障害者職域拡大マニュアル 8 精神障害者雇用管理マニュアル 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 1ページ はじめに 一般に精神障害者は新しい場面や環境への適応に時間がかかる、緊張しやすく疲れやすい、作業能率に波があるなどの特徴が指摘されていますが、近年は保健医療、福祉の進展や雇用支援策の拡大などにより精神障害者の社会参加が進み、精神障害者の就業ニーズも年々高まりを見せており、働く精神障害者の数も増加しています。一方で、企業に採用されてから精神障害を有するようになった方の雇用の継続も大きな課題となってきています。 高齢・障害者雇用支援機構は、平成7年に、なかなか理解されにくい精神障害者の障害特性や雇用管理上の配慮事項などについて、事業主の皆様によりわかりやすくとりまとめた本マニュアルを作成し、平成14年に改訂を行い、周知を図ってまいりました。 その後、精神障害者に対する雇用対策の強化を柱の一つとして「障害者の雇用の促進等に関する法律」が改正され、平成18年4月から精神障害者が障害者雇用率の算定対象となりました。 そこで、当機構では、新たな雇用支援制度など最新の情報を加筆し、本マニュアルの改訂を行いました。引き続き本マニュアルを十分にご活用いただき、精神障害者の特性や雇用管理上の配慮点について理解を深めていただくとともに、今後とも、精神障害者の雇用の促進、職場復帰などについてご尽力いただきますようよろしくお願いいたします。 平成23年3月 高齢・障害者雇用支援機構 2ページ 目次 1 精神障害とはどんな障害ですか? 4ページ 精神障害とは 4ページ 雇用・就労支援の対象となる精神障害者とは 4ページ 統合失調症とは −その症状と特性− 5ページ 気分障害(うつ病、そううつ病)とは −その症状と特性− 6ページ 精神障害者保健福祉手帳とは 7ページ 2 精神障害者の雇用の現状は 8ページ 精神障害者の就業ニーズの高まり 8ページ 精神障害者を雇用している事業所 8ページ 精神障害者の雇用上の配慮事項 8ページ 3 雇用支援に関するQ&A 10ページ Q1 病気がどのような段階になれば雇用が可能でしょうか? 10ページ Q2 通院や服薬は雇用後も必要でしょうか? 10ページ Q3 知的障害者については、すでに雇用経験があるのですが、雇用管理上どのような違いがあるのですか? 11ページ Q4 面接時に同伴者がいると、ひとりでは行動ができない人なのかと心配になります。 11ページ Q5 採用するにあたって準備をした方がよいことはありますか? 12ページ Q6 採用時に病気のことを従業員に知らせた方がよいですか?知らせるとしたらいつどのように知らせればよいでしょうか? 12ページ Q7 精神障害者に適した仕事はどのようなものですか?複雑な作業、臨機応変に判断することは苦手と聞いていますが。 13ページ Q8 仕事の割り当て・配置に際し、特に配慮することはありますか? 13ページ Q9 仕事についての指示や注意はどのようにしたらよいでしょうか。「がんばれヨ」という言葉は禁句だ、と聞きますがそれは何故でしょうか? 14ページ Q10 勤務時間は他の従業員と同じでよいのですか? 14ページ Q11 特別に指導する人をつける必要がありますか? 15ページ Q12 他の従業員との人間関係の維持のために特に配慮することはありますか? 15ページ Q13 人間関係で問題がこじれたときは、どのように対処したらよいですか? 16ページ Q14 仕事以外の日常生活面での指導は必要でしょうか? 16ページ Q15 何か困ったときは、どこに相談すればよいのでしょう? 16ページ 3ページ 4 職場復帰に関するQ&A 17ページ Q1 精神障害により休職している従業員の職場復帰について、どのような点に注意すればよいのでしょうか? 17ページ Q2 発症前に習得した技能や経験は、発症後の就業にあたって、どの程度考慮することができるでしょうか?前職に戻す場合は同じ仕事でよいのですか? 17ページ Q3 精神障害により休職している従業員の職場復帰に関して、本人が相談したり訓練を受ける機関はありますか? また事業主が相談できる機関はありますか? 18ページ Q4 精神障害による長期休職者は、休職期間中に職場復帰のための訓練プログラムを受けた方がよいのでしょうか? 20ページ Q5 休職していた従業員が円滑に職場復帰するために、リハビリ出勤を導入している企業があると聞きましたが、リハビリ出勤とはどのようなものでしょうか? 20ページ Q6 精神科に通院していて休みがちな従業員がいます。どのような対応をしたらよいのでしょうか? 21ページ Q7 休職中の精神障害者を、雇用率にカウントしたい時には、どのような手続きを取ればよいのでしょうか? 21ページ 5 雇用の実際例 22ページ A社(繊維製品加工) 22ページ B社(自動車・機械部品製造) 23ページ C社(紙製品製造販売) 24ページ D社(ビジネスフォーム印刷) 25ページ E社(ビルメンテナンス) 26ページ F社(リゾートホテル) 27ページ G社(クリーニング業) 28ページ H社(印刷・製本業) 29ページ I社(電気コード販売・加工業) 30ページ J社(ヘルパー派遣・生協) 32ページ K社(建設業) 33ページ L社(情報処理関連業務) 34ページ M社(ソフトウェア開発業) 35ページ 6 雇用を支援する機関と制度 36ページ 主な支援機関 36ページ 主な支援制度 37ページ 7 主な助成制度 39ページ 8 支援機関・施設一覧 44ページ 地域障害者職業センター 44ページ 広域障害者職業センター 45ページ 精神保健福祉センター 45ページ 特定非営利活動法人全国精神障害者就労支援事業所連合会 46ページ 「精神障害者の雇用管理に関する研究調査」委員名簿 47ページ 4ページ 1 精神障害とはどんな障害ですか? 1 精神障害とは 精神障害はさまざまな精神疾患が原因となって起こります。 国際疾病分類第10次改訂版(ICD-10)によると、主な精神疾患には、気質性精神障害(アルツハイマー病や血管性認知症など)、精神作用物質使用による精神・行動の障害(アルコール使用など)、統合失調症、気分(感情)障害(うつ病、そううつ病など)、神経症性障害(不安障害、強迫神経症など)などがあります(図1)。 厚生労働省が、平成20年の「患者調査」などにより推計したところによると、精神疾患患者は全体で323万3千人とされています。そのうち入院している者は33万3千人、在宅において生活している者は290万人とされています。 在宅の精神障害者のうち、気分障害(うつ病、そううつ病)が101万2千人、統合失調症などが60万8千人、神経症性障害が58万4千人となっています。 《図1 精神障害の主な種類》(省略) 2 雇用・就労支援の対象となる精神障害者とは 「障害者の雇用の促進等に関する法律」の施行規則では、精神障害者について「@精神保健福祉法第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者、A統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)又はてんかんにかかっている者」であって、いずれも症状が安定し、就労が可能な状態にあるものと規定されています。精神障害者については、精神疾患が改善した後も障害が残り、就労し続けていくための特別の援助が必要な人としてとらえることが適当と考えられます。 障害者雇用率制度においては、精神障害者保健福祉手帳を所持している人が雇用率の算定対象とされ、短時間労働(1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満)の場合には0.5人分として算定されます(表1及び図2)。 また、職場適応訓練や特定求職者雇用開発助成金、障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金では、前述の@、Aの人を支給対象にしています。 なお、てんかんは国際疾病分類(ICD-10)では「神経系及び感覚器の疾患」の一部とされていますが、厚生労働省における精神障害者としての施策の対象としています。 《表1 企業における雇用障害者数の算定方法》 30時間以上の常時雇用労働者 身体障害者 障害者の労働者1人=1人分としてカウント 重度身体障害者 障害者の労働者1人=2人分としてカウント 知的障害者 障害者の労働者1人=1人分としてカウント 重度知的障害者 障害者の労働者1人=2人分としてカウント 精神障害者 障害者の労働者1人=1人分としてカウント 20時間以上30時間未満の短時間労働者 身体障害者 障害者の労働者1人=0.5人分としてカウント 重度身体障害者 障害者の労働者1人=1人分としてカウント 知的障害者 障害者の労働者1人=0.5人分としてカウント 重度知的障害者 障害者の労働者1人=1人分としてカウント 精神障害者 障害者の労働者1人=0.5人分としてカウント 5ページ 《図2 実雇用率の算定方法》 実雇用率=(障害者である常時雇用労働者の数+(障害者である短時間労働者の数×0.5))÷企業全体の常時雇用労働者の数+(短時間労働者の数×0.5) 法定雇用障害者数(障害者の雇用義務数)=(企業全体の常時雇用労働者+短時間労働者の数×0.5)×1.8% 3 統合失調症とは ―その症状と特性― 統合失調症は精神疾患の中でも、社会復帰への支援に最も力を入れなければならないものの一つです。患者数が多く、感情表出や思考、知覚の面で様々な症状を示す急性期から回復しても、各種の障害が後遺症として残って社会での自立した生活を困難にすることが多くあります。 この病気にかかると、精神活動の様々な側面に大きな変化が現れます。例えば、感情表出の面では、表情や身のこなしが硬い、感情を示さない、自分の殻に閉じ込もるなどの症状がみられ、思考面では、支離滅裂な思考や強迫観念、妄想などの独特の症状が現れます。また、幻覚や幻聴のような知覚面での症状や自分が自分でないように感じたり、人に操られていると感じるといった自我意識面での特異な症状もみられます。 この病気の原因はまだ十分に解明されてはいません。現時点では、ストレスに対する脆弱性(ぜいじゃくせい:もろくて弱いこと)に、ある種の原因が加わると発病することがあるということです。発病するのは青年期が多く、先進工業国では約100人に1人の割合で発病するといわれています。 薬物療法を中心とした精神医療やリハビリテーションの進歩によって、病気から回復し、自立した職業生活を送る人も大変多くなっています。 統合失調症の場合、先に述べたように、一旦回復しても、人によっては後遺症が残ることが知られています。この後遺症としての障害は先に述べた症状とは必ずしも同じではありません。また、それらの中には再発予防のために服用している薬の副作用や入院体験による社会性の減退によると考えられるものもあります。 統合失調症から回復した人によく見られる特徴としては、これらの人を指導したり雇用した方々の指摘によれば次のようなものがあげられます。 ・細かな指先の動作が苦手 ・動作が緩慢 ・周囲への関心が乏しい ・複雑なことが苦手 ・臨機応変に判断することが苦手 ・問題を切り抜けることが苦手 ・自信がない ・新しいことに対して不安が強い これらの特徴はマイナスイメージとしてとらえられがちですが、仕事の中身や指導の方法を工夫することにより、十分克服できることも指摘されています。 6〜7ページ 4 気分障害(うつ病、そううつ病)とは ―その症状と特性― 気分障害とは、生活に支障をきたすほどに、異常に気分が沈んだり、ハイになったりする状態が長く続く病気で、その代表は、うつ病(単一性障害)と、そううつ病(双極性障害)です。 うつ病では、一般に身体と精神の両方に症状が現れます。身体症状としては、睡眠障害、食欲不振、性欲減退、頭痛・腰痛・肩の痛み、疲労感・倦怠感などが見られます。精神症状は、身体症状に隠れて見逃されがちですが、抑うつ状態、日内変動(特に朝方の憂うつ感がひどく、夕方になるにつれて軽くなっていく状態が続く)、集中力低下、注意力散漫、意欲低下、不安、取り越し苦労、自信の喪失などが特徴的です。身体の症状が強く表面に出て、精神の症状が目立たない「仮面うつ病」と呼ばれるタイプもあります。 「そう」は、「うつ」とは逆に気分の高揚が特徴で、気力や活動性の亢進があります。例えば、社交性が高まり、あちこちに電話をかけたり、話が止まらなかったり、過度の馴れ馴れしさが出たりといった、特異な行動が見られることがあります。うつの睡眠障害とは反対に、寝なくても平気である場合が多いのが特徴です。この、そう状態とうつ状態が交互に繰り返されるのが、そううつ病です。 5 精神障害者保健福祉手帳とは 精神障害者保健福祉手帳は、一定の精神障害の状態にあることを認定して交付することにより、各種の支援策が講じられることを促進し、精神障害者の社会復帰の促進、自立と社会参加の促進を図ることを目的に、平成7年に創設された制度です。税制上の優遇措置、生活保護の障害者加算、生活福祉資金の貸付、NTT番号案内料の免除、携帯電話の基本料などの割引、その他自治体によっては公共交通機関の運賃割引など、様々な支援が講じられています。 手帳の等級と障害の状態は下記の表のとおりです。 《表2 手帳の障害等級》 障害等級 1級 精神障害の状態 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。 備考 年金1級(国民年金・厚生年金)相当   障害等級 2級 精神障害の状態 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。 備考 年金2級(国民年金・厚生年金)相当 障害等級 3級 精神障害の状態 日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの。 備考 厚生障害年金3級より広く解釈 * 障害等級の判定にあたっては、精神疾患(機能障害)の状態とそれに伴う生活能力障害の状態の両面から総合的に判定されるので、障害年金と手帳との間に等級差が生じることもあります。 手帳交付台帳搭載数(有効期限切れを除く)は、平成21年3月末現在で、482,905人です。 《表3 手帳交付台帳搭載数の年度推移(各年度末現在)》 年度 平成16年度 手帳 335,064人 年度 平成17年度 手帳 382,499人 年度 平成18年度 手帳 404,883人 年度 平成19年度 手帳 442,728人 年度 平成20年度 手帳 482,905人 (資料出所)厚生労働省:平成20年度保健・衛生行政業務報告 《参考:手帳交付の流れ》(省略) 8ページ 1 精神障害者の就業ニーズの高まり  就職を希望する精神障害者は年々増加しており、平成21年度末現在の全国の公共職業安定所における有効求職者数は38,488人、就職件数は10,929件と過去最高となっています(表4)。就職する力を有し、働く場を求めている精神障害者が増えてきていることが伺えます。 《表4 公共職業安定所における精神障害者の職業紹介等の状況》 平成17年度 有効求職者数 19,149人 前年同期比 14.9% 就職件数 4,665件 前年同期比 29.9% 平成18年度 有効求職者数 24,092人 前年同期比 25.8 就職件数 6,739件 前年同期比 44.5% 平成19年度 有効求職者数 27,101人 前年同期比 12.5 就職件数 8,479件 前年同期比 25.8% 平成20年度 有効求職者数 31,655人 前年同期比 16.8 就職件数 9,456件 前年同期比 11.5% 平成21年度 有効求職者数 38,488人 前年同期比 21.6 就職件数 10,929件 前年同期比 15.6% (資料出所)厚生労働省「ハローワークにおける障害者の職業紹介状況」 2 精神障害者を雇用している事業所 平成20年度障害者雇用実態調査によれば、従業員規模5人以上の事業所に雇用されている精神障害者は、全国で2万9千人と推計されています。事業所規模別にみると、5〜29人規模事業所で雇用されている割合が最も高く(65.5%)、次いで30〜99人(15.1%)、100〜499人(14.3%)、500〜999人(3.2%)、1,000人以上(1.9%)となっています。 週の所定労働時間については、通常(30時間以上)が73.1%で最も多く、次いで20時間以上30時間未満が24.8%、20時間未満が0.6%となっています。 年齢別の雇用状況をみると、25〜29歳層が最も高く(18.3%)、次いで35〜39歳層(18.1%)、65歳以上(15.7%)となっています。 産業別にみると、医療・福祉に雇用されている者が最も多く(35.0%)、次いで製造業(26.7%)となっています。 なお、精神障害者であることの確認方法としては、手帳による確認が45.6%で、医師の診断などによる確認が53.6%となっています。 3 精神障害者の雇用上の配慮事項 同調査によれば、精神障害者を雇用している事業所のうち、52.4%が雇用上の配慮をしています。