P43 3  職場定着  事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 職場:菓子製造会社 従事作業:商品用箱折り、箱詰め、ばんじゅう洗浄 木村 由美さん シーン1 障害者就業・生活支援センターとの連携 菓子製造会社 木村 由美さんは障害者就業・生活支援センターを利用して菓子製造会社に就職 明るく挨拶する姿と作業の飲み込みも順調 評判も上々です ここはこうやるのよ はい ありがとうございます 就職して1年半経過後 おはようございます 木村さん遅刻をしてはいけませんよ …… ふわ‥ あっ 最近、作業が雑ですよ どうかしたんですか … P44 実務偏 3 職場定着事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 最近、遅刻も多いし心配だから障害者就業・生活支援センターに相談してみよう 長田要一です 障害者職業生活相談員をしています 障害者就業・生活支援センター指導員の白岩真理です 遅刻が増えだしたのはいつ頃なんですか? これまで遅刻することはなかったのですが3か月ぐらい前から月に1〜2回遅刻がみられました… その都度注意していましたが これまで真面目に通勤していたのでたまたま遅刻をしてしまったぐらいに考えていたんです ところが今月に入ると週に1〜2回遅刻するようになって… 何か遅刻の理由は言っていますか? 何かあったの? どうしたの?と聞いているのですが すみません気をつけます の一点張りでよくわからないのです もしかしたら私にも話しづらい理由なのかもしれないのでそれとなく白岩さんから話を引き出してもらえませんか? わかりました 今日はどんなお仕事しているの? 箱折り作業をしています これが終わったらばんじゅう洗浄をします P45 実務偏 3 職場定着事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 さっき箱折利のお仕事見たけど とても上手にできてたね お仕事は慣れたみたいだけど 体調はどう? 大丈夫です あら、そう 最近、何回か遅刻してるみたいだけど… 体調が悪いのかなと思って心配してるんだよ …すみません気をつけます 何か困ったことでもあったの? 困ったことはありません たまたま、寝坊してしまっただけです もうしません 木村さんが遅刻してしまうと木村さんの仕事を他の人がやることになって負担がかかっちゃうから気をつけて どうでしたが はっきりとした理由は言いませんでした ただ、『たまたま寝坊した』と言っていたので  家庭での様子を確認してみたいと思います よろしくお願いします 解説 障害者職業生活相談員とは 1.趣旨  職業を通じて障害者の福祉の向上を図るためには、その雇用の促進を図ることが必要であるだけでなく、雇用関係に入った後における障害者の職業生活の充実を図ることも必要です。  このような観点から、事業主は厚生労働省令で定める数(5人)以上の障害者を雇用する事業所において、障害者職業生活相談員を選任し、その者に障害者の職業生活全般においての相談、指導を行わせなければならないとされ、これにより、障害者の職場適応の向上を図り、その有する能力を最大限に発揮させるよう障害者の特性に十分配慮した雇用管理を期することとされています。 2.相談員の役割  障害者職業生活相談員の役割は、おおむね次のような事項について障害者から相談を受け、またはこれを指導することにあります。 �@ 障害者の適職の選定、能力の開発向上等障害者が従事する職務の内容に関すること。 �A 障害者の障害に応じた施設設備の改善等作業環境の整備に関すること。 �B 労働条件や職場の人間関係等障害者の職場生活に関すること。 �C 障害者の余暇活動に関すること。 �D その他障害者の職場適応の向上に関すること。 P46 実務偏 3 職場定着事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 シーン2 家族との連携 障害者就業・生活支援センター 木村さんのご両親は共働きだったわね ご両親のほうが出勤が早いから木村だんが遅刻をしていることを知らないかも… 障害者就業生活支援センターの白岩と申します いつもお世話になります 今日、職場訪問して由美さんの様子を拝見しました 箱折り作業もだいぶ上手にできていましたよ ありがとうございます ところで由美さんの体調はいかがですか? えっ 特に風邪もひいていませんし変わりないと思いますが、何か… 実は、今日職場に伺ったとき職場の長田さんから最近、遅刻が多くなったというお話を聞きました そうなんですか! P47 実務偏 3 職場定着事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 長田さんのお話ではこれまで遅刻はなかったのに3か月ぐらい前から遅刻がみられ 最近では週に1〜2回遅刻することもあるようです 何か悩んでいることでもあるのでしょうか… これまで普通に出勤していると思ったものですから… 『たまたま寝坊した』とおっしゃっていたんですが睡眠時間はとれていますかね? 