---------------------------------------------------------------------------- 障害者雇用マニュアル コミック版6 高次脳機能障害者と働く 確かな理解と適切な配慮で、ともに働く職場環境づくり ---------------------------------------------------------------------------- ● リハビリ出勤を経てスムーズに職場復帰 ● 職場実習から雇入れ、安定した継続就労に至るまでの取組 ● 失語症や疲労への対応 ● 障害の認識やコミュニケーション上の課題への対応 ● 支援機関やジョブコーチ支援を活用して課題を改善 ---------------------------------------------------------------------------- はじめに ----------------------------------------------------------------------------  本マニュアルは、高次脳機能障害者の雇用促進、職場復帰及び安定した継続雇用を実現することを目的として、高次脳機能障害者の雇用管理等のノウハウをわかりやすいコミック版の形式で解説したものです。  高次脳機能障害は「見えない障害」と言われるように、一見して障害とわかりづらい特性を示す一方で、記憶障害、注意障害、遂行機能障害など症状が多岐にわたり、さらに個人によってその症状が様々であることから、企業ではその障害特性や雇用管理の手法を理解したいとのニーズが高まっています。また、高次脳機能障害は、従来から精神障害者保健福祉手帳制度における器質性精神障害として手帳の交付対象であり、手帳所持者については障害者雇用率の算定対象となります。障害者法定雇用率の引き上げなどの動きの中で、今後とも、高次脳機能障害者の雇用の拡大が期待されます。  本マニュアルにおいては、医学的リハビリテーションから職業訓練などを経て採用または職場復帰、職場定着にいたるまでの流れを取り上げるとともに、実際の職場における作業面やコミュニケーション面などの課題を取り上げ、メモリーノートをはじめとした支援ツールや各種支援機関を活用した効果的なサポートのあり方について解説しています。  本マニュアルが、できるだけ多くの企業などで活用され、高次脳機能障害者の雇用促進、職場復帰、雇用継続につながるよう役立てていただければ幸いです。   令和2年2月  独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 ---------------------------------------------------------------------------- CONTENTS ---------------------------------------------------------------------------- 高次脳機能障害者と働く ―確かな理解と適切な配慮で、ともに働く職場環境づくり― はじめに   1 目次     2 主な登場人物 4 基礎編  シーン1 高次脳機能障害とは              6  シーン2 就労上の影響と雇用管理上の配慮        12  シーン3 就職や職場復帰までの流れと、支援機関との連携 18 実践編 事例1 リハビリ出勤により職場復帰を果たした事例  シーン1 職業訓練の実施 22  シーン2 職場復帰に向けた事業所の取組  27  解  説 職場復帰までの流れとポイント  33 事例2 ジョブコーチ支援を活用して倉庫内作業で就職した事例  シーン1 職場実習開始までのプロセス    34  シーン2 職務における障害特性への対応   40  シーン3 安定した雇用継続を図るための対応 46  解  説 メモリーノート          48 事例3 失語症と右半身まひの障害がありながら、職種転換を図って職場復帰した事例  シーン1 失語症への対応  50  シーン2 疲労への対応   55  解  説 体調管理への配慮 57 事例4 障害の認識やコミュニケーション面に課題があったが、 周囲の関わり方により改善された事例  シーン1 障害に対する自己認識             58  解  説 高次脳機能障害における障害の自己認識について 61  シーン2 感情のコントロール              62 事例5 身体障害者として就職したがうまく仕事ができず、 後に高次脳機能障害があると判明し、 支援機関のサポートを受けながら課題が改善された事例  シーン1 高次脳機能障害の把握 66  シーン2 具体的な取組     70 資料 (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構  地域障害者職業センター、広域障害者職業センター一覧 74  高齢・障害者業務課一覧               75  高次脳機能障害支援拠点機関一覧           76  職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業の紹介 78  障害者雇用に役立つ資料               79  委員会委員一覧、引用・参考文献一覧         80 ---------------------------------------------------------------------------- 主な登場人物 ---------------------------------------------------------------------------- 小谷 真一さん(42歳) 疾患名  脳血管障害(主な障害は記憶障害、注意障害) 精神障害者保健福祉手帳3級 株式会社大林商事(社員数800人)の経理部で、経理全般の業務の調整役を担っていた。 発症後はリハビリ、職業訓練に取り組み、リハビリ出勤を経て職場復帰することとなった。 安森 江里さん(24歳) 疾患名 外傷性脳損傷(主な障害は記憶障害、注意障害、遂行機能障害) 精神障害者保健福祉手帳2級 受障後に大学を中退し進路を決めかねていたが、主治医や就労支援機関からのアドバイスや支援により、ジョブコーチ支援を活用した職場実習を経て、鶴田運輸株式会社(社員数200人)において倉庫内でのピッキング作業員として働きだした。 中越 健司さん(44歳) 疾患名 脳血管障害(主な障害は失語症、右上下肢のまひ) 身体障害者手帳3級 株式会社アラカワレンタル(社員数500人)で、レンタルDVDのフランチャイズ店舗のスーパーバイザーとして働いていたが脳血管障害を発症する。障害状況と職務の適性を見極め、本社での事務補助業務を担当することとして職場復帰した。 与野 琢郎さん(21歳) 疾患名 頭部外傷(主な障害は記憶障害、注意障害、社会的行動障害) 精神障害者保健福祉手帳2級 受障後は地域の障害者支援施設に通いながら一般就労を目指していたところ、機械部品の金属加工をしている鈴木金属株式会社(社員数100人)において職場実習を経て採用された。 事業所と障害者支援施設が連携して、職務上の課題改善に向けて取り組んでいる。 中田 渉さん(35歳) 疾患名 脳血管障害(主な障害は左上下肢軽度のまひ) 身体障害者手帳6級 化粧品の製造、販売を行う株式会社ハッセー化粧品(社員数1,000人)で事務職として就職。職務上の課題があるため医療機関を受診したところ高次脳機能障害と診断され、その後ジョブコーチ支援を活用することとなった。 ---------------------------------------------------------------------------- 基 礎 編 ---------------------------------------------------------------------------- ● 高次脳機能障害とは ● 就労上の影響と雇用管理上の配慮 ● 就職や職場復帰までの流れと、支援機関との連携 ---------------------------------------------------------------------------- 基 礎 編 ---------------------------------------------------------------------------- シーン1 高次脳機能障害とは はい人事課清河です お久しぶりです 経理部の小谷です 小谷さん! 調子はどうですか 経理部の小谷真一さん 半年前に脳血管障害を発症し、 現在もリハビリ通院を行っています おかげさまで順調に回復しています それはよかった! まだリハビリ中ですが そろそろ職場復帰のことについて、 一度相談させていただきたいと思っています 事故による後遺症などはどうですか? 身体にまひはないのですが 「高次脳機能障害」があると診断されていますので 近々病院の方と一緒に お伺いして説明できればと… 高次脳機能障害か… 以前テレビ番組で特集が組まれていたな たしか交通事故や脳卒中で 脳に損傷を負ったときの後遺症だと思ったけど まずはどんな障害なのか調べてみよう どこかで高次脳機能障害に関するセミナーとか 行ってないかな… その後清河さんは 以前障害者を雇用した際に支援を受けた就労支援機関から 高次脳機能障害者支援センターで セミナーが開催されるという情報を得ました すごい人だな これだけたくさんの会社が、 うちの会社のような問題に 直面しているということか… 本日はお集まりいただきまして ありがとうございます 高次脳機能障害という言葉は 近年メディアでもしばしば取り上げられているので 聞かれたことがあるかもしれません 高次脳機能障害者の数は 各調査によりさまざまではありますが 全国で約27万人いると言われており、 そのうち18歳以上65歳未満は 少なくとも約7万人※と 推定されています 高次脳機能障害は よく「見えにくいわかりにくい障害」 と言われていますが 具体的にどのような障害なのか、 原因、特徴などを説明いたします ※『高次脳機能障害ハンドブック』(中島八十一、寺島彰編 医学書院 2006)より引用 高次脳機能障害の原因 脳血管障害 脳の血管が詰まってしまう「脳梗塞」、脳の血管が破裂して起こる「脳出血」、 動脈瘤などが破れて脳の表面を中心に出血を生じる「くも膜下出血」に分けられる。 外傷性脳損傷 交通事故や転倒、転落などにより脳が直接損傷を受けたり、 脳を包んでいる硬膜の外に血が溜まって脳が圧迫されて損傷を受ける。 そのほか、心肺停止状態が長かったときなどに脳の神経が障害を受ける低酸素脳症や、脳腫瘍などが原因となることもある。 高次脳機能障害は 脳の血管に関連した病気や 交通事故などによって、 脳に損傷を受けたことにより起こります なるほど 小谷さんの場合は「脳血管障害」だな… 高次脳機能障害に 医学的に統一した定義はなく、 専門家によっても 高次脳機能障害を示す範囲は異なっています 現在、行政的な定義としては 「記憶障害注意障害遂行機能障害社会的行動障害などの認知障害」 となっています ■ 高次脳機能障害診断基準■ T.主要症状等  1. 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。  2. 現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。 U.検査所見  MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。 V.除外項目  1. 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(T-2)を欠く者は除外する。  2. 診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。  3. 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。 W.診断  1. T?Vをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。  2. 高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。  3. 神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。 出典:「高次脳機能障害者支援の手引き」(2008年11月)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部、国立障害者リハビリテーションセンター ※なお、本マニュアルでは、脳損傷に起因する言語の障害である失語症についても触れています。 それぞれの障害の具体的な症状について ご紹介したものがこちらです これらの障害に典型的な症状の一つである 「失語症」も加えて説明します それぞれの障害の症状 記憶障害 見たことや聞いたことをすぐに忘れてしまう、 忘れたことの自覚がない、昨日までできていたことが 今日忘れている・できなくなる、 過去の記憶の順番に混乱が生じやすい 注意障害 1つのことに集中できない、 同時に物事をこなせない、 他のことに行動を切り替えられない 遂行機能障害 計画が立てられない、 課題や作業を正しい方法で続けられない、 実行できても仕上がりに無頓着 社会的行動障害 子どもっぽくなったり周囲に依存的になるほか、 怒りっぽくなる・突然泣き出すなど感情のコントロールに問題をきたす、 このほか、周囲への反応が乏しく意欲に欠ける場合もある 失語症 話そうとしても言葉が出てこない、 相手の言っている言葉の意味が分からない、 文章が読めない、文字が書けないなど、 「話す」「聞く」「読む」「書く」という 言葉によるコミュニケーションの障害 これらの症状はいずれも認知機能に関わっています 認知機能とは脳の中で理解し考え、 決定してどのように行動に移すのかというもので 誰にもその過程は見えません それが高次脳機能障害が 「見えにくいわかりにくい障害」といわれるゆえんであり 周囲からは理解されにくく気づきにくい障害といえるのです 高次脳機能障害 ↓ 「見えにくい わかりにくい障害」 なお、これらの症状は単一的に現れるのではなく 複合的に組み合わされて現れますし、 脳の損傷部位などにより 人それぞれ症状の現れ方が異なります さらに受障している本人が その症状を自覚しにくいことも特徴です 高次脳機能障害があると診断された場合 器質性精神障害として 精神障害者保健福祉手帳の交付対象※になります なお、脳の損傷によりまひや失語症があるなど身体に障害のある方は 身体障害者手帳の交付対象※にもなります ■ 障害者手帳 ■ 高次脳機能障害と診断 ↓ 器質性精神障害として 『精神障害者保健福祉手帳』の交付対象 交付されるには、お住まいの市町村等の担当窓口で申請が必要 ※ 精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳いずれにおいても、 個人の障害の状態等によって判断されるため、申請すれば必ず交付されるものではないことにご留意ください。 ■ 改善の見込みについて■ 「リハビリを続ければいつかは発症・受傷前の状態に戻るのですか」 という質問を受けます 高次脳機能障害はその名のとおり「障害」ですので、 リハビリを継続することで 症状が大幅に改善することは難しいといえます ただし、周囲の適切なサポートや 失われた機能を補う代償手段を獲得することによって できなかったことや できづらかったことが できるようになることはあります シーン2 就労上の影響と雇用管理上の配慮 次に 高次脳機能障害者が就労する際 その症状による影響が どのように現れるかについてご説明します 高次脳機能障害者の就労上における一般的な特性 ※高次脳機能障害の特性は個別性が高いため、全ての高次脳機能障害者が以下に示す特性の全てに当てはまるものではありません。 ● 新しい作業の工程や留意すべき点が覚えられなかったり、 短時間で忘れてしまうことがある 作業内容によって、習得するのに時間がかかる場合がある これ…どうするんだっけ? あれをこうしてこれを… ● 口答のみでの指示が理解しにくい ● てきぱきと作業を処理することが苦手である (自発的な行動が苦手、周囲のことに気が散ってしまうなどによる) ● 接客や電話応対などでの臨機応変な対応が苦手である … どれから手をつける? ● 同時に複数の作業をこなすことが苦手である ● 集中力が続かない、作業にムラが出やすい ● 周囲の状況に気づけなかったり逆に余計なことに気が向いてしまうなど、 注意の向け方にアンバランスさがある 左上留めで100枚コピー 待ってるんですけど ● 疲れやすい(本人は気づいていないことがある) ● 気持ちの面で意欲が湧かない、気分が沈みがち、イライラしてしまいがちなことがある ● 職場での適切なコミュニケーションが図りにくい ● 会話などで適切な応答が苦手である ● 場の空気を読むことが苦手である ● 発症・受傷前の能力を現状でも維持していると捉えがちで 現在の自身の状況を客観的に把握することが苦手である 飲み会楽しみだね そ…そうだね… いそがしいのに… ただし、高次脳機能障害は個別性が高くこれらの特性は 一般的な特性を列挙したものですので、 全ての高次脳機能障害者に当てはまるものではないことに 注意してください 小谷さんはどんな症状があるのだろう 元の職場に復帰することができるのだろうか… 職場ではどのような雇用管理上の配慮が 求められるのでしょうか 代表的なものをまとめてみました ■高次脳機能障害者の雇用管理上の配慮■ 全 般 ● スケジュール帳やメモリーノートの活用 ※ メモリーノートに関する詳細は、P48の解説ページを参照ください。  ◆ 対象者が、1日のスケジュールや覚えておくべき事項を視覚的に把握することで、いつ何をすべきかが理解されやすくなります  ◆ 担当者がこれらを対象者と常に共有することで、対象者が記載した事項に誤りがないか、確実に遂行されているかを確認することが、よりよい活用の仕方につながります 作業の進め方 ● 作業の定型化 ● 作業マニュアルの作成 ● チェック表による作業の確認 作業に対する指示の仕方 ● 作業は一つずつ行うようにする  ◆ 複数の作業を同時並行で行うことを苦手と感じる対象者が多いです ● 口答での指示は、端的かつ明確にする   ◆ 対象者が指示内容を理解しやすくなりメモを取りやすくなります ● 指導担当者を決める(複数でも可)  ◆ 指導、指示内容に一貫性があることが重要です ● 作業や仕事ぶりに対するフィードバックをきめ細かく実施する  ◆ ここでいうフィードバックとは、評価結果だけではなく、 実際の行動や事実のほか、課題点やほめられるべき内容等について、 改めてじっくりと話し合ったり、動機づけたりしながら、 今後の成長につながるアドバイスを与えることをいいます コンテナに入れる…にチェックして 次は… 働きやすい環境づくり ● 就業時間の設定を、対象者の様子を見ながら段階的に延長 ● こまめな休憩の確保 ● 職場の上司等による日常的な声かけ   ◆ 作業中に突然声をかけるのはできるだけ避け、作業のきりがいいときや休憩の時間などを活用することが望まれます ● 定期的な面談や相談の実施   ◆ 不安などを受け止めるほか、 できていることをきちんと認めることで自信や安心感を与えたり、会社の中で役割をきちんとこなしていることをフィードバックしながら本人の職場への帰属意識を醸成することが望まれます ● 指導担当者や相談役などの役割を分担する  実務指導者 相談役   ◆ 社内での役割を分担することで、 一人(一部署)にかかる負担を軽減するとともに、対象者としても誰に何を相談するのがよいかを明確にすることで 安心感を与えることができます 先ほどもお話ししたとおり 一般的な対応が全ての高次脳機能障害者に 当てはまるわけではありません 対象者の状況を見極めながら より良い配慮の方法を検討する必要があります また、できないことよりもできることに目を向けて 能力の活用を図ることがポイントとなります 職務内容を決定する際の判断要因 1) 障害の状況 2) 職務経験・スキル 3) 本人の希望 4) 会社が提供できる職務 高次脳機能障害者を雇用する、または 職場復帰させるに当たり 会社が悩まれるポイントの一つに 「職務内容の設定」が挙げられます 一般的には「手順に沿って一連の流れで遂行できる作業(定型作業)」 「判断を伴わないまたは判断基準が明確な作業」 が向いていると言えます しかし、雇用管理上の配慮と同様に 高次脳機能障害は個別性が高いため 「向いている仕事はこれです」と一概には言えません 本人の障害状況に加えて、職務経験やスキル、 希望する職務を把握して 会社側が提供できる職務との関連性の中で 決めていくことが望まれます 提供できる職務とは… 職務内容を決めるには いろいろなことを考慮する必要があるんだな 小谷さんともよく話し合わなければ…… ここでは 高次脳機能障害者が実際に従事している職務について、 参考までにご紹介します ■高次脳機能障害者が従事する職務内容の例■ 事務的な作業 ● PCによる定型的なデータ入力 (顧客情報、アンケート、出退勤データ、伝票等の入力) ● 紙媒体の電子データ化(スキャニング)とデータ整理 ● 会議資料のコピー ● 消耗品や備品等の管理・補充 ● コピー機の用紙補充 ● 郵便物の仕分け・配付・発送 ● ダイレクトメールの封入・封緘 ● スタンプ押し ● 給茶器や給湯室の管理 ● リサイクルペーパーの仕分け、メモ用紙の作成 製造関係 ● 手順が定型化した組立作業 ● 梱包容器の組立・解体 ● ラベル貼り ● 袋詰め、判断が明確な分別作業 労務系の作業 ● 会議室や休憩所、駐車場等の清掃 ● 生花の水やり ● リサイクルペーパー等の回収・分別 ● カートやかごの洗浄 ● 洗車 その他 ● スーパーマーケットでの品出し作業、バックヤード作業 (野菜や惣菜などのカット・計量・袋詰め・結束・値札シール貼り、段ボール整理など) ● 衣料店などでの商品出し、バックヤード作業 (POPのカット、ハンガーかけ、サイズチップ整理、袋出しなど) ● 倉庫内作業 (ピッキング作業など) ● 介護補助業務 ● 調理補助業務 ● 印刷補助業務 など シーン3 就職や職場復帰までの流れと、支援機関との連携 就職・職場復帰までの流れ 手術などの治療を終えた後 高次脳機能障害者はどのような流れをたどって 就職や職場復帰をするのかをご説明します これから小谷さんを どのように職場復帰させればいいんだろう…? 1 医学的リハビリテーション 〈主にリハビリテーション病院などで実施〉 ・ 薬物治療や外科的治療の実施 ・ 記憶や注意力など認知面の機能の状態を把握し、回復を図る ・ 認知面で障害が残る場合の代償手段の獲得を目指す 2 社会リハビリテーション 〈主に障害者支援施設で実施〉 ・ 日常生活や社会生活を送る上で必要な能力 (調理・洗濯・掃除・公共交通機関の利用・金銭管理などの生活に必要な活動)を高める ・ 作業等を通して生活リズムの確立や体力の向上を図る ・ 他者とのコミュニケーションを通じて対人技能の向上を図る 8時までに図書館へ行くには… JR? 地下鉄? 時刻表と料金は… 3 職業リハビリテーション 〈主に就労支援機関で実施〉 ・ 職業訓練、模擬的な作業場面や職場実習を通して 職場における課題や配慮事項などの把握代償手段の獲得を目指す ・ 適切な職務の選択や職場環境の調整により 就職や職場復帰を目指す ・ 就職や職場復帰後のフォローアップを実施する この流れは一般的な例であり、個人の症状や支援の方針、 社会資源の状況などによって 利用する機関や施設は異なります。 また、病院や施設、支援機関によっては この三つのリハビリテーションのうち、 複数を織り交ぜながら実施している場合もあります リハビリテーションに関わる機関は 高次脳機能障害に関する知識や高次脳機能障害者のことを 詳しく把握しています 高次脳機能障害者の雇用を検討する場合や 職場復帰を進める際には企業だけで悩まず これらの機関に今後の進め方について 積極的に相談しともに進めていくことが望まれます もし、どこに相談すればよいかわからない場合は 高次脳機能障害支援拠点機関または 地域障害者職業センターへ相談することを お勧めします 用語解説 ○ 地域障害者職業センター  独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営し、各都道府県に設置されています。  障害者職業カウンセラーが配置され、ハローワーク等の関係機関と密接な連携の下、障害者に対して職業評価、職業指導、職業準備支援、ジョブコーチによる支援事業等の専門的な職業リハビリテーションを、また事業主に対して雇用管理に関する助言等を行っています。 ○ 高次脳機能障害支援拠点機関  障害者総合支援法に基づき専門性の高い相談窓口(支援拠点)として、各都道府県のリハビリテーションセンター、大学病院、県立病院等に1箇所?複数箇所設置されています。  支援コーディネーターが配置されており、高次脳機能障害者やその家族、関係機関等からの相談を受け付け、生活や就労などに関して地域の福祉・医療機関等と連携しながら支援したり、高次脳機能障害への理解促進のための普及啓発や、相談支援の実務に役立つ研修等を実施しています。  この他、支援拠点機関の中には、医療や福祉と一体的なサービスを行うこととしている機関もあります。 ※高次脳機能障害支援拠点機関及び地域障害者職業センターの一覧については資料P74?77を参照ください これまでいろいろと説明してきましたが いかがでしたか 近年、医療の進歩により 身体の機能が一定程度回復する一方で 高次脳機能障害者は増加しています そして、事故に遭ったり脳血管障害を発症して 高次脳機能障害者になる可能性は誰にでもあります 高次脳機能障害への理解と一定の配慮があれば、 一人の社員として十分戦力となる人が たくさんいることを理解していただきたいと思います 参加してよかったなぁ そうですね とても勉強になりました わが社としても まずは小谷さんや病院のスタッフと話し合って 状況をきちんと把握することから始めないといけないな よし! 帰ったら上司にも報告して 小谷さんの職場復帰について 社内でも前向きに検討を進めていこう! ----------------------------------------------------------------------------. 実 践 編 ---------------------------------------------------------------------------- 事 例1  リハビリ出勤により職場復帰を果たした事例 事 例2  ジョブコーチ支援を活用して倉庫内作業で就職した事例 事 例3  失語症と右半身まひの障害がありながら、職種転換を図って職場復帰した事例 事 例4  障害の認識やコミュニケーション面に課題があったが、周囲の関わり方により改善された事例 事 例5  身体障害者として就職したがうまく仕事ができず、 後に高次脳機能障害があると判明し、支援機関のサポートを受けながら課題が改善された事例 ---------------------------------------------------------------------------- 事 例1 リハビリ出勤により職場復帰を果たした事例 ---------------------------------------------------------------------------- 小谷 真一さん(42歳) 疾患名: 脳血管障害(主な障害は記憶障害、注意障害) 精神障害者保健福祉手帳3級 株式会社大林商事(社員数800人)の経理部で、経理全般の業務の調整役を担っていた。 発症後はリハビリ、職業訓練に取り組み、リハビリ出勤を経て職場復帰することとなった。 シーン1 - 1 職業訓練の実施 小谷さんは半年前 脳血管障害により 犬の散歩中に空き地で倒れました 大丈夫ですか?きこえますか? 緊急搬送された病院で手術を受け1か月入院し、 その後回復期リハビリテーション病院に転院し 3か月間入院しました その後は外来に通院しながら 新たにリハビリ訓練を受けてきました 外来通院したある日 小谷さんは妻とともに ソーシャルワーカーのところへ相談に行きました 実は仕事のことで相談に来ました 倒れて以降 しばらく会社の担当者と 話をしていません… 小谷さんは大林商事に勤めていらっしゃいますね 職場復帰について そろそろ考えていきたいということでしょうか はい 私は職場復帰できるのでしょうか 私から先生や作業療法士に確認してみますが 小谷さんからも先生に 直接相談してみてはいかがでしょう ソーシャルワーカー 南野相談員 職場復帰に向けてはまず 会社の方と相談する機会を持って 小谷さんの現状を説明したり 会社の意向を確認することから 始めることになります 小谷さんは主治医と相談し 今後の方向性を話し合いました その上で まずは会社と打合せを行うことにしました その後小谷さんと会社との打合せの機会がもたれました 小谷さん夫妻に、 医療機関からソーシャルワーカーと作業療法士が同行しました 小谷さんの状況ですが 高次脳機能障害により記憶障害として 新たな物事を覚えにくくなっていることと 注意障害として作業ミスを生じやすくなっていることがあります すると、先日セミナーで習いましたが、 メモリーノートを使うのが良いのでしょうか 大林商事人事担当 清河課長 そのとおりです メモリーノートを使用しながら仕事を進めること 作業をマニュアル化することが望まれます わかりました ところで、小谷さんには以前管理職の補佐役として 経理全般などを担当してもらっていたのですが…… 管理職の補佐役となると、 臨機応変に判断を下し、 部下に指示をすることが求められますよね 残念ですが 発症前の職務での職場復帰は難しいと思いますしかし スケジュールが固定され、 定型的な業務であれば十分作業が可能です そうですか リハビリテーションの進み具合はどうですか? 順調です 今後は職場復帰に向けて職場適応力を高めるために 職業訓練を受講されることが良いと思います 高山作業療法士 なるほど 小谷さんはどうですか? はい 受講してみたいです それから 訓練機関の協力を得ながら 職務内容の検討をされてみてはいかがでしょうか このほか、小谷さんが職場復帰をする部署の社員向けに 高次脳機能障害に関する学習会を行うことをお勧めします わかりました 小谷さんもがんばっているようですし、 当社としても小谷さんの職場復帰に向けて 検討を進めていきたいと思います こうして小谷さんは 障害者職業能力開発校で 6か月の訓練を受講することとなりました 小谷です よろしくお願いします 訓練指導員の中島です 中島訓練指導員はさまざまな 作業課題や講習などを通じて、 小谷さんの障害状況の把握と 職場における対応方法を検討しました 物品請求書の作成作業 作業指示書にある「D型リングファイル」ですが、 この物品の品番にミスはないですか? あっ 「O型リングファイル」の品番を 転記してしまいました 商品名や品番が似ていたり 隣り合っているものとまちがわないように カタログに定規を当てながら 作業するといいですよ 今、見ている所 これだと正確にできそうです パソコンでの顧客データ修正作業 ほぼミスなく作業できていますね ただ、まれに確認もれによる 未修正箇所があるようです あともうちょっとなんですけどね 確認もれを防ぐために 顧客データの右側に 確認し終えたらチェックを入れてみるのはどうでしょう さっそくやってみます このほか、職場復帰に向けた 生活リズムの確立や体力面などの 健康維持管理の向上社会適応面 (職場でのコミュニケーションや接遇など)の向上を目指しました 訓練を実施して1か月が経ちましたがいかがですか まだまだミスはありますが、 訓練の積み重ねと 中島さんから教わった工夫で ミスが少なくなってきました よくがんばっていますね そろそろ訓練状況の報告を兼ねて 小谷さんの会社と打合せをしたいと思います 職場復帰に向けて 職務内容など詳細を詰めていきましょう はい よろしくお願いします シーン1 - 2 職場復帰に向けた事業所の取組 数日後 大林商事でーー これまでの訓練を通じて把握した 小谷さんの作業状況についてですが… 数値などのデータチェック作業は おおむね正確です また、物品請求書作成の様子から、 データ入力のような作業は条件次第で 十分にできると思います ただ、一度覚えた作業を 翌日には一部やり方を 忘れてしまうことがありました また、作業で追加の確認が生じた場合 そちらに注意が向きづらいこともわかってきました 職務内容ですが 数字や文言のチェックと 修正ができますので 例えばPCによる入力作業や 定型的な文章入力などが よいのではないでしょうか あるいは イレギュラーなことがなく 順々に作業を行うものなども 望ましいです 複数の作業を同時進行でしてもらうのは むずかしいでしょうか そうですね まずは作業手順などが 定型的なものをやってもらっては いかがでしょうか 私も その方がありがたいです わかりました 具体的な作業の中身を考えてみます お願いします 今後の訓練カリキュラムでも 小谷さんの職場復帰後の職務内容に合わせた 作業課題を取り入れたいと思います それはありがたいです このほかに、ご検討いただきたいことがあります 御社にリハビリ出勤※注1 の制度はありますか ※注1:リハビリ出勤についてはP33の解説ページを参照ください はい 主にメンタル面で不調となって休職した社員が リハビリ出勤制度を活用して復職しています リハビリ出勤は小谷さんにとっても 体を仕事のリズムに慣らしていくこと そして職場の状況を確認しながら 復帰の準備を行うことができるという点で 効果があると思います ぜひ検討してください なるほど いい考えですね 社内で検討します ほかにも協力できることがあれば お手伝いさせていただきます ありがとうございます 今日お聞きしたことを参考に、 職務や配属先などの検討に取りかかりたいと思います よろしくお願いします この後 大林商事は訓練機関と協力しながら 小谷さんの職場復帰に向けた対応を 進めることとなりました 大林商事の取組 取組1 訓練機関と相談を重ねながら 小谷さんの能力に適した職務内容を洗い出していきました 職務内容の検討 設定した職務:いずれも定型的な作業として @ アンケートデータなどのデータ入力 A 社内文書の作成 B 経理関係の数値チェック これならできそうだな 取組2 設定した職務内容を踏まえた結果、 小谷さんは総務部の配属となりました 配属部署の決定 よろしく頼みますね はい こちらこそ よろしくお願いします パチ パチ パチ 取組3 高次脳機能障害の特性と小谷さんに対する 配慮事項に関する社内学習会を ソーシャルワーカーと訓練機関が 共同で開催しました 社内学習会の開催 本人がこまめにメモをとることで 一度で理解しにくい指示や 抜けがちな部分などを 補うことができます。 