配慮の内容として最も多いのが、「配置転換等人事管理面についての配慮」(54.2%)、次いで「通院・服薬管理等医療上の配慮」(46.3%)、「短時間勤務等勤務時間の配慮」(38.6%)となっています(図3)。 また、採用後に精神障害となった従業員を雇用する事業所の59.5%が職場復帰についての配慮を行っており、「職場復帰準備期間中の雇用継続」(72.9%)、「配置転換等人事、管理面についての配慮」(69.9%)となっています(図4)。 9ページ 《図3 現在配慮している事項(複数回答)》 配置転換等人事管理面についての配慮 54.2% 通院・服薬管理等医療上の配慮 46.3% 短時間勤務等勤務時間の配慮 38.6% 工程の単純化等職務内容の配慮 36.4% 職場内における健康管理等の相談支援体制の確保 35.7% 休暇を取得しやすくする等休養への配慮 32.8% 業務遂行を援助する者の配置 24.7% 職業生活に関する相談員の配置・委嘱 23.3% 関係機関等外部の機関との連携支援体制の確保 18.0% 職業以外を含めた生活全般に関する相談支援体制の確保 16.0% 職場復帰のための訓練機会の提供 13.7% 職場での移動や作業を容易にする施設・設備・機器の改善 9.9% 駐車場、住宅の確保等通勤への配慮 9.8% 研修・職業訓練等能力開発機会の提供 7.0% 雇用管理に関するマニュアル等の整備 6.2% 手話通訳の配置等コミュニケーション手段への配慮 2.4% 《図4 採用後に障害者となった従業員に関する配慮事項(複数回答)》 職場復帰準備期間中の雇用継続 72.9% 配置転換等人事管理面についての配慮 69.9% 職場復帰に向けた社内の検討(職域、機器整備等) 56.3% その他(本人、家族への連絡、医療機関との連携等) 54.4% 通院・服薬管理等医療上の配慮 43.2% 短時間勤務等勤務時間の配慮 43.2% 職場復帰準備期間中の給与保障 42.6% 休暇を取得しやすくする等休養への配慮 32.0% 復帰後の相談・援助担当者の選定・配置 31.0% 工程の単純化等職務内容の配慮 31.0% 職場復帰準備のための調整担当者の選定・配置 29.9% 職場復帰のための訓練期間の提供 25.6% 社内での障害者理解のための啓発 23.4% 作業環境、施設・設備・機器の改善 23.2% その他(家族との調整役の確保等) 20.4% 職場適応のための再訓練の実施(社内、外部) 14.2% 関係機関等外部の機関と連携した職場定着支援の実施 12.5% 職場復帰のための研修・職業訓練等能力開発機会の提供 8.2% なお、精神障害者が仕事を続けるために職場に求めることとして最も多いのが、「調子の悪いときに休みをとりやすくする」(30.8%)、次いで「業務遂行の援助や本人、周囲に助言する者等の配置」(29.5%)、「配置転換などの人事管理面についての配慮」(21.9%)となっています。 10ページ 3 雇用支援に関するQ&A Q1 病気がどのような段階になれば雇用が可能でしょうか? A 統合失調症のある人の場合、事業主や就労支援機関の関係者は、次のことを雇用のポイントとしています。 事業主の挙げるポイントは、「定期的に通院し、服薬の重要性を認識している」、「幻覚・妄想などの症状が目立たない」、「働く意欲がある」、「ひとりで生活できる」、「『障害』を受け入れようとしている」などです。 また、関係者の挙げるポイントは、「睡眠、食欲が良好」、「生活のリズムが整っている」、「テレビ、ラジオを楽しめる」、「病気の相談ができる知人がいる」、「不調の際に助けを求めることができる」などです。 すなわち、病気の自己管理ができる、仕事への意欲がある、気持ちにゆとりがある、心理的に孤立していないなど、「社会生活に対する意識」や「日常生活の状態」が重視されているようです。 Q2 通院や服薬は雇用後も必要でしょうか? A 定期的な通院と服薬の継続は、精神障害者が仕事を続けていく上で、とても大切なことです。主治医に健康、仕事、対人関係などの状況を常に理解、把握してもらい、問題があるときはいつでも相談できることが重要です。服薬を続けることの大切さは次の事実から確かめられています。まず、入院中の安定期の統合失調症患者でも、服薬を中止すると1、2か月で再発する人が多く、社会生活中の人でも、薬をやめた人の再発率は服薬を続けている人の2.5倍から3倍に達します。糖尿病患者でインシュリンの継続投与が欠かせない人がいるように、統合失調症では安定期であっても服薬の継続が必要です。ただし、一部には長期の服薬は不要で、障害としての後遺症を残さない人もいます。 この病気の大きな課題のひとつに、「病気にかかる前とは違った社会生活の仕方」を身に付けなければならないことがあげられます。それを身に付けるには、病気や健康管理に関する率直な対話が欠かせません。そのため通院し、支援者と相談したり仲間と交流することが大切なのです。 11ページ Q3 知的障害者については、すでに雇用経験があるのですが、雇用管理上どのような違いがあるのですか? A 精神障害者の雇用管理は、知的障害者に対するものと異なるところがあります。知的障害者との違いは、言葉を介した意思伝達が容易で、数や文字の使用についても配慮がいらないという点です。反対に精神障害者は、新しい環境に溶け込むのが苦手で、作業能率に波がある場合があります。また、「評価に敏感な人」もおり、注意や指摘を過度に気にする場合もあります。 しかしながら、知的障害者の雇用経験が活きてくる場面もあります。例えば、精神障害者の中には「仕事に対して苦手意識が強く、作業も時間がかかるため引っ込み思案になっている人」もみられますが、「臨機応変に対応できず、新しい環境になれるのに時間がかかる」という知的障害者と類似の課題があり、知的障害者を雇用した経験に学べることが多くあります。「一段階ごとに技能の習熟を図る」、「見守りつつその都度適切な評価をする」、「本人が頼れる人を用意する」などはその良い例です。 Q4 面接時に同伴者がいると、ひとりでは行動できない人なのかと心配になります。 A 同伴者がいるのは、その就職希望者がひとりで行動できないからではありません。個人又は支援機関が就職を応援していることを伝えるために同行します。 精神障害者は、初めての場面では緊張が強く、自分を表現しにくいようです。知り合いが同席することで本人の気持ちはほぐれますし、自分自身では表現が不十分なところを同伴者が口添えできます。 同伴者は地域で生活面や医療面、就労などの支援をする機関に所属する職員が多いと思われます。その人の日頃の様子や働く際の留意点などを承知しているので、雇用後も職場定着の支援機関として、事業所との連携、協力が得られるでしょう。 12ページ Q5 採用するにあたって職場として準備をした方がよいことはありますか? A 採用するにあたっては、次のような受け入れの準備が考えられます。 ひとつは、職場で日常的に関わることができ、信頼関係を築くことのできる支援担当者を決めておくということです。仕事上のことや職場生活のことを、いつでも相談できる人が身近にいると安心して仕事ができます。また精神障害者は、たとえば糖尿病の人と同じように慢性病をもっているといえます。その症状には様々な波があり本人が自覚していない体調不良の波について、職場側が「いつもと様子が違うのではないか」と気づくこともあるでしょう。日常を見守る支援担当者が心身の緊張をほぐすように、休み方などの配慮をすることで継続的な就業が可能となります。 ふたつめに、本人を支援する人達(支援機関の担当者、家族、知人など)と、連携することをお奨めします。支援機関には医療や保健機関、地域の社会復帰施設や作業所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどがあり担当者を中心に日頃から生活面や就業面の支援をしています。就職後、事業所は支援機関と相談して一緒に職場への定着を進めて行くことができます。大がかりな受け入れ体制や委員会の設置ではなく、周囲の人達の理解に基づく自然で温かな関わり方が何よりも必要なことと思います。 Q6 採用時に病気のことを従業員に知らせた方がよいでしょうか?知らせるとしたら、いつどのように知らせればよいでしょうか? A 職場での適応を良くするためには、本人の障害特性や指導上の配慮事項などを従業員に理解してもらうことが大切ですが、一方で本人がそのことをどう考えているか、また職場の人間関係がどうかを見極める必要があり、個別に考える必要があります。基本的には本人の気持ちを確認し尊重したうえで、判断するのがよいでしょう。 いずれにしても、直属の上司や本人の支援を担当する従業員には、「こころの病気をしたために、治療を続けながら働くこと」を前提に、本人の障害特性と対応方法(例えば、仕事を覚えるのに時間がかかるが、真面目で頑張り屋なので、長い目で指導する必要があるなど)を伝えるとともに、通院時の対応や残業の際の取り扱いなどを指示し、「なぜあの人は残業しないのか」とか「定期的に休むのはなぜか」といった他の従業員からの質問に答えられるようにしておくことが大切です。障害特性と対応方法の説明については、本人の了承を得たうえで、支援機関の専門家にお願いする方法も考えられます。 また、他の一般の従業員にも障害のことを周知してほしいと本人や支援機関が希望し、事業主としても職場環境などから考えてその方が望ましいと判断したときは、職場配置の前に予告する形で話しておけばよいでしょう。ただし、本人を紹介するときには、初対面で緊張も高く、自分の障害を認めているとはいえ、大勢の前で障害を明らかにするには抵抗がある人もいるので、本人の意向をよく聞いて、障害について触れるかどうか慎重に決めることが望まれます。 13ページ Q7 精神障害者に適した仕事はどのようなものですか? 複雑な作業、臨機応変に判断することは苦手と聞いていますが。 A 精神障害者の特徴として、@臨機応変に判断することが苦手、A動作が遅く、ぎこちない、B新しい環境に慣れるのに時間がかかる、などがあげられます。 一般的には、単純作業が向いていて、スピードが求められる作業や対人業務の仕事は苦手と考えられます。しかし様々な支援を得て、いろいろな仕事で個々の力を発揮される人も多いので、今後は更に仕事の可能性は広がると思われます。面接時に個人の仕事への希望や特徴を確認し、配置後に就業状況を見ながら職場内で「適材適所」を検討してみてください。 ―事例― Dさんは就職直後、数人で行う流れ作業をしていましたが、仕事の処理量が少なく流れを滞らせがちでした。職場の支援担当者がDさんに仕事の状況を尋ねたところ、「間違えて次の人に迷惑をかけるのではと、慎重になりすぎ時間がかかる。」とのことでした。そこで一人で仕上げる作業に配置替えをしたところ、新しい仕事に慣れ、ミスが少なく正確にこなせるようになりました。周囲を気にせず自分のペースが保てる仕事が向いていたようです。確実な仕事をするという信頼を得て、今では倉庫全体の在庫管理の担当になっています。 Q8 仕事の割り当て・配置に際し、特に配慮することはありますか? A 本人の適性を見るために、当初は比較的簡単な仕事から入り、様子を見ながら、本人の希望も尊重しつつ、仕事を決めていくことが望まれます。高学歴の人の場合には、単純労働につくことに抵抗を感じることもあるので、その仕事の重要性を伝えるなど動機づけを高める配慮が大切です。 また、変化への対応を苦手とする人が多いので、仕事を変える際には注意が必要です。特に、より難易度の高い仕事へ変える場合には、本人のストレス状況を見ながら実施する必要があります。また、過大な評価や肩書きのあるポストへの配置は慎重にして、本人の負担にならないようにする配慮が必要です。いずれの場合も、時間をかけ、自信を回復するようステップを踏むことが重要です。 このように様々な配慮事項がありますが、精神障害者を初めて雇用する、あるいは雇用経験が浅い事業所の場合は、地域障害者職業センターに相談していただくと、事業主や精神障害者のニーズを踏まえ必要に応じて、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業などを利用することができます(事業の詳細はp38を参照)。 14ページ Q9 仕事についての指示や注意はどのようにしたらよいでしょうか。 「がんばれヨ」という言葉は禁句だ、と聞きますがそれは何故でしょうか? A 仕事の指示はできるだけ具体的で簡潔に行うことが重要です。「だいたいこれくらい」とか「ころあいをみて」といったあいまいな表現で指示したり「これが終わったら、あれ、それからこれとこれ」など、同時に複数の指示をすると混乱してしまう人が少なくありません。 作業工程を単純化し、一つの工程を終えるごとに報告させ、次の作業の指示をするなどの工夫が必要です。 無断欠勤など職場の規律をみだすことがあればはっきり注意をすべきです。また仕事のミスを注意する場合も「しょうがないな」とか「もっと気合いを入れろ」というのではなく「何故失敗したか」「どこが悪かったか」を一緒に考え「こうやればうまくできるよ」と実際に手本を見せ、本人が納得するよう指導することが望まれます。 励ましの言葉をかけることは決して悪いことではありません。しかし、作業がうまく遂行できない原因には、身体の不調や服薬の影響があったり、社会経験が不足している場合が考えられます。失敗して自信を失っているようなときは、「仕事はうまくいっているか」「困っていることはないか」など本人の状態を観察しながら自信を持てるように言葉をかけてみてください。「がんばれヨ」という励ましの言葉は、ときとして「こんなに頑張っているのにまだこれ以上どう頑張れというのか」と受け取られ、落ち込んでしまう場合もあるようです。 仕事がうまくできたときに、そのことを「認めてほめる」ことも自信の回復につながり、より良い仕事ができるきっかけになります。 Q10 勤務時間は他の従業員と同じでよいのですか? A 体力や気力の点で長時間継続して働くことが困難な人がいるのは事実です。病院などでの生活が長く、一定時間、決まった場所にとどまって仕事をするという習慣が身についていない人もいます。そのような人の場合には、最初からフルタイムで働くのではなく、最初の2〜3か月間は短時間の勤務から始め、体力の回復状況を見ながら徐々に勤務時間を延長する方がうまく定着できるようです。 1日の勤務時間を2〜3時間ないしは4〜5時間程度から始める方法と、1週間の勤務日数を3〜4日から始める方法、あるいはその組み合わせなどにより、事業所の都合に合わせながら、本人にとって無理のない時間設定をすることが望まれます。 ただし、勤務時間を短くする場合でも、職場の他の従業員と一緒に、朝一定の時間までに出勤するよう習慣づけることが大切です。また、区別されているという意識がストレスになる場合もありますので、体力的に慣れてくれば他の従業員との差をできるだけつけないようにすることも必要になります。 なお、このような障害特性から勤務時間の配慮が必要な精神障害者について、採用後、一定程度の期間をかけ、職場への適応状況などに合わせて勤務時間を延長していく制度もあります(精神障害者ステップアップ雇用p37参照)。 15ページ Q11 特別に指導する人をつける必要がありますか? A 必ずしも、大がかりな制度や組織を作る必要はありません。しかしながら、一般的に「キー・パーソン」(本人の障害や勤務状態などをよく理解しており、気軽に相談や指導ができる人)がいる事業所の方が適応しやすいのも事実です。 一般にこうした「キー・パーソン」には、職場の直属の上司(職長、主任)やグループリーダー、中小企業では社長や工場長自身がなる場合が多いのですが、必ずしも上司である必要はなく、先輩や同僚がこの役割を担う場合もあります。職制とは別にカウンセラーをおいている例もありますし、同じ病歴をもつ先輩が後輩を指導して効果を上げているところもあります。 いずれにしろ、本人が気軽に相談できる、同一の人から指示される方が迷いが少なく、効果的と思われます。ただし、こうした場合に、相談や指導に当たる人にも様々な負担が生じるので、キー・パーソン本人に対する職場の理解とバック・アップも不可欠です。また、キー・パーソンが人事異動や仕事の都合で別の人に代わる場合、後任のキー・パーソンに確実に引継が行われ、本人がいたずらに不安を持たないよう配慮することも重要です。 なお、5人以上の障害者を雇用する事業所においては、障害者職業生活相談員を選任することが法律で定められています。相談員は、職務内容や作業環境、職業生活について障害者から相談を受けたり指導したりすることになっています。 また、職場内の相談や指導だけでは、問題の解決が難しい場合には、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業を利用すると、地域障害者職業センターなどからジョブコーチが出向き、本人への支援を行うとともに事業主や従業員に対して必要な助言を行います。 Q12 他の従業員との人間関係の維持のために特に配慮することはありますか? A 他の従業員が本人の障害について知っている場合には、障害についての一般的な知識があると、人間関係の維持が楽になるでしょう。「心の健康について」などといったテーマで、社員教育の一環として勉強してもらうのもよいかもしれません。