はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~
140/172

募集及び採用時における合理的配慮は、「障害者と障害者でない者との均等な機会の確保」の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たっては、障害者からの申出により、その障害者の障害特性に配慮した必要な措置をとることが法的義務となっています。応募する障害者から申出があった場合は、対応すべき配慮の内容について検討を行い、過重な負担とならない範囲で対処することが必要になります。[指針第2-1][指針第3_1-(2)][指針第3_1-(3)][指針第5][Q4-1-4][Q4-4-1]ケース5の場合は、募集・採用時には障害者からの申出が前提となっています。考え方としては、募集・採用時にはどのような障害特性を有する方から応募があるか分からないことや事業主がどのような合理的配慮の提供を行えばよいか不明確な状況にあることが挙げられます。[指針第2-1][指針第3_1-(1)][Q4-2-2]採用後における合理的配慮は、「障害者である労働者と障害者でない労働者との均等な待遇の確保」と「障害者である労働者の有する能力の有効な発揮」の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害特性に配慮した「職務の円滑な遂行に必要な施設の整備」、「援助を行う者の配置」その他の必要な措置を講じることが法的義務となっています。[法第36条の3][指針第4_1-(2)]ケース6の場合は、他の社員と同じ環境であるという価値観で判断され、障害特性に対する配慮に欠けた対応がなされている事例です。発達障害者の中には、音や光、嗅覚など感覚過敏の方がいることがわかっています。このケースの場合は、耳栓やヘッドフォンなどの使用に配慮することも可能という判断もできますので、話合いにより合意形成を図ることが大切です。[指針第2][指針第4_1-(2)]採用後における合理的配慮の提供に関し、事業主は、労働者が障害者であることを雇入れ時までに把握している場合には、雇入れ時までに、その障害者に対して職場において支障となっている事情の有無を確認することになっています。[指針第3_2-(1)]ケース7の場合は、面接の段階では応募者本人から申し出はなかったものの、採用通知の段階で障害のあることが把握できたことから、あらためて、職場において支障となる事情を聴くための機会を設定したという事例です。早めに対応している点もポイントになります。[Q4-2-6]採用後の合理的配慮の提供に関して、事業主は、労働者が障害者であることを雇入れ時までに把握できなかった場合については、障害者であることを把握した際に、その障害者に対して職場において支障となっている事情の有無を確認することになっています。なお、障害者は、事業主からの確認を待たず、当該事業主に対して自ら職場において支障となっている事情を申し出ることも可能となっています。[指針第3_2-(1)]ケース8の場合は、面接当時に障害者であることの申告がなく、勤務初日に障害があること、電話対応に支障があることなどの申出があったにもかかわらず、検討することなく一方的に対応できないことを伝えたという事例です。この場合、上記のとおり、障害者から申出があった時点に把握したことになりますので、対応について検討し話合いの下、その障害者の意向を十分に尊重した上で過重な負担とならない範囲で合理的配慮の対応が必要になります。[指針第3_2-(1)]1385×6×7〇8×

元のページ  ../index.html#140

このブックを見る