令和6年度版就業支援ハンドブック 障害者の就業支援に取り組む方のために 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 はじめに  本書は、平成19年8月に厚生労働省が取りまとめた「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会」の報告書での就業支援に関する基本的な知識・ノウハウを体系的に学べるテキストの必要性の指摘を受け、当機構の障害者職業総合センター(千葉市)において実施してきた人材育成事業、支援技法等の研究・開発の成果および各都道府県に設置している地域障害者職業センターでの障害者、企業に対する支援の実践を基に、平成21年3月、就業支援に関する入門書として発行された。  本書の構成としては、外部の有識者、実践者の方々から内容や構成等についてのご意見を伺ったうえで、障害者職業総合センターに設置した作成委員会において、これから就業支援の知識、経験を深めようという方が読み進めやすい内容、構成とした。  第1章では実践に直接結びつきやすい内容として、具体的な支援方法、支援のポイント等、支援ノウハウについてまとめ、第2章はそれを踏まえた就業支援機関における実際の支援事例をご紹介している。さらに、実践に向けた支援ノウハウの理解がより確実に行えるよう、第3章においては就業支援における基本的な考え方について解説している。また、第4章においては実践の広がりに応じて必要となるであろう各障害に関する諸特性や就業支援に関連する制度等を概括している。  なお、本書においては、用語はできる限り統一することとした。 本書のタイトルも含め、「就業支援」という用語を使用しているが、これは、企業における雇用に向けた支援、企業での雇用の継続のための支援を指すものとして使用している。「就労支援」、「職業リハビリテーション」といった用語と厳密に区別している訳ではないが、「就労支援」は、雇用関係の成立を前提としない福祉施設等での活動も含むイメージもあること、「職業リハビリテーション」は、福祉、医療、教育等の分野の方には馴染みが薄い場合もあることから、本書では基本的には「就業支援」に統一することとしている。また、雇用の場面は民間企業に限られるものではなく、地方公共団体、学校等も含めた広い場面が想定されるが、本書においては、これら雇用される場を「企業」と総称している。  今般、昨年度に引き続き「就業支援ハンドブック」を発行した。本書が就業支援の入門書として、各分野での障害者の就業支援に携わり始めた方、これから携わろうとする方の道しるべとなり、さらには、実際の支援を行う中で、戸惑い、迷った場合などに、基本に立ち返り見直しを行う際のきっかけの書となれば幸いである。  最後になったが、今般の改訂作業等にも精力的なご協力をいただいた執筆者の皆様のご協力があってこそ本書の発行に至ることができた。厚く御礼を申し上げる次第である。 令和6年2月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 就業支援ハンドブック 目次 第1章 就業支援のプロセスと手法 第1節 就業支援のプロセス2 第2節 職業に関する方向付けのための支援(インテークからプランニング) 9第3節 職業準備性の向上のための支援27     ■コラム①障害者職業能力開発校の活用について34 第4節 就職から雇用継続に向けた支援35     ■コラム②ハローワークのサービスの効果的な活用38     ■コラム③地域障害者職業センターにおける『関係機関に対する 職業リハビリテーションに関する助言・援助』の活用について92 第2章 就業支援の実際(事例) 第1節 障害者就業・生活支援センターにおける支援の実際94 第2節 就労移行支援事業所における支援の実際106     ■コラム④地域障害者職業センターにおける障害者支援について118 第3節 特別支援学校における支援の実際121     ■コラム⑤働く障害者の声132 第3章 就業支援に必要な考え方 第1節 就業支援とは136     ■コラム⑥職業リハビリテーション138     ■コラム⑦キャリア発達143     ●さらなる理解のために      障害構造の理解149      リハビリテーション150      リハビリテーションカウンセリング151 第2節 企業の視点の理解152 第3節 就業支援と支援ネットワーク169     ■コラム⑧福祉施策と就業支援181 第4章 就業支援に必要な知識 第1節 障害特性と職業的課題186 第2節 障害者雇用に関する制度の概要247     ■コラム⑨障害者雇用と就業支援の歴史269 資料 参考図書・参考資料一覧271 索引 事項索引… 281    逆引き索引「こんな時どうしよう」286