また、高齢・障害者雇用支援機構では、本書以外にも事業主向けに障害特性、雇用管理などについてコミック形式で紹介したマニュアルや職場改善の取り組みをとりまとめた事例集を作成していますのでご活用下さい。 なお、研修会の内容や講師などについては、地域障害者職業センターなどに相談するとよいでしょう。 他の従業員が本人の障害について知らない場合は、障害者本人が職場内で孤立しないように気を配る必要があるでしょう。しかし、配慮も過ぎればかえって目立ち、障害者本人も気が重くなるかもしれません。上司が、折にふれて声をかける程度で十分なようです。 16ページ Q13 人間関係で問題がこじれたときは、どのように対処したらよいですか? A こじれた問題の性質にもよりますが、コミュニケーションの行き違いが少なくないと思われます。まず、双方の言い分をじっくり聞くことが大切です。 障害者本人の側に問題があると思われる場合も、自分の悪い面やうまく気持ちを伝えられないところを、本人が整理できるように話が進められるとよいと思います。 もちろん日頃から上司との間で率直な話ができる関係を構築しておくことが望ましいのは言うまでもありません。 なお、事業所以外に支援者がいる場合は、本人の同意を得た上でその人に(あるいは主治医に)相談するのもよいでしょう。 Q14 仕事以外の日常生活面での指導は必要でしょうか? A 基本的には、日常生活面の指導は必要ありません。しかし、社会経験の不足や新しい環境に対する緊張感から、応対などにまずい点があれば、仕事上のマナー指導といった形で指導することが必要でしょう。注意や指摘を過度に気にする人もいるので、「こうしろ」という指示・命令的な指導より、「こうした方がよいのでは?」などと助言する形の方がよいと思われます。 もちろん、本人から相談があった場合は、できる限り助言をしてください。普段症状が安定していても、生活上のことや、季節的な変化などで体調を崩しやすくなる場合があります。病気の症状に関しての訴えが目立つようであれば、本人を支える医療機関などに相談するとよいでしょう。 Q15 何か困ったときは、どこに相談すればよいのでしょう? A 採用する時、それまで本人の生活を支えてきた支援機関をまず確認しましょう。そして対処に困ったときは、まずそこに相談できるようにしておくことが大切です。 一般的な支援機関として、病気や障害に関することは、主治医の所属する医療機関や、各都道府県にある精神保健福祉センター、保健所、地域生活支援センターなどがあります。採用、職場不適応など就業に関することは、公共職業安定所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどがあります。 また、就職する前に共同作業所や授産施設などを利用していた場合は、それら施設の職員が本人の様子や日常生活を良く理解しているはずです。必要に応じて職場訪問や本人の支援者の役割を担ってもらうなど、職業生活を支えるための連携を取ることが必要です。多くの人から支えられることによって、本人も安心して仕事ができ、事業主の負担感も軽くなると思います。 また、精神障害者を訓練生として受け入れ、あるいは雇用している事業主が組織する団体(全国精神障害者就労支援事業所連合会)もあります。事業主同士で雇用管理のノウハウについて情報交換することも参考となるでしょう。 17ページ 4 職場復帰に関するQ&A Q1 精神障害により休職している従業員の職場復帰について、どのような点に注意すればよいでしょうか? A まず最初に、本人のこれまでの経過や現在の状況を把握することが大切です。 職場内に限らず、本人の通院している医療機関や支援機関などとの情報交換や連携を早い時期から始めておくとよいでしょう。 職場復帰にあたっては本人の希望や、職場復帰後どのような仕事をするのかなどが重要となります。最初は本人にとって無理のない勤務条件や職種を設定する方が、本人のみならず、迎える側もやりやすいと思います。 Q2 発症前に習得した技能や経験は、発症後の就業にあたって、どの程度考慮することができるでしょうか。前職に戻す場合は同じ仕事でよいのですか? A 発症の主な原因や悪化要因に、以前の職場での人間関係が大きなウェイトを占めている場合、以前と同じ職場へ戻ることを本人が望まないことがあります。また仕事の内容や勤務条件から、前職への復帰は再発の危険性が高い場合もあります。前職へ戻すことが難しい場合であっても、働く自信がつき、能力が高まるに従い、前職の関連職種に配置され、大いに技能・経験を活かして、生き生きと活躍している人もいます。個人差があるので、ケースバイケースで柔軟な対応が必要です。 職場復帰後はまず職場や労働に慣れることを目標として、徐々に労働力を取り戻せるよう短時間勤務から始めるなどの配慮が望まれます。 また、発症時に習得した技能の回復を目指すばかりでなく、方向転換の必要性が考えられる場合もあります。別な部署で新たな仕事に意欲的に取り組めるよう職場環境づくりを検討する際には、地域障害者職業センターなどの支援機関が事業所をサポートします。具体的な相談ができるので利用するとよいでしょう。 18ページ Q3 精神障害により休職している従業員の職場復帰に関して、本人が相談したり訓練を受ける機関はありますか? また事業主が相談できる機関はありますか? A 地域障害者職業センターでは、精神障害者及び精神障害者を雇用している又は雇用しようとする事業主を対象として、「精神障害者総合雇用支援」を実施しています(図5)。職場復帰のための支援としては、事業主、本人、主治医などが職場復帰に係る合意形成をしていくためのコーディネートを行い、その上で策定された支援計画に基づいて具体的な支援を実施しています(詳しくはp37を参照下さい)。 また、本人が通院している病院やクリニックでは、ソーシャルワーカーが個別に相談に応じている場合もありますし、デイケア(様々な活動を通して、生活リズムを整えたり対人交流を図ったりして、日常生活の訓練を行なう場)を実施しているところもあります。本人の同意が前提ですが、主治医と相談してみるのもよいでしょう。 その他、精神保健福祉センターでは本人への支援に加え、事業主からの相談にも応じています。 精神障害者及び精神障害者を雇用している又は雇用しようとする事業主を対象として、主治医などとの連携のもとで、雇用促進・職場復帰及び雇用継続のそれぞれの雇用の段階での専門的な支援を実施します。合わせて、事業主や関係機関などとの連携により、地域における精神障害者の職業リハビリテーションネットワークの整備を行います。 《図5 地域障害者職業センターの「精神障害者総合雇用支援」》(省略) 19ページ トピックス 職場復帰を支援する医療・保健機関など プログラムの詳細、参加要件などについては、各機関のホームページをご覧ください。 ◆メディカルケア虎ノ門(東京都港区) URL http://www.medcare-tora.com/ ○Re-work Assisting and Management Program in Toranomon(復職支援マネジメントプログラム) ●復職専門デイケア・ナイトケア「リワークカレッジ」 うつ病などで現在休職中で職場復帰を目指している方に対して、治療の一環として、対人交流プログラムなど職場復帰に向けた各種のプログラムを実施 ●家族向け勉強会「サポートカレッジ」 リワークカレッジに参加する方の家族のための勉強会 ●企業支援プログラム(CAP) 実践的職場復帰支援トレーニングプログラム「リワーク・トライアル」、精神科医によるフォローアップ面談などを併設のメンタルヘルス・リサーチ&コンサルティング(東京都港区)が実施 ◆東京都立中部総合精神保健福祉センター URL http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/jigyo/tu_kunren/ ○総合就労復職支援プログラム「トライワークプロジェクト」 ●「うつ病リターンワークコース」 主にうつ病やそううつ病、抑うつ神経症で休職中の方が自信を回復して復職するための専門コース。オフィスワークや共同作業などの職能回復訓練に加えて、グループミーティング、認知療法、キャリアアップセミナー、SSTなどのプログラムを通して職場での適応的行動と再発予防の知識の習得を目指す。 ●「リターンワークコース」 主に統合失調症など精神病性障害で休職中の方が自信を回復して復職するための専門コース。自らの疾病について知り、職場での対処法などを身につけることを目指す。 ◆うつ・気分障害協会MDA−Japan URL http://www.mdajapan.net/new/ ○職場復帰支援プログラム ●Back To Work NEO うつ病のため休職中の方(20〜55歳未満)が対象。月曜〜水曜、10〜16時のデイタイムクラス。講義内容は、公務員試験 国家T種・U種・地方上級(大学・大学院卒業レベル)に準じたレベル。 ●Back To Work キャリアサポートプログラム うつ病のため休職中の方(30〜49歳以下、正社員)で、Back To Work NEO修了後に受講。(毎週土曜日 14〜17時) ◆その他、各地の職場復帰を支援する医療機関について、「うつ病リワーク研究会」のホームページで検索することができます。 URL http://www.utsu-rework.org/ 20ページ Q4 精神障害による長期休職者は、休職期間中に職場復帰のための訓練プログラムを受けた方がよいのでしょうか? A 職場復帰のための専門のプログラムは、前頁のリワーク支援に加え、医療・保健機関などでの取り組みが始まり少しずつ整備されてきています。また、医療機関での精神科デイケア、地域小規模作業所、授産施設などを利用し、日常の生活リズムを整えたり、グループ活動を通して与えられた役割を果たしたりすることが、職場復帰に向けた準備として有効な場合があります。 個人差が大きいのですが、精神障害からの回復には、診察・面接、服薬など狭義の医療だけでは難しく、日常生活上の調整や配慮が必要となることが多いので、本人が主体的に参加できるプログラムがあれば受けることが望ましいと思います。 Q5 休職していた従業員が円滑に職場復帰するために、リハビリ出勤を導入している企業があると聞きましたが、リハビリ出勤とはどのようなものでしょうか? A 長期に休職していた人にとって、職場復帰することは大変大きな生活の変化です。本人と職場の上司や関係者の方々が十分に話し合うことが職場復帰の成功の鍵です。職場復帰を進めるにあたっては、地域障害者職業センターのような専門の職業リハビリテーション機関を活用する方法もありますし、企業独自の制度としてリハビリ出勤制度を整備する方法もあります。「リハビリ出勤」は、法的に制度化されているものではありませんが、本格的な職場復帰前のウォーミングアップとして、職場復帰への不安を軽減し、職場での適応性を高める有効な手段の1つといえます。 ただし、この制度の運用においては、リハビリ出勤の人事労務管理上の位置づけについて十分に検討しておく必要があるほか、この制度が職場の都合でなく労働者自身の主体的な考えや判断に基づいて運用されるよう留意することが必要です。 地域障害者職業センターでは、復帰予定の職場での作業体験などを行うことを通じて、緊張・不安の軽減、作業に必要な集中力などの向上を図るリハビリ出勤支援を事業主などと連携しながら行っています。 21ページ Q6 精神科に通院していて休みがちな従業員がいます。どのような対応をしたらよいのでしょうか? A 自分のことを表現したり伝えたりすることが苦手な人が多いので、担当者を決めて話を聴くことが必要な場合があります。本人が精一杯頑張っている場合には、励ましはかえって負担を増やしてしまうこともあります。また、気分転換や休息を上手にとるのが苦手な人も多く、効果的に休むことへのアドバイスも必要となる場合があります。日常的にはごく普通の対応でよいのですが、職務内容や業務量、勤務時間については調整や配慮が必要な場合もありますので、まずは本人にどうしてほしいか希望を聞いて、必要に応じて産業医や産業保健スタッフ、主治医、支援機関と相談しながら対応していくことができればよいのではないでしょうか。 Q7 休職中の精神障害者を、雇用率にカウントしたい時には、どのような手続きを取ればよいのでしょうか? A 障害者である労働者を雇用率にカウントするにあたっては、事業主が障害者である労働者の人数、障害種別、障害程度などを把握・確認する必要がありますが、これらの情報については、個人情報保護法をはじめとする法令などに十分留意しながら、適正に取り扱う必要があります。 これについては、厚生労働省が平成17年11月に、精神障害者だけでなく、身体障害者及び知的障害者にも共通するものとして「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」を策定しています。(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaisha02/pdf/65.pdf) 本ガイドラインでは、「障害者雇用促進法」に基づいて事業主が行う業務の手続きに即して、対象者の把握・確認の具体的な手順や禁忌事項などが示されています。 障害者雇用率制度及び障害者雇用納付金制度の対象となる精神障害者は、精神障害者保健福祉手帳(p4「雇用・就労支援の対象となる精神障害者とは」を参照)によって確認することとされていますが、申告や手帳取得の強要の禁止はもちろんのこと、申告の呼びかけは労働者全員に画一的な手段で行うものであり、個人を特定して行うのは例外的なものであることなど留意すべき事項がありますので、ガイドラインをご覧ください。 22ページ 5 雇用の実際例 A社 〜繊維製品加工〜 【事業所概要】 ニット製品の加工・仕上。昭和43年設立、従業員は23人(うち正社員5人、非常勤18人)。 【雇用人数】 精神障害者は正社員で2人、非常勤で18人、計20人。 【精神障害者の作業内容】 セーターなどのニット製品にネームを付け、穴かがり加工をして、蒸気を当ててプレスした後に刺繍加工をします。 刺繍加工はコンピュータ制御の刺繍機で行い、刺繍の担当者はその監視作業をしています。位置合わせ作業が苦手な精神障害者もいるため、作業が容易になるよう、機械に独自に考案した工夫を加えています。その後検品、内装のうえ発送しています。 仕事は固定していませんが、蒸気を当てて刺繍機にセットする仕事は男性が、検品や内装などの仕事は女性が受け持つといった分担はあります。 現在はミシン担当2人、プレス担当6人、刺繍担当5人、検品担当1人、内装担当3人で仕事をしています。 【雇用状況】 賃金は月給制で勤務時間は午前8時〜午後5時。雇用当初は2〜3時間の勤務から始め、徐々に長くするようにしています。残業はできるだけ避けています。休日は週休3日程度(月17〜20日程度勤務)です。 採用当初は、精神障害者がなじめるような人間関係、安定した人間関係をつくることから始めています。 【採用】 20年程前、従業員から「病院を退院した人を使ってもらえないか」と話を受けたのが雇用の始まりです。彼は仕事も早く覚え、一生懸命でした。その後1人増え2人増えて現在に至っています。 はじめのうちは職場の雰囲気に慣れるよう配慮しました。最初は周囲の人々と話をするだけでもいいから、1日に2〜3時間、たとえば10時〜12時までというように時間を決めて、その時間は必ず来るようにと指導しました。そうして職場の人間関係を作り、徐々に勤務時間を長くするようにしました。 【勤務状況】 刺繍の位置を正確に合わせる場合、目で見て決めることが苦手な障害者もいます。その部分を補うため、機械に独自の工夫を加えたりしています。 人間関係をうまく築き、精神的な支えになることが一番大切です。また入院しても、もとの職場に戻れることは、かなり安心感を与えると思います。なお、週2回程度、従業員全員を集めて約30分ほど話をする機会も設けており、何か対人関係のトラブルが生じたときには、事業主がかならず間に入るようにしています。通院、服薬にも気をつけています。 【日常生活】 通勤は、10人が自宅から通勤し、8人が寮に入っています。また他に2名が、事業主が保証人となってアパート住まいをしています。 私生活を支えることは重要なことで、長続きさせる条件でもあります。直接事業主のところへ、気軽に来られるようにすることが大切でしょう。 23〜24ページ B社 〜自動車・機械部品製造〜 【事業所概要】 自動車、建設機械、農機具などの部品の機械加工。昭和56年に第3工場として設立。全従業員は163人(うち第3工場が136人)。 【雇用人数】 精神障害者を9人雇用。 【精神障害者の作業内容】 仕事は旋盤工、機械工以外に、能力に応じて、データ入力、工場内雑務、掃除などをしています。 【雇用状況】 賃金は日給制もしくは月給制です。勤務時間は午前8時15分〜午後5時45分、残業は基本的にありません。休日は年間98日です。実際には各人の状態に細かに合わせています。 最初から周りの従業員に合わせて仕事をするのは負担が大きいので、最初の3か月程度は体力作りをしています。 作業訓練、教育訓練については他の従業員と全て同じで、障害者ということで特別な教育をしなければならないという考えはありません。専任の担当者も特にいませんが、グループ作業にして、グループ長が相談、指導にあたっています。 