Ⅴ視覚障害者 のガイド(誘導)方法

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ガイドの4 つの条件
?安全性
?能率性
?見た目の自然さ
?視覚障害者、ガイド者両者にとってのやりやすさ

 ガイドはこの4 つの条件を満
たしていることが大切です。この
条件の中では、?の安全性が最優
先されます。?、?、?について
は、?を満たしたうえで、あった
ほうが良いという順になります。

2 ガイドの基本

(1)基本的な姿勢
◆誘導する際には、視覚障害者の前に立って肘の上を
持ってもらいます。
 この形で半歩先を歩いていきます。視覚障害者はガ
イド者の腕や肩を通して進む方向やスピードなどの
情報を得ることができます。
◆身長差があるとこの方法はやりにくい場合もあり、
その場合は肩に手をおくことが多いようです。

◆ガイド者は、視覚障害者も自分の身体であると考え、
常に二人分の幅を確保しながら歩いてください。視
覚障害者の外側の手や肩が、物にあたったり触れた
りしないように気をつけなければなりません。
 幅だけでなく、上部(頭や顔面)にも注意が必要です。
◆本人の右側を歩く方が良いのか左側が良いのか、ま
た、肩につかまってもらうのが良いのか肘が良いの
か、視覚障害者本人に確認してください。
◆歩く速さは個人差が大きいところです。視覚障害者
本人に確認のうえ、速さを調節してください。

(2)狭いところの通過
◆二人分の幅が確保できないような狭い場所を通るときは、
ガイド者が「狭いところですので、私の後ろにはいって
ください」などの声をかけます。そして、自分のガイド
している側の腕を後ろに回し、視覚障害者にガイド者の
後ろにはいってもらい、一列になって歩きます。
◆狭いところが長く続くような場合は、ガイドをやめてガ
イド者の肩に手を置いたり、背中に触れたりしながら歩
いてもかまいません。
◆さらに一人分の幅も確保できず横歩きしなければならな
いような場合は、お互いの手の甲を触れながら横歩きし
てください。

(3)状況の説明
  環境に変化があっても視覚障害者にはわからない場合がありますので、なぜそのよう
な行動をとるのかなど、その理由を説明してください。たとえば、歩道上に障害物があっ
て、それを避けるためにやむを得ず車道を歩かなくてはならないときなどです。
  また、急に向きを変えたりせずに「右に寄ります」とか「次の角を左に曲がります」
などと一声かけてから行動してほしいという方もいますので、声かけが必要かどうか視
覚障害者本人に尋ねてみてください。
(2)狭いところの通過
◆二人分の幅が確保できないような狭い場所を通るときは、
ガイド者が「狭いところですので、私の後ろにはいって
ください」などの声をかけます。そして、自分のガイド
している側の腕を後ろに回し、視覚障害者にガイド者の
後ろにはいってもらい、一列になって歩きます。
◆狭いところが長く続くような場合は、ガイドをやめてガ
イド者の肩に手を置いたり、背中に触れたりしながら歩
いてもかまいません。
◆さらに一人分の幅も確保できず横歩きしなければならな
いような場合は、お互いの手の甲を触れながら横歩きし
てください。
(4)1 段の段差
◆段差のあるところを歩くときは、いったん立ち止まって
「一段上ります(下がります)」などと声をかけます。必
要に応じて、上る(下がる)前に、視覚障害者にガイド
者の横に位置してもらうようにします。
◆まず、ガイド者が先に上って(下がって)止まります。
その際、視覚障害者が上る余地を考えて少々前に位置す
るようにし、足は動かさないようにします。
◆視覚障害者が上ったら、必要に応じ「段差は終わりです」
と声をかけます。