取組4 人事担当の清河課長と総務課長を中心に、 雇用管理体制を整えました 雇用管理体制の整備 リハビリ出勤時間は当面 14時までとして 段階的に延ばしていきましょう 相談窓口は清河課長に 打合せで決定した方針 @ 指示系統の一本化: 指示は課長からだが、作業の詳細な指導は係長からアドバイスを受ける A フィードバックの実施: 定期的な職務のフィードバックと、職場で問題が生じたときの相談体制を整えておく B 就業時間等の設定: 体力を考慮して復帰後一定期間は時間を短縮、こまめな休息を入れ、残業の設定はしない 会社での受入れ体制が整い 1か月のリハビリ出勤が始まりました いよいよリハビリ出勤が始まりますね 焦らずゆっくり慣れていきましょう そうですね 焦らずやっていきます 小谷さんがリハビリ出勤で行う作業は これまで訓練で取り組んできたものです 小谷さんへの指示や作業中のアドバイスは 私が行います それでは小谷さん 始めましょう はい こうして作業が開始されました はじめは緊張しあせり気味だった小谷さんでしたが 徐々に慣れていきました 小谷さん がんばっているね ありがとうございます 最初の一週間ほどは 中島訓練指導員が作業を見守りましたが いないときには総務課長が様子を見ました 人事担当の清河課長も状況の確認に努めました 職業訓練及び リハビリ出勤の終盤 再度話し合いの場が持たれました リハビリ出勤は順調でしたね 産業医は小谷さんの職場復帰を可能と判断しました これでいよいよ 来月から職場復帰です おめでとうございます ありがとうございます これからも焦らず確実に 仕事をこなしていきたいと思います 小谷さんが順調に職場復帰できたのは 清河課長はじめ会社の皆さんの取組のおかげです いやいや、小谷さんのがんばりと 中島さんや病院スタッフの方々の 協力のおかげですよ 今回わかったことは 小谷さんのがんばりに加えて 受け入れるわれわれが障害を理解し、 きちんと体制を整えておくことが大事だということですね ---------------------------------------------------------------------------- 解説 職場復帰までの流れとポイント ---------------------------------------------------------------------------- @ 長期的な視点での対応  疾病や事故等により高次脳機能障害となることは、生活に大きな制限や困難をもたらし、精神的にも大きなダメージとなるため、本人が障害を受け止めるには時間がかかります。企業としては、これらのことを理解し、今後の支援の見通しなどを示すことが望まれます。  職場復帰の際には、配置転換やそれに伴う職務の習得、職場内の支援体制の構築など、長期的な視野で対応することが必要になります。産業医や主治医と相談したり、リハビリテーション施設や就労支援機関等からの情報収集やアドバイスを受けることなどにより職場復帰に向けたプロセスを確認することが大切です。 A リハビリ出勤(試し出勤)  リハビリ出勤とは、正式に職場復帰する前に、試験的に職場などに一定期間継続して出勤することを言います。  心の健康問題により休職した社員の職場復帰への取組としてよく耳にしますが、高次脳機能障害のある方が「休職」から「職場復帰」へ移行する際にも、体を慣らし、生活のリズムを整え、働く感覚を取り戻すことなどを目的とした有効な取組となります。  なお、リハビリ出勤制度の導入に当たっては、実施している時の処遇や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等についてあらかじめ労使間で十分に検討し、ルールを定めておくことが望まれます。 B 本人、主治医や本人の通う病院のスタッフ、本人の利用する支援機関等との相談  必要な治療やリハビリテーションにより自立の見通しがたってきたら、職場復帰への準備をはじめます。  職場復帰の際には、配置転換等の検討が必要な場合があるので、本人の希望を確認した上で、職種や配属先についての打合せをします。その際、障害を踏まえた対応可能な職務内容、指示の仕方やマニュアルの必要性など職務を遂行する上での配慮事項を確認します。  このほか、職場でのコミュニケーション上の留意事項や就業時間・休憩時間などの職場環境面においてどのようなサポートが必要となるのかについても検討、調整を行います。  必要に応じて、ジョブコーチ支援などの制度の活用について検討することも考えられます。  本人が就労支援機関等を利用している場合は、当該機関の担当者からアドバイスを得ることが大切です。さらに、職場において医療的な面での配慮が必要な場合もあるため、本人の主治医や本人が通っている病院のスタッフなどから情報を収集することも有効です。 C 社内の理解促進への取組  第1章でも触れましたが、高次脳機能障害は見た目では「見えにくい、わかりにくい障害」ですので、職場復帰が決まったら、企業として、配属先の上司や同僚等に対して障害の特性と対応方法などについて十分な説明を行うことが望まれます。必要に応じて、社内研修の場を活用し、講師は地域障害者職業センター等の支援機関に依頼することも効果的です。  高次脳機能障害のある方への一般的な配慮事項を知ってもらうことも大切ですが、障害の状況は一人ひとり違いますので、本人や家族、支援機関の担当者とよく話し合って、どのようなサポートがあると良いのかを職場で共有するようにしてください。ただし、誰にどの程度情報提供するのかについては、本人の意思を確認し、了解を得た上で対応することが必要です。 <一般的な職場復帰の流れ図> 治 療 リハビリテーション (医学的リハ、社会リハ、職業リハ) 職場復帰の調整 (リハビリ出勤) 職場復帰 復帰後のフォロー ---------------------------------------------------------------------------- 事例2 ジョブコーチ支援を活用して倉庫内作業で就職した事例 ---------------------------------------------------------------------------- 安森 江里さん(24歳) 疾患名:外傷性脳損傷(主な障害は記憶障害、注意障害、遂行機能障害)、 精神障害者保健福祉手帳2級 受障後に大学を中退し進路を決めかねていたが、 主治医や就労支援機関からのアドバイスや支援により、 ジョブコーチ支援を活用した職場実習を経て、 鶴田運輸株式会社(社員数200人)において 倉庫内でのピッキング作業員として働きだした。 シーン2 - 1 職場実習開始までのプロセス 安森さんは大学時代に登山中の滑落事故によって、受傷しました 手術、入院を経て、回復期 リハビリテーション病院に通院しながら 自宅で過ごしていました 回復期リハビリテーション病院へ定期通院した ある日―― リハビリ頑張っていますね 安森さんはこれから何をしていきたいですか 主治医 村下Dr. 同じ世代の人たちと同じように働きたい気持ちはあります ただ、今の自分は働けるのか そしてどのように活動すればいいのかわからないんです そうであれば 今の「働きたい」という気持ちを大切にして とにかく行動してみたらどうですか まずはハローワークに相談してみるのが いいと思いますよ …というわけで、 高次脳機能障害と診断されているのですが 私にできる仕事はありますか? そうですね 安森さんはどんな職種を希望しますか? また、仕事する際には会社に どんなことを配慮してもらいたいですか? ハローワーク専門援助部門 田山指導官 え…? あ 私… 何も考えてなかった… 安森さん、 障害者職業センターは知っていますか? 障害者職業センターでは 安森さんが仕事に就くために必要なことを 一緒に考えてくれますので、 ぜひ相談してみてください 安森さんは 障害者職業センターを訪ねました よろしくお願いします 大学を中退してずっと自宅にいました 病院の先生が心配してくれて就職を勧められました 働けるかどうか不安ですが挑戦してみようと思って… そうですか、すると働くのは初めてですね これから安森さんの挑戦をお手伝いしていくために 職業相談・職業評価をさせていただきたいと思います また、安森さんの主治医や病院のスタッフの方から 情報をいただきたいと思いますがよろしいですか 刈谷カウンセラー もちろんです 主治医も協力してくれると言っていました。 わかりました では、就職を目標にがんばっていきましょう! 用語解説 職業相談・職業評価 円滑な就職活動、適切な職業選択、安定した職業生活のために、面接や各種検査、作業評価等を実施して現在の状況や職業能力・適性を整理します。職業相談・職業評価の結果に基づき、就職や職場適応に必要な支援計画(職業リハビリテーション計画)を策定します。 職業評価や病院からの情報収集の結果、 安森さんは地域障害者職業センターの 職業準備支援を受けることになりました これから、実際に働く上での課題と 対応方法を一緒に考えていきましょう よろしくお願いします がんばりましょう 職業準備支援では 模擬的な就労場面でのさまざまな体験を通じて 安森さんの希望する職務の検討、 安森さんの障害特性の把握、就労する上で課題となる事項や 自分に合った働き方の整理、 就労する上で事業所に配慮してもらいたい事項の整理を行いました 事務作業 チェックをお願いします 生産工程・労務作業 また、職場での基本的なルールやマナーの講座を受講したり、 職場での報告・連絡・相談場面の対応の仕方を練習する グループワークを体験しました。 講座 グループワーク 毎日の作業の感想はいかがですか? まだ緊張しています その日やるべきことや作業の指示を聞いても 忘れてしまうことがあるみたいです 作業も何度教わっても覚えるのが難しいです 私は本当に就職できるのでしょうか…? 焦ることはないですよ まずは安森さんが毎日つけている メモリーノートの作業手順書欄に 指摘されたミスを書き込んで、 常に確認するようにしてみると いいかもしれませんね こんな風にね なるほど! ところで 作業をしていて楽しいことはありますか 体を動かす作業は楽しいです 自分が役に立てる仕事なら何でもいいと思いますが 机で作業するよりも 体を動かす仕事の方が合っているかもしれません 確かにピッキング作業ではいきいきとしていましたね 今度ハローワークで希望の求人を探しましょう 面接のときには私も同行しますよ ありがとうございます これからもがんばります 職業準備支援が終了してまもなく、 安森さんは刈谷カウンセラーと一緒に ハローワーク主催の就職面接会に参加しました もうすぐ会場に着きますが 大丈夫ですか? とても緊張していますが、 とにかく明るく元気に面接にのぞみます! そう、その調子! 当たって砕けろですよ 就職面接会会場 安森さんは、鶴田運輸の企業ブースで面接に臨みました はじめまして 人事担当の渡辺です 当社の社員数は200名です 大規模なロジスティクスセンターがあり、 大手商社の商品をピッキングして 顧客や営業店舗に配送しています 今回の求人はそのセンターでの軽作業や 簡単な事務作業です 安森さんは今まで このような作業をしたことがありますか? 障害者職業センターでやったことがあります 体を動かすのが好きなので何とかできると思います こう申し上げては失礼かもしれませんが 安森さんは障害があるようには見えないのですが… 精神障害者保健福祉手帳をお持ちですよね はい、高次脳機能障害があります 安森さんは学生時代に事故で負った 脳の外傷により 作業の工程を覚えるのに時間がかかったり 同時に複数の作業をこなすのは 苦手であるといったことがあります 口頭で説明してもわかりにくいと思いますし 採用するかどうか決める前に 御社で職場実習をさせていただけませんか その際には、ジョブコーチ支援を活用したいと考えています ジョブコーチですか…? ジョブコーチは 障害のある人が職場で継続して働けるように 本人や職場のみなさんを支援する専門家です 実習のときから就職した後も本人が慣れるまで 直接職場に出向いてきめ細かな支援を行います なるほど、私たちにもアドバイスをもらえるのは 確かに心強いですね 安森さんの職場実習を受け入れられるか 社に帰って相談してみます よろしくお願いします 数日後―― 刈谷カウンセラーへ 鶴田運輸から職場実習受け入れOKとの電話がありました そうですか OKですか! ありがとうございます 早速安森さんに連絡します! 用語解説 ジョブコーチ支援 ジョブコーチが職場に出向き、雇用の前後を問わず必要なタイミングで、きめ細かな人的支援を行います。 障害者本人に対して、職務を遂行するための支援や仕事をする上で円滑にコミュニケーションをとるための支援などを行います。また、事業主や職場の従業員に対して、障害特性に配慮した雇用管理や職務内容の設定に関する助言などを行います。 詳しくはP78を参照ください。 シーン2 - 2 職務における障害特性への対応 安森さんの職場実習を開始するに当たって 鶴田運輸で関係者を集めての打合せが行われました 安森さんの職場実習期間は1か月間とします 就業時間は午前8時から午後3時ですが 昼休みが入るので1日6時間となります 月曜から木曜までの週4日で実施したいと思いますがいかがですか? はい よろしくお願いします あとは、安森さんの作業内容ですが… 何をお願いしたらいいでしょうか 現場の指導担当 植村主任 ロジスティクスセンター内での各種作業に従事するための 必要な要件を整理してみました 安森さんに担当してもらう業務としては、 ピッキング作業と発送作業の補助業務が適当と考えます ■ ロジスティクスセンター内での作業整理票■ 作業名  内容  要件1(身体負担)  要件2(理解・判断)  要件3(対外的なコミュニケーション)  要件4(資格・スキル)  時間・頻度 製品の発注 委託先業者との折衝、発注書の作成、発注先への連絡  不要  必要  必要  PC操作  終日 荷受け  発注した製品をトラックから降ろす  負担大  不要  不要  不要  1〜2時間/1日 製品の仕分け・収納  製品番号や実物を見ながら、倉庫独自の管理番号を貼付し、所定の棚へ仕分ける  ややあり  多種多様な製品の仕分け判断が必要  不要  フォークリフト資格あればなお可  2〜3時間/1日 受注  顧客や委託元業者の営業店舗からの注文を受ける。