家族との連絡については企画室に担当窓口をおいています。病院、保健所、公共職業安定所などとも連絡をとっています。 【採用】 病院から、「3年前に病気で退社した人が回復して、再び貴社で働くことを希望しているので会ってほしい」と連絡が入り、雇用したのが始まりです。採用当初は幹部社員のみに障害があることを知らせました。 それ以降今日まで、病院・作業所からの紹介、他市や他県の家族あるいは他の企業からの依頼など、様々な経路により精神障害者を採用してきました。 採用の条件は、@本人の社会復帰意識が強いか、A自分が障害を持っているということを認めている(病識のある)人であるか、を基準にしています。 障害者を採用する前には、障害者を雇用する旨の社員教育を行う必要があると思います。一般知識として精神障害の特性を理解しておくことにより、安心できる人間関係が築けるようになると思いますし、周りの従業員も日々注意して見てくれます。本人の障害のことは、最初から他の従業員に知らせるようにしています。そのためにも、本人が病識を持っていることは大事です。 【勤務状況】 通院には、土曜日の休日を利用しているようです。 障害者は、周りの従業員に早く追いつこうとしてあまりにも頑張ってしまう傾向があり、その頑張り過ぎが、逆に病気の再発につながることがあります。服薬の影響があるのかも知れませんが、臨機応変な判断や敏捷な動作が苦手な人もいます。 また症状には波があり、季節的な要因もあるようで、個々人の健康状態についてはある程度把握しておく必要があります。定期的に通院させることも大切です。仕事は個人により異なりますが、最初は軽作業で様子を見たうえで、能力にあわせた作業に就けるほうが良いようです。なお、不調を訴えたときに休める場所があればよいと思います。 【日常生活】 通勤は9人中5人が自宅から、4人が下宿から通勤しています。日常生活については、下宿生活の従業員などとよく食事をしたり、休日には山に絵を描きに行ったり、温泉に行ったりしながら、何かに興味を持たせるように働きかけています。ハンググライダーに挑戦したり、定時制高校に通う従業員もいます。 職場内は従業員に任せていますので事業主が口を出すことはありせんが、一緒に食事したり出かけるなどしてコミュニケーションを図るよう努めています。また障害者が幹事となって他の障害者を含めた会を作り、年4回ほど家族を含めて花見や芋煮会などの催しを行っています。 【退職、解雇】 原則として解雇はしませんが、社会復帰の意欲が全くみられず、家族と相談のうえで退職となったケースはありました。 24〜25ページ C社 〜紙製品製造販売〜 【事業所概要】 包装資材、商店用品(各種軽量食器、ポスター、POP用品など)、販促資材、文具、印刷物などの紙関連製品の企画から開発、製作、販売。大正15年創業、従業員は65人。 【雇用人数】 精神障害者は常勤で6人、非常勤で1人を雇用し、他に精神障害者社会適応訓練事業を利用している人が1人います。平均40歳台です。精神障害者以外には知的障害者1人、聴覚障害者1人を雇用しています。 【精神障害者の作業内容】 仕事は配送、倉庫管理、組立作業、製造の4部門で、希望に応じて配置しています。障害のない従業員1人と障害者1人を組み合わせ、5人程度のグループをつくって作業を進めています。 【雇用状況】 賃金は時給制です。賞与は年2回、交通費は全額支給しています。勤務は午前9時から午後5時45分。雇用当初は2〜3時間の勤務から始め、徐々に長くしていきました。 作業訓練、教育訓練については、それぞれの能力により異なります。はじめは朝と昼に縄跳びをさせるなど、筋力を高める訓練を行いました。教育訓練については本人よりもむしろ、家族と絶えず連絡を取り合い、家族との連携に重点を置くようにしています。 現在、作業に熟練した精神障害者を精神障害者社会適応訓練事業で訓練を受けている者の専任担当者として指導などを任せています。多くの一般的な作業上の問題は、ほとんど彼に任せていますが、人間関係、生活上の問題などは、工場長、専務が相談し、解決します。 家族との連絡は定期的に行っていますが、なかなか連絡を取りにくい場合が多くあります。また医療機関は、何か問題が生じたときの相談先として大変重要です。事業主と病院の医師との交流が大切です。 【採用】 戦前から知的障害者、精神障害者の訓練にかかわっていたこともあり、ごく自然に雇用するようになりました。病院、保健所、地域小規模作業所、知人からの推薦などにより採用しています。 採用の前提としては、服薬管理ができ、病状を自覚していることが必要であると思います。 精神障害者の採用に特別な対策や準備は行っていませんが、全従業員の理解を得ることは重要です。 ちなみに発病前の職種や技能に就くことを嫌う人には、発病前の仕事ではなく、その関連業種に就かせるとうまくいくようです。 【勤務状況】 出勤状況は周りの従業員以上に良好です。勤務態度も礼儀正しく、上司の指示もよく守っています。 仕事の能率、正確さについては個人差がありますが、遅くてもよいので正確に作業するよう、指導しています。中には多少のミスも生じますが、そういうものは確実に取り除くように指導しています。選別作業や一定数の在庫を維持するよう管理する仕事などでは特に能力を発揮しています。 服薬、通院などについては、常に配慮しています。服薬により、能率が落ちることがあるため、自ら服薬を中止してしまうこともあるので、服薬については、絶えず注意指導しています。 また、障害者を雇用することを、従業員に周知しています。職場の旅行などには、医師の許可があれば一緒に行ってもらいます。対人関係がうまくいかない場合には、勤務場所を他の事業所に配置替えすることで成功しています。 【日常生活】 通勤は自宅から2人、寮から4人、アパートから1人が通勤しています。アパートを借りる場合に、保証人が必要なときは、事業主が保証人になります。 休日はできるだけ家族と過ごすよう、また十分に、休養をとるように指導しています。野球や映画のチケットを配って一緒に行くことなどもあります。 【退職、解雇】 定年は60歳です。60歳以降は、1年契約とし65歳までは今まで通りの時給を支給することとしています。 25〜26ページ D社 〜ビジネスフォーム印刷〜 【事業所概要】 コンピュータ関連用紙の印刷封入、封緘、接着、切断などの加工及び事務用機器の保守管理・販売。昭和63年設立、従業員105人(正社員96人、非常勤9人)。 【雇用人数】 精神障害者は4人(正社員2人、非常勤2人)を雇用している他に、アルバイト3人を授産施設から受け入れています。また、他に身体障害者を1人雇用しています。 【精神障害者の作業内容】 仕事は個人・法人あてダイレクトメールなど、コンピュータ関連用紙の印刷封入、封緘、接着の加工業務です。封入、封緘の作業は機械で行っています。正社員の人はオペレータとして、実際に機械を動かしています。手作業の仕事は単独で行うことも、グループを組んで行うこともあります。一方、機械を中心とした流れ作業はチームを組んで行います。できる仕事をお互いに分担してやっています。 【雇用状況】 勤務は午前9時〜午後5時45分(休憩60分)。パートタイマーは実働6.5時間以上、8時間以内です。休日は土日祝日、年末年始、夏期休暇などです。残業は本人の了解のもと、2時間以内で行うことがあります。 作業訓練、教育訓練として、訓練者を指名し、全体的な教育を実施しています。また、工場長との面接を年3〜4回実施しています。専任の担当者は特につけていませんが、先輩や上司がその分気配りをしているようです。 【採用】 公共職業安定所からの紹介で、精神保健福祉センターと精神障害者福祉施設の担当者が見学され、お役に立てればと、訓練からスタートしたのが始まりです。 雇用の基準としては、月に1度薬を受け取りに通院するという程度に回復したところを目安にしています。 採用にあたっては、障害を知ったうえで採用しています。まず最初に1日4〜5時間の訓練を行い、その後なるべくその人の状況に応じて仕事に配置するようにしています。 【勤務状況】 仕事については、複雑な作業、臨機応変に行う作業は苦手のようです。単純な作業から始めて、ひとつずつ自信を持たせていく方法をとっています。また、肩書きをつけることは、本人にとって重荷になるようですので、やめています。 【日常生活】 自宅またはアパートから通勤しています。 日常生活や余暇については事業主が積極的に関与することはせず、自由にさせています。また、事業主が本人との接触の場を作って相談に乗っています。 ただし、家族とはいつでも連絡を取れるようにしています。 26〜27ページ E社 〜ビルメンテナンス〜 【事業所概要】 ビルメンテナンスと廃棄物処理。従業員数32人(正社員25人、非常勤7人)。平均年齢52歳。 【雇用人数】 精神障害者は、常用で4人(作業職3人、技能職1人)を雇用しています。他に、重度知的障害者1人(作業職)、重度身体障害者5人(作業職1人、技能職3人、技術職1人)を雇用しています。全員が常用労働者で、ほかに訓練生が4人います。 【精神障害者の作業内容】 3人はビル清掃を担当しています。グループで作業をすることもあります。1人はクレーンの操作などをしています。 【雇用状況】 賃金は日給制、もしくは日給・月給制です。勤務時間は最も長いときで7.5時間。できれば7時間勤務、週休2日制にしたいという希望がありますが、まだすべての部署でそうした形にはなっておらず、だいたい1日平均5時間勤務程度です。 残業は多くても月8時間程度です。技能職の人については月6日の休日があります。 専任担当者として、産業カウンセラー(障害者職業生活相談員)が1名います。 障害者の家族とは、必要に応じて連絡を取り、年末には家族を含めて忘年会などをしています。 【採用】 高齢者と障害者の職域、職場を増やしていくという意図を持って事業所を作りました。8年ほど前、公共職業安定所の紹介により、精神障害者の雇用が始まりました。 現在雇用している4人全員が、公共職業安定所を経由しての採用です。うち3人は障害者を担当する専門援助部門の経由です。1人は一般の職業紹介窓口から紹介されてきたので、障害があるということを知らずに採用しました。 採用の目安としては幻覚、幻聴、妄想等が軽減した時点を考えています。 採用にあたっては、必ず指導者をつけるようにしています。採用当初2か月〜6か月間は、カウンセラーが直接、訓練を行っています。その期間は日常生活の訓練のほか、ワープロやパソコンの操作など、ビル清掃以外の訓練も実施しています。 その後はそれぞれ配置された職場において、上司や先輩から仕事に関する技能の具体的な指導を受けます。指導はマンツーマンで行っています。 【勤務状況】 遅刻・早退や欠勤がない勤勉な人もいますし、多少欠勤が多い人もいますが、週に何度も休むわけではありません。4人とも皆、まじめな態度です。仕事については、正確さが多少足りない人もいますが、マニュアルに沿ってきっちりと仕事ができる人もいます。状況に応じた判断をすることはどちらかというと苦手なようです。 【日常生活】 全員が自宅から通勤しています。 産業カウンセラーが、日常生活や余暇のことなど、職場関係以外のこともいろいろ相談に乗っています。 【退職、解雇】 65歳で定年です。これまでに解雇した精神障害者はいません。 27〜28ページ F社 〜リゾートホテル〜 【事業所概要】 昭和9年リゾート地でホテルとして開業。従業員100人(正社員70人、非常勤30人)。 【雇用人数】 精神障害者は、過去20年間で30人ほど雇用の経験があります。現在はフルタイムで雇用している精神障害者が7人います。 【精神障害者の作業内容】 リネン室、洗い場、従業員食堂などの仕事を担当しています。ホールスタッフとして接客サービスを担当している者も1人います。 【雇用状況】 賃金は、最初は最低賃金の水準ですが、その後能率給を加えています。勤務時間は8時間程度で、休日は4週6休です。 作業訓練・教育指導は、各部署の主任があたっています。 家族との連絡については本人を通じて行い、家族からの働きかけはあまりありません。また障害者の中から「希望の会」を作ろうとの声が生まれ、時には医師、カウンセラーを招いて感謝の集いと親睦会を開いています。また、病院・地域保健所・カウンセラーなどとの連絡を密に行い、そちらを通じて家族との連絡も行っています。 【採用】 ある人を障害を知らずに雇用し、その後障害があることがわかったという出来事をきっかけに雇用を始めました。その人が定着し、もう一人、もう一人と増えていきました。雇用するかどうかの基準は、働く意欲があるかどうかです。採用にあたっては、障害を知った上で採用しています。半年程度は病状や本人の様子をよく観察するようにしています。 【勤務状況の評価】 ときどき遅刻する人もいます。仕事の能率は、当初は周りの従業員の半分程度ですが、いい加減な仕事をすることはありません。職場への適応は、1か月〜6か月程度かかります。他者との協調や融通をきかすことが難しい人もいるようです。 【日常生活】 寮生活をしており、休日はなるべく休養に当てるよう指導しています。また、職場内で対人関係の問題が生じたときには、事業主が積極的に関与するようにしています。 病気をよく自覚している人は服薬の必要性が十分わかっています。職場で状態が悪くなっているときにはできるだけ早く気づいて、服薬を止めているためか、疲労のためかどうかを、医師との連絡を密にして見極めます。ときには休養のために入院することもあります。 28〜29ページ G社 〜クリーニング業〜 【事業所概要】 総合クリーニング業務を行う事業所。長年個人事業として営業していましたが、昭和62年有限会社となりました。従業員は32名(正社員28名、パート4名)。 【雇用人数】 精神障害者は正社員で5名。知的障害者、身体障害者も雇用しています。 【精神障害者の作業内容】 個人の体力、能力、希望に応じる形でそれぞれのポジションに配置しています。一か所にまとめて配置することはしていません。 病院や老人施設のシーツ、タオルの類はある程度機械化されています。一連の工程の中で機械操作や、品物を機械から機械へ移す作業、出来上がった製品を束ねて袋詰めする作業に従事している方が多いです。 【雇用状況】 賃金は時給制としています。半日単位で休みを取る等のメリットがあります。 勤務は月曜日から金曜日までの週5日制で、午前8時15分〜午後4時30分までの勤務時間を基本としています。 受診の日は必ず休みを確保するうえ、疲労から休むこともあるので週3日くらいは休む方がいます。 【採用】 約30年ぐらい前に、病院の院外作業先となり、精神障害者の受け入れを始めました。多いときは年間100名位の人が利用しました。 利用者の中に退院する人も出始める中、昭和52年、ある1人について退院と同時に生活の自立が必要と考え、正社員として雇用しました。実習期間があり、すでに職場の雰囲気には慣れており、事業主にとっても、本人にとっても、新しく応募した人を採用するのとは違い、負担は少なかったと思います。 数年のうちに5人、6人となり、現在でも数人を雇用している状況が続いています。 【勤務状況】 この工場でのクリーニング作業は機械化、自動化されている部分が多く、細かい正確さを要求される部分は少ないものの、安定して出勤でき、1日の労働に耐えることの出来る体力や根気が大切となります。特に夏の暑い時期は健康管理がとても大事な課題となります。 障害者が複数人働いていることも仲間意識を生み、お互い励みになっているようです。 【日常生活】 特に入院が長かった人は、生活全般の自己管理が苦手なので、生活を崩さないよう見守ることが大切と経験上感じています。アパートを借りるときの保証人に事業主がなったり、休んだときにアパートを訪問することも必要なときがあります。職場の行事、旅行などのレクリエーションにもみんなで参加できるよう工夫しています。 【支援者との関係】 病気が悪くなったとき、生活が不安定になったときなど医療・保健・福祉の従事者との連携は欠かせません。調子の良い時からこまめに連絡を取り合い、会社だけでは対応が難しいときに協力してもらっています。 29〜30ページ H社 〜印刷・製本業〜 【事業所概要】 印刷、製本。昭和45年創業。従業員30人。 【雇用人数】 精神障害者1人。 【精神障害者の作業内容】 印刷機、紙折り機、裁断機が設置された工場の現場で働いています。 主な作業は印刷機械への紙積及び、紙折り機への紙積、印刷物・製本の梱包その他工場内の雑務です。 作業指導や指示は工場長が行っています。いくつかの作業を同時に指示すると混乱することがわかり、ひとつの作業を終えた時点で次の作業を指示することにしています。製品の枚数や部数を数えることは苦手であるため、それらの作業は外しています。 成果が上がったことや、仕事が確実に出来ていることなど、その都度褒めています。 【雇用状況】 勤務時間は午前8時30分〜午後5時30分で、毎日8時10分には出勤しています。 賃金は、時給850円。 当初は月給制でしたが、受診日以外の通院や体調を崩した際に気兼ね無く休めるようにとの配慮から、本人と公共職業安定所と相談のうえ時給制に変更されました。金額の設定は、本人の月給を時給に換算しています。 定例の休日は事業所の規定による日曜・祝日と第1・第2の土曜日で、初めからフルタイム。 