はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~
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78 知的障害、精神障害、発達障害などのある方については、視覚的に分かりやすい資料の準備、指示者による実演と説明、本人による実行、指示者による評価と励まし等が有効です。 次のような配慮が望まれます。 ①車いす使用者に対する段差解消等の物理的環境の整備 ②聴覚障害者への手話やノートテイク(※)等の情報保障 ※ ノートテイクとは、担当者が隣に座り、講師の話している内容やその場で起こっていることを、手書きまたはパソコンで文字通訳するものです。ノートテイクしたものをプロジェクターやモニターに投影することも可能です。 ③知的障害者向けに平明な表現やイラストを使った教材準備 ④発達障害に配慮し長時間の講義や騒がしい環境を避ける等の配慮●人事評価と育成 企業として従業員への期待を目標として設定し、評価し、結果を本人にフィードバックして成長につなげることはキャリア形成に不可欠です。一方で、障害者の場合には一般的な目標設定は困難な場合があります。そうした際には、目標や達成水準を本人に応じたものにすることが重要です。 例えば、知的障害者の場合では、具体的で細かい目標、例えば「作業ミスを減らす」あるいは「定時に出社する」といったものとし、評価の頻度も四半期毎に行うことで評価やフィードバックがしやすくなります。 また、評価の際には目標の意味を明確に伝え、達成に向けた意識や行動につなげるとともに、評価結果を次の成長につなげることが重要であり、そのためには評価者(企業)と対象者とのコミュニケーションも不可欠です。そして、評価結果が雇用継続や担当職務の拡大、昇給・昇進のように、実感できるものにつなげることも重要です。●能力開発 職業能力開発校(職業訓練校)には、在職者を対象としたスキルアップのためのセミナー・講習会を行っているところがあります。そうした場では特定のスキル(例えば表計算ソフトやCAD等)に絞って短期の講習を行っています。そして、障害に応じた環境(設備・機器・ソフト等)と指導技法が整っていることから、社内でのスキルアップを補完するものとして有効な選択肢と考えられます。OFF-JT型(実務を離れた集合研修等で教育訓練を受ける)

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