障害者雇用管理等講習資料シリーズ No.179 医療・介護業における障害者の雇用促進について 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構  ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、障害者の雇用を促進するため、事業所の方々を対象に雇用管理講習会やセミナーを開催しております。  この小冊子は、これら講習会の内容をテーマ別に分冊として編集し、「障害者雇用管理等講習資料シリーズ」としたものです。  この冊子が事業主、関係機関等の皆様方に活用され、障害者の雇用促進および雇用管理の向上のための参考資料として役立てていただければ幸いです。 平成25年1月 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 1 障害者雇用促進法のポイントと事業主が活用できる障害者雇用支援   制度 1 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構    中央障害者雇用情報センター     障害者雇用エキスパート 名田  敬 2 特別支援学校における医療・福祉分野への企業就労に向けた取組み   と職場定着支援 13    横浜市立二つ橋高等特別支援学校     進路専任主幹教諭 犬山 貴文 3 当院における障害者雇用の取組み 24    医療法人社団 愛友会 上尾中央総合病院     人事課長 七島 清高 4 医療・介護業における障害者雇用支援の事例 36    独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構    千葉障害者職業センター     上席障害者職業カウンセラー  中村 孝志 5 質疑応答 46  本稿は平成23年11月15日に当機構が主催した平成23年度産業別雇用促進講習の講演を加筆・修正したものです。  ------------------------------------------------------------------------------------------------------------  障害者雇用促進法のポイントと事業主が活用できる障害者雇用支援制度」              (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 中央障害者雇用情報センター障害者雇用エキスパート 名  田   敬  1.障害者雇用促進法  障害者雇用促進法は、1960年に身体障害者のみを対象とした身体障害者雇用促進法として施行されたのが始まりとされています。その当時、障害者の雇用は努力義務でしたが1976年に義務化されました。これにともない雇用率制度がスタートしたということです。1988年に、身体障害者以外の知的障害者、精神障害者、いわゆる3障害を対象とした障害者雇用促進法に模様替えされ、施行されました。また同時に、知的障害者が実雇用率の対象になりました。「実雇用率の対象にする」ということは、法定雇用率の対象にはなっていないが、事業主が知的障害者を雇用していれば、身体障害者を雇用したことと同様と見なし、雇用率の対象としていいということです。更にその10年後には、知的障害者の雇用が義務化され、その後も様々な改正等がなされました。  最新の改正では、2010年、短時間労働者に対する雇用率の0.5ポイントの適用、中小企業を対象とした納付金の徴収開始、除外率の第2段カットがなされました。その結果、本日お集まりの医療業は、改正前40%の除外率でしたが、10%ポイント引き下げられ30%になりました。医療業に従事されている皆様にとってみれば、非常に大きな影響があった改正といえるかと思います。  また、この法律のポイントですが、雇用の義務化と納付金制度が挙げられます。現在雇用の義務化の対象になっている障害は、身体障害と知的障害、この2つの障害を対象としています。法定雇用率は算定式があり、分母は常用労働者数から除外率設定業種の場合は除外率相当の労働者数を差し引き、求職者(失業中の方々)をプラスした数値となります。分子は雇用を義務化された身体障害者と知的障害者の常用労働障害者数に、それぞれの障害者の求職者数を加算した数値を当てはめ、その結果が1.8%になります。  当然、それぞれの実数は、毎年流動しますので、この法律では、5年ごとに見直しをすることになっています。4年前の見直しでは特に大きな変動がなく雇用率は変更なしということになりましたが、次回の見直し時の来年に実数を当てはめるとどうなるのかが問題です。先の法改正の結果、週20時間〜週30時間未満の障害者(短時間労働者)が、それぞれ分母と分子に加わることで、当然数値が変動しますので、結果として雇用率が変わる可能性があります。  また、精神障害者を雇用されている事業主もいらっしゃるかと思います。精神障害者は雇用義務の対象になっていませんが、実雇用率としてカウントの対象にしてよいという制度が、2006年4月にスタートしています。知的障害者のケースでは、実雇用率をカウント対象とする制度の実施から10年後に雇用の義務化がなされました。2006年のスタートの際に、精神障害者は、知的障害者の時ほど時間を掛けずに雇用の義務化をしようという考え方で国会決議がなされております。恐らく次回の見直しでは、精神障害者の雇用の義務化について論議され、義務化される可能性があるとお考えください。雇用が義務化されれば、法定雇用率の算定式の分子に精神障害者が加わり分子が増えるため、法定雇用率は当然アップします。4年前、ある機関が試算した結果、2.0%くらいにアップするとの情報が示されたため、大手民間企業では、2.0%達成を目標に実雇用率を高めようとする動きが非常に強くなっています。  その他、この法律のポイントとして、重度障害者は2人雇用する扱いにするという「ダブルカウント制」と、別法人は、親会社に合算することは本来できませんが、一定の要件を満たした場合特例扱いで親会社に合算していいという「特例子会社制度」があります。また未達成企業に対しての行政指導は、非常に厳しくなってきています。お集まりの企業の中にも、行政指導を受け、3年で雇用率を達成するための計画書(3ヵ年計画)を提出されている事業主がいらっしゃるかも知れません。今年新たにこの指導対象になると、2年で達成しなさいというものに変わります。行政指導がより厳しくなるということです。  未達成企業から納付金を徴収し、これを財源として、障害者雇用を進める事業主に対して助成金を支給するという制度構成になっています。加えて、法定雇用率以上に障害者を雇用している場合には、納付金徴収とは逆に調整金を支給しています。納付金財源の収支を見ますと、近年実雇用率がどんどん改善しているため、収入はどんどん減っている一方、雇用が進めば、助成金、調整金が発生していきますので支出が増えます。つまり、収支の赤字が数年前から進んでいるのです。現在は、過去の積立金で何とか保っておりますが、もう保ちません。数年でパンクする状況に陥っています。 2.企業の障害者雇用  障害者数(3障害)は740万人で人口の約6%です。この数字は、国際的に見ると、非常に少ないものといえます。今年、WHOは障害者が全世界の人口の約15%存在すると発表しています。アメリカでは、18%〜20%弱いるともいわれています。各国で障害者の定義が異なりますので、単純に比較はできませんが、日本の6%という数字は少ないと考えていただいてよろしいかと思います。740万人の中で雇用対象になる就労年齢対象の方々は、330万人で半分以下に減ります。とりわけ身体障害者は、全体の360万人のうち120万人と約3分の1です。一方、精神障害者は、320万人のうち180万人です。これは就労年齢対象者だけを見ると、身体障害者、知的障害者を合わせた数字よりも多いということになります。この点が非常に注目すべきポイントです。  平成23年6月1日現在の障害者の雇用状況報告の結果はまだ発表されておりませんので、昨年度の数字ではありますが、34万人です。ただし、ダブルカウント等がありますので、頭数である実数に直すと25万人です。実雇用率は1.68%で、2004年以降は毎年のように0.03から0.05ポイント上がっております。事業主による障害者雇用の取組みは進んでおり、行政指導も厳しくなっているということだと思います。なお2003年は1.48%でしたが、2004年は1.46%に下がっています。これには理由があります。除外率の引き下げです。除外率が初めて引き下げられた結果、障害者雇用の全体数が1万1千人増えたにも関わらず、雇用率は減りました。つまり除外率カットの影響は、非常に大きいのです。現在、医療業で適用されている除外率30%も、いずれゼロにする方針が決まっております。除外率ゼロを前提にして、雇用率1.8%を超えるように障害者雇用に取り組んでいただく必要があるということです。この法定雇用率1.8%という数字では従業員56人以上の企業だけが雇用義務の対象となります。国では、5年に1度障害者雇用の実態調査を行っています。最新の数字は2008年の数字で、障害者の雇用総数が45万人弱となっています。従業員5人以上の企業を対象とした調査ですが、国は5年後の2013年に64万人にするという目標を考えています。あと2年で20万人です。当然行政指導を含めて、厳しく指導がなされていくということが予想されます。 3.障害者雇用市場  障害者雇用市場も市場原理が働きます。地域別では、東京を中心にした首都圏のような大都市圏と地方圏では、全く構造が異なります。大都市圏では、障害者が足りないという売り手市場になっています。他方、地方圏では、障害者雇用の義務のない会社、あるいは障害者雇用の義務があっても1人2人というような中小企業が中心であるため、障害者が余剰で買い手市場となっています。大都市圏においては、障害者に対するニーズが非常に大きく、障害者の奪い合いです。他方、事業主の方が一番ほしい身体障害者は、重度化、高齢化しています。つまりアンマッチ、アンバランスな構造の中で、障害者が事業主を選んでいるという状況です。  事業主の規模別では、大企業が1.90%です。大企業の場合、ホームページ上でCSRレポートを開示している企業が増えており、その中で、障害者雇用率も開示している企業が増えています。当然、障害者雇用率に言及すれば、1.8%以下では法律違反ですということを認めることになりますから、大企業は障害者雇用を積極的に進めています。  