事業所の繁忙期でも過労を避けるため、残業はせず定時で帰れるよう、社長から直属の上司である工場長に指示されています。 【採用】 平成7年に公共職業安定所に求人依頼し、障害者の専門援助部門から紹介されたのがきっかけでした。 面接時、父親が同行来社し「とりあえず使ってみて欲しい。」と口添えがありました。 採用にあたって、家族の応援があったことや本人も「できそうな感じで好感がもてた」ため3か月は様子を見るつもりで採用しました。 現在職場定着6年目に入っています。 【勤務状況】 遅刻や無断欠勤がなく、まじめに仕事をする努力が感じられます。 採用直後は覚えることに時間がかかり、仕事が出来るようになるか現場の工場長は不安を抱いていました。慣れるにしたがい指示が確実に遂行できる事がわかり、信頼を置くようになりました。体調の悪いときは作業能率が落ちることもありますが、怠けているわけではなく体調不良のためと理解しています。 話し好きで、話しかけると話がはずみます。 受診日は休日の土曜日で、定期的に通院し、服薬についても、「医師の指示通り必ず服用すること。」と社長から常に本人に話しています。 【日常生活】 家族と同居の自宅から1時間半の通勤距離です。折にふれ家族から社長に連絡がなされています。 本人は、趣味や休日の出来事を社長と話しています。また公共職業安定所の勧めで、終業後に同じ障害を持ちながら働く人々が集まり、話せる場としての「就労についての相互支援の会」に参加しています。 30〜31ページ I社 〜電気コード販売・加工業〜 【事業概要】 昭和30年創業の電線問屋から出発。各種電気コードの販売、委託加工、委託製造に加え平成11年10月から自社においても加工を行うようになりました。従業員はパートを含め18名。 【雇用人数】 平成12年、職域開発援助事業*を活用して精神障害者1名をパートとして採用。障害者雇用は初めてでした。 【精神障害者の作業内容】 新しくできた加工部に所属。社員1名、パート3名(そのうちの1名が障害者)。電気コードの両端部分を、各種機器を用いて加工し一定の長さに巻き上げ箱詰めをします。 最終製品として出荷され電気機器に接続されるため品質上ミスが許されず、スピードも大切ですが正確でていねいな仕事が要求されます。 【雇用状況】 賃金は時給800円。勤務時間は、他のパートは午前9時から午後5時までですが、本人の場合は体調に合わせ、午前10時から午後4時10分まで。月、火、木、金の週4日勤務です。残業は原則としてなし。さらに慣れてきて本人の希望があれば、出勤日数や時間を増やすことも可能と考えています。 【採用】 公共職業安定所、地域障害者職業センター、本人が通所している施設の協力のもとに「職域開発援助事業」を活用した職場実習から始めました。 職場実習開始前に、障害についてや本人の人となりを施設職員から説明を受けていたため、あらかじめ受入体制を考えることができました。その施設職員が、最初の1か月は毎日、半日間一緒に仕事をしてくれました。2か月目からは週2日、3か月目からは週に1度といったように徐々に「一緒に仕事をする」支援を減らしながら様子を見ていきました。最初はどのように接してよいかわからず、戸惑うこともありましたが、「仕事がきちんとできれば障害の有無は関係ない」という事業主の考えもあり、事業所側が様々な工夫をしながら定着をはかりました。例えば、他のパートとのスピードの違いを意識しない方が良いのでは、ということで専用の机を他のパートに背を向ける位置にして仕事ができるようにしたり、複雑なものや微妙な判断を必要とする仕事は外し、単純で簡単な仕事から始めるようにしました。また、急ぎの仕事で、どうしても間に合わないと思われるときには、自然に他の従業員が手伝うようにしました。 本人は性格が几帳面で何事もきちんと仕上げようとする姿勢がうかがえ、この仕事に向いていると判断したので、採用しました。 【勤務状況】 遅刻や早退、欠勤もなくとても真面目に勤務しています。 仕事はややスピードに難点がありますが、ミスのない正確な仕上がりを要求される仕事なので、自分のペースでやってもらっています。 人間関係が不得手ですが、必要以上に気を遣わない方がよいこともわかってきたので、無理に話しかけたりはしていません。一緒に働くパートの方々は年輩の男性で、皆さん無口でよけいな話はしません。そのことも本人にとっては負担にならず居心地がよいようです。 【日常生活】 通勤時間は約20分。自宅からバスを利用しています。 職場以外の生活についてはほとんど関わっていません。何か気がかりなことがある場合は施設の職員と相談しながら解決しています。今までのところ、何も問題になることはないようです。 *地域障害者職業センターが行う職業リハビリテーションサービス。事業所に専門職員を派遣し、直接支援を行う。平成14年度から支援内容などを拡充し、職業適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業として実施している。 32ページ J社 〜ヘルパー派遣・生協〜 【事業所概要】 高齢者や障害者を対象にヘルパー派遣や生活支援などを14年前から開始し、平成12年に正式に生活協同組合(組合員600名程)になりました。 【雇用人数】 ヘルパーは70名で、うち、精神障害者は2名。 【精神障害者の作業内容】 身体障害者(重度障害や視覚障害など)へのホームヘルプが中心で、宅配弁当の配達も行っています。 ヘルパーは、視覚障害者の家事援助と重度障害者の身体介護が中心です。 最初は、ベテランのヘルパーと一緒に行き、慣れれば一人で行くようになりました。 【雇用状況】 賃金は時給月給制。時給は800円で、時間外の場合は1,000円。 水曜・木曜の2日間が休みで、祝祭日も含めてその他の日は毎日勤務です。 【採用】 以前、当該事業所は食品製造を行っていましたが、閉鎖になり、そのとき従業員として働いていた人がそのままヘルパー業務に移行して現在にいたっています。 もう一人は、病院からの推薦で採用しました。 【勤務状況】 精神障害者は2名とも女性で、一人は4年間、もう一人は1年間雇用しています。4年働いている人は、ホームヘルパー2級の資格を持っています。 介護対象の身体障害者には精神障害者であることを特に話していません。 ヘルパー業務での大きなトラブルはなく、むしろ依頼者の信頼が厚い状況です。仮に何かあれば、ヘルパー責任者(専務理事)が対応するので、安心して仕事をやるように話しています。 以前はよく相談の電話をしてきましたが、最近は落ち着いたのでほとんどありません。 【日常生活】 事業所は、精神障害者社会適応訓練事業の委託事業所でもあるので、弁当づくりなどに精神障害者が訓練として複数名来ています。そのため、保健師、病院のケースワーカーが事業所によく出入りしていますので、2人にとっては安心して働けるとともに生活面での相談もできる環境にあります。 33ページ K社 〜建設業〜 【事業所概要】 昭和46年創業。住宅からビル、土木工事、公共工事を行っています。 従業員は18名(事務が3名。営業が2名。他の従業員は現場勤務)。 【雇用人数】 精神障害者1名。障害者の雇用は初めてです。 【精神障害者の作業内容】 肩書きは現場代理人ですが、建物の竣工から完成までを現場責任者として仕切っています。 複数の現場のかけ持ちはせずに1か所のみを担当し、担当現場はほとんど彼に任せてあります。 【雇用状況】 勤務日は、月曜〜土曜。基本的に午前8時から午後6時の勤務時間ですが、現場が遠いときは遅刻を認めています。 2週間に1回の通院日は休みにしています。 また、社長は「体調がすぐれないときは、連絡さえすれば2日でも3日でも休んでかまわない」と言っています。また、「現場には言葉や態度が荒い人がいるので、あなたがこの現場で一番偉いのだから自信をもって対応しろ、なにかあったら、社長にすぐ連絡しろ」と話しています。 【採用】 公共職業安定所から、精神障害者を雇用してみないかと紹介されました。 まじめな人で過去に現場経験もあり、1級建築施工管理と1級土木施工の資格をもっていました。 建設業で様々な人を雇用してきたので、まじめに仕事をしてくれる人であれば、障害者のあるなしは関係ないと思い、即、採用しました。 他の従業員には、病気のために薬を取りに行ったりするので、あまり無理はできないと話しています。 【勤務状況】 現場の報告をきちんと事業所にしていますし、特に問題はありません。 本人が連絡してくれば疲れたときや病院に行くときは休むように言っていますが、実際に働きぶりをみると頑張りすぎる傾向があって、逆にストップをかけることがあるそうです。 【日常生活】 通勤は自宅から直接現場に通っています。 2週間に1回の通院時にデイケアにも参加していて、そこでのカラオケや他のプログラムをやることが気分転換になっています。 また、病院のケースワーカーに相談に乗ってもらっています。 34ページ L社 〜情報処理関連業務〜 【事業所概要】 L社は情報処理会社の子会社として平成3年に設立され、平成12年に特例子会社に認定。事業所は本社のほか県内と県外に営業所があり、従業員総数は145人。 【雇用人数】 障害者は精神障害者17人のほか、身体障害者56人、知的障害者19人の計92人が働いています。 【精神障害者の作業内容】 アウトソーシング事業部門では、電話による調査、データエントリー、データベースの作成、メールによる問合せ、印刷原稿の校正、編集などに5人。管理部門では総務、営業事務に2人、自社のシステム管理と技術業務に2人。親会社の業務受託部門では社内メールの管理、稟議書などの修正と管理に3人、給与計算業務に2人、また国の事業である障害者の態様に応じた多様な委託訓練(以下、「委託訓練」という。)の運営(講師2名を含む)に3人が従事しています。 【雇用状況】 精神障害者には実習時から採用、その後の定着までの過程で継続的な職業リハビリテーションカウンセリングが実施されています。賃金は時給制で勤務時間は原則として午前9時〜午後5時40分ですが、この中で希望職種、勤務時間などの調整も行われます。通常は一日4時間くらいからスタートし、本人が無理なく職場に適応できるようカウンセリングの教育を受けた専任者が本人の希望と主治医の意見などを考慮して段階的に時間を延長していくシステムをとっています。必要があれば本人の直属の上司との3者による面接も実施しており効果を上げています。カウンセリングの目的は環境が変化する際のリスクの予防及び職業生活の発展の支援であり、概ね6か月以上継続的に行われています。また、委託訓練でも常時約10名の精神障害者を訓練生として受け入れていますが、ここでもカウンセリングが効果的に取り入れられています。 【採用】 精神障害者の採用は、平成14年に県の精神保健福祉センターを通して地域障害者職業センターのジョブコーチ支援による実習を受け入れたのが始まりでした。以来、精神障害者を対象としてパソコン技能の習得を行う福祉作業所などから積極的な採用に取り組み、さらに委託訓練修了者の採用も加わり現在の17名になりました。採用は、委託訓練を行う部門が教育訓練事業と平行して担当しています。 【勤務状況】 精神障害者はL社においては比較的高度で知的な部門で活躍している例がほとんどです。業務では一人一台のパソコンが配置され、社内連絡などはすべて事業所のイントラネットやメールで行っています。また、アウトソーシング部門では顧客の担当者や調査対象者へのメールはもちろん、必要であれば電話調査で得られた情報の集計作業などを行っています。管理部門では健康診断の受付や電話の取次ぎなども行っています。 【日常生活】 配置に際しては同じ作業所や、同じ訓練の修了者をペアで配置するなど、当事者同士のピアサポートを期待して配置しています。彼らは精神薬の話題で昼休みを過ごしたりしている事もあり、社内ではまったく彼らを特別な障害を持つ従業員とは考えていない雰囲気があるのが特徴的で、退職した精神障害者はまだ1人もいないということです。 35ページ M社 〜ソフトウェア開発業〜 【事業所概要】 M社は、業務用ソフトウェアの開発などを行う、従業員約600名の企業です。嘱託産業医が週一回勤務。独自に職場復帰前に実施する試験的な出社制度を設けています。 【精神障害者の状況】 うつ病により休職中の方で、精神障害者保健福祉手帳3級を所持しています。長年、システムエンジニアとしてシステム開発に携わっていました。他県への転勤内示をきっかけに、体調不良が続き、うつ病と診断されました。地域障害者職業センター(以下「センター」という。)の支援の開始は、休職して5か月が経過した時点でした。 【リワーク支援の実施】 @センターでのウォーミングアップ支援(16週間) センターでは、障害者職業カウンセラー(以下「カウンセラー」という。)が本人との面接・調査などの結果を基に具体的な職場復帰支援の計画を策定し、気分やストレスを自己管理し、気分の落ち込みやストレスの軽減を図るための支援(自律訓練法、週間活動記録表の作成など)や自分の考えや状態を相手にうまく伝える方法を身につけるための支援(アサーショントレーニング)、作業への集中力や持続力を高めるための作業支援(事務的作業など)などを実施しました。最初は、週2日半日の活動スケジュールを設定し、計画的に活動時間を増やすことにより、終日の活動を週4日行えるようになりました。 A職場復帰前の試験的な出社(8週間) センターでのウォーミングアップ支援を通じて不眠症状は改善しましたが、不安感の軽減と職場復帰後の仕事内容の設定を検討することを目的に、M社が実施する職場復帰前の試験的な出社制度を活用した支援を実施することとしました。職場復帰前の試験的な出社を開始する前には、センターのカウンセラーが事業主に対して、職場での配慮事項などについて助言を行いました。 センターのカウンセラーは、本人に対して、M社が実施する職場復帰前の試験的な出社期間中に週1回の状況確認とカウンセリングを行いました。また、本人の同意に基づいて、主治医に支援実施状況を報告し、主治医から支援内容などについて助言を得ながら支援を行いました。 また、M社が実施する職場復帰前の試験的な出社では、本人の負担を軽減するために、当初は週4日午前のみの活動としました。その結果、職場復帰への不安の軽減を図りながら順調にウォーミングアップを行うことができました。 職場復帰後の仕事については、支援の結果を踏まえて、当面は、過重な負担がかからないよう、直接顧客と対応しない仕事を担当することを事業主と調整しました。 【職場復帰後の状況】 職場復帰後は安定して勤務できています。センターは、フォローアップとして、出勤状況や疲労度、対人関係などについて、電子メールにより月1回程度状況確認と必要な助言を行っています。 36ページ 6 雇用を支援する機関と制度 精神障害者の障害特性を踏まえた雇用管理を適切に行うためには、事業所のみで対応するのではなく、必要に応じて外部の専門的な支援機関と連携をとりながら、各種支援制度を上手に利用することが効果的です。 1 主な支援機関 (1)公共職業安定所 障害者の雇用に関する相談窓口としては、まず公共職業安定所があげられます。障害者の求人を受理するとともに、就職を希望する障害者の求職登録を行い(就職後のアフターケアまで一貫して利用)、障害者担当の職員がケースワーク方式により、障害の種類・程度に応じたきめ細かな職業相談、職業紹介などを実施しています。 (2)地域障害者職業センター(→p44の8支援機関・施設一覧を参照) 全国47都道府県に設置されている地域障害者職業センターでは、公共職業安定所などの関係機関との密接な連携の下、障害者に対する職業評価、職業指導、職業準備支援などの専門的な職業リハビリテーションサービスを提供しています。事業主に対しては、個々の事業主の障害者雇用に関するニーズと雇用管理上の課題を踏まえた相談・援助を行っています。また、障害者、事業主双方に対するサービスとして、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援、精神障害者に対する総合雇用支援を行っています。 (3)障害者就業・生活支援センター 就職や職場への定着にあたっての支援とあわせ、日常生活上の支援を必要とする障害者に対して、雇用、保健、福祉、教育などの関係機関と連携の拠点として連絡調整などを積極的に行いながら、就業面及び生活面の両面にわたる支援を一体的に行っています。(→詳しくは、各都道府県雇用対策主管課又は各都道府県労働局にお問い合わせください。) (4)精神保健福祉センター(→p45の8支援機関・施設一覧を参照) 地域精神保健福祉活動の中核機関として各都道府県に設置され、精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及、調査研究、相談事業などを行っています。相談については、心の健康問題から、精神医療に係る相談、社会復帰相談をはじめ、アルコール、薬物、思春期、認知症などの特定相談を含め、精神保健福祉全般の相談を行っています。職場復帰の支援を行っているセンターもあります。 (5)その他 @ 特定非営利活動法人全国精神障害者就労支援事業所連合会 精神障害者社会適応訓練事業に協力して精神障害者を職場に受け入れてきた小規模な民間企業(職親企業)を中心とする団体です。