注文書の作成(システムへの入力)  不要  顧客への返答含めて即時判断必要  必要  PC操作  終日 ピッキング  注文書に沿って倉庫内の棚から商品をピッキングしてくる  ややあり  不要(一定の基準が分かれば)   不要  不要  終日 商品の加工・包装  ピッキング後、一部の商品については組立や名入れなどの加工のほか、サイズに合わせた包装を施す  不要  商品数が多く、どの商品を加工するのか、具体的にどのように加工すべきかは即時的な判断を要する  不要  スピードを要する  終日 発送  発送地域ごとに商品を仕分け、コンテナに積む  ややあり  不要(一定の基準が分かれば)   不要  スピードを要する  1時間30分/1日 清掃(原則全員)  倉庫内を清掃する  ややあり  不要  不要  不要  30分/1日(朝) このほか、職場のみなさんに対して、 高次脳機能障害の特性や対応の仕方、 安森さんの障害の状況などについて 説明する機会をいただけないでしょうか その方が双方にとって 安心できるのではないかと考えています ぜひお願いします 日時はこちらでセッティングします ピッキング作業については 作業マニュアルがあると取り組みやすいので 後ほど植村主任と ご相談させてください 阿波ジョブコーチ わかりました 職場実習が始まるまでに まずはこちらで準備してみます 安森さん 来月からよろしくお願いします こちらこそ よろしくお願いします 職場実習までの間に 刈谷カウンセラーによる 学習会が実施されるとともに 植村主任と阿波ジョブコーチとで マニュアル作成の打合せが行われました 職場実習 初日―― 今日からよろしくお願いします こちらこそよろしく 早速作業に取りかかりましょう わかりやすいマニュアルが できましたね 阿波ジョブコーチの アドバイスのおかげです 安森さんに作業を教える際、 どのように指示したらよいのでしょうか はじめは植村主任がやって見せてください その後、安森さんにやってもらい できなかったところを再度 指導してください 慣れてきたら 安森さんにマニュアルを見ながら ひとりでやってもらい 様子を見てください 手 順 @ 台車と折りたたみコンテナを持ってくる A 注文書を1枚取る B ( 台車を押しながら)注文書にある商品番号の上3けたと、 棚の番号を照合して場所を特定する C 注文書にある商品番号と棚にある番号を照合する D 注文書にある商品の必要数をコンテナに入れる E 注文書に記載された商品が全てピッキングされたら、所定の場所へ持っていく F 注文書の担当者欄に署名してコンテナと一緒に所定の場所に置く 植村主任は マニュアルに沿って 安森さんへ作業を教えていきました このほか留意点としては 一度に複数の指示を出さないことや 口頭で指示したことは 必ずメモを取ってもらうことが考えられます そういえば 安森さんはいつもメモのようなものを持っていますね 高次脳機能障害者の多くがメモを活用しており、 これを一般的にメモリーノートといいます。 記憶を補う重要なツールとなります 事務的な連絡や当日のみの業務連絡などがあるときは 安森さんのメモリーノートを確認してください 間違っているときは修正する内容を伝えてください 植村主任が伝えたことを安森さんが 適切に理解しているかの確認にもなります ※メモリーノートの詳細はP48を参照 そうですか… 他人の手帳をのぞき見しているようで 気が引けてしまいますね… たしかに はじめはそうかもしれませんね しかし、大事なことや指示したことが 間違って認識されたり忘れられたりしてしまうことは、 会社にとっても安森さんにとっても 避けたいことですよね そのためには指示を出す方の確認が必要なのです そう、視点を変えてメモリーノートを 一種のコミュニケーションツールと 捉えてみてはいかがでしょうか 安森さんはメモリーノートを ご家族にも、友人にも私たちにも見せてくれていますよ そこから話題が広がるんです いずれにしても、安森さんは 障害によって一度覚えたことでも忘れてしまったり ミスが出やすい傾向があるので 根気強く繰り返し説明していただくようお願いします わかりました その後 植村主任の丁寧な指導と 阿波ジョブコーチのアドバイスにより 安森さんは少しずつ作業を習得していきました 1週間経ったある日―― 安森さん 少しずつ仕事を覚えてきたようですね よく頑張っていますよ はじめはメモリーノートも 指示抜けが目立ちましたが 毎日内容を一緒に確認・修正するようにしてからは 抜けはなくなり メモリーノートを介して 安森さんとの話題も増えてきました 安森さんも 植村主任に見てもらうことで 安心すると言っていましたよ そうそう、この間 昼前に行う発送作業の補助をしてもらおうと その日の朝に場所と時間を伝えておいたのですが 来なかったのです この前も同じことがありました そのたびに本人を呼びに行っています 1日の流れは基本的に同じなので 安森さんも理解できていると思いますが どのタイミングで次の行動に移るのかの判断が 難しいようです スケジュール表をメモリーノートに書き込み、 安森さんにはそれを見ながら1日の作業を してもらうのはいかがでしょう なるほど 早速やってみます そして、翌日から安森さんのメモリーノートに その日の作業スケジュールを書き込むように指導したところ、 同じようなミスはなくなりました もう移動しなきゃ 1か月間の職場実習が終了し 関係者が集まり話し合いの場が もたれました 安森さんの仕事ぶりは いかがでしたか? 作業ペースを徐々に上げていく必要はあると思いますが 当初に比べミスもなくなり ほぼきちんと作業ができています 当社としては 安森さんの就業日数を週5日にして 正式採用したいと思います 安森さん よかったですね おめでとう! ありがとうございます 少しでも会社の 役に立てるように これからもがんばっていきます 就職後もジョブコーチ支援は 継続されましたが 作業ペースが向上したこともあり ジョブコーチ支援は終了 その後は定期的なフォローアップで 対応することとなりました シーン2 - 3 安定した雇用継続を図るための対応 安森さんへのジョブコーチ支援が終了して 6か月後―― 安森さんはその後いかがですか? おおむね順調です メモリーノートの確認は継続して行っています ノートへの記入と確認は ほぼ習慣化しているようです ただ 気になるのは… ときどき安森さんが 仕事に飽きているような印象を受けることがあります のんびり作業をしていたり ほかの作業を気にしているようなんです 障害の程度や個人の性格によって異なるので 一概には言えませんが 同じ業務の繰り返しが仕事への飽きや モチベーションの低下につながることがあります 定期的な面談実施のポイント ・ 任された業務の大切さや、会社の中で重要な役割を担っていることの説明 ・ 目標の設定と、仕事ぶりのフィードバック(プラス面を重視して) ・ 不安なことや悩みがないか、希望することがあるかなどの確認 モチベーションの維持・向上 そこでご提案ですが このようなことをポイントに 安森さんと定期的に 面談することとしたらどうでしょうか 確かに 安森さんの仕事ぶりが順調だったので… 最近はメモリーノートの確認と 立ち話をする程度でした 人事担当の渡辺さんと 植村主任は、1か月に1度 安森さんと定期面談を実施することにしました 最近ピッキング作業のペースが 早くなってきましたね 安森さんが担当している仕事は、 顧客から発注を受けた商品を 無事届けるまでの過程で、 なくてはならない作業です 私の仕事が みんなの役に立っているんだ… 最近仕事の調子はどうですか 疲れることなどありませんか 1日のスケジュールに慣れてきました 作業の合間に休憩を取ることができるので 体調は大丈夫です それでは来月から 1日当たりのピッキングの 処理件数の目標をたててみましょうか そうですね 目標があるとやる気が出ます あと… 実は他にもいろいろな仕事があるようなので できればもっと他の作業もやってみたいと思っています 確かにセンターには他にも仕事があるので 新しい仕事をしてもらうことも考えていきましょう ありがとうございます まずは ピッキング作業をもっと早くできるように がんばります 入社から1年後 ピッキング作業が十分定着したことから、 安森さんは 新たに商品包装作業の工程を 担当することになりました ---------------------------------------------------------------------------- 解説  メモリーノート ---------------------------------------------------------------------------- 目的と効果  高次脳機能障害がある場合、その日に何をすべきなのか、いつどのタイミングで次の行動に移ればよいのか、どのような手順で作業をこなしていくのかなどを適切に処理できないことがあります。メモリーノートは、このような状況に対応するためのツールであり、記憶の補完手段として多くの高次脳機能障害のある方に活用されています。なお、メモリーノートには市販されているものも含め、個々人の状況や用途によって様式や記載内容が工夫された様々なタイプのものがあります。  本人がメモリーノートに必要な事項を記入し、本人や必要に応じて関係者が記入内容を確認することで、次のことが可能になります。 ● その日の作業内容や打合せの予定などのスケジュール管理 ● 作業手順や、作業上で忘れてはいけない注意事項等の必要な都度の確認 ● 実際にどのような作業を行ったか、どのような行動をしたかなどの行動記録の蓄積 ● メモリーノートを介した本人と関係者との情報共有 企業が活用する上でのポイント  メモリーノートには、高次脳機能障害のある本人が活用することに加えて、家族や職場の指導担当者等の関係者が記載内容を共有できるメリットもあります。例えば、職場の朝礼などで伝達された指示を本人がメモリーノートに記入する際に、一部に誤りや抜けなどが生じる場合がありますので、本人が慣れるまでは関係者が内容を確認し、必要であれば内容を修正するよう助言するということが考えられます。これによって、本人は誤りや抜け等に気づくことができ、関係者は本人の指示等に対する理解の度合いや受け取り方を把握することができます。  ただし、メモリーノートの記入がすでに習慣化して、ほぼ過不足なく記入できる人や、第三者の確認が必要ない人もいます。このため、メモリーノートの情報共有は、日頃の業務遂行の様子を見ながら、本人に十分な説明をし納得を得た上で、必要とする範囲内で行うよう留意してください。本人や職場等の関係者双方が過度な負担を感じないようにすることが情報共有を継続させるポイントです。  なお、高次脳機能障害がある方の中でメモリーノートが必要と考えられる人には、リハビリテーションや訓練の場においてメモリーノートを活用するための訓練が行われることが多く、その有効性についても訓練担当者等から本人に伝えられているのが一般的です。もしも、メモリーノートの記載が十分になされていないように感じられたり、業務遂行が不十分であったり、あるいはよりよい業務遂行のためにメモリーノートを確認したいと本人に説明しても第三者に見せることに抵抗を感じるという場合には、リハビリテーション機関や支援機関に相談してみることをお勧めします。 <メモリーノート 構成の一例> ● 今日すること メモ欄 ● 作業の感想 ● 記録 など ● 時間 ● 内容 ● 場所 ○ 1日のスケジュール表、今日のto-doリスト、メモ欄 1日ごとのスケジュール表と、その日にすべきことを記入し、済んだらチェックする欄、作業の感想や記録をするためのメモ欄から構成されています。 ● 指示月日 ● 期限月日 ● 内容 ● チェック ○ to-doリスト いつまでに何をこなさねばならないのかをリスト化するものです。 ここでは、様々あるメモリーノートの中から一例として、M-メモリーノート(幕張式メモリーノート:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センター研究部門が開発)を紹介します。 ◆タイトル ◆詳細な事項の記入 ○ 重要メモ 項目ごとに重要な内容を記入しておき、 常にチェックすることで忘れないようにするものです。 ◆作業名 ◆作業の目的・目標 ◆使用機器・材料 ◆作業手順 ◆作業のポイント ◆作業上の留意点等 ○ 作業内容記録表 各作業における目標、準備するもの、手順、留意事項などを記入するもので、 作業マニュアルとして活用できます。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 事例3 失語症と右半身まひの障害がありながら、職種転換を図って職場復帰した事例 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 中越 健司さん(44歳) 疾患名:脳血管障害(主な障害は失語症、右上下肢のまひ) 身体障害者手帳3級 株式会社アラカワレンタル(社員数500人)で、 レンタルDVDのフランチャイズ店舗のスーパーバイザーとして働いていたが 脳血管障害を発症する。障害状況と職務の適性を見極め、 本社での事務補助業務を担当することとして職場復帰した。 シーン3 - 1 失語症への対応 中越さんは (株)アラカワレンタルでレンタルDVDの フランチャイズ店舗を統括する スーパーバイザーとして活躍していましたが 脳血管障害を発症し休職していました 休職期間中はリハビリに励み 発症から1年半を経過し 職場復帰することとなりました 職場復帰に向けて 中越さんが通うリハビリテーションセンターで 中越さんと妻、関係者の間で 話し合いが持たれました 中越さんが 以前のようにスーパーバイザーとして 指導・統括する業務に復帰することは難しいのでしょうか? (株)アラカワレンタル 人事担当者 叶次長 からだの右上下肢にまひがありますが 日常生活にはほぼ支障がありません ゆっくりですが、手すりがあれば 階段の昇り降りができます 右側の上肢は物を持つときに 支えることができます 五島作業療法士 ただ、『聴く・話す・読む・書く』ということが これまでよりスムーズにできなくなったので スーパーバイザーとしての復帰は難しいかと思います 小畑言語聴覚士 「聞こえない、話せない」ということですか? いえ そういうわけではありません 中越さんは「失語症」と言って、 脳の障害によって相手の話している内容の意味が 理解しにくくなったり 話したい言葉が 出にくくなったりしている状態です 失語症がある場合 どのような仕事が考えられるでしょうか? 文書の作成やコミュニケーションを主体とした業務は避け、 目で見て判断し、行動できる作業がいいと思います 定型的な数値入力業務などパソコンでの作業は十分可能です わかりました 確かに店舗では難しいかもしれませんが 本社の中には該当する業務がありそうです 社内で検討してみます よ、よろ・・しく お・・おね(お願い) ・・し します 中越さんが新しい作業に慣れるまでは 我々がサポートします どう対応したらよいか 迷うこともあると思いますので よろしくお願いします 中越さんは、本社で 社員の勤怠管理データなどの数値入力業務と 伝票や文房具等の備品管理担当として 職場復帰することになりました 中越さんに作業を指示することとなった倉科です 倉科係長 リハビリテーションセンターの小畑です 失語症については社内の研修で勉強しました 中越さんのことは以前から知ってますし、 大丈夫だと思います それは安心です 口頭で指示する際は極力短い言葉で端的に また業務についてのわかりやすい作業手順書を… 手順書ですよね 中越さん用に作ってみます もちろん説明もきちんとしますよ 中越さん 言葉が出にくそうだったな でもそれ以外は以前と変わらなさそうだし 大丈夫だろう … 職場復帰から2週間後―― 失礼します 小畑さん お待ちしていました! どうされましたか倉科さん…? 中越さんには 備品管理の作業をお願いしているのですが なかなか覚えてくれません このほか何か気にいらないことがあるのか いつもムスッとした表情で、 声もかけづらくて… 実は、先日中越さんと話す機会があったのですが 以前の自分と比較して うまく作業が進まないことについて ストレスを感じているようでした ストレス、ですか… でも手順書を作成しましたし、 説明をした時も 「わかった」と言っていたのですが 説明を受けたときは理解した気持ちになるのですが、 実際にはできるようになるまで 理解していなかったということがよくあります また、失語症があると文章の読解も難しくなります 手順書の文字はできるだけ少なく 写真や図柄を多用してみてはいかがでしょう 修正前 〜備品管理作業手順マニュアル〜 〈備品の配布〉 1. 社員から備品の依頼を受理 2. 依頼に応じて、必要部数を揃える 3. 依頼者あてに備品・消耗品を届ける 〈備品の在庫チェック〉 1. 水曜日の午後、備品棚に行き、各備品の在庫数を備品管理簿に入力する 2. 備品リストにある最低在庫数と備品管理簿を照合し、不足がある 備品をリストアップする 3. 倉科係長に報告する 〈備品の発注〉 1. リストアップされた備品について、発注書を作成 2. …………… 3. …………… 修正後 〜備品管理作業手順マニュアル〜 【配布】 1. 社員から依頼がくる 2. メールをプリントアウト 3. 必要部数をそろえる (棚に備品の写真有り) 4. 依頼者へ届ける 【在庫チェック】 1. 