他方、中小企業は納付金を納める義務がないこと、大企業が障害者を囲い込んでいることの影響から、雇用率が低迷しているという状況です。  産業別では、医療福祉業は実雇用率2.02%で、全体の中では非常に高い状況です。 4.障害者の職業別就職状況  昨年度のハローワークの職業紹介による就職件数を絶対数で見ると、常用労働だけではなく有期雇用の短期間の方も含まれますが、5万3千人です。この中で注目すべきは、精神障害者が27.5%を占めていることで、精神障害者の占める割合が年々増えています。最新のデータは、今年度7月までの数字となりますが、精神障害者の割合が29%と、昨年よりも増えています。この傾向は変わっていませんので、今後とも増えることが予想されます。  どういう職業に就いているのかをみると、3障害ともに一番多いのは生産労務職で、身体障害者で約3分の1以上を占め、知的障害者は3分の2、精神障害者でも45%です。身体障害者の場合、事務職が約3割、専門技能職が14%弱です。精神障害者では、事務職に20%就いています。専門技能職にも10%いらっしゃいます。合わせると30%が事務・専門職の職域に就いています。つまり、精神障害者の職域は特定の職域に限定されないと言えます。「精神障害者は、このような仕事に就けない」という決め方は誤りであると思います。 5.障害の種類と手帳制度  身体障害者は、手帳の等級で1級2級が重度になります。種類別に見ますと、肢体不自由者が半数を占め、次いで内部障害者が増えており、3割を超えています。聴覚、視覚障害者が多くないということと、少子高齢化がポイントとなります。身体障害者は中高年齢者と考えていただいた方がよいと思います。身体障害者は適切な配慮さえすれば、健常者と変わらない仕事に就けます。  知的障害者には、一般に療育手帳という手帳制度があります。都道府県で名称は異なり、東京では愛の手帳といいます。重度と重度以外で分かれており、愛の手帳では3・4度が重度以外、1・2度が重度という扱いです。  精神障害者の場合は、就労上の重度扱いという区分がありません。手帳は1級から3級に分かれています。精神障害と言っても、精神疾患と言われる統合失調症、気分障害等以外にも、てんかんや発達障害者も手帳の対象になっています。精神疾患の方を中心にして、短時間勤務からスタートしていかないと定着に結び付き難いというところに留意する必要があります。 6.障害者雇用支援制度  1番目にジョブコーチ制度があります。これは、職業センターが窓口になります。ジョブコーチは事業主と障害者双方をサポートします。事業主に対しては、障害者の特性、並びにどういう指導をすればいいのか、その接し方を助言する立場です。障害者に対しては、職場におけるルール、マナー等を教え、実際に仕事をどのように進めていいのかを助言、サポートする支援を行っています。この制度は、2002年の法改正を受けてスタートしました。職場定着率は、支援を終了して半年後で、約90%です。安定して働き続けていただくための支援として非常に効果のある制度だとご理解ください。  次のトライアル雇用制度はハローワークが行っている制度で、正式雇用を前提としていますが、その前段階として最長3ヶ月の期限を限定した雇用です。期限限定の雇用ですから、残念ながら本雇用には移れませんという結果になっても、解雇扱いにはならず自動退職となり、事業主に対してペナルティを発生させないとするものです。期間内に障害者の就労能力を見極めるという制度でもあります。トライアル雇用を利用した結果、9割近くの方々が正式雇用に移行しています。トライアル雇用は予算化されていますので、今年度の対象者は全国で9千人と限定されます。成果が効果的であるため、ニーズは非常に高く、年度末に近づくと事業主が希望されても枠がない場合があります。トライアル雇用を通じて正式雇用を目指すことを早めに検討していただければと思います。また、トライアル雇用は基本的に週20時間以上の雇用保険の対象になる方々が対象になる訳ですが、精神障害者の場合、ストレス等を非常に抱えやすく、当初からフルタイムでの就労が困難な方々が多くいらっしゃいます。特性に合わせて、精神障害者だけを対象にしたステップアップ雇用制度があります。これは週20時間未満でスタートし、3ヶ月から12ヶ月掛けて週20時間に高めようという制度です。精神障害者だけを対象としたトライアル雇用制度の応用版と言えるような制度です。  知的障害者、精神障害者、発達障害者等は、身体障害者と異なり就労能力の見極めが非常に困難で、面接だけでは分からない部分が多くあります。それだけにトライアル雇用制度の対象になり、うまく正式雇用に移行しているということでもありますが、その前段階で見極めをする制度もあります。委託訓練はハローワークが窓口になる制度です。就労支援機関による独自の実習制度もあります。また、このあとご説明いただく二つ橋高等特別支援学校等の特別支援学校による実習制度もあります。特別支援学校の実習は、新卒採用を対象とするような事業主にとっては、就労能力を見極めることができるものです。是非、特別支援学校の実習制度というのも検討していただければと思います。  それ以外に助成金制度があります。助成金制度を大きく分けると、雇用保険に基づく助成金と納付金制度に基づく助成金があります。前者はハローワークが窓口です。この主たるものとしては特定求職者雇用開発助成金があります。中小企業と中小企業以外で適用させる助成期間並びに助成金額が異なっており、中小企業が非常に優遇されております。納付金制度に基づく助成金は、当機構が窓口になります。これは施設改善や、障害者に介助者を配置したい、障害者に対して特別な通勤対策を行いたい等への助成措置です。 7.障害者雇用支援機関  左に障害者、右に企業となっておりますが、事業主と障害者の間に立つのがハローワークを中心にした雇用支援機関です。左の供給サイドを見ますと、失業中の離職者、特別支援学校で現在勉強中の方々、就労移行支援事業(従来授産施設と言われていた障害者の福祉施設)にいる方々、企業就労に向けて訓練を受けている方々がいらっしゃいます。ハローワークが中心となり、求人と求職者のマッチングを行っており、職業センターでは、障害者に対する職業リハビリテーションを行っています。障害者を対象にした職業能力開発校もあります。東京は小平、首都圏では所沢や相模原にあります。ここでは、半年から2年間をかけ、専門的な技能訓練を受けた能力の高い方々を雇用へ送り出そうとしています。2002年の法改正でできた障害者就業・生活支援センターは、単なる就労支援だけでは済まない方を対象に生活面の支援を一体的に支援するという支援センターです。この支援センターは全国にありますが、国の制度である支援センター以外にも、各都道府県で同種の事業を行っています。東京では、23区すべてにあり、都内全域では、区、市合わせて50か所超えているかと思います。地域の雇用支援センターでも同様な事業を行っています。中央障害者雇用情報センターは、事業主の雇用相談、採用から退職に至るまでのあらゆる雇用相談について、私どもエキスパートが相談を扱っております。また就労支援機器の貸出しも行う他、雇用事例の紹介としてホームページ上で1千社を超える事例の紹介も行っております。  障害者雇用は、企業全体で進めなければなかなか進まないものです。いかに人事窓口の方々が熱意を持って進めようとしても、受け入れる部門の協力がなければ進みません。経営トップのリーダーシップは非常に重要です。これで成功した典型例は、ユニクロのカリスマ経営者、柳井さんです。  ユニクロも2001年当初は実雇用率1.3%くらいで、ハローワークから雇用指導を受けるような状況でした。そこで、柳井さんが幹部との経営会議の中で障害者雇用をどうするか、従来通り納付金を払う形で続けるか、雇用率に必要なだけの障害者を雇用するか、あるいは徹底的に障害者雇用をやるのか、いろいろと話をした結果、結論としてすべての店舗で障害者を雇用しようと決めました。その結果、半年後に各店舗での雇用が進み、一挙に雇用率は6%になりました。ユニクロの場合は、障害者の受け皿となるような、各店舗でのバックヤードの作業、商品の荷さばき作業、店舗での清掃というような職域が作り出せたということが大きかったと思うのですが、現在、ユニクロでは、知的障害者が4分の3を占めております。雇用率は最高で8%を超えましたが、その後、雇用する労働者数が増えたので、今現在、7%台だと思います。ユニクロは、そのような努力をされた企業です。障害者が働ける職域の開拓が必要です。身体障害者はどんな職域でも健常者と変わらずにできますが、知的障害者や精神障害者、発達障害者は、なかなかそういう訳にはいきません。知的障害者であれば、軽作業や事務補助的な作業を作り出す必要があります。精神障害者であれば、いろいろな判断能力や認知機能にどうしても障害を伴っているので、定型的な事務作業の職域を作るような企業の努力が必要になってきます。  次に障害の有無に関係しないオープンな職場環境づくりも非常に重要です。障害に対する正しい理解が必要です。障害者は、自分からコミュニケーションを取りづらい、抱えている問題について周りの方々になかなか言い出せない方々が多くいらっしゃいます。企業内で何でも話し合える雰囲気作り、定期的にコミュニケーションの場を設けるといった努力が必要になります。いずれにしても、支援制度、助成金、支援機関の活用が、今後の障害者雇用において最も重要なポイントになると思います。実習制度、トライアル雇用制度、ジョブコーチ制度、生産性が劣る障害者については生産性の劣る部分について補てんする助成金の活用、支援機関との連携、中央障害者雇用情報センターの活用等です。   障害者雇用促進法は、今後とも改正が予定されています。国の障害者雇用施策に応じて、法律は改正されます。過去を見ても数年おきに改正されています。現在、最も大きなテーマは、障害者権利条約です。日本も署名していますが、まだ批准していません。すでに100カ国以上が批准しており日本は遅れているといえます。批准は待ったなしで、今そのための作業を進めています。権利条約が批准されれば、雇用促進法の改正が必要になってきます。  精神障害者の雇用の義務化等々、雇用率の見直し作業も考えられますので、事業主にとっては非常に厳しくなる可能性があります。特に医療業は、除外率がいずれゼロになるという前提での取組みで、検討していただきたいと思います。  また障害者の雇用管理が非常に重要なのですが、本日は触れる時間がございません。採用はあくまで始まりでしかありません。