加入する事業主団体が、これらの者の通勤を容易にするために措置を行う費用の一部を助成するものです。具体的には、通勤のための駐車場の賃借、通勤用バスの購入、住宅手当の支払い等が該当します。HECK!HECK!HECK!P56「障害者雇用納付金制度に基づく主な助成金」健常者だからといってすべてのことができるわけではありませんし、障害があっても工夫することにより多くの業務をこなすことができます。障害がある、ないに関わらず、前向きに業務に向き合っていくことが大切だと感じています。昨今、各種障害者関連の法律やガイドラインなどが整えられてきていますが、共生社会の実現に向けてはハード面だけでなく、ソフト面、心のバリアフリー等も重要な要素になってきます。当社の経営理念である「社員一人ひとりの働き甲斐(輝き)を通して、バリアのない豊かな社会の実現に貢献します」のもと、今後も社員はその活躍を通じて、社会に貢献してくれることを信じています。 取締役営業部長2004年、当社が特例子会社として設立した当時、3名の障害者を採用しました。障害種別は視覚障害と肢体不自由で、そのうちの一人がOさんです。現在(2022年6月1日)、身体障害・知的障害・精神障害のある社員数は120倍の360名にも増えています。この間、障害のある社員の声を聴きながら、体制、各種ルールや環境整備などを行ってきました。現在、視覚障害のある社員(27名)の主な業務は障害を強みとした業務で、ウェブアクセシビリティの診断・研修、障害者に役立つポータルサイトの企画・運営、障害理解や心のバリアフリー研修の講師、オフィスマッサージ等多岐にわたり、社員全員がお客様に信頼されるサービスを提供しようと責任感をもって業務を行っています。その結果、Oさんはマネージャーとして、その他のメンバーもチームリーダー等として、活躍しています。CCCさまざまな障害がある社員がお互いの障害を理解することに努め、視覚障害者に対する資料の読み上げや外出時のガイドと同様に、たとえば、聴覚障害者が情報を得やすいように、視覚障害者がパソコンで要約筆記をして会議を進めるなど、お互いの障害をサポートし、働きやすい職場を作っています。N社の事務室には、ダウン症の書家・金澤翔子さんによる「共に生きる」の大きな書が掲示されていますが、この取材を通じて、OさんやPさんをはじめ社員それぞれが、自らの業務を通じた障害理解、ひいては共生社会の実現に貢献したいという思いを強く感じることができました。19Ⅰ障がいの有無に関わらず、できることで仲間をサポートして働きやすい職場を作る N社では、OさんやPさんの他にも視覚障害者がウェブサイトやアクセシビリティに関する業務、オフィスマッサージ業務に従事しており、多くのメンバーが職業訓練等で習得した知識や技術を業務に活かし、活躍しています。また、視覚障害以外の障害者も、それぞれの職場で一人ひとりが責任を持って活躍しています。特例子会社重度障害者等通勤対策助成金ウェブアクセシビリティ 「アクセシビリティ」とは「アクセスできること」という意味の英単語で、情報やサービスがどの程度広汎な人に利用可能であるかを表します。類義語としては「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」があり、Webページのアクセシビリティについては、「ウェブアクセシビリティ」といいます。障害を強みとした業務で、共生社会の実現に貢献してくれることに期待
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