在庫数をチェック→管理簿に記入 そうだったんですね… 中越さんへの配慮が足りませんでした それともう一つ 中越さんは失語症によって 自分の思いをうまく表現できず 職場のみなさんとなかなかコミュニケーションが図れないことを 気にしているようでした うまくしゃべれないし職場の方が忙しそうで 話しかけにくいということですか? そうなんですね 確かに作業の指示以外に話をすることが あまりありませんでした 今後時間を作って 中越さんの気持ちを 聞いてみたいと思います 昼休みなどに周りの方から ちょっとした声かけをしてもらうのもよいと思います 小畑さんに相談できてよかった… これからも困ったことがあったら相談してみよう! その後倉科係長は 写真や図柄を多用した備品管理の手順書を作成し 実際にやって見せ 中越さんの作業の習熟を確認しました ここで必ず確認してください お昼一緒にどうですか? ハイ また、周囲の同僚も積極的に声をかけるようにしました シーン3 - 2 疲労への対応 中越さんが徐々に職場での仕事に慣れてきた頃―― 中越さん はい? 調子は大丈夫ですか 先ほど出してもらった入力データに ミスが多かったですよ 疲れてませんか? …というわけでして 中越さんは昼休み前や午後3時頃になると ぼーっとすることがあり ミスが出やすくなります 原因は何なのでしょうか? おそらく 「脳の疲労」が出ているのだと思います 中越さんのように脳に障害があると 残存している脳が損傷した脳の機能を補うことなどによって、 発症前よりも脳に負担がかかっています これにより作業など集中することが求められると 脳がすぐに疲れてしまいます また、からだの疲れと違って本人が自覚しにくく 「知らず知らずのうちに疲れている」状態に陥ってしまうのです 症状としてはあくび、ぼーっとする、眠気、 ミスの多発、集中力の低下といったことがみられます 中越さんに脳の疲労が出ているときは どう対処したらよいでしょうか? たとえば… ・ 水分補給をする ・ 一旦席を立つ  休憩スペース ・ パソコン作業の場合、画面から目を外す 定期的に、そしてこまめに 休憩をいれることが大事です 休憩と言っても長時間休む必要はありません このようなちょっとした休憩でよいのです このほか、体調管理についてはこのようなポイントがあります 〜体調管理に関するポイント〜 @ 疲れなどの変化に気付いたら、その場で本人に伝えて気付きを促す A 通院・服薬の状況、禁忌事項などを把握しておき、必要に応じて家族や支援機関と情報を共有する よくわかりました 早速やってみます 数週間後 小畑さんが中越さんの職場を訪れました 仕事ぶりが安定しているように見えますが、 最近の中越さんはいかがですか? 中越さんには声かけをして こまめに休憩を取るようにしてもらっています 作業にはミスもなく 集中して取り組めているようです 元気そうに働く中越さんの姿を見ることができて よかったです ---------------------------------------------------------------------------- 解説 体調管理への配慮 ---------------------------------------------------------------------------- ○高次脳機能障害のある方は、一般的に疲れやすい(易疲労性)、特に脳が疲れやすいと言われています。体の疲れのように自覚しにくく、知らず知らずのうちに集中力・注意力の低下やあくび・眠気などが現れて、作業のミスや抜けにつながりやすくなりがちです。この疲労に対しては「休む」ことが有効な対策となりますが、その際、「脳に大きな負担となる作業をしない=作業を止めて、外を眺める、目を閉じる、ストレッチする、水分補給する」などがポイントとなります。 ○このほか、高血圧やてんかんなどにより定期的な受診、服薬などの治療が継続している方がおり、アルコール類やたばこなど禁忌事項がある方もいます。安定した就労を継続していくためには、本人による自己管理が前提となりますが、事業所においても、服薬時間の確保や通院への配慮はもとより、体調面における自己管理がどの程度できているかを把握しておくことが重要です。 ○さらに、高次脳機能障害のある方の中には、障害を負ったことによる精神的なショックや、脳の損傷による感情面のコントロールの問題などにより気分が落ち込みやすくなる方もいます。  これらを踏まえ、必要に応じて医療機関や支援機関、家族などと情報を共有するとともに、体調管理において改善が必要な場合に相談・連絡ができるように連携を深めておくことが望まれます。 <体調管理のポイント> ポイント項目  方法 1 疲労の把握  疲労のサインや疲労の程度、睡眠時間の把握など 2 疲労への対処 こまめな小休憩の導入など ※ 疲労に対する自覚がない場合、例えば1時間に5分程度休憩するなどの対応が有効な場合があります ※ 個々人の状況によりますが、過度な身体的負荷のかかる作業は避ける、残業は避けるなどの対応が有効な場合があります 3 医療面の状況把握(高血圧、てんかんなど)  通院・服薬状況、禁忌事項の把握、発作などの症状が起きた際の対処と連絡先の把握、対応にかかる社内体制構築など 4 メンタル面の状況把握  ストレスや不安の緩和のための面談の実施、場合によっては医療機関への相談など ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 事例4 障害の認識やコミュニケーション面に課題があったが、周囲の関わり方により改善された事例 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 与野 琢郎さん(21歳) 疾患名: 頭部外傷(主な障害は記憶障害、注意障害、社会的行動障害)、 精神障害者保健福祉手帳2級 受障後は地域の障害者支援施設に通いながら一般就労を目指していたところ、 機械部品の金属加工をしている鈴木金属株式会社(社員数100人)において 職場実習を経て採用された。 事業所と障害者支援施設が連携して、職務上の課題改善に向けて取り組んでいる。 シーン4 - 1 障害に対する自己認識 与野さんは専門学校時代にバイク事故により受傷。 手術・入院を経てリハビリテーションセンターで 6か月リハビリを実施した後、 地域の障害者支援施設へ1年間通いました そこでの作業経験を活かして製造職で 一般就労を目指すこととなりました ちょうどその頃、施設で作業を請け負っていた 機械部品製造の鈴木金属株式会社が求人を検討していると聞き 与野さんの採用を前提として 職場実習の受入れを打診し快諾を得ました 一緒にがんばっていこう はい こちらこそよろしくお願いします 〈機械でのプレス作業〉 神村ライン長 障害者支援施設 保坂指導員 貝野部長 〈部品コードの結束作業〉 与野さんが担当する作業は いずれも定型作業となりました 覚えるまでには時間がかかったものの、 障害者支援施設の保坂指導員と鈴木金属の貝野部長(製造部長兼採用担当) 作業指導役の神村ライン長が連携して指導したことにより これらの作業ができるようになりました 採用されて3か月が経過し 保坂指導員がフォローアップ支援のため会社を訪問しました 作業手順もだいぶ覚えてきたようですね もう大丈夫そうですね そうですね まじめに作業をこなしています ただ… 作業を指導する中で 指導役の神村ライン長が注意すると 本人ができていないことを認めなかったり 言い訳をすることが多いそうなのです 場面1 与野さん プレスした部品はきちんと圧着したかどうか確認して コンテナに入れてと言ったよね ちゃんと言われたとおり やりましたよ 場面2 与野さん、作業場を離れるときは スポットクーラーをOFFにしてね 僕はOFFにしました 他の人がやったんじゃないですか そうでしたか… それがたびたびだと指導する方も大変ですね 新しい作業をしてもらう前に 作業内容を説明したら「できます」と言うので やってもらったのですが 対応できなかったこともあります 与野さんは自分が 高次脳機能障害であることは理解しているのですが 職場など実際の場面になると 何ができて何ができないのか 自分ではわかりにくいようです 当施設で作業していたときは、 ミスや抜けがあるたびに、 その場で本人に伝え、 併せてどう対応したらいいか 指示することを繰り返していました 与野さん まだ組み立てていないものが 完成品に混入していましたよ 僕はちゃんとやってます 他の人がやったんじゃないんですか? このコンテナに完成品を入れるのは 与野さんだけです。 もし他の人が入れたとしても、 仕事としては与野さんが責任を持つことになるんですよ ミスを出さないためにどうすべきか もう一度一緒に確認しましょう 御社で作業する際にもできる限りその場で 本人へフィードバックすることが 改善策になると思います なるほど! さっそく試してみます 私も引き続き 与野さんの様子を見守っていきます 今後も引き続き 相談に乗ってください 根気強く指導を 継続していくことが大切です ---------------------------------------------------------------------------- 解説 高次脳機能障害における障害の自己認識について ---------------------------------------------------------------------------- 他者からだけでなく本人からも「見えない障害」  高次脳機能障害は、これまで障害のない生活を送ってきた人が、脳血管障害や不慮の事故等により負ってしまう障害、いわゆる中途障害です。高次脳機能障害という認知機能の障害により、自分の現状を適切かつ客観的に認識することが困難な状況になると、周囲から「高次脳機能障害がある」「記憶に障害がある」などと言われても、受障前の自分と比較して何ができなくなってしまったのか具体的にわからなかったり、「障害がある」と言われることに納得できない状況が生じてしまいがちです。  第1章で高次脳機能障害は「見えない障害」とありましたが、それは他者から見てというだけではなく高次脳機能障害がある本人自身も同様と言えます。  障害の認識がなければ、障害により「できなくなったこと、できにくくなったこと」を的確に認識することができず、さらには「できにくくなったこと」を回復する取組や、「できなくなったこと」に対する対応手段の必要性も認識できない場合があります。 「できること・できないこと」を実感する体験の積み重ねが重要  リハビリテーションや訓練場面では、本人の障害に対する自己認識をできるだけ深めるため、様々な取組が行われていますが、これらはいわば仮想場面ということもあり、本人が「実際の場面ではできる」と認識してしまうなど、納得するまでには至らないこともあります。障害の自己認識を高めるためには、本人が実際の就労場面、日常生活場面を通じて、できること・できないことを実感する体験を積み重ねていくことがどうしても必要になります。 本人の気持ちに配慮したフィードバックを  以上を踏まえ、事業所においては、「障害の認識がないから就労は難しい」とするのではなく、「ミスをしたこと、抜けが生じたこと」を明確に伝えて、本人の「できなくなったこと、できにくくなったこと」に対する認識を高めていくことが望まれ、さらにはミスや抜けに対する対応策を実践していく中で、改善が図られた場合はそれについてもフィードバックすることが、高次脳機能障害のある方の職場適応を図るためには重要なことと言えます。  なお、フィードバックの際には、本人のプライドを傷つけないように配慮し、「本人自身を評価しているのではなく、本人の行動についての評価であること」を強調してください。高次脳機能障害のある方の中には、このことが理解しにくく、自分自身のことを評価されたかのように誤解してしまうこともあるので留意しておくことが必要です。 シーン4 - 2 感情のコントロール 3か月後―― … 与野さん 少し元気がないようですね 最近、朝から不機嫌な表情で出勤して あいさつを返さないことがあったり 神村ライン長や先輩からミスを指摘されると 不服そうな表情を浮かべて 時には反抗することがあるようです おはよう 与野さん … 結び目がずれてるよ 何で僕だけに言うんですかっ! 問題ないじゃないですかっ 与野さんに対して どう接したらよいかわからなくなっています ミスしたときに部下に注意するのは 当たり前のことですよね 感情的に叱っているわけではないのに… 与野さんは年齢が若く就業経験がないので 会社という組織で働くことを よく理解していない可能性があるようです また、高次脳機能障害の特性の一つに 「社会的行動障害」というものがあるのですが これにより与野さんは感情のコントロールが うまく図れていないといえます 何か解決策がありますか? 次の3つの点に留意していただきたいと思います @ 注意する際は具体的な理由と望ましい行動を説明する A 会社の基本ルールを丁寧に伝える B イライラが募っている時はすぐに注意・指導せず、 気持ちが落ち着いてから話し合う場を設定する 対応策1 ミスや問題のある行動に対して注意をする際は できるだけ具体的にそれらがなぜいけないのか 望ましい行動は何なのかを伝えてください 与野さん自身をいいとか悪いとか言っているのではなく あくまでも与野さんの行動に対する注意であることを 強調してください ひとつずつ確認しながら進めていこう そうすれば自然とミスは無くなるもんだよ 対応策2 出社・退社時にあいさつすることや 同僚や上司とのチームワークを心掛けて お互いに思いやりを持って接することなどの 会社の基本的なルールについて あらためて丁寧に伝えることが大事だと思います ラインのみんながひとつのチームなんだよ お互いに気持ちよく働ける職場にしたいよね また、会社の組織図をわかりやすく示して ライン長などからの指導にはよく耳を傾けること 神村ライン長や先輩は与野さんよりも職務経験が長く職責が上なので 礼儀をもって接することなどについて、 時間を取って説明してみてください ◎組織体制図◎ 社長(役員) 製造部長 貝野部長  営業部長 総務部長 第一製造課 第二製造課 現場リーダー  神村ライン長 同僚 同僚 与野さん 職場での基本的なルールを守る これらを通じて 職場での基本的なルールを守ることの大切さを 伝えることがポイントです 与野さんが 実際にイライラしているときには どうしたらよいのでしょうか 対応策3 了解を取って、コーヒーブレイクを取るなど 作業場を離れていったん一呼吸入れることをお勧めします その後気持ちが落ち着いたら 「イライラしてしまったのはどうしてなのか イライラしないためにはどうしたらよかったのか」を 話し合うようにしてください 神村さん その役割は私が担当するよ 与野さんがラインのみんなの雑談に もっと溶け込めるようにしたり できなかったことを注意するだけでなく 仕事ができたときにほめるなど 我々との心の距離を少しでも 近づけるように努力していきます とてもいいことだと思います さらに 数か月が経過―― 与野さん 今日ほめられたんだって? やったね! あ 神村ライン長 このあいだはありがとうございました 与野さんも周囲の人と 積極的にコミュニケーションを取るようになりました 新しい作業に慣れるまでは面倒なようでも くり返し確認をしていこうね はい 職場での調子はいかがですか? 仕事をしていて イライラすることはありませんか? よく覚えていないですけど、 みんないい人たちばかりだから、 イライラしてません まだ職業人としての生活が始まったばかりです 焦らず一歩一歩進んでいきましょう はい これからもがんばります 最近は周りの同僚と打ち解けていますし 神村ライン長とも信頼関係が築けてきたようです 注意されることがあっても、 以前より素直に意見を聞けるようになってきました 職場のみなさんが理解をもって配慮してくれたおかげです 今回の件ではコミュニケーションを通じて 信頼関係を築くということが 職場でとても大切なことだと、 私自身気づかされました ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 事例5 身体障害者として就職したがうまく仕事ができず、 後に高次脳機能障害があると判明し、 支援機関のサポートを受けながら課題が改善された事例 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 中田 渉さん(35歳) 疾患名: 脳血管障害(主な障害は左上下肢軽度のまひ) 身体障害者手帳6級 化粧品の製造、販売を行う株式会社ハッセー化粧品(社員数1,000人)で 事務職として就職。 職務上の課題があるため医療機関を受診したところ 高次脳機能障害と診断され、 その後ジョブコーチ支援を活用することとなった。 シーン5 - 1 高次脳機能障害の把握 中田さんは1年前に脳血管障害を発症し、 身体面でのリハビリを受けました ある企業で事務職として働いていましたが 発症を契機に自己退職し ハローワークから事務職で株式会社ハッセー化粧品の求人が出ているのを見つけて 応募したところ採用されました 配属は総務部ダイバーシティ推進室で、 他の社員と同様に一般的な事務作業を担当しましたが 「同じミスを繰り返す」「口頭で伝えたことが実行に移せない」 という課題が生じていました 中田さんはなぜ仕事がうまくできないのだろう? ダイバーシティ推進室 寺島室長 高次脳機能障害  脳血管障害により身体の 高次脳機能障害?