はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~
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1163 職業上の配慮〇難病のある人が働くこと・「難病」と一言で言っても、就業率の低い重度疾患、障害者雇用での就業が多い中程度の重症度の疾患、障害認定がなく比較的就業率が高い軽症の疾患にまで、幅広い支援ニーズがあります。疾病管理や危険防止のため、就労にドクターストップがかかる場合もありますが、「難病だから働かせられない」と一方的に決めつけるのではなく、主治医や産業医等から十分に意見を聞いて、病状や仕事の内容等から個別的に判断する必要があります。ただし、多くの難病は未だ最新治療によっても完治させることが困難であるため、安定した就業継続や難病の症状の悪化の防止、早期対応等のためには、治療と仕事の両立支援への職場の理解と協力が不可欠です。そのため、「難病等による障害」は障害者手帳の有無にかかわらず、すべての事業主の障害者差別禁止と合理的配慮提供義務の対象です。〇難病のある人の就労困難性や就労支援ニーズの特徴・難病等による障害の最大の特徴は、治療により症状は抑えられているものの、病気が完治していないことによる、全身的疲れやすさ等の体調変動のしやすさそのものです。良くも悪くも障害が固定しておらず、医学的な重症度は同程度でも、症状が少なく仕事もできる場合もあれば、体調が悪化して退職になる場合もあり、それは仕事内容や勤務条件による場合が多いです。・現在、疾病により異なりますが、約3割の患者は無理なく働ける仕事に就き仕事を継続できています。一方、7割の患者は就職はできても、無理な仕事であったり、職場の理解がなく定期的通院が困難等の理由で就業継続が困難となっており、この状況の改善が課題となっています。したがって、障害者手帳の有無にかかわらず、難病のある人の就労困難性や就労支援ニーズの中心的な特徴としては、次のようなことがあります。「通院や休養を確保できる勤務条件で活躍できる仕事に就職すること」「外見からは分かりにくい症状についての職場の理解や体調変動等に対応できる業務調整等の配慮を確保すること」

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