早い時間に自分の部屋に行っているので休んでいるものと思っていました 夜の様子を見てみます よろしくお願いします おはよ〜 あ〜 眠い、眠い 昨晩はずいぶん遅くまで起きていたのね… 部屋の明かりがついていたわ メールを真夜中までしちゃったの P48 実務偏 3 職場定着事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 それで寝坊はダメでしょ だって友達と遊ぶ時間がないから… さびしいんだもん そうなの… とにかく遅刻しないよう行った、行った もしもし白岩さんですか… そうなんですか… 確かに仕事をしていて友達と休日が合わないと遊ぶこともできないですしね わかりました 由美さんが寂しくないよう余暇活動の場を探してみます 休日に友人と触れ合う機会が持てれば真夜中までメールをしなくてもすむようになるかもしれません お母様には真夜中まで起きてないか朝出勤ができるよう目を配っていただけませんか? わかりました P49 実務偏 3 職場定着事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 解説 家族との連絡方法  知的障害者の採用と職場定着を進めるためには、家族と支援機関との連携が重要です。状況に合わせて適切な連絡方法を選択します。  家族との電話や手紙のやりとりのほか、「作業日誌」や「連絡帳」を活用する方法があります。「作業日誌」では、当日の作業内容、健康状態、職場からの連絡事項、家庭での様子など適宜必要な項目を設け、記入しています。  「作業日誌」の活用を通じて、普段、気になっていることを事業所と本人、家族が相互に伝え合うことができるとともに、職場定着に向けた課題を共通認識し、役割分担をしながら支援することにつながります。 ■ 作業日誌の例  また、家族との面談、定期的な職場見学会を設定することで家族とのコミュニケーションを密にしている事業所もあります。  なお、家族との連携について、事業主が本人の家族と個別に連絡をとることが難しい場合は、支援機関に連絡調整のサポートを依頼する方法もあります。 職場定着に向けた役割分担 P50 実務偏 3 職場定着事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 シーン3 余暇活動への参加 今度の日曜日はバーベキュー大会があります 障害者就業・生活支援センターでは月に1回余暇活動をしているんですよ 友達もできそうです 由美にも参加させますわ 由美〜どう ぜひ参加します! 誘ってくれたんだ あら同じ学校の由美さんね楽しんでる? 先輩、こんにちは会えてうれしいです メールアドレスの交換しましょ はい 友達と仲良くなって携帯電話で話をしたりメールすることはいいことよ ! P51 実務偏 3 職場定着事例 遅刻が増えて、家族と協力して解決 でも真夜中にはしないようにね次の日の仕事にも影響するから メールしていて遅刻するのは社会人として許されないわよ 携帯電話が買えたのは由美さんが遅刻しないで働いたお給料のおかげなのよ う〜ん 平日のメールは22時ぐらいまでにしておくこと その分、休日にここで知り合った友達と思いっきり遊んだら はい 数日後 由美さんはその後いかがですか バーベキューに行ってからは真夜中までメールをして起きているということがなくなりました 遅刻もしなくなりましたよ 木村さん、その後遅刻は無くなったみたいですね 現場の従業員がアフターファイブや休日に由美さんをカラオケやボーリングに誘ってくれるようになり 本人も仕事と余暇のメリハリがついたようです 余暇活動への参加ポイント ●知的障害者は一般的に新しい環境に慣れるのに時間がかかるといわれているため職場の人とうまくコミュニケーションを図れないときもある。 ●余暇活動への参加は本人の意向を踏まえ、声をかける。その際、家族にも了解を取り、連絡先を伝えておくことが大切。 ●帰宅するルートが変わることで本人が帰れなくなる心配がある場合は、車で送る、家族に迎えにきてもらうなどの配慮が必要。