視覚障害者の職場定着推進マニュアル
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4141 視覚障害があっても、多くの場合は視機能(視力や視野、色覚、物を見るための働きなど)が少し保持されていることが多いようです。その保持されている視機能を最大限に活用し、できるだけ快適な生活を送れるように支援する眼科医療や福祉のことを「ロービジョンケア」といいます。 眼科で行うロービジョンケアでは、保持されている視力や視野を効率よく使って、少しでも見やすい環境をつくるための取り組みをします。視機能評価の結果をもとに、ニーズに応じた補助具を選定し、その補助具を使用する訓練を行います。 たとえば、「自分の状態にあった拡大鏡(縮小鏡)を使用する」、「網膜の中心にダメージがある場合に周辺部分の機能している網膜で見る練習をする」、「遮光眼鏡を使用する」などです。 また、視覚障害者向けにつくられたロービジョングッズを利用することによって、日常生活を送るうえでできることの幅が広がります。ロービジョンケアでは、このような情報提供も行っています。 画面の拡大機能、読み上げ機能、また録音機能や写真録画機能が便利に活用できるほか、支援アプリ(OCRなど)も多くリリースされている。 音声等によりボタンの操作が認識でき、DAISY方式による録音ならびに当該方式により記録された図書の再生ができる。(※DAISY方式・・・Digital Accessible Information Systemの略で日本では「アクセシブルな情報システム」でDAISY方式と訳されています。視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためにアクセシブルな電子書籍の国際標準規格として、50か国以上の会員団体で構成するデイジーコンソーシアムによる開発と維持が行われている情報システムです。) 会社によっては、復職後に研修という位置づけで、訓練を受けた施設へ一定期間定期的に通い、スキルの定着をはかっている場合もあります。 また、勤務している社員の視力が低下し業務遂行が困難になった場合に利用できる、在職者を対象にしたコースや、新規採用者のための研修として職業訓練を利用している会社もあります。 事務処理技術や情報処理技術の習得以外に、国立視力障害センターや盲学校(視覚特別支援学校)で、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の資格を取得する方法があります。 これらの資格を取得し、ヘルスキーパーとして復帰した例もありますが、一定の訓練期間(3年程度)を必要とするため、休職期間等に配慮が必要になります。ロービジョンケアとの連携・保有視機能の活用視覚障害者用ポータブルレコーダ【便利なグッズいろいろ】スマートフォン、タブレット端末コ ラ ム

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