中田さんの状況に似ているな 高次脳機能障害者支援センターか… 一度中田さんと話してみよう 寺島室長は、中田さんの就労上の課題を説明し 一緒に支援センターに相談へ行くことを提案しました その際、高次脳機能障害の有無の結果は 就労上の配慮の参考にするためであり 就労継続の可否を判断するためのものではないことを ていねいに説明しました わかりました 一緒に行かせてください 確かに、働き始めてみて以前と違い 周りから注意ばかり受けることが気になっていました …というわけで 職歴からすると十分こなせそうな業務なのですが、 いざ任せてみると 同じミスを繰り返したり 指示したことが抜けてしまうようです 受障したきっかけは 何なのでしょうか? 高次脳機能障害者 支援センター 青木主任支援員 脳血管障害です ただ左半身のまひに対するリハビリを受けただけで、 手帳も身体障害者手帳です そうですか 中田さんが希望されるなら一度 高次脳機能障害の検査を受けてみてもいいかもしれません 医療機関をご紹介しますね 中田さんは紹介された医療機関で 検査を受けることとしました 今日はよろしく お願いいたします ではさっそく始めましょう さまざまな検査を行った結果―― 高次脳機能障害(注意障害、遂行機能障害)があることが判明しました 障害の状況を会社の上司に説明したいのですが… では情報提供書をお渡ししますね 職場ではジョブコーチ支援を受けられると いいかもしれません 仕事をする上で何に気を付ければいいかはもちろん 会社側にも職場環境の設定などについて 具体的なアドバイスが受けられますよ 中田さんは、診断の結果とジョブコーチ支援の活用について寺島室長に伝え 二人で地域障害者職業センターへ相談に行くこととしました ・・・というわけで ぜひジョブコーチ支援を活用したいと思っています わかりました それでは後日職場の様子を見学させてください 刈谷カウンセラー 今後の職務内容などについて 相談していきましょう 刈谷カウンセラーはハッセー化粧品に出向き 中田さんの担当する職務を寺島室長と一緒に検討しました 相談の結果、刈谷カウンセラーが作成した 「ジョブコーチ支援計画書」に沿って ジョブコーチ支援を実施することとなりました ジョブコーチ支援計画書 【中田さんへの支援内容】 ・ 複数のことに対して同時に注意を向けることが苦手ですので、優先すべきポイントを明確にして、一つずつ作業を処理できるように支援します。 ・ 口頭で聞いたことは忘れやすいので、必ずメモを取り、上司に確認してもらう流れを固定化します。 ・ 見通しをもって作業することが苦手なため、1日のスケジュール表の作成を提案し、作成の仕方をアドバイスします。 ・ 疲れやすく、それがミスにつながりやすい傾向があります。定期的に小休憩を入れることを提案します。 【ハッセー化粧品への支援内容】 ・ 中田さんの特性を踏まえた職務内容について、他社事例の情報を提供しながら一緒に検討します。 ・ 指導方法について、実際の場面を通じてアドバイスします。(「指示出しの仕方」、「作業における判断基準の統一」など) ・ 中田さんのスケジュール管理について、スケジュール表の活用を提案します。 ・ ミスを防止する一つの対策として、定期的に小休憩を取ることを提案します。 【支援の進め方】 ○ 支援開始当初は週に2〜3回訪問し、段階的に支援頻度、支援時間を減じていきます。 ○ 支援後半は2〜3週間に1回程度訪問し、中田さんの状況と雇用管理の状況について確認、アドバイスを行います。 このような計画で進めたいと思います シーン5 - 2 具体的な取組 ジョブコーチ支援が始まりました これからよろしくお願いします ジョブコーチの阿波と申します 会社では、刈谷カウンセラーと事前に相談した結果 中田さんの作業内容を次の3つに設定しました 作 業  作業量  優先度 書類の電子データ化作業  週3日程度  低 顧客データの入力作業  週2日程度  中 社内会議資料と社内報のプリントアウト・コピー・配付  週2〜3時間程度  高 ※ ただし、各業務について、曜日や作業時間、作業量を固定することはできない。 まずは中田さんの作業状況を観察し 課題点をまとめてみましょう 課題1 口頭で指示されたことが、ポイントをまとめてメモできない 明日の部長会議の資料を 17時までに5部追加でコピーして 大会議室にセッティングしておいて は はい… えっと… 課題2 作業の優先度に応じた順位付けがあいまいで どの作業をすればよいか迷ったり、 誤った作業をしてしまう 顧客データの入力はもう終わったの? あっ まだやってません… 課題3 電子データ化作業で保存先のフォルダを どの項目に分類すればよいのか判断がつかない これはどのフォルダになるのだろう? 添付書類って書いてあるけど これはどうするはずだったかな? 複数のペーパーを1枚ずつデータファイルとして保存するのか 連結して保存するのかの判断もあいまいなようです 課題4 昼前と午後3時以降は集中力が途切れて 作業をミスしてしまいがち 中田さん はっ はい!! ここ 間違ってるよ あ すみません これらの課題については、 どのように対処したらいいでしょうか? では、一緒に対処方法を検討していきましょう 課題解決の方法として 次の4つの取組を進めることにしました 取組1 指示を出すときは口頭に加えて、 メモやメールなど視覚化して提示する 作業の手順をメモにしておいたよ 部長会議の資料追加 ●手順:  ・資料を確認 ◆ サイズ:A4 ◆ ページ数:17枚 ◆ 原稿面: 片・両面混合のため確認しながら進めること ◆ 色:モノクロ ◆ 部数:5部 ・コピー ・留め方:左上1箇所留め ・資料原本を返却 ・会議室のセッティング:5人増えるので20人でセッティングすること 工程順や留意点を明確に伝えることがポイントです 取組2 その日の流れを具体的に指示する 明日はその次の日に臨時会議が入っているから 15時から会議資料のコピーを頼むよ 明日のスケジュールを組みました ある日の作業スケジュール 開始時間  終了時間  作業内容 8:30         顧客データの入力作業 12:00   13:00    昼 食 13:00         顧客データの入力作業             書類の電子データ化作業 15:00         臨時会議の資料コピー            会議室へのセッティング 17:15 17:30  スケジュール表の記入と確認 修正したスケジュールです 作業内容が曜日や時間帯で定型的に固定できない場合 スケジュール表を作成、確認することが有効です 取組3 あいまいだったり状況判断を要する作業は基準を設定する フォルダの分類保存の仕方はこうしてください 1. つづりの名称と保存フォルダ対応表 履歴書つづり 面接結果つづり ○○○つづり    ↓ 採用関係フォルダ 人事考課つづり 管理者評価ファイル 個人評価ファイル △△△つづり    ↓ 人事評価フォルダ 通勤届つづり 超過勤務実績つづり 勤怠管理表つづり □□□つづり    ↓ 庶務関係フォルダ リングファイルにつづっている種類ごとに、 PC 内のそれぞれのフォルダに保存してください。 例「: 勤怠管理表つづり」にある書類を電子化したデータは、「庶務関係フォルダ」に保存してください。 2. 連結データの判断基準 ○○○○ -1- ○○○○ -2- ○○○○ -3- ページ番号が付いている、付いていなくても文章がつながっている ○○○○ -1- マルチページとして1 つのファイルにする 別紙○○、添付資料など 添付資料  別紙1 添付資料  別紙1 シングルページとして1 枚ずつ別のファイルにする なるほど わかりやすい! 取組4 脳の疲労を回復させるため、 1時間ごとに5分の小休憩を取る 最近はあくびもせず 集中して取り組めているようです 3か月後、ジョブコーチ支援が終了に近づき、 これまでの振り返りを行いました 中田さんの努力もあって、 ミスが少なくなり、 作業もスムーズになりました 高次脳機能障害と診断されて、 自分でも驚きとショックがありましたが 寺島室長の配慮もあり徐々に仕事ができるようになり 自信と安心感が湧いてきました 中田さんもよく頑張りましたが 寺島室長が適性を見極め 適切に指導、対処されたからこそ 課題が改善されたのだと思いますよ 高次脳機能障害者の職場適応は、 できることとできないことを見極め できないことを職場のサポートや支援ツールの活用で 補うことが重要です そのためには私たち就労支援機関を有効に活用して、 職務内容の検討や職場環境の改善を進め、 体制を整えることが望まれます そうですね 私たち職場の人間も中田さんを支える 環境作りが大切だと分かりました これからも職場全体で サポートしていきたいと思います --------------------------------------------------------------------------- 資 料 ---------------------------------------------------------------------------- ■ 地域障害者職業センター一覧 障害者職業カウンセラーが配置され、公共職業安定所(ハローワーク)、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校等の関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として、地域に密着した職業リハビリテーションサービスを提供しています。 北海道障害者職業センター 001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 011-747-8231 011-747-8134 北海道 旭川支所 070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166-26-8231 0166-26-8232 青森障害者職業センター 030-0845 青森市緑2-17-2 017-774-7123 017-776-2610 岩手障害者職業センター 020-0133 盛岡市青山4-12-30 019-646-4117 019-646-6860 宮城障害者職業センター 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 022-257-5601 022-257-5675 秋田障害者職業センター 010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 018-864-3608 018-864-3609 山形障害者職業センター 990-0021 山形市小白川町2-3-68 023-624-2102 023-624-2179 福島障害者職業センター 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1005 024-535-1000 茨城障害者職業センター 309-1703 笠間市鯉淵6528-66 0296-77-7373 0296-77-4752 栃木障害者職業センター 320-0865 宇都宮市睦町3-8 028-637-3216 028-637-3190 群馬障害者職業センター 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-290-2540 027-290-2541 埼玉障害者職業センター 338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 048-854-3222 048-854-3260 千葉障害者職業センター 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉4階 043-204-2080 043-204-2083 東京障害者職業センター 110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 03-6673-3938 03-6673-3948 東京障害者職業センター 多摩支所 190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 042-529-3341 042-529-3356 神奈川障害者職業センター 252-0315 相模原市南区桜台13-1 042-745-3131 042-742-5789 新潟障害者職業センター 950-0067 新潟市東区大山2-13-1 025-271-0333 025-271-9522 富山障害者職業センター 930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 076-413-5515 076-413-5516 石川障害者職業センター 920-0901 金沢市彦三町1-18 アソルティビル金沢彦三2階 076-225-5011 076-225-5017 福井障害者職業センター 910-0026 福井市光陽2-3-32 0776-25-3685 0776-25-3694 山梨障害者職業センター 400-0864 甲府市湯田2-17-14 055-232-7069 055-232-7077 長野障害者職業センター 380-0935 長野市中御所3-2-4 026-227-9774 026-224-7089 岐阜障害者職業センター 502-0933 岐阜市日光町6-30 058-231-1222 058-231-1049 静岡障害者職業センター 420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 054-652-3322 054-652-3325 愛知障害者職業センター 460-0003 名古屋市中区錦1-27 MIテラス名古屋伏見5階 052-218-2380 052-218-2379 愛知障害者職業センター 豊橋支所 440-0888 豊橋市駅前大通り1-27 MUS豊橋ビル6階 0532-56-3861 0532-56-3860 三重障害者職業センター 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津3階 059-224-4726 059-224-4707 滋賀障害者職業センター 525-0027 草津市野村2-20-5 077-564-1641 077-564-1663 京都障害者職業センター 600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 ハローワーク京都七条5階 075-341-2666 075-341-2678 大阪障害者職業センター 541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 06-6261-7005 06-6261-7066 大阪障害者職業センター 南大阪支所 591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 072-258-7137 072-258-7139 兵庫障害者職業センター 657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 ハローワーク灘3階 078-881-6776 078-881-6596 奈良障害者職業センター 630-8014 奈良市四条大路4-2-4 0742-34-5335 0742-34-1899 和歌山障害者職業センター 640-8323 和歌山市太田130-3 073-472-3233 073-474-3069 鳥取障害者職業センター 680-0842 鳥取市吉方189 0857-22-0260 0857-26-1987 島根障害者職業センター 690-0877 松江市春日町532 0852-21-0900 0852-21-1909 岡山障害者職業センター 700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 086-235-0830 086-235-0831 広島障害者職業センター 732-0052 広島市東区光町2-15-55 広島市児童総合相談センター2階 082-263-7080 082-263-7319 山口障害者職業センター 747-0803 防府市岡村町3-1 0835-21-0520 0835-21-0569 徳島障害者職業センター 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島4・5階 088-611-8111 088-611-8220 香川障害者職業センター 760-0055 高松市観光通2-5-20 087-861-6868 087-861-6880 愛媛障害者職業センター 790-0808 松山市若草町7-2 089-921-1213 089-921-1214 高知障害者職業センター 781-5102 高知市大津甲770-3 088-866-2111 088-866-0676 福岡障害者職業センター 810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 092-752-5801 092-752-5751 福岡障害者職業センター 北九州支所 802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 093-941-8521 093-941-8513 佐賀障害者職業センター 840-0851 佐賀市天祐1-8-5 0952-24-8030 0952-24-8035 長崎障害者職業センター 852-8104 長崎市茂里町3-26 095-844-3431 095-848-1886 熊本障害者職業センター 862-0971 熊本市中央区大江6-1-38  ハローワーク熊本4階 096-371-8333 096-371-8806 大分障害者職業センター 874-0905 別府市上野口町3088-170 0977-25-9035 0977-25-9042 宮崎障害者職業センター 880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 0985-26-5226 0985-25-6425 鹿児島障害者職業センター 890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 099-257-9240 099-257-9281 沖縄障害者職業センター 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 098-861-1254 098-861-1116 ■ 広域障害者職業センター一覧 全国の広範な地域から障害者を受け入れ、職業評価、職業指導、職業訓練などの職業リハビリテーションを実施し、その成果に基づく指導技法などを他の障害者職業能力開発校等へ提供しています。 