精神障害者の就労支援および雇用に関わる事業所、関係機関などのネットワークづくりや相談事業などを行なっています。 A 都道府県産業保健推進センター 独立行政法人労働者健康福祉機構が設置、運営しています。産業医、産業看護職、衛生管理者などの産業保健関係者を支援するとともに、事業主などに対し職場の健康管理への啓発を行っています。 都道府県産業保健推進センターの一覧は下記ホームページに掲載されています。 http://www.rofuku.go.jp/sanpo/centers/index.html 37〜38ページ 2 主な支援制度 就職の準備段階から就職後の職場定着、あるいは休職後の職場復帰段階まで、精神障害者に対する雇用支援制度には様々なものがあり、事業主が主に活用できるものとしては、次のようなものがあります。 (1)障害者試行雇用(トライアル雇用)事業 <窓口:公共職業安定所> 事業主と有期雇用契約を締結し、3か月間の試行雇用を行います。就職に対する不安を軽減し、事業主と障害者の相互の理解を深め、その後の常用雇用を目指します。 (2)精神障害者ステップアップ雇用 <窓口:公共職業安定所> 求職精神障害者が事業主と有期雇用契約を締結し、短時間勤務(週10時間以上)から始め、一定の期間(3か月以上12か月以内)をかけて就職に対する不安を軽減し、事業主と精神障害者の相互の理解を深めながら、就業時間を延長し、その後の常用雇用を目指します。複数の精神障害者がグループで利用することもできます。 (3)精神障害者総合雇用支援 <窓口:地域障害者職業センター> 精神障害者総合雇用支援は、精神障害者及び精神障害者を雇用しようとする又は雇用している事業主に対して、主治医との連携のもと、職場復帰・雇用促進・雇用継続の雇用の各段階で行う体系的かつ専門的な支援サービスです。 職場復帰支援は、精神障害者の職場復帰及び職場適応を円滑に進めるため、以下の「職場復帰のコーディネート」と「リワーク支援」で構成されています。 ○職場復帰のコーディネート 精神障害者、雇用事業主、主治医のいずれかからの職場復帰についての支援要請を受けて、障害者職業カウンセラーがこの3者と話し合いながら職場復帰への課題や対策を整理し、支援対象者の職場復帰に向けて支援の進め方や目標について、支援対象者、雇用事業主、主治医の合意形成を図ります。   ○リワーク支援 支援対象者、雇用事業主、主治医の3者の合意内容に基づき、地域障害者職業センターが職業リハビリテーション計画と事業主支援計画を策定し、支援対象者及び事業主がこれらの計画に沿って職場復帰に向けての取り組みを着実に進めることができるよう、障害者職業カウンセラーが、主治医のバックアップを得ながら、次の支援を行います。 〈事業主に対して〉 職場復帰にあたっての適切な職務内容や労働条件の設定、職場復帰の受け入れに向けての上司、同僚などの理解の促進、職場復帰後の支援対象者の状況把握や対処方法、家族や主治医との連携の方法などについて事業主に対して助言・援助を行います。 〈精神障害者に対して〉 支援対象者ごとに用意したプログラムに沿って、パソコン入力などの簡易作業、ストレス対処法や自己表現トレーニングの講習、支援対象者同士の問題解決演習、復帰予定の職場への出勤の訓練などを行います。これらを通じて、職場復帰に向けた生活リズムの立直しや集中力・持続力の向上、気分・体調の自己管理の仕方や場面に応じたコミュニケーション方法の習得を図ります。 さらに、復職後の新たな職務や環境に対する対応力の向上を図るため、再発予防に関する講習やキャリアプランの再構築に向けた支援を行います。 職場復帰後は、支援対象者の状態や特性などに応じて、来所、訪問、メールなどにより職場への適応状況を的確に把握し、継続的に職場復帰をフォローアップします。   注)リワークとは、「復職」Return to Workを意味しています。 (4)職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業 <窓口:地域障害者職業センター> 障害者が円滑に職場適応することができるよう、ジョブコーチが事業所に出向き、職場内において様々な支援を行います。地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ(配置型ジョブコーチ)と社会福祉法人などに所属するジョブコーチ(第1号職場適応援助者)が各地域に配置されており、必要に応じて両者が連携して支援を行います。 上記のジョブコーチ以外に事業主が自ら雇用する障害者(在職者)のために、職場適応援助者を配置することができます(第2号職場適応援助者)。また、第1号及び第2号職場適応援助者配置に関し、助成金が支給されます。 (5)職場適応訓練 <窓口:公共職業安定所又は都道府県労働局> 都道府県知事などが事業主に委託し、身体障害者、知的障害者、精神障害者などの能力に適した作業について6か月以内(中小企業及び重度障害者の場合は1年以内)の実地訓練を行い、それによって職場の環境に適応することを容易にし、訓練終了後は事業所に引き続き雇用してもらおうという制度です。 訓練期間中、委託した事業主に対し訓練生1人につき月額24,000円(重度障害者の場合25,000円)の委託費が支給され、訓練生に対しては訓練手当(雇用保険受給資格者の場合は雇用保険の基本手当)が支給されます。 (6)精神障害者社会適応訓練事業 <窓口:保健所> 仕事に対する集中力や環境に適応する能力などを高めるために、都道府県知事が精神障害者の社会復帰に理解のある事業所に訓練を委託する制度です。対象者は通院治療中で症状が安定し主治医が訓練の受講を了承している者です。訓練期間は6か月ですが、3年を限度に延長できます。都道府県によって異なりますが、多くの場合、委託先事業所(職親)に協力奨励金が支払われます。 39ページ 7 主な助成制度 1 特定求職者雇用開発助成金 (特定就職困難者雇用開発助成金) <窓口:公共職業安定所又は都道府県労働局> 身体障害者、知的障害者又は精神障害者等の就職が特に困難な者を新たに公共職安定所などの紹介により雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部を雇い入れた日から一定期間助成することにより、雇用機会の増大を図るものです。 ○対象事業主 受給できるのは、次の全ての要件を満たす事業主です。   @ 公共職業安定所又は適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者の紹介により、身体障害者、知的障害者又は精神障害者等(65歳未満の者に限る。)を継続して雇用する労働者として雇い入れ、助成金支給後も引き続き相当期間雇用することが確実であると認められる雇用保険の適用事業主。 A 当該雇い入れの前及び後6か月間において当該雇い入れに係る事業所で雇用する被保険者を事業主の都合により解雇したことがないものであること。 B 当該雇い入れの前及び後6か月間において当該雇い入れに係る事業所において特定受給資格者となる離職理由により雇用する被保険者を、当該雇い入れ日における被保険者の6%を超えて離職させていないこと(特定受給資格者となる離職理由により離職した者が3 人以下である場合を除く。)   ○助成額・助成期間など 助成額、助成期間は次の表のとおりです。助成対象期間を6か月ごとの支給対象期に区切り、この支給対象期ごとに支給されます。 《表》 対象労働者 短時間労働者以外 (1)身体障害者、知的障害者((2)に該当するものを除く) 企業規模 @中小企業事業主以外 助成対象期間 1年 第1期支給額 25万円 第2期支給額 25万円 支給総額 50万円 支給回数 2回 対象労働者 短時間労働者以外 (1)身体障害者、知的障害者((2)に該当するものを除く) 企業規模 A中小企業事業主 助成対象期間 1年6月 第1期支給額 45万円 第2期支給額 45万円 第3期支給額 45万円 支給総額 135万円 支給回数 3回 対象労働者 短時間労働者以外 (2)重度障害者等 企業規模 @中小企業事業主以外 助成対象期間 1年6月 第1期支給額 33万円 第2期支給額 33万円 第3期支給額 34万円 支給総額 100万円 支給回数 3回 対象労働者 短時間労働者以外 (2)重度障害者等 企業規模 A中小企業事業主 助成対象期間 2年 第1期支給額 60万円 第2期支給額 60万円 第3期支給額 60万円 第4期支給額 60万円 支給総額 240万円 支給回数 4回 対象労働者 短時間労働者 身体障害者、知的障害者、精神障害者 企業規模 @中小企業事業主以外 助成対象期間 1年 第1期支給額 15万円 第2期支給額 15万円 支給総額 30万円 支給回数 2回 対象労働者 短時間労働者 身体障害者、知的障害者、精神障害者 企業規模 A中小企業事業主 助成対象期間 1年6月 第1期支給額 30万円 第2期支給額 30万円 第3期支給額 30万円 支給総額 90万円 支給回数 3回 ※「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいう。 ※「重度障害者等」とは、重度身体障害者、45歳以上の身体障害者、重度知的障害者、45歳以上の知的障害者及び精神障害者であって、短時間労働者として雇い入れられた者を除く。 ただし、対象労働者を雇い入れた事業主が当該対象労働者について最低賃金の減額の特例の許可を受けている場合は、支給対象期について対象労働者に支払った賃金額に次の助成率を乗じた額(上表の支給対象期ごとの支給額が上限)となります。 《表》 対象労働者 イ ロ以外の者 中小企業事業主以外 4分の1 中小企業事業主 3分の1 対象労働者 ロ 重度障害者等 中小企業事業主以外 3分の1 中小企業事業主 2分の1 40ページ 2 障害者初回雇用奨励金(ファースト・ステップ奨励金) <窓口:公共職業安定所又は都道府県労働局>  障害者雇用の経験のない中小企業において、初めて身体障害者、知的障害者又は精神障害者を雇用した場合に奨励金を支給することにより、障害者雇用の促進を図るものです。なお、特定求職者雇用開発助成金、試行雇用奨励金との併給は可能です。 ○対象事業主 障害者雇用の経験のない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる56人〜300人規模の中小企業)の事業主   ○支給額 1人目の障害者を雇用する場合100万円支給(雇い入れ後6か月経過後に支給) 3 精神障害者雇用安定奨励金 <窓口:公共職業安定所又は都道府県労働局> 精神障害者の雇用を促進し職場定着を図るため、精神障害者の雇い入れや休職者の職場復帰にあたり、精神障害者が働きやすい職場づくりを行った事業主に対する奨励金です。 (1)精神障害者支援専門家活用奨励金 精神障害者を雇い入れるとともに、精神保健福祉士などの精神障害者の支援に係る専門家を雇い入れ又は委嘱し、精神障害者の雇用管理に関する業務を行わせた場合に、当該専門家の賃金又は委嘱費用の一部を奨励金(最高180万円)として支給します。 (2)社内精神障害者専門家養成奨励金 労働者に精神保健福祉士などの養成課程を履修・修了させ、この者に新たに雇い入れた精神障害者の支援に関する業務を行わせた場合に、履修に要した費用の一部を奨励金(費用の2/3、上限50万円)として支給します。 (3)社内理解促進奨励金 精神障害者を雇い入れ、又は職場復帰させるとともに、精神障害者とともに働く労働者に精神障害者の支援に関する講習を受講させた場合に、受講に要した費用の一部を奨励金(費用の1/2、上限5万円)として支給します。 (4)ピアサポート体制奨励金 精神障害者を雇い入れ、又は職場復帰させるとともに、社内の精神障害者を他の精神障害者への配慮事項などに関する事業所への助言など、ピアサポートの業務を担当させた場合に奨励金(25万円)を支給します。 41ページ 障害者雇用納付金制度に基づく主な助成金一覧 障害者を労働者として雇用するにあたっては、障害者各人の能力と適性が十分に発揮されるよう、作業施設や作業設備などの整備や設置を必要とすることが少なくありません。また、障害者の能力開発や適切な雇用管理を行うために特別な措置の実施が必要となることもあります。 障害者雇用納付金制度に基づく助成金(以下「助成金」)は、このように事業主が障害者を労働者(注)として雇用するにあたって、施設・設備の整備などや特別な措置を行う場合に、これらの事業主に対し独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構(以下「機構」)の予算の範囲内において助成金を支給することによって、その経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。 [(注) この助成金制度における「労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上の者(精神障害者にあっては、1週間の所定労働時間が15時間以上の者)をいいます。 また、「短時間労働者」とは、「労働者」のうち1週間の所定労働時間が30時間未満である労働者をいいます。] 助成金ごとの支給に係る要件や申請手続きについては、当機構のホームページ(http://www.jeed.or.jp/disability/employer/subsidy/sub01.html)をご参照ください。 ●障害者作業施設設置等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設、就労を容易にするために配慮されたトイレ、スロープなどの附帯施設もしくは作業を容易にするために配慮された作業設備の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 《表》 助成金 @第1種作業施設設置等助成金 ○作業施設、作業設備等の設置または整備 対象となる障害者 ・身体障害者 ・知的障害者 ・精神障害者 ・中途障害者 ※上記の障害者である在宅勤務者 助成率 3分の2 限度額 ・障害者1人につき450万円  (作業施設、附帯施設、作業設備の合計) ※作業設備の場合  障害者1人につき150万円  (中途障害者の場合は1人につき450万円) ・短時間労働者(重度身体障害者、重度知的障害者または精神障害者を除く)である場合の限度額は1人につき上記の半額 (1事業所あたり一会計年度につき合計4,500万円) 助成金 A第2種作業施設設置等助成金 ○作業施設、作業設備等の賃借 対象となる障害者 ・身体障害者 ・知的障害者 ・精神障害者 ・中途障害者 ※上記の障害者である在宅勤務者 助成率 3分の2 限度額 ・障害者1人につき月13万円 ※作業設備の場合  障害者1人につき月5万円  (中途障害者の場合は1人につき13万円) ・短時間労働者(重度身体障害者、重度知的障害者または精神障害者を除く)である場合の限度額は1人につき上記の半額 支給期間 3年間 ●障害者福祉施設設置等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主またはその事業主が加入している事業主団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された保健施設、給食施設、教養文化施設などの福利厚生施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 《表》 対象となる障害者 ・身体障害者 ・知的障害者 ・精神障害者 ・中途障害者 ※上記の障害者である在宅勤務者 助成率 3分の1 限度額 ・障害者1人につき 225万円 ・短時間労働者(重度身体障害者、重度知的障害者または精神障害者を除く)である場合の限度額は1人につき上記の半額 (1事業所または事業主の団体1団体あたり一会計年度につき合計2,250万円) 42ページ ●障害者介助等助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または就職が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助などの措置を実施する場合に、その費用の一部を助成するものです。 