◆その他の方法として、視覚障害者にその段差に足をか
けて高さを理解してもらう、白杖で段差の位置や高さ
を確認してもらうなどの方法があります。


(5)階段の昇降
◆その他の方法として、視覚障害者にその段差に足をか
けて高さを理解してもらう、白杖で段差の位置や高さ
を確認してもらうなどの方法があります。
◆階段は、一段の段差が連続したものなので、
基本的には一段の段差と同じです。大事なこ
とは、ガイド者自身が階段をこわがらないよ
うにすることです。

◆階段の前でいったん立ち止まり、「上り(下り)
階段です」と声をかけます。ガイド者が一段
上り(下がり)、視覚障害者がその段を上り
(下がり)かけたときに二段目を上る(下がる)
ようにして、常にガイド者が一段先を行くよ
うにします。
◆最後の段では止まって視覚障害者を待ちます。その際に足は動かさないようにしてくだ
さい。動かしてしまうと、視覚障害者はまだ階段が続くと思ってしまいます。
 最後の段にきたら、「階段は終わりです」と一声かけてください。
◆その他、ガイド者と視覚障害者が同時に昇降したり、手すりを使ったりする場合もあり
ますので、視覚障害者本人とよく相談してください。

3 ガイドの応用

(1)電車の利用
◆改札口は「狭い場所を通る」ときと同様の要領で、一列になって通過します。自動改札
の場合、切符やカードは、ガイド者が重ならないように1 枚ずつ挿入する場合と、それ
ぞれが挿入する場合があります。
◆ホームに出たら、「両側に線路がある」
のか「片側に壁がある」のか伝えます。
混雑しているホームを歩行する場合は、
危険がないように、急がず人の流れが
きれるまで待つくらいの気持ちが大切
です。
◆電車の乗降の際は、電車とホームの隙
間及び段差を伝え、足元を確認しなが
ら乗降します。

(2)バスの利用
◆バスの種類やステップの高さを伝えます。
◆バスの乗降は階段の昇降と同じ要領で行います。ステップの幅が高いときは手すりを利
用したほうが安全です。
◆乗降口が狭い場合は、狭いところの通過の要領で一列になって乗降します。

(3)自動車の利用
◆自動車を利用する場合は、視覚障害者の一方の手を自動車のドアに、もう一方の手を屋
根に触れさせてください。
 乗降の際は、お尻から乗り込むようにします。視覚障害者の頭が車体上部にぶつからな
いように、歩道の縁石につまづかないように留意してください。

(4)エスカレーターの利用
◆エスカレーターを利用する際は、
まずエスカレーターを利用するこ
とと、上りか下りかを伝えます。
そして、視覚障害者に手すりを
持ってもらい、一声かけてから、
タイミングよくガイド者と視覚障
害者が同じ段に乗ります。エスカ
レーターから降りるときは、やは
り一声かけてからタイミングよく
降ります。
◆その他、ガイド者が一段先の段に乗るという方法もあります。その場合はエスカレーター
が終わる際にガイド者の腕が上下するため、視覚障害者がエスカレーターの終わりを理
解できます。
 また、視覚障害者が一人で利用する場合もあります。その場に応じて、視覚障害者本人とよ
く話し合って判断してください。


4 その他
(1)トイレの利用
◆必要に応じ、小便器の場合は中心のパイプに手
を導きます。大便器の場合は、便器の位置、ペー
パーの位置、水レバー、洗面台(蛇口、石鹸等)
の位置等を口頭で説明してください。白杖を使っ
て便器などの位置を知らせることもできます。

◆ガイド者が異性の場合は、同性の方にガイドを
依頼してください。

(2)食事の介助

◆椅子に座る際には、その旨を告げて視覚
障害者の手を椅子の背に触れさせ、もう
一方の手をテーブルに触れさせてくださ
い。座る動作に手助けは不要です。
 また、視覚障害者のふくらはぎが椅子に
触れるように誘導したり、シートを手で
触らせる方法もあります。

◆配膳の位置を時計の文字盤を例にとって(クロックポ
ジション)説明します。「3 時の位置にお茶があります」
「12 時の位置に魚があります」などという方法です。

◆必要に応じ、食器に触れさせてください。