いろいろ雇用管理で分からない点、問題等抱えましたら、遠慮なく支援機関、私どもも含めて利用していただければ幸いに存じます。  「特別支援学校における医療・福祉分野への企業就労に                 向けた取組みと職場定着支援」                     横浜市立二つ橋高等特別支援学校 進路専任主幹教論  犬山 貴文   私の話からは、知的障害の職業教育に特化した学校があり、卒業後は企業のコンプライアンスの範囲の中で就労を目指している生徒たちがいるということ、障害者の雇用計画の1つの手立てとして、そういう方法もあるということを知っていただければ、と思っております。 1.障害と特別支援教育  身体障害、知的障害、精神障害と3つの障害があるという説明は、先程の話にもありましたが、障害のある方と障害者とは違います。障害者雇用で扱う障害者というのは、あくまでも手帳を取得されている方という意味です。ところが、特別支援学校に通っている生徒たちがすべて手帳を持っているというわけではありません。いろいろな障害、あるいは、支援の必要性があるので特別支援学校に通い必要な教育を受けているということですので、必ずしも手帳があるとは限らないのですが、企業就労を目指す上では、当然手帳が必要となってきますので、当校の生徒は100%手帳を取得しております。特別支援学校というのも、障害児教育・特殊教育と言ったものが、平成19年に文部科学省で特別支援教育と変わった新しい言葉です。盲学校、聾学校、養護学校という言葉の方が、皆様も馴染みがあるのではないかと思います。  3つの障害と学校教育を照らし合わせてみますと、視覚障害は盲特別支援学校、聴覚障害はろう特別支援学校です。そして、肢体不自由や病弱・内部障害のように、本来身体障害者手帳を取得できる方たちも特別支援学校で勉強しています。子どもの場合には、アレルギーの重いケースも病弱の枠組みの中に入っているのです。本日は医療関係者の皆様がお集まりですから、病院から学校に通っているケースもご承知かと思います。知的障害は、単純な知的の遅れやダウン症、自閉症の方が知的障害の手帳を取得している可能性があります。最近よく聞く発達障害は、発達障害としての手帳はありません。知的障害の手帳で、一部カバーをしているところ、精神障害の手帳を取得するところなど、自治体によって、非常にファジーな状態ではないかと思います。また精神障害専門の特別支援学校というのはほとんどありません。神奈川県には県立こども医療センターという医療機関があり、県立南養護学校に精神障害のある生徒が一部いますが、今までは学齢期、18歳未満で精神障害の手帳を取ることはほとんどなかったのです。それが近年、ほんのわずかですが、学齢期から精神障害の手帳を取得するケースがちらほらあると聞いています。ただご承知のとおり、精神障害には他の障害と違い、治る可能性があるので、2年ごとに手帳の更新があります。ここのところを一つ整理して押さえていきたいと思います。  当校は、知的障害の特別支援学校ですので、知的障害のことに触れておきます。我々は生活年齢において、1年1年、年を取っていきます。生活年齢が20歳の時に知的な年齢が20歳相応のレベルであれば、20分の20で、IQ100となります。もし、20歳で10歳程度の知的な発達しかないとするならば、IQ50となります。我々は、10歳の時には10歳相応の知的な発達をして、ある一定の成人の期間を維持し、年を取ると知的な力も段々劣って行きます。それに比べて知的障害者は、発達が大変緩やかで加齢とともに衰えも早いといわれています。ところが、知的障害というのは、18歳未満に発症しているということが、1つの条件になっています。ですから、事故等で脳に損傷を受けて、そこから後天的に遅れが見られた場合は、知的障害の手帳は取れないのです。また、認知症のように加齢とともに知的な力が弱まった場合も、知的障害の手帳は当然取れない訳です。私は今年で52歳となり32年間毎日仕事はさぼってもお酒を飲むことは欠かさずに来ておりますので、もしかしたら脳細胞が委縮し、IQ60くらいに落ちているかもしれないのです。でも18歳未満から知的の遅れが見られた訳ではないので、今IQ60、70だったとしても、私は知的障害の手帳は取れない訳です。あくまでも18歳未満に発症しているということが1つの条件なのです。手帳の等級は、東京では1・2・3・4度、私がおります横浜はA1・A2・B1・B2となっています。IQが概ね70程度よりも下回った場合を知的障害と呼んでいるのですが、東京や横浜では、IQ75以下まで手帳を発行しています。横浜においては、IQが75を超え91未満の知的にはボーダーラインの方で、発達障害を併せ持つ学齢期の方については、自閉症特例として知的障害の手帳を発行するということになっています。  知的障害の比較的軽い方、東京でいえば4度、横浜でいえばB2の方を集めて、企業就労に特化した職業教育を展開している特別支援学校があります。本日は、東京、千葉、埼玉、神奈川辺りの関係者様がご出席と伺っておりますが、東京では永福学園、青峰学園、南大沢学園、千葉では流山学園、埼玉ではさいたま桜高等学園、そして、横浜では日野中央高等特別支援学校と私の二つ橋高等特別支援学校がそれにあたります。こういった特別支援学校高等部の卒業後の進路としては、企業就労のほか、福祉的就労や福祉サービス、例えば就労支援型事業所を利用する方もいます。それから、職業訓練機関や進学、在宅となる方も一部いるのです。このように、企業就労に特化した特別支援学校があるということを知っておいてください。  知的障害者が企業就労する場合、どんな仕事ができるのだろうかということですが、私は、年間で200〜300社弱の企業様を訪問していますが、いまだかつて、A1や1度の方が働いているのを見たことはないです。やはり、知的障害があまりに重い方は企業で働くのは非常に難しいだろうと思います。A2や2度になりますと、ほんの少しですが、清掃、製造業、軽作業などで働いているところを見ます。B2、3度になりますと、かなり取り組める仕事が増えてくると思いますが、医療・介護関係となりますと、知的障害の軽い方が向いている職域かと考えております。そういった中で、1つの例として当校の事例を紹介していきたいと思います。 2.二つ橋高等特別支援学校  当校は、知的障害の特別支援学校の高等部普通科です。職業科で展開している学校もあります。横浜市内在住の生徒を入学選抜して、きちんと就労できる力を持っているだろうか、3年間で就職できるように育てられる可能性があるだろうかといったことを見極めて入学させています。生徒数は、1学年50名程度です。他県には、1学年100名、80名と当校より大きい学校もあります。共通しているのは、卒業後は障害者雇用の枠の中での企業就労を目指していることです。  当校の学校教育目標は3つあります。その1つ目に「働く」ということがあります。高校の工業科や商業科でも、学校教育目標の1つ目を「働く」としているのは珍しいのです。それくらい当校においては、卒業後の就労を意識した職業教育を展開しているということです。  指導・支援の重点の2番目に「社会ニーズに応じた職業教育を進めます」と書いています。障害者雇用促進法の充実とともにすべての事業主に障害者の雇用が義務づけられ、サービス業だから雇用しなくていい、難しい仕事だからしなくていいということはない訳です。すべての事業主からのニーズにどう応えるかということで、今までは知的障害者が入り込むには非常に難しいのではないかとされてきた仕事にもあえて就労できるような教育内容を設定しております。  職業教育の中身としては、国語、数学、理科、社会などの一般教科に加えて、職業の授業があります。当校では5科目あり、職業基礎、情報文化、人間福祉、流通・サービス、環境・園芸という少々聞き慣れないオリジナルな名称を付けています。職業基礎では、ビジネスマナーや面接の受け方、履歴書の書き方のほか、将来社会人となり給与振込になった場合のATMの使い方や口座開設の仕方など、世の中に出ていく上で必要なあらゆる基礎知識を勉強します。残り4科目は専門的分野に特化したコースです。情報文化では、パソコンスキルを高めて、パソコン業務に取り組めるようにしています。ほとんどの生徒が、ワード、エクセル、パワーポイントの基本操作をマスターして卒業していきます。タッチタイピングのホームポジションからきちっと教えますので、誤入力も非常に少ないです。卒業時点では、我々教員よりもスキルの高い生徒が1割くらいはいます。人間福祉は、本日お集まりの皆様の医療・介護系の仕事に繋がるコースです。ここについては、このあとで時間をとって説明していきます。流通・サービスは、流通・サービスという名前だけでは表わせない多岐に渡った、あるいは昔ながらの障害者雇用で多くみられた、また知的障害者でも取り組みやすそうな清掃やロジスティクス、印刷、製版、仕分け、ピッキングなどの勉強をするところです。環境・園芸は、神奈川ではあまり雇用のニーズのない分野ですが、夏の暑い時も、冬の寒い時も、1日外での立ち仕事、力仕事、汚れ仕事、重量物を運ぶ仕事といった労働体力の育成には非常にいい作業ができるので、あえて設定しているコースです。 3.人間福祉コースのとりくみ  それでは、人間福祉コースの授業の中身について触れていきたいと思います。コースの目標としては、介護の知識・技術を学習するのではなく、コミュニケーションの力、お客様や利用者に接する力、協力して仕事をする力を育成するということで、単純に技能を習得する場ではありません。例えば、ベッドメイク1つとっても、施設ごとにやり方が違いますので、その方法を学ぶのではなくその心を学ぶ、というのが一番いい表現でしょうか。  主な学習内容としては、補助業務、バックヤード等での仕事です。たとえば、ベッドメイキング、リネン関係、洗濯やアイロン掛け、清掃などです。それから、高齢者介護に関わる技術ということで、移動介助、着脱介助、食事介助という3つの柱を勉強しています。  ベッドメイクでは、医療介護用のベッドが教室内にあり、そこでシーツ掛けをするような作業をしています。移動介助では、ベッド上から車いすに移動しトイレへ移動させる、あるいは屋外へ散歩に出ることができるような学習をしています。着脱介助では、ベッド上でパジャマを交換する、あるいはこれから外出するから普段着に着替えようという介助をしています。やはり、利用者様へ負担が掛からないように細心の注意を払っての取り組みになります。生徒がロールプレイ方式で介助される側と介助する側に分かれて行うのですが、その時によって、高齢者、下半身麻痺の方、右半身麻痺の方というふうにテーマ別に練習します。