国立職業リハビリテーションセンター(中央障害者職業能力開発校) 359-0042  埼玉県所沢市並木4-2 04-2995-1711 04-2995-1052 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター(吉備高原障害者職業能力開発校) 716-1241  岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 0866-56-9000(音声案内) 0866-56-7636 ■ 都道府県支部 高齢・障害者業務課一覧  高年齢者の雇用に関する相談・援助、高年齢者、障害者雇用に関する助成金の受付、障害者雇用納付金等の申告申請の受付、地方アビリンピックの開催等の業務を行っています。 北海道063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 011-622-3354 青森 030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 017-721-2127 岩手 020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 019-654-2082 宮城 985-8550 多賀城市明月2-2-1 宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 022-361-6291 秋田 010-0101 湯上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 018-873-8090 山形 990-2161 山形市大字漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 023-687-5733 福島 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 024-526-1513 茨城 310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 029-300-1217 栃木 320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内028-650-6226 028-623-0015 群馬 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 027-287-1512 埼玉 336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター本館4階 048-813-1112 048-813-1114 千葉 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 043-204-2901 043-204-2904 東京 130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 03-5638-2282 神奈川241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 045-360-6011 新潟 951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 025-226-6011 025-226-6013 富山 933-0982 高岡市八ヶ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 0766-26-8022 石川 920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 076-627-6084 福井 915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 0778-23-1055 山梨 400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 055-242-3721 長野 381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内026-258-6001 026-243-2077 岐阜 500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 058-265-5823 058-266-5329 静岡 422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 054-280-3623 愛知 460-0023 名古屋市中区錦1-10-1 Mlテラス名古屋伏見4階 052-218-3385 052-218-3389 三重 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 059-213-9270 滋賀 520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 077-537-1215 京都 617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 075-951-7483 大阪 566-0022 摂市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 06-7664-0645 兵庫 661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 06-6431-8220 奈良 634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発センター内 0744-22-5232 0744-22-5234 和歌山640-8483和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 073-462-6810 鳥取 689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 0857-52-8785 島根 690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内0852-60-1677 0852-60-1678 岡山 700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 086-241-0178 広島 730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 082-545-7152 山口 753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 083-995-2051 徳島 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 088-611-2390 香川 761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 087-814-3792 愛媛 791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内  089-905-6780 089-905-6781 高知 780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 088-837-1163 福岡 810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 092-718-1314 佐賀 849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 0952-37-9118 長崎 854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内  0957-35-4721 0957-35-4723 熊本 861-1102 舎志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 096-249-1889 大分 870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 097-522-7256 宮崎 880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 0985-51-1557 鹿児島890-0068鹿児島市東部元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 099-250-5152 沖縄 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 098-941-3301 098-941-3302 ■ 高次脳機能障害支援拠点機関一覧 都道府県等が指定する高次脳機能障害者の支援拠点機関。地域において高次脳機能障害者やその家族等への各種支援のほか普及啓発や研修等を行っています。 出典元:高次脳機能障害情報・支援センターHP「相談窓口の情報」http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/soudan/ 令和元年10月1日現在 国立障害者リハビリテーションセンター 359-8555 所沢市並木4-1 04-2995-3100 北海道大学医学部附属病院 060-8648 札幌市北区北14条西5 011-716-1161 特定非営利活動法人コロポックルさっぽろ 062-0051 札幌市豊平区月寒東1条17-5-39 011-858-5600 特定非営利活動法人Re〜らぶ 003-0023 札幌市白石区南郷通7丁目北5-29 スタジオセブンビル2F 011-868-7844 こころのリカバリー総合支援センター 003-0029 札幌市白石区平和通17丁目北1-13 011-861-6353 北海道渡島保健所 041-8551 函館市美原4-6-16 0138-47-9547 北海道江差保健所 043-0043 檜山郡江差町字本町63 0139-52-1053 北海道八雲保健所 049-3112 二海郡八雲町末広町120 0137-63-2168 北海道江別保健所 069-0811 江別市錦町4-1 011-383-2111 北海道千歳保健所 066-8666 千歳市東雲町4-2 0123-23-3175 北海道倶知安保健所 044-0001 虻田郡倶知安町北1条東2 0136-23-1957 北海道岩内保健所 045-0022 岩内郡岩内町字清住252-1 0135-62-1537 北海道岩見沢保健所 068-8558 岩見沢市8条西5 0126-20-0100 北海道滝川保健所 073-0023 滝川市緑町2-3-31 0125-24-6201 北海道深川保健所 074-0002 深川市2条18-6 0164-22-1421 北海道室蘭保健所 051-8555 室蘭市海岸町1-4-1 0143-24-9847 北海道苫小牧保健所 053-0021 苫小牧市若草町2-2-21 0144-34-4168 北海道浦河保健所 057-0007 浦河郡浦河町東町ちのみ3-1-8 0146-22-3071 北海道静内保健所 056-0005 日高郡新ひだか町静内こうせい町2-8-1 0146-42-0251 北海道上川保健所 079-8610 旭川市永山6条19-1-1 0166-46-5992 北海道名寄保健所 096-0005 名寄市東5条南3-63-38 01654-3-3121 北海道富良野保健所 076-0011 富良野市末広町2-10 0167-23-3161 北海道留萌保健所 077-8585 留萌市住之江町2-1-2 0164-42-8327 北海道稚内保健所 097-8525 稚内市末広4-2-27 0162-33-3703 北海道北見保健所 090-8518 北見市青葉町6-6 0157-24-4171 北海道網走保健所 093-8585 網走市北7条西3 0152-41-0698 北海道紋別保健所 094-8642 紋別市南が丘町1-6 0158-23-3108 北海道帯広保健所 080-8588 帯広市東3条南3-1 0155-26-9084 北海道釧路保健所 085-0826 釧路市城山2-4-22 0154-65-5811 北海道根室保健所 087-0009 根室市弥栄町2-1 0153-23-5161 北海道中標津保健所 086-1001 標津郡中標津町東1条南6-1-3 0153-72-2168 財団法人黎明郷 弘前脳卒中・リハビリテーションセンター 036-8104 弘前市扇町1-2-1 0172-28-8220 公益財団法人シルバーリハビリテーション協会メディカルコート八戸西病院 039-1103 八戸市大字長苗代字中坪77 0178-28-5252 いわてリハビリテーションセンター 020-0503 岩手郡雫石町七ツ森16-243 019-692-5800 宮城県リハビリテーション支援センター 981-1217 名取市美田園2-1-4 まなウエルみやぎ 022-784-3592 東北医科薬科大学病院 983-8512 仙台市宮城野区福室1-12-1 022-259-1221 秋田県立病院機構リハビリテーション・精神医療センター 019-2492 大仙市協和上淀川字五百刈田352 018-892-3751 国立病院機構山形病院 990-0876 山形市行才126-2 023-681-3394 山形県庄内高次脳機能障がい者支援センター (鶴岡協立リハビリテーション病院内) 997-0346 鶴岡市上山添字神明前38 0235-57-5877 一般財団法人脳神経疾患研究所附属 総合南東北病院 963-8563 郡山市八山田7丁目115 024-934-5680 社会医療法人秀公会 あづま脳神経外科病院 960-1101 福島市大森字柳下16-1 024-544-3650 公益財団法人会田病院 969-0213 西白河郡矢吹町本町216 0248-42-2370 一般財団法人竹田健康財団 竹田綜合病院 965-8585 会津若松市山鹿町3-27 0242-29-9898 南相馬市立総合病院 975-0033 