はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~
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採用後の合理的配慮に関し、相談体制の整備等として、障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するための相談窓口を定めて、労働者に周知することが求められています。相談窓口としては、①相談に対応する担当者・部署をあらかじめ定めること、②外部の機関に相談への対応を委託することなどが例示されています。[指針第6]ケース15の場合は、管理職のみに限定した周知となっており、全ての労働者に周知されるようにする必要があります。[指針第6][Q4-5-1]ケース16の場合は、上記①の「相談に対応する担当者・部署をあらかじめ定めていること」に該当し、障害者の支援ノウハウを有するジョブコーチを配置することも一方策として挙げられます。[指針第6][Q4-5-1][Q4-5-2]障害者である労働者が採用後の合理的配慮に関する相談をしたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いを禁止することを定めて、就業規則、社内報、パンフレット、社内ホームページなどを通して労働者にその周知・啓発をすることが求められています。[指針第6_4]ケース17の場合は、合理的配慮指針に示されている「障害者である労働者が採用後における合理的配慮に関し相談をしたこと又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として、当該障害者である労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労働者に配布等すること」の措置を講じておらず、合理的配慮を実施する環境の整備を怠っている事例になります。[指針第6_4]ケース18の場合は、職場での支障の申出を行った障害者に対して不利益な取扱いをしないことを社内規程に明文化し、その上で、全ての労働者に周知を行っていますので指針第6の4に合致し、「○」と判断されます。[指針第6_4]合理的配慮に当たっては、合理的配慮の提供が円滑になされるようにするという観点を踏まえ、障害者も共に働く一人の労働者であるとの認識の下、事業主や同じ職場で働く社員が障害の特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要との考え方が基本となっています。[指針第2_4]ケース19の場合は、社員に対する障害者への適切な対応等に関する知識付与の観点から研修を実施している事例になります。外部の障害者就労支援機関など活用した研修も一つの実施方法として挙げられます。[指針第2_4]労働安全衛生法に基づく健康診断又は面接指導において、労働者が障害を持っていることを把握する場合がありますが、この情報は労働者の健康確保を目的として把握するもので、合理的配慮を目的とするものではないので、注意が必要です。このことは、「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A」に示されています。[Q1-5-1]ケース20の場合は、社員の健康・労務管理等を行っている立場から、健康診断で知り得た情報を活用し、勝手に合理的配慮が必要な対象者として認識し対応しようとしている事例になりますが、上記のQ&Aを踏まえた対応が必要です。[Q1-5-1]14015×16〇17×18〇19〇20×

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