介助される側は、お年寄りといわれたら、お年寄りになりきらないといけないのです。介助する側は、そのお年寄りを思う気持ちを持ってというところで、非常にポスピタリティが要求される内容です。食事介助では、座って摂れる方は食堂などに集まっていただいての食事介助です。ベッド上でないと食事が摂れない方、流動食などの場合もあります。  学習のポイントとしては、利用者様、患者様への気遣いが一番のテーマです。知的障害者にそんなことができるのだろうかと思われるかも知れませんが、生徒たちの取り組みは非常に素晴らしく、他の業種に就職した生徒たちも、このホスピタリティの力が非常に役立っていると感じております。  学習のポイントの2つ目としては、報告、連絡が確実にできることです。1つの作業が終わったら必ず報告、それからイレギュラーなことが起きた時、あるいはミスをしてしまった時、失敗した時に速やかに報告ができるかどうか、そして、指示が受けられるかどうか。失敗すると隠しがちですが、失敗した時こそきちんと報告できることが重要で、こういったところにポイントをおいています。  学習の課題としては、知的障害者なのでコミュニケーションは本当に難しいのですが、繰り返し取り組むことで、コミュニケーションの力をかなり高めることができるのです。ところが、どうしてもコミュニケーションの中心が自分になりがちなのです。医療や介護の現場や接客を含む販売では、カスタマーファーストなのです。お客様や利用者様がまず第1で自分は支援する側という、そういう立場に立ったコミュニケーションの力を育てることが重要だと考えています。  また、介護の仕事は誰でも向いている仕事とは思えないので、特に1年生はしっかりと実習を通して経験してもらいます。自分はおじいちゃんが大好きだから介護の仕事がしたい、と言う生徒もいるのですが、実際は認知症のお年寄りに理不尽な言葉を投げかけられ、嘔吐物や排泄物の汚れ仕事をしなければいけない、非常に大変な仕事だということが実習を通して初めて分かって、それでも自分はやりたいという生徒のみを紹介するようにしています。ヘルパー2級を取る生徒が学年で1割程度いますので、それくらい意欲のある生徒しかなかなか紹介出来ないとは思っています。 4.3年間の進路支援の流れ  実習は、1年生から展開しています。1年生から2年生の前半までは1週間、2年生の後半は2週間に増えて、3年生になると4週間という大変長い実習を、年間2回実施しています。そういった中で、こういう生徒ならと安心して事業主に雇用していただけるというのが、新規学卒を雇用するメリットだと思っています。  実習は、まず学校の進路担当がお邪魔して実習の打ち合わせをさせていただきます。それから、事前に実習生、実習生の保護者、実習担当教諭が訪問して、事前面接をしていただきます。実習中は巡回訪問し、最終日に反省会というような形です。また、インターンシップ保険に全員加入しています。というのは、実習中に、もし何か事故等が起こった場合、雇用保険・労災保険が適用されませんので、物を壊したなどを含め学校の方で保険に入っています。  実習を通して当校の生徒、あるいは特別支援学校の生徒を雇用していただく時の条件としては、先ほどの障害者雇用の条件と全く一緒です。なんら特別なことはございません。地方条例の定める最低賃金を上回ること、週の労働時間は30時間以上40時間以下で、残業もOKなのですが、社会保険にご加入いただきます。 5.卒業生の就労職種  当校の卒業生は、平成19年度から1期生、2期生、3期生、4期生と卒業し、今の3年生が5期生に当たります。どんな職種にどのくらい生徒が就労したかを並べたのですが、年によってバラバラで傾向がないのです。どの分野にも就いているのですが、当校の生徒ならやはり、オフィスサービス、医療・介護の分野、それから接客部分があるフードサービスといった分野に多く就労していってほしいのです。清掃、非食品関係の製造業、ロジスティクスなどは、もう少し障害の重い生徒でも就労可能なので、そういったところは他校の生徒たちに譲れるようになっていくと良いと思っています。 6.卒業後の支援  当校は開校当初より、毎年95%以上の生徒が企業就労しています。100%を目指しているのですが、まだ1度も100%を達成していません。また、特別支援学校は、卒業後3年間を目途に卒業生の職場への定着支援を行っています。そうは言っても、これは仕事上の問題、課題があった時の支援です。やはり、障害のある生徒たちですので、生活面等の支援が必要な生徒というのは当然いるのです。生徒だけではないのですが、障害のある方は当然生活面の支援が必要なのです。そういった方のために就労支援センターや就業・生活支援センター、あるいは生活支援センター、地域活動センターなど、様々な支援機関がございます。必要に応じて、そういう支援機関に卒業までにしっかり登録をして、3年後には支援機関にバトンタッチできるように準備をして参ります。この辺りの取組みが各都道府県によって多少違います。東京では、早い段階で支援機関がしっかり支援できる体制を作っているというように伺っています。神奈川では、卒業後すぐにということではなく、登録だけは卒業までに済ませておいて、3年後のバトンタッチを目指すという形です。 7.卒業生追跡調査  卒業生の追跡調査結果についてです。就労率が高いだけでは自慢にならないのです。卒業後どれくらい働き続けているかということですが、1期生の90%は今現在も働います。期によってバラつきはありますが、当校では、辛くて辞めた、続かずに辞めたというよりも、卒業後に就労してお金を貯めて、資格を取得しキャリアアップを図ったという再就職組が結構いるのです。運転免許やフォークリフト免許、ヘルパー2級を取った、だから転職しようというポジティブな離転職が結構いるというのもこういう学校の特徴かもしれません。  知的障害者の就労に特化した特別支援学校があるのだということをお伝えしました。当校には、毎週どこかの企業が学校見学に来ています。百聞は一見に如かずという言葉もあります。いつでも結構ですので、可能性があるのかないのかを少し見てこようという程度で結構でございますので、是非学校見学にいらしていただいて、どんな生徒がどんな職業教育を受けているのか、こういった生徒だったら雇用できるのではないかといったようなお手伝いができればと思っておりますので、お忙しいと思いますが、当校に是非足をお運びいただけたらと思います。ご清聴ありがとうございました。   「当院における障害者雇用の取組み」                   医療法人社団 愛友会 上尾中央総合病院 人事課長 七島 清高 1.病院概要  まず初めに、上尾中央総合病院の概要について簡単に説明をさせていただきます。当院は人口22万7千人の埼玉県上尾市の中心部に位置し、JR高崎線の上尾駅から徒歩5分の場所にございます。昭和39年12月に11床の上尾市立病院を引き継ぐ形で開院して以来、「高度な医療で愛し愛される病院」の理念を通じて地域に密着した医療を展開して参りました。現在では、753床の病床を有する総合病院となり、地域病院、地域診療所との連携を深めながら、地域の中核病院としての役割を果たしております。また、当院は首都圏を中心に26の病院、17の介護老人保健施設を有する上尾中央医科グループの基幹病院としての役割も担っております。医療の質の向上、患者本位の医療サービスの提供に向けて、病院機能評価や、ISO9001、プライバシーマークといった第三者評価を積極的に取得しております。今年の2月には、新たに新棟が完成し、放射線治療を開始いたしました。4月から埼玉県のがん診療指定病院の指定を受け、がん治療に力を入れております。  標榜科ですが、精神科はありませんが、それ以外はほぼすべての科を有する総合病院となっております。  続いて、職員数は今現在、1,407名の常勤職員がおります。こちらが病院の全体を写した写真です。広く見えますが、この位置が病院の敷地です。こちらが開院当初の建物で、今現在、すべて解体されております。続いて、現在着工中の新棟の完成予想図です。当院は開設から今年で47年目となり、50周年に向けて新棟の建築に着手しており、新たに13階建の新棟が建つ予定になっております。 2.当院の障害者雇用状況  障害者雇用の取組みの本題に入らせていただきます。まず、当院の現状から話をさせていただきます。当院の障害者雇用における必要人数については、非常勤の職員も含めた常用雇用労働者数が1,482名おり、医療業の除外率が現在は30%であることから、除外率適用後の常用労働者数が1,037名となります。雇用率1.8%を達成するためには、18名の障害者が必要となります。  続いて、当院における障害者の雇用人数です。現在、12名の障害者を雇用しており、内訳としまして、身体障害者が10名、そのうち重度障害の方が5名、重度以外の方が5名います。知的障害者は、現在のところ0名です。精神障害者は2名おります。雇用率制度からの雇用人数では、重度5名がダブルカウントで10名となり、合計で17名となります。当院で必要となる障害者の人数が18名ですので、現時点では、1名のマイナスとなっております。  障害者の職務内容について、入職日順に説明をさせていただきます。まず、平成11年に入職した視覚障害者は、医療安全管理課で医療安全のレポート等を管理している事務職員となります。平成14年5月に入職した心臓機能障害者は、元々障害者として雇用した訳ではなく、当院で働いている時に心疾患を患い、ペースメーカーを装着して障害者になった方です。平成18年4月より障害者雇用率のことを病院全体で考え始めて、平成18年に入った2名の方が病院として直接雇用した障害者となります。左半身不随の方は、医事課にいましたが、今は総務課で業務をしております。同じく平成18年6月に透析を行っている腎臓機能障害の方は、元々当院で透析に掛かっていた患者さんでしたが、SEの仕事ができるということで健診課でSE業務として働いております。健診課は法改正があるたびにシステムのメンテナンスが必要で、今までは外部業者にその都度頼んでいたのですが、この方が入職して以来、すべてのメンテナンスが自前でできるようになり、すごく貴重な存在として働いております。平成19年1月に入った方は定年後の再雇用で入ったのですが、元々当院で定年までずっと働いており、その後身体障害者になった方です。今までの経験からいろいろ知っていることが多いので、採用となりました。