南相馬市原町区高見町2丁目54-6 0244-22-3185 公益財団法人ときわ会 常磐病院 972-8322 いわき市常磐上湯長谷町上ノ台57 0246-43-7164 茨城県高次脳機能障害支援センター 300-0394 稲敷郡阿見町阿見4669-2 029-887-2605 栃木県障害者総合相談所 320-8503 宇都宮市駒生町3337-1 028-623-6114 栃木県立リハビリテーションセンター 320-8503 宇都宮市駒生町3337-1 028-623-6101 足利赤十字病院 326-0843 足利市五十部町284-1 0284-21-0121 国際医療福祉大学病院 329-2763 那須塩原市井口537-3 0287-37-2221 栃木県医師会塩原温泉病院 329-2921 那須塩原市塩原1333 0287-32-4111 真岡中央クリニック 321-4337 真岡市上高間木2-24-4 0285-82-2245 リハビリテーション花の舎病院 329-0112 下都賀郡野木町南赤塚1196-1 0280-57-1200 前橋赤十字病院 371-0811 前橋市朝倉町389-1 027-265-3333 埼玉県高次脳機能障害者支援センター (埼玉県総合リハビリテーションセンター内) 362-8567 上尾市西貝塚148-1 048-781-2236 千葉県千葉リハビリテーションセンター 266-0005 千葉市緑区誉田町1-45-2 043-291-1831 旭神経内科リハビリテーション病院 270-0022 松戸市栗ヶ沢789-1 047-385-5566 亀田リハビリテーション病院 296-0041 鴨川市東町 975-2 04-7093-1400 東京都心身障害者福祉センター 162-0823 新宿区神楽河岸1-1 東京都飯田橋庁舎(セントラルプラザ) 12階〜15階 03-3235-2955 神奈川県総合リハビリテーションセンター 243-0121 厚木市七沢516 046-249-2602 新潟県精神保健福祉センター 950-0994 新潟市中央区上所2-2-3 025-280-0114 長野県立総合リハビリテーションセンター 381-8577 長野市下駒沢618-1 026-296-3953 佐久総合病院 384-0301 佐久市臼田197 0267-82-3131 桔梗ヶ原病院 399-6461 塩尻市宗賀1295 0263-54-0012 健和会病院 395-8522 飯田市鼎中平1936 0265-23-3116 富山県リハビリテーション病院・子ども支援センター 931-8517 富山市下飯野36 076-438-2233 石川県リハビリテーションセンター 920-0353 金沢市赤土町二13-1  076-266-2860 福井県高次脳機能障害支援センター(福井総合クリニック内) 910-0067 福井市新田塚1-42-1 0776-21-1300 甲州リハビリテーション病院 406-0032 笛吹市石和町四日市場2031 055-262-3121 社会福祉法人明光会 サポートセンターコンパス北斗 421-1211 静岡市葵区慈悲尾180 054-278-7828 社会福祉法人天竜厚生会 相談支援事業所きずな 434-0015 浜松市浜北区於呂4201-6 053-583-1148 社会福祉法人誠信会 地域生活支援センターせふりー 417-0801 富士市大渕2710-1 0545-32-8830 社会福祉法人農協共済 中伊豆リハビリテーションセンター 障害者生活支援センターなかいずリハ 410-2507 伊豆市冷川1523-108 0558-83-2195 社会福祉法人Mネット東遠 相談支援事業所Mネット 436-0079 菊川市赤土1660-1 0537-29-8970 社会福祉法人十字の園 オリブ 410-3624 賀茂郡松崎町江奈157 0558-43-3131 名古屋市総合リハビリテーションセンター 467-8622 名古屋市瑞穂区弥富町字密柑山1-2 052-835-3811 特定非営利活動法人 高次脳機能障害者支援「笑い太鼓」 高次脳機能障害者支援センター 440-0047 豊橋市東田仲の町57 0532-63-6644 岐阜県精神保健福祉センター(岐阜県障がい者総合センター内) 502-0854 岐阜市鷺山向井2563-18 058-231-9724 木沢記念病院 505-8503 美濃加茂市古井町下古井590 0574-25-2181 三重県身体障害者総合福祉センター 514-0113 津市一身田大古曽670-2 059-231-0155 滋賀県高次脳機能障害支援センター (滋賀県障害者医療福祉相談モール) 525-0072 草津市笠山8-5-130 077-561-3486 京都府リハビリテーション支援センター 602-8566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465 075-221-2611 京都市高次脳機能障害者支援センター (京都市地域リハビリテーション推進センター内) 604-8854 京都市中京区壬生仙念町30 075-823-1658 大阪府高次脳機能障がい相談支援センター (大阪府障がい者自立相談支援センター 身体障がい者支援課) 558-0001 大阪市住吉区大領3-2-36 06-6692-5262 堺市立健康福祉プラザ生活リハビリテーションセンター 590-0808 堺市堺区旭ヶ丘中町4-3-1 072-275-5019 兵庫県立総合リハビリテーションセンター 651-2181 神戸市西区曙町1070 078-927-2727 奈良県障害者総合支援センター 高次脳機能障害支援センター 636-0345 磯城郡田原本町大字多722 0744-32-0205 和歌山県子ども・女性・障害者相談センター 641-0014 和歌山市毛見1437-218 073-441-7070 医療法人十字会 野島病院 高次脳機能センター 682-0863 倉吉市瀬崎町2714-1 0858-27-0205 エスポアール出雲クリニック 693-0051 出雲市小山町361-2 0853-21-9779 松江青葉病院 699-0015 松江市上乃木一丁目2番13号 0852-21-2500 松ヶ丘病院 698-0041 益田市高津四丁目24-10 0856-22-8711 川崎医科大学附属病院 701-0192 倉敷市松島577 086-462-1111 社会福祉法人旭川荘 700-0952 岡山市北区平田407 086-245-7361 広島県立障害者リハビリテーションセンター 739-0036 東広島市西条町田口295-3 082-425-1455 山口県立こころの医療センター 高次脳機能障害支援センター 755-0241 宇部市東岐波4004-2 0836-58-1218 徳島大学病院 770-8503 徳島市蔵本町2-50−1 088-631-3111 かがわ総合リハビリテーションセンター 761-8057 高松市田村町1114 087-867-7686 松山リハビリテーション病院 791-1111 松山市高井町1211 089-975-7431 高知県高次脳機能障害支援拠点センター 青い空 (近森リハビリテーション病院内) 780-0843 高知市廿代町2-22 090-6535-6370 福岡県障がい者リハビリテーションセンター 811-3113 古賀市千鳥3-1-1 092-944-2011 久留米大学病院 830-0011 久留米市旭町67 0942-35-3311 産業医科大学病院 807-8556 北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1 093-603-1611 福岡市立心身障がい福祉センター 810-0072 福岡市中央区長浜1-2-8 092-721-1611 佐賀大学医学部附属病院 849-8501 佐賀市鍋島5-1-1 0952-34-3482 佐賀県高次脳機能障害者相談支援センター ぷらむ (リファイン佐賀敷地内) 849-0924 佐賀市新中町8-20 0952-65-3351 長崎こども・女性・障害者支援センター 852-8114 長崎市橋口町10-22 095-844-5515 社会福祉法人農協共済 別府リハビリテーションセンター 874-8611 別府市鶴見1026-10 0977-67-1711 諏訪の杜病院 870-0945 大分市大字津守888-6 097-567-1277 熊本県高次脳機能障害支援センター 862-0924 熊本市中央区帯山8-2-1 096-381-5142 宮崎県身体障害者相談センター(宮崎県総合保健センター内) 880-0032 宮崎市霧島1-1-2 0985-29-2556 鹿児島県高次脳機能障害者支援センター (鹿児島県精神保健福祉センター内) 890-0021 鹿児島市小野1-1-1 099-228-9568 沖縄リハビリテーションセンター病院 904-2173 沖縄市比屋根2-15-1 098-982-1777 平安病院 901-2553 浦添市字経塚346 098-877-6467 上記の地域障害者職業センターや高次脳機能障害支援拠点機関のほかに、「障害者就業・生活支援センター」が障害者の身近な地域において、雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携拠点として、就業面及び生活面における一体的な相談支援を実施しています。 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業の紹介 〜ジョブコーチ支援事業とは〜  障害者が円滑に職場へ適応することができるように、ジョブコーチが職場に出向き、障害者本人と事業主や職場の従業員に対してきめ細かな人的支援を行う事業です。  地域障害者職業センターに所属するジョブコーチと社会福祉法人などに所属するジョブコーチがあり、必要に応じて両者が連携して支援を行います。  また、事業主が自ら雇用する障害者(在職者)のために、ジョブコーチを配置することもできます。 ○支援の契機 雇用の前後を問わず、必要なタイミングで支援を行います。 (例 :@不安の軽減や作業手順を習得するために雇入れと同時に支援を開始。A配置転換や人事異動といった職場環境の変化により職場適応上の課題が生じたため雇用後の支援を開始。B職場復帰に当たって疲労への対処や作業の進め方を確立するとともに指導担当者や周囲の従業員が障害特性を把握して適切に関われるようにするため支援を開始。) ○支援の内容  障害者自身に対する支援はもとより、事業主や職場の上司、同僚などに対しても、障害者の職場適応に必要な助言を行い、また、必要に応じて職務や職場環境の改善を提案します。 ジョブコーチ 事業主(管理監督者・人事担当者) ●障害特性に配慮した雇用管理に関する支援 ●配置、職務内容の設定に関する支援 上司・同僚 ●障害の理解に係る社内啓発 ●障害者との関わり方に関する助言 ●指導方法に関する助言 障害者 ●職務の遂行に関する支援 ●職場内のコミュニケーション関する支援 ●体調や生活リズムの管理に関する支援 家 族 ●安定した職業生活を送るための家族の関わり方に関する助言 ○実施期間 個別に必要な期間を設定します(標準は2〜4か月程度)。 職場適応上の課題が改善され、職場の上司や同僚からの支援が適切に行われるようになった段階で支援が終了となります。 支援終了後は、必要なフォローアップを行います。 集中支援 職場適応上の課題や事業所の環境整備等について集中的に改善を図る 週3〜4日訪問 移行支援 支援ノウハウの伝授やキーパーソンの育成により、支援の主体を徐々に職場に移行 週1〜2日訪問 フォローアップ 支援終了時の課題に応じ数週間〜数か月に一度訪問 個別に必要な支援期間を設定 障害者雇用に役立つ資料 (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業主や事業主団体の方々に対し、障害者の雇入れに当たっての工夫・改善、障害者が能力を発揮して活躍するための実践的なマニュアルや好事例集等の提供のほか、障害者雇用に関するDVD等の貸出しを行っておりますのでご活用ください。 ●マニュアル/事例集等 はじめからわかる障害者雇用 〜事業主のためのQ&A 集〜 障害者雇用の知識や関連情報、具体的方策を30のQ&Aを通じてわかりやすく解説したQ&A集 コミック版 障害者雇用マニュアル1〜6 障害者雇用に関する問題点の解消のためのノウハウや具体的な雇用事例を、障害別にコミック形式でまとめたマニュアル マニュアル等の資料はホームページからダウンロードできます。(PDFファイルまたはTEXTファイル) 障害者雇用資料 検索 ●障害者雇用事例リファレンスサービス 積極的に障害者雇用の取組みを行っている全国の事業所の事例をデータベースに蓄積し、「障害者雇用事例リファレンスサービス」として紹介しています。 https://www.ref.jeed.go.jp/ ●障害者雇用支援人材ネットワークシステム  障害者雇用に関し、労務管理、医療、建築など様々な分野の専門家、「障害者雇用管理サポータ」が、企業の皆様のご相談に応じ、支援を行っています。  障害者雇用管理サポータは「障害者雇用支援人材ネットワークシステム」で検索できます。 https://shienjinzai.jeed.go.jp/ ●DVDの貸出し 障害者雇用事業所の取組みをビデオ・DVDにまとめ事業所に貸出しています。貸出しの概要・リストは、ホームページに掲載しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/dvd/index.html お問合わせ先 ●マニュアル・事例集等 ●障害者雇用事例リファレンスサービス ●障害者雇用支援人材ネットワークシステム 雇用開発推進部 雇用開発課 TEL : 043-297-9513 FAX : 043-297-9547 ● DVDの貸出しについて 中央障害者雇用情報センター TEL : 03-5638-2792 FAX : 03-5638-2282 「障害者雇用マニュアルコミック版 高次脳機能障害者と働く」制作委員会委員名簿 (五十音順 敬称略) (所属・役職は平成25年12月時点) 青木 重陽 神奈川県総合リハビリテーションセンター 地域支援センター 高次脳機能障害支援室室長 安房 竜矢 埼玉障害者職業センター 主任障害者職業カウンセラー 植村 友一 株式会社明光ネットワークジャパン 人事部長 小畑 誓子 株式会社東京ドーム 人事部キャリア開発 (座長)寺島 彰 浦和大学 総合福祉学部教授 中島 光喜 千葉県千葉リハビリテーションセンター 障害者支援施設更生園 就労支援員 引用・参考文献一覧 高次脳機能障害者生活実態調査実行委員会 編 (2009) 高次脳機能障害者生活実態調査報告書 NPO法人日本脳外傷友の会 国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター (http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/) 田谷勝夫 編(2010) Monthly Book Medical Rehabilitation No.119 高次脳機能障害者の就労支援 全日本病院出版会 和田義明 著(2012) リハビリスタッフ・支援者のためのやさしくわかる高次脳機能障害 秀和システム 障害者職業総合センター職業センター(2006) 支援マニュアルNo.1 高次脳機能障害の方への就労支援 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター(2008) 実践報告書No.21 高次脳機能障害者に対する支援プログラム〜家族支援の視点から〜 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター(2012) 実践報告書No.25 高次脳機能障害者に対する職場復帰支援−失語症のある高次脳機能障害者への支援− 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(2018) はじめからわかる障害者雇用 事業主のためのQ&A集 障害者雇用マニュアル コミック版 6 高次脳機能障害者と働く 令和2年2月版 企画・発行:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3(障害者職業総合センター内) TEL 043-297-9513(雇用開発推進部) FAX 043-297-9547 HP https://www.jeed.go.jp/ 誰もが職業をとおして社会参加できる「共生社会」を目指しています。 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構