《表》 助成金 @重度中途障害者等職場適応助成金 ○中途障害者の職場復帰を促進するための職場適応措置の実施 対象となる障害者 ・中途障害者である重度身体障害者 ・中途障害者である45歳以上の身体障害者 ・中途障害者である精神障害者 ※上記の障害者である在宅勤務者 限度額 ・障害者1人あたり 月3万円  (短時間労働者にあっては月2万円) 支給期間 3年間 助成金 A職場介助者の配置または委嘱助成金 ○事務的業務に従事する視覚障害者、四肢機能障害者の業務遂行のために必要な職場介助者の配置または委嘱 対象となる障害者 ・2級以上の視覚障害者 ・2級以上の両上肢機能障害及び2級以上の両下肢機能障害を重複する者 ・3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害および3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害を重複する者 ※上記の障害者である在宅勤務者 助成率 4分の3 限度額 ・配置1人 月15万円 ・委嘱1人 1回1万円 年150万円まで 支給期間 10年間 助成金 A職場介助者の配置または委嘱助成金 ○事務的業務以外に従事する視覚障害者の業務遂行のために必要な職場介助者の委嘱 対象となる障害者 ・2級以上の視覚障害者 ・2級以上の両上肢機能障害及び2級以上の両下肢機能障害を重複する者 ・3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害および3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害を重複する者 ※上記の障害者である在宅勤務者 助成率 4分の3 限度額 ・委嘱1人 1回1万円 年24万円まで 支給期間 10年間 助成金 B職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金 ○事務的業務に従事する視覚障害者、四肢機能障害者の業務遂行のために必要な職場介助者の配置または委嘱の継続 対象となる障害者 ・2級以上の視覚障害者 ・2級以上の両上肢機能障害及び2級以上の両下肢機能障害を重複する者 ・3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害および3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害を重複する者 ※上記の障害者である在宅勤務者 助成率 3分の2 限度額 ・配置1人 月13万円 ・委嘱1人 1回9千円 年135万円まで 支給期間 5年間 助成金 B職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金 ○事務的業務以外に従事する視覚障害者の業務遂行のために必要な職場介助者の委嘱の継続 対象となる障害者 ・2級以上の視覚障害者 ・2級以上の両上肢機能障害及び2級以上の両下肢機能障害を重複する者 ・3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害および3級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害を重複する者 ※上記の障害者である在宅勤務者 助成率 3分の2 限度額 ・委嘱1人 1回9千円 年22万円まで 支給期間 5年間 助成金 C手話通訳担当者の委嘱助成金 ○聴覚障害者の雇用管理に必要な手話通訳担当者の委嘱 対象となる障害者 ・3級の聴覚障害者 ・2級の聴覚障害者 助成率 4分の3 限度額 ・委嘱1人 1回6千円 年28万8千円まで (障害者9人までの場合) 支給期間 10年間 助成金 D健康相談医師の委嘱助成金 ○障害者の健康管理に必要な医師の委嘱 対象となる障害者 ・4級以上の内部障害者 ・3級以上のせき髄損傷による肢体不自由者 ・てんかん性発作を伴う知的障害者 ・精神障害者 ・6級以上の網膜色素変性症、糖尿病性網膜症、緑内障等による視覚障害者 助成率 4分の3 限度額 ・委嘱1人 1回2万5千円 障害者の障害の区分ごとに 委嘱1人年30万円まで 支給期間 10年間 助成金 E職業コンサルタントの配置または委嘱助成金 ○障害者の雇用管理のために必要な職業コンサルタントの配置または委嘱 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・知的障害者 ・精神障害者 ・上記の障害者である在宅勤務者 ・3級の下肢機能障害者である在宅勤務者 ・3級の体幹機能障害者である在宅勤務者 ・3級の内部障害者である在宅勤務者 ※対象障害者5人以上のための配置または委嘱であることが必要 助成率 4分の3 限度額 ・配置1人 月15万円 ・委嘱1人 1回1万円 年150万円まで 支給期間 10年間 助成金 F在宅勤務コーディネーターの配置または委嘱助成金 ○在宅勤務障害者の雇用管理及び業務管理の業務を担当する在宅勤務コーディネーターの配置または委嘱 対象となる障害者 ・身体障害者である在宅勤務者 ・知的障害者である在宅勤務者 ・精神障害者である在宅勤務者 助成率 4分の3 限度額 ・配置 障害者1人あたり月5万円  (在宅勤務コーディネーター1人あたり月25万円まで) ・委嘱 障害者1人あたり1回3千円  (在宅勤務コーディネーター1人あたり年225万円まで) ・在宅勤務障害者の雇用管理・業務管理制度の設計および就業規則等の諸規程の整備  初回に限り10万円(支給は1回を限度) 支給期間 10年間 43ページ ●重度障害者等通勤対策助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるかまたは継続して雇用する事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主を構成員とする事業主団体が、これらの者の通勤を容易にするための措置を行う場合にその費用の一部を助成するものです。 《表》 助成金 @住宅の新築等助成金 ○対象障害者用に特別な構造または設備を備えた住宅の新築・増築・改築・購入(事業主団体を含む) 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級の体幹機能障害者 ・3級の視覚障害者 ・3級または4級の下肢障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 ・知的障害者 ・精神障害者 助成率 4分の3 限度額 ・世帯用 1戸につき1,200万円 ・単身者用 1人につき500万円  (1事業所につき5,000万円が限度) 助成金 A住宅の賃借助成金 ○対象障害者用の住宅の賃借 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級の体幹機能障害者 ・3級の視覚障害者 ・3級または4級の下肢障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 ・知的障害者 ・精神障害者 助成率 4分の3 限度額 ・世帯用 月10万円 ・単身者用 月6万円 支給期間 10年間 助成金 B指導員の配置助成金 ○対象障害者用住宅への指導員の配置(事業主団体を含む) 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級の体幹機能障害者 ・3級の視覚障害者 ・3級または4級の下肢障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 ・知的障害者 ・精神障害者 ※対象障害者が5人以上であることが必要 助成率 4分の3 限度額 ・配置1人 月15万円 支給期間 10年間 助成金 C住宅手当の支払助成金 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級の体幹機能障害者 ・3級の視覚障害者 ・3級または4級の下肢障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 ・知的障害者 ・精神障害者 助成率 4分の3 限度額 ・障害者1人 月6万円 支給期間 10年間 助成金 D通勤用バスの購入助成金 ○対象障害者のための通勤用バスの購入(事業主団体を含む) 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級の体幹機能障害者 ・3級の視覚障害者 ・3級または4級の下肢障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 ・知的障害者 ・精神障害者 ※対象障害者が5人以上であることが必要 助成率 4分の3 限度額 ・バス1台 700万円 助成金 E通勤用バス運転従事者の委嘱助成金 ○対象障害者のための通勤用バスの運転に従事する者の委嘱(事業主団体を含む) 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級の体幹機能障害者 ・3級の視覚障害者 ・3級または4級の下肢障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 ・知的障害者 ・精神障害者 ※対象障害者が5人以上であることが必要 助成率 4分の3 限度額 ・委嘱1人 1回6,000円 支給期間 10年間 助成金 F通勤援助者の委嘱助成金 ○対象障害者の通勤を容易にするために指導、援助等を行う通勤援助者の委嘱 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級の体幹機能障害者 ・3級の視覚障害者 ・3級または4級の下肢障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 ・知的障害者 ・精神障害者 ※対象障害者が継続雇用者の場合は、通勤経路の変更を余儀なくされた場合であることが必要 助成率 4分の3 限度額 ・委嘱1人 1回2,000円 ・交通費 1認定3万円 支給期間 1月間 助成金 G駐車場の賃借助成金 ○自ら運転する自動車により通勤することが必要な対象障害者に使用させるための駐車場の賃借 対象となる障害者 ・重度身体障害者 ・3級の体幹機能障害者 ・3級の視覚障害者 ・3級または4級の下肢障害者 ・3級または4級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 ・知的障害者 ・精神障害者 助成率 4分の3 限度額 ・障害者1人 月5万円 支給期間 10年間 助成金 H通勤用自動車の購入助成金 ○自ら運転する自動車により通勤することが必要な対象障害者に使用させるための通勤用自動車の購入 対象となる障害者 ・2級以上の上肢障害者 ・2級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢障害者 ・3級以上の体幹機能障害者 ・3級以上の内部障害者 ・4級以上の下肢障害者 ・4級以上の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者 ・5級の下肢障害、体幹機能障害、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害のいずれか2つ以上重複する者 助成率 4分の3 限度額 ・購入 1台150万円  (1級または2級の両上肢障害者の場合は1台250万円) 44〜45ページ 8 支援機関・施設一覧 1 地域障害者職業センター  障害者職業カウンセラーが配置され、公共職業安定所、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校などの関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として、地域に密着した職業リハビリテーションサービスを提供しています。 《表》 北海道障害者職業センター 郵便番号 001-0024 札幌市北区北24条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 電話番号 011-747-8231 FAX番号 011-747-8134 北海道障害者職業センター旭川支所 郵便番号 070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 ツジビル5階 電話番号 0166-26-8231 FAX番号 0166-26-8232 青森障害者職業センター 郵便番号 030-0845 青森市緑2-17-2 電話番号 017-774-7123 FAX番号 017-776-2610 岩手障害者職業センター 郵便番号 020-0133 盛岡市青山4-12-30 電話番号 019-646-4117 FAX番号 019-646-6860 宮城障害者職業センター 郵便番号 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 電話番号 022-257-5601 FAX番号 022-257-5675 秋田障害者職業センター 郵便番号 010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 電話番号 018-864-3608 FAX番号 018-864-3609 山形障害者職業センター 郵便番号 990-0021 山形市小白川町2-3-68 電話番号 023-624-2102 FAX番号 023-624-2179 福島障害者職業センター 郵便番号 960-8135 福島市腰浜町23-28 電話番号 024-522-2230 FAX番号 024-522-2261 茨城障害者職業センター 郵便番号 309-1703 笠間市鯉淵6528-66 電話番号 0296-77-7373 FAX番号 0296-77-4752 栃木障害者職業センター 郵便番号 320-0865 宇都宮市睦町3-8 電話番号 028-637-3216 FAX番号 028-637-3190 群馬障害者職業センター 郵便番号 379-2154 前橋市天川大島町130-1 電話番号 027-290-2540 FAX番号 027-290-2541 埼玉障害者職業センター 郵便番号 338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 電話番号 048-854-3222 FAX番号 048-854-3260 千葉障害者職業センター 郵便番号 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 電話番号 043-204-2080 FAX番号 043-204-2083 東京障害者職業センター 郵便番号 110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 電話番号 03-6673-3938 FAX番号 03-6673-3948 東京障害者職業センター多摩支所 郵便番号 190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 電話番号 042-529-3341 FAX番号 042-529-3356 神奈川障害者職業センター 郵便番号 252-0315 相模原市南区桜台13-1 電話番号 042-745-3131 FAX番号 042-742-5789 新潟障害者職業センター 郵便番号 950-0067 新潟市東区大山2-13-1 電話番号 025-271-0333 FAX番号 025-271-9522 富山障害者職業センター 郵便番号 930-0004 富山市桜橋通り1-18 住友生命富山ビル7階 電話番号 076-413-5515 FAX番号 076-413-5516 石川障害者職業センター 郵便番号 920-0856 金沢市昭和町16-1 ヴィサージュ1階 電話番号 076-225-5011 FAX番号 076-225-5017 福井障害者職業センター 郵便番号 910-0026 福井市光陽2-3-32 電話番号 0776-25-3685 FAX番号 0776-25-3694 山梨障害者職業センター 郵便番号 400-0864 甲府市湯田2-17-14 電話番号 055-232-7069 FAX番号 055-232-7077 長野障害者職業センター 郵便番号 380-0935 長野市中御所3-2-4 電話番号 026-227-9774 FAX番号 026-224-7089 岐阜障害者職業センター 郵便番号 502-0933 岐阜市日光町6-30 電話番号 058-231-1222 FAX番号 058-231-1049 静岡障害者職業センター 郵便番号 420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 電話番号 054-652-3322 FAX番号 054-652-3325 愛知障害者職業センター 郵便番号 453-0015名古屋市中村区椿町1-16 井門名古屋ビル4階 電話番号 052-452-3541 FAX番号 052-452-6218 愛知障害者職業センター豊橋支所 郵便番号 440-0888 豊橋市駅前大通り1-27 MUS豊橋ビル6階 電話番号 0532-56-3861 FAX番号 0532-56-3860 三重障害者職業センター 郵便番号 514-0002 津市島崎町327-1 電話番号 059-224-4726 FAX番号 059-224-4707 滋賀障害者職業センター 郵便番号 525-0027 草津市野村2-20-5 電話番号 077-564-1641 FAX番号 077-564-1663 京都障害者職業センター 郵便番号 600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 電話番号 075-341-2666 FAX番号 075-341-2678 大阪障害者職業センター 郵便番号 541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 