平成20年に新卒で採用した作業療法士と、平成21年に新卒で採用した臨床検査技師は、もともと障害者手帳を持っておりました。平成21年4月に精神障害者1名を巡回健診課で採用しましたが、これは、地元の就労支援センターの方から紹介を受け、巡回健診課ですでに1名障害者を雇用していましたので、もう1名入れてみようという理由で入職しました。平成23年6月、10月と4名入職しておりますが、私が今回お話するのは、平成23年度の障害者の雇用に関する取組みになります。  当院の障害者雇用における今年度の目標は、雇用率1.8%の達成です。現状では、当院を含めた医療法人社団愛友会は1.8%を達成できておりません。しかも3年間の雇い入れ計画の3年目であり、年内中に達成できない場合には、企業名の公表の可能性もある状況まで来ております。そのようなあとのない状況において何をするべきか、当院なりに取り組んでいることを皆様にお話しして、ご意見をいただけたらと思います。 3.障害者雇用の進め方  障害者雇用とは何をすれば良いのだろう。実際私は、ここから始まりました。私は今現在、人事課長の立場でおりますが、上尾中央総合病院の人事課長となったのは、昨年の10月です。それ以前は、上尾中央医科グループの関連会社で医療機器や医療材料の一括購買、集中購買をする担当をしておりました。その職以前には、上尾中央総合病院の関連病院で総務人事のチーフをやっておりましたので、職員の採用に関する知識は全くのゼロという訳ではなかったのですが、障害者雇用についてはほとんど素人同然でした。障害者雇用とは何をすればいいのといった時に、ハローワークへ相談すれば良いとか、または、まずは社内研修で職員の理解を図らなければならないとか、いろいろな情報が入って来るのですが、実際には何をすればよいのだろうというのが正直な状態でした。障害者雇用の進め方については、高齢・障害・求職者雇用支援機構が出している「はじめからわかる障害者雇用―事業主のためのQ&A集」に書いてありました。これを読んで、なんとなく流れは私も理解できたのですが、結局はやり方だけであって、実際にどうすればよいかは、相変わらず分からないままでした。  続いて、私が取り組んできた内容を時系列で話をさせていただきます。まずは、新規雇用への取組みについてです。全くの知識ゼロの私が行ったのは、昨年12月に埼玉県で開催された、障害者職業生活相談員の資格認定講習会です。このことが、私自身の障害者雇用に対する考えを大きく成長させることに繋がり、またその後の取組みに大きく影響を与えるきっかけとなりました。この講習会で障害者の特性や他の企業がどのように取り組んでいるかを知ることができ、私自身の障害者雇用に対する知識は高まりました。ただ、まだ自分の病院で障害者を雇用するということに対してイメージがつかめないままでした。その講習会で、埼玉県障害者雇用サポートセンターの担当者を紹介されました。埼玉県障害者雇用サポートセンターとは、事業主が障害者雇用を進めていくことをサポートするために埼玉県が開設した機関で、スタッフは実際に企業で障害者雇用を担当されていた方ばかりです。講習会から数日後にサポートセンターの方と病院でお会いし、サポートセンターが企業側の目線で支援をしていることに、ある意味驚きを感じました。障害者雇用における支援機関というのは、障害者側の就労支援のためだけに存在しているものと私は思っていましたし、実際に障害者を紹介された場合、企業側から断るのはなかなか難しいのではないかと感じていました。しかし、サポートセンターの方が、障害者も通常の労働者の雇用と変わらず、職務でマッチングしない方については、採用を断っても全く問題ないといったような発言をされまして、雇用に向けての気持ちもかなり前向きになりました。サポートセンターは、埼玉県以外ではほとんどない機関だと私は聞いておりますが、個人的には、他の都道府県にもあれば、企業側として障害者雇用が進めやすくなるのではないかと思います。  その後、今年の1月に障害者職業能力開発校の見学をサポートセンターの方に勧められ、私を含めた2名の人事課の職員で埼玉県所沢市にある国立職業リハビリテーションセンターの見学に行くことになりました。ここで、また目からうろこというような体験を再度することになります。これは、本当に偏見ではなく、私自身の無知から来るものだと思いますが、障害者というのは、健常者と比べて、やはり出来ないことが多く、ハンデがあることによって暗いというイメージを私自身が思っていました。しかし、国立障害者職業リハビリテーションセンターの訓練生は、みんな技術の習得のために前向きに取り組んでおり、表情もすごく明るかったのです。実際にかなり高度なスキルを身につけておりまして、パソコン等のスキルを当院の職員と比較しても、逆に上回っているのではないかというふうにも感じました。この見学で、障害者も健常者とスキルの面で大きく変わることはなく、若干のハンデを持っているだけのことであって、そのハンデも仕事内容によっては、ハンデとならないこともあるということに私自身気づきました。同行した人事課職員も障害者に対する認識が大きく変わったと言っておりました。  見学を終え、今後の障害者雇用をどのように進めていくべきかということを考えました。病院には、医師や看護師といった資格に従事する職種から事務職員まで様々な職種がありますが、まずは、事務部門における雇用から始めることとしました。事務部門の責任者会議において、障害者雇用を進める旨を話し、各部署での職務の洗い出しをまずはお願いしました。各部署からは、「自分の部署では障害者の受け入れは無理ではないか」という声がやはり出てきましたので、3月に入りまして、サポートセンターの協力をいただき、各部署のヒアリングを実施いたしました。その時に来られたサポートセンターの方は病院の事務業務についての知識を持っていませんでしたので、部署の責任者が業務について説明している中で、このような業務は障害者でもできるのではないですかとアドバイスをいただくことができ、先入観を持ってしまっている部署の責任者もそう言われてみればという気づきに繋がったと思います。そのヒアリングの結果、三部署で障害者雇用の求人を出すこととなりました。パソコンの入力を主とする業務内容で求人票を作成し、サポートセンターの方を通じて、1月に見学を行った国立職業リハビリテーションセンターに求職者の問い合わせをしました。  4月に入り、国立障害者職業リハビリテーションセンターから2名の障害者から応募があるというご連絡をいただき、就職説明会を開催することとなりました。説明会は国立障害者職業リハビリテーションセンターで行われたため、求人部署の責任者を同行し、訪問しました。2名の求職者に対して業務内容を説明し、その後センターを見学させていただきました。求人部署の責任者も求職者本人と話をして、訓練を実際に目にすることによって、障害者への認識が改められ、このようなスキルを持っている人であれば是非とも採用したいという気持ちになっていました。  5月に2名の求職者の病院実習を行いましたが、求人部署は実際の病院実習を見たことにより、障害者の受け入れに対して、かなり自信を持つようになっておりました。その後6月にトライアル雇用から2名を採用しました。1名については、高次脳機能障害がありましたので、ジョブコーチの支援を受け、受け入れ部署の不安をなるべく取り除くようにしました。3ヶ月のトライアル雇用では、ジョブコーチの支援によって、本当に多くの問題を解消できたと思います。企業側は障害者本人の生活まで踏み入ることがなかなかできないのですが、そこをジョブコーチがうまく解決してくれたと私は思います。その後9月に2名が常用雇用になりました。  また同じく9月に地元の上尾市と隣の桶川市にある障害者就労支援センターを通じて、新たに2名の求人を行いました。この時は、6月に障害者雇用を受け入れた部署から追加でもう1名、カルテ管理部署から1名の合計2名の求人となりました。カルテ管理部署につきましては、私どもの病院が今年の7月に紙伝票から電子カルテに全面移行したことに伴いまして、若干残った紙伝票をスキャナーで読み込む作業が新たに発生しましたので、その業務を行うための方を1名、障害者として採用したいと思い、求人を出しました。病院実習を行い、10月からジョブコーチを付けて、トライアル雇用から採用に至りました。  また同じく10月に医事課とリネン室での人員補充の申請が挙がってきましたので、こちらも現場責任者と障害者雇用で補充できないかと相談をして、上尾市の障害者就労支援センターに求人を出しました。先週と今週、病院実習を行っております。また当院としては、リネン室において、初めて知的障害者の雇用に取り組んでおります。  平成23年度に入って、6月に2名、10月に2名、現在11月に2名障害者を雇用しておりまして、今年の12月までにはある程度雇用率は達成したいという思いはありますが、入職された方も徐々に職場定着がうまくいってきているのかなと今は感じています。 4.社内啓発  次に社内啓発の取組みについて話をさせていただきます。今年1月に、私を含めた人事課職員2名で、国立障害者職業リハビリテーションセンターを見学した話をしましたが、この見学は、自分たち人事課という職員を採用する部署の担当者が障害者に対するマイナスの認識を大きく変えることに繋がりました。そして、4月に就職説明会と合わせて行ったセンターの見学では、求人部署の責任者に障害者の雇用に対する自信を感じさせることにも繋がっております。その後7月に私が講師となりまして、病院の管理職向けに勉強会を実施し、障害者雇用の理解を図りました。勉強会の開催2日後にサポートセンターの紹介で、再度、障害者職業能力開発校の見学を行いました。この時は、東京都小平市にある東京障害者職業能力開発校を見学いたしました。こちらには医療事務コースがあることから、当院の医事課責任者を同行して見学に行きました。当院の医事課は、事務部門の中でも100名を超える部署であることから、障害者雇用の受け入れ部署に積極的になってもらいたいということを狙っての見学会となりました。学んでいる内容や障害の程度を見ることができたので、今後前向きに検討したいという意見が医事課の責任者からも聞かれるようになりました。  最後に職場定着に関する取組みです。新規に雇用した障害者にはジョブコーチの支援を受けることによって、定着の手助けをいただくことができましたが、従来から雇用している障害者については職務とのマッチングを再度評価することとしました。実際に配属部署の責任者とヒアリングを行い、その後障害者本人と面談をしました。