1高齢者施設における視覚障害者の雇用取組事例事業所Aセンター事業概要/高齢者に対する通所介護事業所、入浴、食事、レクリエーション等のサービスを提供する福祉事業を展開する法人が運営本人CASEしている高齢者施設。Bさん 年齢/20代これまでの経緯/網膜色素変性症(難病)のため、両眼の視野狭窄があり、視力が低下し、正面は特に見えにくい。Aセンターの属する法人(以下「法人」という。)では、地域の人々が住み慣れたまちで安心して生活することのできる「福祉のまちづくり」の実現をめざし、地域の高齢者や障害者などの支援事業をはじめとする様々な福祉サービス活動を実施し、高齢者に対する通所介護事業所を3施設、老人福祉センターを1施設、小規模多機能型居宅介護施設を1施設、及び障害者に対する障害者計画相談支援などの事業を運営しています。Aセンターは高齢者に対する通所介護事業所として、入浴、食事、ゲームや体操などのレクリエーションをはじめとする様々なサービスを提供しています。法人では、長年にわたり老人福祉センターにおいて県立盲学校から生徒の職場実習を受け入れていますが、これまで視覚障害者の雇用はありませんでした。法人の人事担当課長(以下「担当課長」という。)は、職場実習を行う生徒を法人内の障害者雇用に結びつけられないかとの思いがあり、盲学校の教員に生徒の進路について、状況を教えてほしいと話をしたことが雇用のきっかけとなりました。担当課長は、視覚障害のある生徒を受け入れるための作業環境の整備をどう進めるかなどに対する不安もありましたが、盲学校の教員との相談の中で、視覚障害者用のパソコン画面の拡大ソフトや拡大読書器などの就労支援機器があり、それらの機器の貸出し制度や購入した際の助成金制度があるとの情報を得たことにより、視覚障害者の雇用に踏み切りました。Aセンターでは業務に必要な機器などを独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)の中央障害者雇用情報センター(以下「情報センター」という。)からの貸与により設置し、盲学校の教員の支援を受けながら、Bさんの職場実習を3日間実施しました。職場実習終了後は、3か月間のトライアル雇用を経て、正式な雇用契約に至り、就労を継続しています。Bさんは主に、Aセンター利用者へのあん摩マッサージサービス、サービス記録のパソコンへの入力、利用者カルテの書類確認などの業務に従事しています。具体的には、Aセンターの休養室内のベッド上で利用者へあん摩マッサージを行います。マッサージ終了後は、休養室近くに配置されたパソコン業務用机に移動し、サービスの記録をパソコンへ入力します。その際の利用者との会話、コミュニケーションも重要な業務の一つです。Bさんは正面が特に見えにくく、周辺視野を利用し物を※令和3年に取材。4職場実習を雇用のきっかけに職場実習の開始マッサージ師としての活躍就労支援機器の導入で働きやすく~雇用までの道のり~~盲学校と連携し、就労支援機器を活用した取組~
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