電話番号 06-6261-7005 FAX番号 06-6261-7066 大阪障害者職業センター南大阪支所 郵便番号 591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 電話番号 072-258-7137 FAX番号 072-258-7139 兵庫障害者職業センター 郵便番号 657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 電話番号 078-881-6776 FAX番号 078-881-6596 奈良障害者職業センター 郵便番号 630-8014 奈良市四条大路4-2-4 電話番号 0742-34-5335 FAX番号 0742-34-1899 和歌山障害者職業センター 郵便番号 640-8323 和歌山市太田130-3 電話番号 073-472-3233 FAX番号 073-474-3069 鳥取障害者職業センター 郵便番号 680-0842 鳥取市吉方189 電話番号 0857-22-0260 FAX番号 0857-26-1987 島根障害者職業センター 郵便番号 690-0877 松江市春日町532 電話番号 0852-21-0900 FAX番号 0852-21-1909 岡山障害者職業センター 郵便番号700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 電話番号 086-235-0830 FAX番号 086-235-0831 広島障害者職業センター 郵便番号 732-0052 広島市東区光町2-15-55 電話番号 082-263-7080 FAX番号 082-263-7319 山口障害者職業センター 郵便番号 747-0803 防府市岡村町3-1 電話番号 0835-21-0520 FAX番号 0835-21-0569 徳島障害者職業センター 郵便番号 770-0823 徳島市出来島本町1-5 電話番号 088-611-8111 FAX番号 088-611-8220 香川障害者職業センター 郵便番号 760-0055 高松市観光通2-5-20 電話番号 087-861-6868 FAX番号 087-861-6880 愛媛障害者職業センター 郵便番号 790-0808 松山市若草町7-2 電話番号 089-921-1213 FAX番号 089-921-1214 高知障害者職業センター 郵便番号 781-5102 高知市大津甲770-3 電話番号 088-866-2111 FAX番号 088-866-0676 福岡障害者職業センター 郵便番号 810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 電話番号 092-752-5801 FAX番号 092-752-5751 福岡障害者職業センター北九州支所 郵便番号 802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 電話番号 093-941-8521 FAX番号 093-941-8513 佐賀障害者職業センター 郵便番号 840-0851 佐賀市天祐1-8-5 電話番号 0952-24-8030 FAX番号 0952-24-8035 長崎障害者職業センター 郵便番号 852-8104 長崎市茂里町3-26 電話番号 095-844-3431 FAX番号 095-848-1886 熊本障害者職業センター 郵便番号 862-0971 熊本市大江6-1-38 4階 電話番号 096-371-8333 FAX番号 096-371-8806 大分障害者職業センター 郵便番号 874-0905 別府市上野口町3088-170 電話番号 0977-25-9035 FAX番号 0977-25-9042 宮崎障害者職業センター 郵便番号 880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 電話番号 0985-26-5226 FAX番号 0985-25-6425 鹿児島障害者職業センター 郵便番号 890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 電話番号 099-257-9240 FAX番号 099-257-9281 沖縄障害者職業センター 郵便番号 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 電話番号 098-861-1254 FAX番号 098-861-1116 45ページ 2 広域障害者職業センター  障害者職業カウンセラー、職業訓練指導員が配置され、医療リハビリテーションとの連携を図りながら、職業評価、職業指導、職業訓練などの職業リハビリテーションサービスを提供しています。 《表》 国立職業リハビリテーションセンター 郵便番号 359-0042 埼玉県所沢市並木4-2 電話番号 04-2995-1711 FAX番号 04-2995-1052 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 郵便番号 716-1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 電話番号 0866-56-9000 FAX番号 0866-56-7636 45〜46ページ 3 精神保健福祉センター 《表》 北海道立精神保健福祉センター 郵便番号 003-0027 札幌市白石区本通16丁目北6-34 電話番号 011-864-7121 札幌こころのセンター 郵便番号 060-0042 札幌市中央区大通西19丁目 WEST19 4階 電話番号 011-622-0556 青森県立精神保健福祉センター 郵便番号 038-0031 青森市三内字沢部353-92 電話番号 017-787-3951 岩手県精神保健福祉センター 郵便番号 020-0015 盛岡市本町通3-19-1県福祉総合相談センター内 電話番号 019-629-9617 宮城県精神保健福祉センター 郵便番号 989-6117 大崎市古川旭5-7-20 電話番号 0229-23-0021 仙台市精神保健福祉総合センターはあとぽーと仙台 郵便番号 980-0845 仙台市青葉区荒巻字三居沢1-6 電話番号 022-265-2191 秋田県精神保健福祉センター 郵便番号 010-0001 秋田市中通二丁目1-51 明徳館ビル1階 電話番号 018-831-3946 山形県精神保健福祉センター 郵便番号 990-0021 山形市小白川町2-3-30山形県小白川庁舎2階 電話番号 023-624-1217 福島県精神保健福祉センター 郵便番号 960-8012 福島市御山町8-30 電話番号 024-535-3556 茨城県精神保健福祉センター 郵便番号 310-0852 水戸市笠原町993-2 電話番号 029-243-2870 栃木県精神保健福祉センター 郵便番号 329-1104 宇都宮市下岡本町2145-13 電話番号 028-673-8785 群馬県こころの健康センター 郵便番号 379-2166 前橋市野中町368 電話番号 027-263-1166 埼玉県立精神保健福祉センター 郵便番号 362-0806 北足立郡伊奈町小室818-2 電話番号 048-723-1111 さいたま市こころの健康センター 郵便番号 338-0003 さいたま市中央区本町東4-4-3 電話番号 048-851-5665 千葉県精神保健福祉センター 郵便番号 260-0801 千葉市中央区仁戸名町666-2 電話番号 043-263-3891 千葉市こころの健康センター 郵便番号 261-0003 千葉市美浜区高浜2-1-16 電話番号 043-204-1582 東京都立精神保健福祉センター 郵便番号 110-0004 台東区下谷1-1-3 電話番号 03-3842-0948 東京都立中部総合精神保健福祉センター 郵便番号 156-0057 世田谷区上北沢2-1-7 電話番号 03-3302-7575 東京都立多摩総合精神保健福祉センター 郵便番号206-0036 多摩市中沢2-1-3 電話番号 042-376-1111 神奈川県精神保健福祉センター 郵便番号 233-0006 横浜市港南区芹が谷2-5-2 電話番号 045-821-8822 横浜市こころの健康相談センター 郵便番号 222-0035 横浜市港北区鳥山町1735 電話番号 045-476-5505 川崎市精神保健福祉センター 郵便番号 210-0004 川崎市川崎区宮本町2-32 JAセレナみなみビル4階 電話番号 044-200-3195 相模原市精神保健福祉センター 郵便番号 252-5277 相模原市中央区富士見6-1-1ウエルネスさがみはら7階 電話番号 042-769-9819 新潟県精神保健福祉センター 郵便番号 950-0994 新潟市中央区上所2-2-3新潟ユニゾンプラザハート館 電話番号 025-280-0111 新潟市こころの健康センター 郵便番号 951-8133 新潟市中央区川岸町1-57-1 電話番号 025-232-5560 富山県心の健康センター 郵便番号 939-8222 富山市蜷川459-1 電話番号 076-428-1511 石川県こころの健康センター 郵便番号 920-8201 金沢市鞍月東2-6 電話番号 076-238-5761 福井県精神保健福祉センター 郵便番号 910-0005 福井市大手3-7-1繊協ビル2階 電話番号 0776-26-7100 山梨県立精神保健福祉センター 郵便番号 400-0005 甲府市北新1-2-12山梨県福祉プラザ3階 電話番号 055-254-8644 長野県精神保健福祉センター 郵便番号 380-0928 長野市若里7-1-7 社会福祉総合センター2階 電話番号 026-227-1810 岐阜県精神保健福祉センター 郵便番号 500-8385 岐阜市下奈良2-2-1岐阜県福祉農業会館3階 電話番号 058-273-1111 静岡県精神保健福祉センター 郵便番号 422-8031 静岡市駿河区有明町2-20 電話番号 054-286-9245 静岡市こころの健康センター 郵便番号 422-8006 静岡市駿河区曲金3-1-30 電話番号 054-285-0434 浜松市精神保健福祉センター 郵便番号 430-0929 浜松市中区中央1丁目12-1県浜松総合庁舎4階 電話番号 053-457-2709 愛知県精神保健福祉センター 郵便番号 460-0001 名古屋市中区三の丸3-2-1 東大手庁舎8階 電話番号 052-962-5377 名古屋市精神保健福祉センターここらぼ 郵便番号 453-0024 名古屋市中村区名楽町4-7-18 中村保健所等複合施設5階 電話番号 052-483-2095 三重県こころの健康センター 郵便番号 514-8567 津市桜橋3-446-34三重県津庁舎保健所棟2階 電話番号 059-223-5241 滋賀県立精神保健福祉センター 郵便番号 525-0072 草津市笠山8-4-25 電話番号 077-567-5010 京都府精神保健福祉総合センター 郵便番号 612-8416 京都市伏見区竹田流池町120 電話番号 075-641-1810 京都市こころの健康増進センター 郵便番号 604-8845 京都市中京区壬生東高田町1-15 電話番号 075-314-0355 大阪府こころの健康総合センター 郵便番号 558-0056 大阪市住吉区万代東3-1-46 電話番号 06-6691-2811 大阪市こころの健康センター 郵便番号 534-0027 大阪市都島区中野町5-15-21都島センタービル3階 電話番号 06-6922-8520 兵庫県立精神保健福祉センター 郵便番号 651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-3-2 電話番号 078-252-4980 神戸市こころの健康センター 郵便番号 652-0897 神戸市兵庫区駅南通5-1-2-300健康ライフプラザ3階 電話番号 078-672-6500 堺市こころの健康センター 郵便番号 591-8021 堺市北区新金岡町5-1-4北区役所内 電話番号 072-258-6646 奈良県精神保健福祉センター 郵便番号 633-0062 桜井市粟殿1000奈良県桜井総合庁舎内 電話番号 0744-43-3131 和歌山県精神保健福祉センター 郵便番号 640-8319 和歌山市手平2-1-2県民交流プラザ和歌山 ビッグ愛2階 電話番号 073-435-5194 鳥取県立精神保健福祉センター 郵便番号 680-0901 鳥取市江津318-1 電話番号 0857-21-3031 島根県立心と体の相談センター 郵便番号 690-0011 松江市東津田町1741-3いきいきプラザ島根2階 電話番号 0852-32-5905 岡山県精神保健福祉センター 郵便番号 703-8278 岡山市北区古京町1-1-10-101岡山県衛生会館1階 電話番号 086-272-8839 岡山市こころの健康センター 郵便番号 700-8546 岡山市北区鹿田町1-1-1保健福祉会館内4階 電話番号 086-803-1273 広島県立総合精神保健福祉センターパレアモア広島 郵便番号 731-4311 安芸郡坂町北新地2-3-77 電話番号 082-884-1051 広島市精神保健福祉センター 郵便番号 730-0043 広島市中区富士見町11-27 電話番号 082-245-7731 山口県精神保健福祉センター 郵便番号 747-0801 防府市駅南町13-40山口県防府総合庁舎2階 電話番号 0835-27-3480 徳島県精神保健福祉センター 郵便番号 770-0855 徳島市新蔵町3-80 電話番号 088-625-0610 香川県精神保健福祉センター 郵便番号 760-0068 高松市松島町1-17-28香川県高松合同庁舎4階 電話番号 087-804-5565 愛媛県心と体の健康センター 郵便番号 790-0811 松山市本町7-2愛媛県総合保健福祉センター3階 電話番号 089-911-3880 高知県立精神保健福祉センター 郵便番号 780-0850 高知市丸の内2-4-1 保健衛生総合庁舎2階 電話番号 088-821-4966 福岡県精神保健福祉センター 郵便番号 816-0804 春日市原町3-1-7 電話番号 092-582-7500 福岡市精神保健福祉センター 郵便番号 810-0073 福岡市中央区舞鶴2-5-1 あいれふ6階 電話番号 092-737-8825 北九州市立精神保健福祉センター 郵便番号 802-8560 北九州市小倉北区馬借1-7-1 アシスト21 5階 電話番号 093-522-8729 佐賀県精神保健福祉センター 郵便番号 845-000 1小城市小城町178-9 電話番号 0952-73-5060 長崎県長崎こども・女性・障害者支援センター 郵便番号 852-8114 長崎市橋口町10-22 電話番号 095-844-5132 熊本県精神保健福祉センター 郵便番号 862-0920 熊本市月出3-1-120 電話番号 096-386-1255 大分県こころとからだの相談支援センター 郵便番号870-1155大分市大字玉沢字平石908 電話番号 097-541-5276 宮崎県精神保健福祉センター 郵便番号 880-0032 宮崎市霧島1-1-2 宮崎県総合保健センター4階 電話番号 0985-27-5663 鹿児島県精神保健福祉センター 郵便番号 890-0065 鹿児島市郡元3-3-5 電話番号 099-255-0617 沖縄県立総合精神保健福祉センター 郵便番号901-1104 島尻郡南風原町宮平212-3 電話番号 098-888-1443 4 特定非営利活動法人全国精神障害者就労支援事業所連合会 郵便番号 169-0075 東京都新宿区高田馬場 4-23-13 株式会社ストローク気付 電話番号 03-3368-9290 FAX 03-3362-9377 47ページ 「精神障害者の雇用管理に関する研究調査」委員名簿 *所属は平成13年3月現在のもの。 委員長  岡上 和雄(相模病院院長) 委員  相澤 欽一(茨城障害者職業センター) 上野 容子(地域生活支援センター「こかげ」) 大山 勉(川崎市健康福祉局リハビリテーション医療センター) 金子 鮎子(潟Xトローク) 田崎万里子(ハローワーク飯田橋) 舘 暁夫(職業能力開発総合大学校福祉工学科) 藤田 邦威(通所授産施設ZIP) 村上 清(全国精神障害者家族会連合会) 金 文華(全国精神障害者家族会連合会) 48ページ 精神障害者雇用管理マニュアル  平成7年3月 初版発行  平成23年3月 第4版発行 編集・発行●独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 雇用開発推進部  郵便番号105-0022 東京都港区海岸一丁目11番1号 ニューピア竹芝ノースタワ一  電話 03(5400)1625 FAX 03(5400)1608  URL:http://www.jeed.or.jp/