部署の責任者からは、部署内での障害者の勤務状況や部署内での仕事とのマッチングについて意見を聞き、障害者本人からは、職務に対する希望、こういう業務をやっているが、本当はこういうことをやりたいといった希望を聞きました。当初は職務とマッチングしないことを理由に退職を口にしていた2名の障害者がいたのですが、実習として何ヶ所か他部署を経験させ、配置転換することにより、雇用を継続させることに繋がりました。 5.障害者雇用におけるポイント  以上が当院における取組みですが、この1年間、障害者雇用に関わってきた中で、障害者雇用におけるポイントを私なりにまとめてみました。  1つ目は、支援機関との連携だと思います。特に障害者雇用についての知識や自社で採用できる自信があまりない場合には、サポートセンターや地域の障害者就労支援センターに相談することが間違いないと思います。ハローワークへいきなり求人を出すと結構応募が来ると聞いておりますし、またその対応に追われてしまうということがありますので、まずは、地域にある障害者就労支援センターの担当者と相談を重ねて、病院側で求人する職務、こういうことができる人がいい、こういう仕事がある、という話をよく理解していただいた上で、その職務にマッチングしそうな障害者を紹介してもらうことが、採用への最短ルートになると思います。  もう1つはマッチングです。これは、昨年12月に私が参加しました障害者職業生活相談員の資格認定講習会の講演において話されていたのですが、企業の仕事は多種多様であり、障害者も千差万別であることを認識し、現場の仕事から職務を見ること、そして、障害者も障害種類でひとくくりにせず、障害者個人の特性を見て、いかに職務と障害者をマッチングさせるかを考えていく、ということです。そのためには、トライアル雇用や職場実習を活用して、職場と障害者の両方が業務を行うにあたって十分納得することが必要だと思います。  あともう1つは、職場の理解となります。私自身の経験値は1年くらいしかないのですけれども、その経験から言えることは、障害者雇用の勉強会を病院内で10回開催するのであれば、職員を連れて、1回障害者職業能力開発校を見学する方が効果的だと思います。耳で聞くより目で見た方が、確実に理解の向上に繋がります。障害者雇用についてちょっとうちではなかなか・・・という方がいましたら、是非とも職業能力開発校の見学に行ってください。認識が一気に変わります。今回の主催である高齢・障害・求職者雇用支援機構の管轄施設としては、国立職業リハビリテーションセンターがありますので、この機会に是非ともお願いしてみたらと思います。私が話した以外にも、障害者雇用のポイントはあるかと思いますが、あくまでも私の経験からこの3つが重要ではないかと感じました。 6.今後の課題  最後となりますが、障害者雇用における当院の今後の課題をお話しさせていただきます。今後の課題、それは継続的な採用となります。今まで行ってきた採用は、あくまでもスポット的な採用です。ある部署で求人が必要となったため、障害者をその求人に当てはめて、うまくマッチングさせただけです。ただ、現在雇用している障害者の中には、かなりの高齢の方がおり、今後更にマイナスに転じる可能性もあります。当院には、心疾患によりペースメーカーを装着している方で、80歳を超えている方がいます。その他にも定年後の再雇用で雇っている方もいまして、長期的に見ればいつかは退職してしまうということから、継続的に障害者雇用を進めていかなければいけないと感じております。  また、障害者を継続的に受け入れていける職務をどのようにどう生み出していくのかが課題です。障害者のスキルは、障害種類だけでは判断できないと思いますので、どのように職務にマッチングする求職者を安定的に雇用することができるのかが課題です。医療事務コースを持つ訓練校から毎年数名を雇用していくことができないか、また用度担当部署を、障害者を中心とした部署にすることはできないかなど、いろいろ検討を重ねております。このことについては、すぐに解決できる問題ではないのですけれども、最終的には、いかに継続的な採用に近づいていけるかを目標に、今後も障害者雇用に取り組んでいきたいと思います。  簡単ですが、ご清聴ありがとうございました。  「医療・介護業における障害者雇用支援の事例」                       千葉障害者職業センター 上席障害者職業カウンセラー  中村 孝志  千葉障害者職業センターでは、障害のある方の就労に関するご相談、支援をしておりますが、最近は事業主支援に重きをおいております。私も事業主支援担当として、障害のある方を新たに雇い入れる予定の県内の事業主の方々のご相談に対応しています。 1.高齢者介護施設を持つ社会福祉法人での障害者雇用の取組み  高齢者介護施設を持つ社会福祉法人での障害者雇用の取組みとして、K社会福祉法人の事例を挙げます。  K社会福祉法人は、初めて障害者雇用に取り組まれるということで、当センターへご相談がありました。この法人に対する支援は、図「事業主への支援<1>」にあるとおり受け入れの基礎作りのための打ち合わせや職員研修のパート、そして図「事業主への支援<2>」にあるような障害のある方を具体的に配置し適応を支援していくパートから成っています。   @まず、法人担当者と打ち合わせを行うとともに、職場を見学し、職務の切り出しを行いました。これは実際に施設の中を見せていただき、どういった仕事があるかを確認するものです。この時、事業所の担当者に職務を切り出していだだきますが、私からも同業他社での事例を紹介しながら、職務を提案しました。このようなプロセスでは、どういった形で受け入れを進めていくかについて、担当の方と共通認識を図ることを大切に考えます。  A次に法人幹部職員、各施設職員向けに研修会を実施しました。K法人では、全施設のうちの3つを先行事業所として障害者雇用をスタートさせようということで、各施設の所長はじめ幹部職員、現場職員の方も全員研修に参加されました。研修会では、基本的な障害者雇用の制度、雇い入れを検討されていた知的障害者の特性をお話しいたしました。加えて、同じく介護施設で障害者雇用を進めた他社の雇用事例をご紹介いたしました。  B続いて、各施設の担当者を加えた打ち合わせを行い、障害のある方にやっていただく職務内容の検討を一緒に進めていきました。また、各施設における役割分担についても打ち合わせをいたしました。誰が障害のある方の指導を担当し、仕事を教えていくのか、サポート態勢を確認した上で、受け入れ可能な職場と配置可能な職種とを大まかな形ですが、確認しました。  C次に「支援機関との打ち合わせ」を行いました。当事例では就業・生活支援センターと連携しました。当センターから該当するエリアの就業・生活支援センターに声をかけ、支援対象者の検討、支援の進め方や役割分担について打ち合わせをしました。これは、複数の支援機関が関わるため、足並みを揃えて支援ができるよう、支援者の共通認識を図ることを目的として実施しています。  D次の「職場見学」(図「事業主への支援<2>」)では支援対象者に実際の職場を見学してもらいました。ここに当センターの担当者、ジョブコーチ、就業・生活支援センターの担当者が同行しました。そこで、勤務時間や職務内容を再度検討し、適材適所の配置になるよう詰めていきました。その対象者の持っている力が十分に発揮できるような環境づくりを一緒に考え、共有することを目的に行います。  E次に「職場実習」をしました。面接のみではその方の職業能力は必ずしも十分には分かりません。また、ミスマッチなところで働くのは障害のある方にとっても負担になりますので、マッチングの程度を職場実習の間に確認します。その間に作業マニュアルを作成しました。また、職務内容については大まかに決めておいたものを精査して、より具体的な職務内容へと修正していきました。  当事例では、トライアル雇用制度の活用とジョブコーチ支援を実施しました。F「ジョブコーチ支援」では、ジョブコーチが対象者に声をかけたり、指示を出したりする場面を事業所の方に見ていただき、取り入れていただきました。ずっとジョブコーチがついている訳にはいきませんので、徐々に事業所側に支援の主体を移行していくのです。  Gその後、「支援終了ケース会議」で振り返りをしました。K法人からは、「最後は習熟してできるようになった。指導に手を取られることもなく、仕事の仕上がりも良かった。」という言葉をいただくに至っております。  支援ポイントの1つは、幹部の理解・現場の理解です。先ほど職員研修を実施したことをお話ししましたが、高齢者介護という福祉分野の業種では、高齢者と障害者、種類は違えども共通性もあり、研修内容を理解していただきやすい土壌がありました。また、対象者の特性や得意なこと、苦手なことを整理した「プロフィール票」を作成・活用したこともプラスでした。ここには、障害特性の他、その方の体調やセールスポイント、指示に対する理解度、どういった指示だと理解しやすいのかを書いています。皆さん苦手なところがあります。自発的に人に話しかけること、挨拶をすること等が苦手な方もいます。加えて、通院があったり、服薬をしていたりといった体調管理に関する情報もこちらのプロフィール票に載せていますので、その方の状況を把握していただくのに良いツールとなっています。  表中の「適材適所」とは、“本人に合った職務を切り出して配置する”ということです。“職務に合った対象者を選定する”ことと相反するような内容ですが、これは、両方大事な視点なのではないかと私は考えております。大まかにマッチングをして、そのあとに職場実習をしつつ、徐々に調整をして職務を確定していくのがよいと思います。実際そのようにK法人では支援を行いました。  次に具体的な職務の切り出しについて説明します。例えば介護職のスタッフが合間にやっており、内容としてはそれほど高いスキルは必要ではないけれども、確実にやらなければいけない作業というのを会社から出していただきます。切り出していただくときには、朝方はこういった作業が発生する、夕方はこういう作業が発生する等、時間帯まで含めて出していただきます。  具体的に、3つの事業所で障害のある方に切り出していただいた職務内容について触れたいと思います。1つ目の事業所では、知的障害にうつ病を合併する方に対し、おむつ替えの時にお尻を拭く、清拭タオルを作る作業を切り出しました。介護者が業務の合間に1時間程度の時間を割いて行っていた作業を集約し、“一人分の仕事”にしていただいた訳です。2つ目の事業所では、知的障害と発達障害がある方に、それまでは外注していた館内の清掃を内製化し、職務を用意していただきました。