はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~
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71●作業習得のための支援の基本(作業手順の段階的な説明) 作業手順を説明する場合は、「見本を示して、一人でやってもらう」ことが多いと思いますが、以下のように説明者の関わる度合いには段階があります。本人の特徴をふまえながら、本人がわかりやすい方法で行うことが大事です。〇言語指示・ 直接的言語指示:指示する内容を具体的な言葉で表す・ 間接的言語指示:「次は何?」「さあ次は?」などと促して、自発的に行動するための間をとる〇ジェスチャー・ 指導者が対象となる物や方向を指差し、行動を想起させる部分的な身振りをするなどの方法でヒントを与える〇見本の提示・ 指導者が先に見本を見せて、そのあとに作業してもらう・ 指導者が本人のとなりで同じ仕事のやり方を見せながら同時に行う〇手添え・ 手添え:直接体に触れて動作を教える(触れられることを嫌がる人もいることに留意する)・ シャドーイング:直接体に触れず動作を教える(触れそうで触れない距離感)<事例> ある工場のA部署で知的障害のある社員がいろいろな部品の組立を行っていた。その都度指示に従いながら上手にできていたため、B部署へ配置転換し、別の種類の部品組立に取り組むこととなった。しかし、B部署では指導をしても本人は対応できなかった。 A部署の担当者を交えて分析したところ、作業のレベルや環境の変化という原因もあるが、A部署では作業ごとに手添えによる手厚い説明を行っていたものの、B部署では抽象的な言葉だけでの指示であったことが大きな原因の一つであることがわかった。 改めて本人に合った指示の出し方について社内で共通認識をもち、具体的な言語指示やジェスチャーの指示、見本の提示でも対応できるか、手添えが必要であるかなどについて、本人がどう感じたかを確認しながら、段階を踏んで作業支援を行うこととした。作業手順を説明する場合の段階(説明者の関わる度合い)度合いが低い度合いが高い

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