敷地内の草取りも加え、外で草取りができない雨の日には、室内でできるガーゼ作りを組み合わせています。3つ目の事業所では、身体障害に加えて記憶障害がある方に対して、以前していた清掃の職歴を活かし、館内清掃の仕事で受け入れをしていただいています。  3事業所とも最初にジョブコーチ支援事業をご利用いただきました。事業所の方には「仕事のいろいろなことを教えてくれるのがジョブコーチ」と思われがちですが、仕事自体は、事業所の担当者から教えていただくことが基本です。どのようにして教えたらいいのかというご相談に対し、教え方についてご助言させていただくのがジョブコーチの役割です。実際にジョブコーチが支援をしている姿を通して、本人への指示の出し方などを見ていただきます。  ジョブコーチ支援の意義は、ご本人の力が発揮できる環境を作っていくことにあると思います。仕事内容と同様に、職務時間の設定も環境作りの大きな要素です。短時間就労からのスタートが望ましい方については、短時間からスタートします。そのような環境を作っていくことがジョブコーチ支援の大きな役割であると思います。支援期間は、1〜7ヶ月まで設定できますが、3ヶ月くらいが標準的な期間です。支援終了後は、フォローアップ期間に移ります。中には、環境や担当者が変わることで、スムーズに仕事ができなくなってしまう方もいます。このように、何か問題があった時には、再度ジョブコーチが訪問します。  障害者職業センターの利用と支援機関の連携についてご説明します。当センターでは、県内に散らばっている他の支援機関のうち、必要に応じて、該当エリアの支援機関と連携し、対象者の検討、ジョブコーチの選定、支援機関の役割分担を行います。K法人の支援の場合、「ペア支援」という、障害者職業センターのジョブコーチと支援機関所属のジョブコーチがペアとなり支援をする形を取りました。初めて障害のある方を受け入れる事業主でしたので、事業主支援に重きをおいたジョブコーチ支援を実施しました。  ここでK法人のA事業所におけるジョブコーチ支援について、少し詳しくご紹介します。対象者Wさんは、40歳女性で、知的障害にうつ病がある方でした。職場実習をした後、平成20年8月から3ヶ月のトライアル雇用制度を活用しました。仕事内容は、清拭タオルづくりです。勤務時間は、8時から14時までの1日5時間からスタートしました。月曜日から金曜日の勤務で、土日は休みです。得意なところは、1つの作業を長時間粘り強く取り組むことができるところでした。この得意なところを活かし、清拭タオルの作業を担当することにしました。苦手なことは、自発的に言葉を発することでした。例えば、挨拶も声をかけられれば出来るが、声が小さくなかなか聞き取りづらい状況でした。職場実習に入る前に、当センターで挨拶や質問の仕方について練習をしました。最初のうちは職場の担当者から定期的に声をかけていただくようにお願いをしました。さらに、初めての場面では非常に緊張しやすく、苦手意識もありますので、短時間勤務からスタートし、ジョブコーチが本人と職場の方々との間に入って橋渡しをしました。これにより、職場に少しずつ慣れることができました。  ジョブコーチ支援では、1日の作業フローを書いたスケジュール表を作ることがあります。まず原案は会社の方に作っていただき、その後ジョブコーチの提案も加えながら完成させます。現場に障害のある方を指導してくださる担当者が1日一緒に付いてくださればよいのですが、人的な余剰のある事業所はとても少ないと思います。A事業所の場合も、Wさんの担当者は介護業務の責任者でもありましたので、常時Wさんに付く形は取れませんでした。そこで、スケジュール表を作成し、ご本人がこれを自分で見て、作業を進められるよう支援しました。  このスケジュール表にはもう1つ目的があり、Wさんが現場で今どういう動きをしているかということを、事務所にいる方や直接の担当者以外の方が確認することにも使いました。担当者一人で障害のある方を見るのではなく、周囲の方にも障害のある方が今どこにいるのか、何をしているのかが分かるようにし、何かあったら皆で対応できるようになっています。  清拭タオルの作り方のマニュアルをご紹介します。これは、事業所の方に作っていただいた原案にジョブコーチのアドバイスを加えたものです。洗濯機の使い方が書いてありますが、今は見ないで出来るようになっています。このマニュアルは、本人がスムーズに動けることを1つの目標として作りますが、その他にも重要な意味があります。知的障害のある方が一番混乱するのは、教える人によって色々なやり方で指示が出されることです。A事業所では、介護職の皆さんが本来業務の合間の時間を使って清拭タオルを作っていたので、それぞれ人によってやり方が異なっていました。いろいろなやり方で指示をすると本人は混乱し、いつもできていた仕事ができなくなることもあります。従って、指示を出す方は必ずこの作業マニュアルに沿って指示を出してくださいとお願いをしました。         雇用率達成を目標に3施設で始められたK法人の障害者雇用は、各施設とも「助かっている。」「忙しくて、手が回らなかった部分が行き届くようになった。」との声をいただくに至っております。その結果、これらの施設では2人目の障害者の採用を検討し進めておられます。さらに雇用率を達成した現在でも、K法人内の他施設での採用に波及しているところです。 2.介護施設でのいろいろな受け入れ方法  その他の介護施設の雇用事例として、Uさんの場合を挙げます。Uさんは、「できること積み上げ型」と名付けました。この方は、特別支援学校を卒業し、高齢者介護施設に就職しました。洗濯物をたたむ作業で短時間勤務からスタートしたのですが、次のステップとしてトイレ清掃にチャレンジしました。洗濯物をたたむ作業ではそれほどマニュアルを必要としなかったのですが、トイレ清掃については、作業マニュアルを作って習得し、徐々にできる仕事を増やしていきました。時間数が増えるとその分収入も増えます。本人のやる気にも繋がり、最終的に介護補助の仕事にまで業務を拡大することができたという事例です。  次に、「やりがい並行型」のNさんの事例です。高齢者介護施設で働くことを希望する方の中には、高齢者介護への熱い思いをもっている方が多くいらっしゃいます。しかし実際は、清掃の仕事ということで非常にモチベーションが下がってしまう場合があります。Nさんの場合もモチベーションが下がらないようにすることが重要であると考え、清掃に加えて、レクリエーション業務に携わり、高齢者と関わる機会を作っていただくことで、清掃作業をメインとしながらもやりがいを担保できるようにしました。  Mさんのケースは、「かがやき型」と名付けました。事業所の担当者が、「職員みんなが輝ける職場を作りたい」とお話しされていたことがとても印象的だったからです。Mさんも、Nさん同様、高齢者介護の仕事がしたいという強い希望で就職されました。我々支援者はつい、本人にとって負担の少ない仕事をと考え、補助業務の中から清掃業務を選定したり、マニュアルを作るという話をしがちですが、この事業所の方は、「ご本人が介護の仕事がしたいのであれば、そこを中心に職務を設定します。マニュアルも必要ありません。横について一緒にやります。」と受け入れをしていただきました。  このように様々な形で事業所に受け入れていただいておりますが、最初から職務を限定せず、出来る仕事を増やしていき、その方のキャリアアップにつなげていただければ非常にありがたいと思います。 3.医療機関での事例  最後に医療機関での事例をお話します。今現在、支援を行っている事業所で、精神障害のある方を雇い入れていただいております。この事業所は総合病院で、当初は清掃業務への配置を想定していましたが、清掃は業者にすべて外注していたため、まずは管理部門での業務ができないかご相談をしました。先に触れた職務の切り出しと同じように病院内の職務を切り出したところ、院内にある図書室の図書整理、加えて医師の机拭き、草取り、宿直部屋のシーツ交換や清掃、買い物の同行等の職務を切り出すことができました。支援対象者は統合失調症の方で、体力はあるものの精神的に疲れやすい部分があり、就業時間は9時から13時までの1日4時間×週5日で、週20時間勤務になっています。  医療機関の強みとは何か、弱みとは何かを考えてみました。強みは、いろいろな患者さんがいらっしゃいますので、バリアフリーであることです。建物のようなハード面のバリアフリーはもちろんですが、ソフト面についてもそうです。疾病とか障害に対して専門的な知識があることで、偏見がありません。障害のある方の受け入れについてお願いした時にそう感じたのですが、これらは強みであると感じています。弱みは、介護施設と同様、専門性が高く、専門性を必要としない作業が少ないということです。よって、細かい仕事を切り出して、一人分の業務を組み立てていくという作業が必要です。  最後に、我々支援者からのお願いです。それは、障害特性以上に、まずはその方ご自身のことを知っていただきたいということです。また、受け入れを開始すること自体は比較的難しくないというと語弊がありますが、入社した後が長いということに着目していただければと思います。中長期的な職業生活における障害者のキャリアアップについてもお考えいただきながら、受け入れを進めていただければと思います。さらに、支援機関をご利用いただければと思います。私ども障害者職業センターでも事業主支援を行っております。各都道府県には必ず障害者職業センターがありますので、是非ご利用いただければと思います。ご清聴ありがとうございました。    ------------------------------------------------------------------------------------------------------------  質 疑 応 答】                                (質問者)  千葉障害者職業センターの中村さんに4つ質問です。  1つ目は、実習の期間です。ハローワークを通じ2週間程度の期間での実習と言われましたが、障害者職業センターではどのくらいの期間、実習を行っていらっしゃるでしょうか?  2つ目は、ジョブコーチ支援は雇用を前提でなければ活用できないと思っていたのですが、実習の期間からジョブコーチ支援が入ったことはあるのでしょうか。  3つ目は、業務の切り出しがありましたが、委託業者を止めて病院の業務にするのかどうかは、大きなことだと思います。例えば、委託業者の中の一部分を変更していくのか、全部の委託業者をやめてしまったのかを教えていただければと思います。  4つ目は、ハローワークとの関係です。障害者職業センターを利用した場合、ハローワークとはどのような関係になるのでしょうか?指名求人を出していただけるのでしょうか? (千葉障害者職業センター上席障害者職業カウンセラー 中村孝志氏)  まず1つ目のご質問ですが、当センターでは、評価を目的とした職務試行法という実習制度があります。3週間が最長ですが、私が実習を組む場合、1〜2週間を設定し状況に応じて変更もします。2週間では短いかなという時には、3週間やることもあります。また、2つ目のご質問ですが、職務試行法をジョブコーチ支援の事前支援とし、アセスメントをする目的でジョブコーチが訪問することもできます。サポートがメインではなく、職務内容とご本人とのマッチングを見るためにアセスメントを目的として訪問しておりますが、マニュアルを作ることもありました。3つ目のご質問ですが、委託を全部やめてしまうと、対象者の負担も大きくなりますので、部分的に変更していき、最終的に内製化するというようなやり方もします。最初は、委託業者と並行してやらせてもらい、部分的にやることもあります。先ほどの介護施設であれば、清掃業者の方がやっている場所と、介護職の方が仕事の合間にやっている清掃場所がありました。清掃業者の担当場所をやっていただくのではなく、介護職の方が担当している居室のトイレの中の簡易トイレ清掃などを担当とさせてもらうことが多かったと思います。4つ目のご質問ですが、今日挙げた事例の全てはハローワークの指名求人です。ハローワークにお願いして、指名求人を出していただきました。そもそも最初に、ハローワークから、障害者職業センターを紹介していただき、会社への事業主支援に入りました。千葉はハローワーク千葉と障害者職業センターが同じ建物に入っています。千葉以外の県内のハローワークとも、密に連携しています。ハローワークから事業主へ障害者職業センターを紹介していただき、その後直接事業主から当センターへお問い合わせがあるということが結構あります。 (司会)  病院や介護施設なので、入院患者との人間関係、外来にお見えになる方々との関係で、障害のある方にどのような指導教育をしているのだろうというご質問が申し込み書の備考欄にご質問として挙がっていました。上尾中央総合病院では、何か手を打っていらっしゃいますか。 (医療法人社団愛友会上尾中央総合病院人事課長 七島清高氏)  まだ、当院では、患者さんと直接接するという職での障害者の雇用はしておらず、まずはバックヤード的なところから始めているところです。 (司会)  犬山先生はどこかでお耳にされたことはございませんか。 (横浜市立二つ橋高等特別支援学校 進路専任主幹教諭 犬山貴文先生)  医療現場、介護現場での一番の課題は、共に働くスタッフの皆さまとのコミュニケーションと、患者様、利用者様とのコミュニケーションとの違いに、最初に戸惑うことがあります。当校は、実習という形を経て、雇用に繋がります。1年生、2年生、3年生の間に5回の実習を行います。雇用を計画されている事業主の中には、2年生の後期で1回、3年生で2回の計3回の実習を通したうえで、雇用を検討したいというケースが多いので、その中で適性を見極めていただいています。生徒たちも複数回の実習の中で、少しずつコミュニケーションの仕方を学んでいくということでしょうか。特に、補助的な業務、バックヤード業務など、利用者様や患者様にあまり接しないところの実習から入り、少しずつ接する場面を増やしていくというやり方をお願いしていますので、雇用されてからコミュニケーションでの大きなトラブルはないです。もちろん実習中は、ご迷惑をお掛けするようなケースも全くない訳ではありません。その点も含めて、雇用に繋げるためのステップアップとして、共に支援しながら、雇用に繋げていけたらと思っています。 (司会)  聴覚障害の方を雇用していますと、外来にご本人がいて、患者やそのご家族等から声をかけられたのだけど、残念ながら、ご本人は気づくことができず、「何でお前のところは」というトラブルがありました。こういった場合、どのような対応をしたらいいのでしょうか? (中央障害者雇用情報センター障害者雇用エキスパート 名田氏)  お客様と接するような販売部門等のケースであったのは、聴覚障害者であることが分かる耳マークというのを利用したことがあったと記憶しています。どういう方と接するか分からないという場所には、通常は聴覚障害の方を配置されていないと思います。 (司会)  実は、そのような相談を私も電話でお受けしたことがあるのですが、極力そういった方は、接客の多い表の部分にはあまり出さないということが基本的にはあるのだろうと思います。ただし、もしそれでトラブルになったとしても、責任者がきちんと謝罪し、ご説明を申し上げれば、ご理解いただけるのではないでしょうか。そんなことがそうそう頻繁にあるなんて話はないでしょうと、ご心配された事業主の方へ申し上げた記憶がございます。その方は納得していただけました。 (質問者)  質問が2つあります。1つは障害者雇用枠で勤めているということを、受け入れ部署のトップや人事の方は知っているといいますが、そのことをどこまでの職員に伝えた方が働きやすいのかということです。あまり大っぴらにするのも不自然ですし、でも知らないと協力しにくかったりすると思うのです。もう1つが、作業の切り出しということをしようとしただけで、現場の末端の人たちの中で「私の仕事って障害を持っていてもできるって思われたのだ」という受け取り方をした人たちが何人かいて、その人たちが落ち込んだことがあったようなのですが、その辺はどのようにやっていったらいいのでしょうか。 (医療法人社団愛友会上尾中央総合病院人事課長 七島清高氏)  私は、人事で障害者雇用を進めていますが、基本的に障害者を雇っていますと現場にはオープンにしています。精神障害の方だと一部、本人自身が気にする部分もあるので、所属長と相談して全員が知らなくてもいいのではないかという事になっています。ただ、それ以外の身体障害の人は見て分かりますし、仕事を切り出す時にも障害者枠で雇用するという言い方はせず、戦力として採用しています。だから、常勤と同じことをやってもらいます。常勤側の方にも障害者でもできる仕事とは思わないようにしてもらいますし、障害があってもあくまでハンデがあるだけで、能力的に戦える場所であれば、常勤の人以上の仕事ができる訳です。先ほどの聴覚障害の方のお話が出ましたが、聴覚障害のある人に受付をやらせるというのはどうなのだろうと思います。やはり耳が聞こえないのであれば、それ以外のところで力を発揮できる部署に配属すべきだと思います。今のところ既存の職員から、私の仕事は障害者でもできる仕事なのだと思われることはないです。職場全体で理解を求めるために、所属長を積極的に見学会に連れて行き、能力的、スキル的には健常者とあくまでも変わらないのだというところを理解してもらうように努めています。   ------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 最近の障害者雇用管理等講習資料シリーズ一覧 170 知的障害者の特性及び職場への受け入れ 宇都宮大学教育学部教授    梅永 雄二 171 地域社会における障害者雇用 宮城県知事          浅野 史郎 〜平成16年トップセミナー〜 日本社会事業大学学長    京極 高宜 アビリティージャスコ社  北海道統括マネージャー   相馬 靖司 172 気分障害を持つ在職者や求職者に関する 大正大学人間学部教授・精神科医 野田 文隆     雇用支援〜うつ病を中心に 173 CSR(企業の社会的責任)と障害者の雇用 東海学園大学経営学部教授 工藤  正 174 精神障害者の特性と配慮事項 障害者職業総合センター 〜精神障害者の雇用率参入を受けて〜 職業センター開発課長      野中 由彦 175 IT技術・技能の向上が切り拓く障害者雇用の今・ 株式会社シー・エス・イー 未来〜第30回全国障害者技能競技大会 開発本部第一開発部       岩本 謙司 (アビリンピック)記念シンポジウム〜 株式会社千葉データセンター  代表取締役          遠藤 勝己 ライオン株式会社  お客様相談室室長       高倉 孝生 (コーディネータ) 駒沢大学文学部社会学科教授   桐原 宏行 176 聴覚障害者の職場定着、雇用継続について 群馬大学教育学部  障害児教育講座准教授      金澤 貴之 株式会社リクルートオフィスサポート    事業推進室オフィスサプライグループマネージャー                  近藤 康昭 株式会社マルイキットセンター取締役社長                  武居 哲郎 177 精神障害者の募集・採用について 株式会社日立製作所    労政人事部労務課主任      藤原  敏    労政人事部労務課        五味渕律子 清水建設株式会社 人事部     杉浦 光夫                  川村 由佳 中央労働金庫  総務人事部主任調査役      山本 富子 178 小売業における障害者雇用の促進について 株式会社 良品計画     総務人事J・SOX担当      成澤岐代子 株式会社 いなげやウィング  管理運営部長          石川  誠 ※そのほか発行しておりますシリーズにつきましては、当機構ホームページにて公開しております。  ご希望の際は、発行元へお問い合わせください。  -------------------------------------------------------------------------------------------------------------   障害者雇用管理等講習資料シリーズ No.179 療・介護業における障害者の雇用促進について  発行年月日 平成25年1月25日  発   行 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構        雇用開発推進部 雇用開発課        〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3丁目1番3号                   障害者職業総合センター内        TEL:043-297-9514        FAX:043-297-9547        URL:https://www.jeed.go.jp